時系列としては、アメリカのクトゥルー召喚から半終末に突入する間の頃です。
あと、会話のネタに使った作品の筆者さま、ごめんなさい。
「ただいま戻りました。先輩、起きてます?」
「……う? おお、帰ったか。製造ラインの方はどうだった?」
「相変わらず、忙しいですよ。少佐ニキさん、演説中でも顔色が悪かったですし」
「夕食は食べたのかい?」
「いえ、これからです。
あと、みんなで分けて食べるようにって隣の工場で試作したけど売れ残ったインスタントの『辛◯ーメン』、ダンボールで渡されたんで一緒に消費して下さいよ、先輩」
「うええ、私、辛いのは好きじゃないんだけど」
「日本人向けに辛さは控えめだそうですし、初期の『ガイアカレー』並の回復量はあるそうですよ?」
「今から作るのは面倒だしなぁ。
ご飯炊けているから、それを入れて辛さを中和しようかな」
そう言うと技術部の関係者が山梨支部の内部に保持しているシェルターのとある部屋で、ソファに寄りかかってうたた寝をしていた金髪碧眼の白衣の少女は、眼鏡を掛け真面目そうなスーツ姿の日本人男性が持った段ボール箱から袋インスタント麺を2つ取り出すと台所に向かった。
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ここは、ガイア連合山梨支部にある技術班が多くいる研究所の建物にほど近いシェルターの一角である。
そこのとある一室でテーブルに座り、ラーメンのスープの中にご飯と生卵をぶち込んで食べている金髪の少女がこの部屋の主である彼女の名前は、【有栖川ノイ】。
一見、カジュアルな服の上に白衣をまとった金髪の美少女にしか見えないが、実は彼女は2✗歳になるここのHENTAI技術者である転生者の一人である。彼女の専門は服飾アイテムへのスキル付与と装飾品の霊装の製造開発となっていて主に所属しているのが、かの【ミナミィネキ】が率いる【技術班スケベ部】にも籍を置いていると言えばどのような方向性の技術者かと理解できるだろう。
そして、彼女の向かいで同じようにしてラーメンを食べている真面目そうな容姿の眼鏡の若い男性の名は【水元輝(みなもとひかる)】と言い、数年前に大学卒業と同時に大学の先輩だった彼女の誘いに乗りここへとやって来て割りと順応している一般出身の現地民の覚醒者である。というか、こちらに来て彼女のシキガミに連れられて異界の遠征に行き覚醒させられた。
彼に関してはスケベ部に深入りさせたくないノイの意向により、主に製造部門のラインに従事して働いている。
食事が終わり洗い物を片付け始めた水元の背中に、ソファに座りパソコンを弄っていたノイが話しかけた。
「ラインの方では何かあったかい?」
「特に目新しい事はないですね。
作っていたマグバッテリーから改宗を勧める声がするのも、もう驚く事でもなくなりましたし」
「何故か工場内の放送用のスピーカーから、天使の断末魔が聞こえてくるのも慣れたかい?」
「今はその辺も対処されて、滅多に起こらなくなったから大丈夫ですよ」
「最初にここに来た時は、恐慌をきたしたり悲鳴を上げて泣きついて来たのに残念な反応だなぁ」
「過去のことは忘れてください」
洗い物が終わった水元は、彼女の隣に座りパソコンの画面を覗き込む。
「何を見ているんです?」
「掲示板だよ。【私たち】専用じゃなくて君たちでも見れるやつさ。
こうやって時々、情報収集しないと置いて行かれるからね」
「情報は大切ですね。
やっぱり何か作るにしても、『何のために』ってモチベにも関わります」
「だから、こうして掲示板を見て調べているんじゃないか!
直接の感想だけでなく周囲の人の需要とか知りたいんだ」
「そういう事ならまあ、判ります。
それなら僕が貰ったあの【デモニカ】とかいうアーマーが他と違う姿なのも?」
「それは、単なる趣味!!」
「……はあ」
実際、部屋の片隅に陳列してある彼用のデモニカの【NCRレンジャーアーマー】のデザインは、彼女が前世で好きだったゲームの防具を真似た物である。これは、今世ではもうプレイ出来ない某ポストアポカリプスゲームを偲んでデザインしてもらったためだ。
今世ではメシア教過激派の宗教的思想統制のせいでアメリカで過激な描写のゲームが出し難くなったおかげで、さんざんプレイした『3』『 New Veags 』『4』『76』のどれもプレイ出来ないのは彼女の天使とメシア教過激派への怒りの原因の一つであった。
彼の疑問に元気よく答える彼女に、水元はため息をついて話の続きを促した。
「女性用の霊装なら普通に売ればいいんじゃないですか?」
「普通売りの物ではなく、特注の奴の需要だ。
私の専門は、女性用の服飾品と装飾品の霊装の開発と製造だ。
基本的に向こうからのオーダーメイドで送るんで相手からの意見はあるんだが……。
送った相手の周囲の人の書き込みがないか探しているんだが、うーん無いね」
「それで、例えばどなたに送った作品の感想を探していたんですか?」
「ちょっと待ちたまえ」
ノイは棚から分厚い贈り先と贈った物のデータを纏めたファイルを取り出すと、それをめくりながら彼の問いに答えた。
「守秘義務に抵触する部分もあるから黙っていてくれたまえよ?」
「そんな事、誰にも言いませんよ。後が怖いですから」
「えーと……、まず、うちの技術班で旦那持ちの勝ち組の一人だったモルガンさん。
今度イギリスに里帰りするって言うので餞別に、注文してたシキガミの衣装霊装と一緒に防具に使える補正下着を同封したし。
次に、呉支部の支部長の彼。
彼自身じゃないけどかなりの数の女性用の指輪のカタログを、秘密裏に注文を受けてあるだけ送っといたし。
次が、この間山梨支部の近くに屋敷と畑を手に入れた源氏の彼。
注文していた農作業用の一反もめんシキガミと一緒に、彼のシキガミのあの大きい胸を支える為のセクシーな下着を数点ね。
他には……」
「まだ居るんですか?」
「ああ、いるよ。
例えば、稲荷神ラブの彼には注文された物と一緒に悪魔でも着けれる洋服のカタログとか。
例えば、牧場馬主の彼には他の注文品と一緒に現地の彼女のNTR防止用に魅了無効のペアリングとか。
例えば、自衛隊ニキネキの【蘭子ちゃん】へのお供え物としてリボンやブローチとか。
いろいろね」
「そういえば、女性用の下着が多いですけど理由が?」
「ん?
友人のミナミィの関係者から仕事を回してもらう内にね。
これでも一部の方には好評で、リピーターも多いんだぞ。
下着って、どうしても消耗品になるし。
それに、これでサイズも簡単に測れるし」
そう言うと、ノイはカバンからケースと一緒にサングラスを取り出し付けて見せた。
デザイン的にはレイバンのもので、よく見るとレンズの端に数字が映っている。
ニヤリと得意げに笑い、このサングラスについて説明を始めた。
「これは、【みえるんですMk-3】。
アナライズ機器の延長でいろいろ弄っている内に出来たものだよ。
これは対象の身長、体重、スリーサイズを含めた身体のサイズが全部数値化されるものだ。
いちいち計測する手間が省けるんだ。すごいだろう?」
「はあ」
「反応が薄いなぁ。
ほら、男性向けの成人漫画で、透視したり女性の秘密を数値化出来るメガネってあるだろう?
最初は、『出来んじゃね?』って仲間内の宴会で盛り上がって酔った勢いで完成して。
これはいろいろ改良した3代目。
肩幅や股下の足の長さに足のサイズまで詳しく判るんだぞ」
「盗まれたら大変ですね」
「まあ、下手な男性に悪用されるのは嫌だからね。
ケーズに防犯ロックは付いているし、私以外は使えないようにしてあるから平気だぞ」
「そうですか」
彼の食いつきの悪さにムスッとしたノイは、奥の寝室にすっ飛んで行くと金庫の中から別の眼鏡を取り出してきた。それを彼の前に差し出し、ノイは真っ赤な顔で勢いよく彼に告げた。
「じゃあ、これを着けてみて!?」
「はあ、いいですけど」
不思議そうに見る彼の目には、彼女の姿とレンズには【84%】と数字が映し出されている。
真っ赤な顔のままこちらを見つめる彼女に水元は尋ねた。
「『84%』って映っていますが、この眼鏡はいったい何ですか?」
「はちじゅう……!!
そ、それは、相手の女性の【湿度】が判るメガネよ!
ど、どう? こんな凄いものが作れる私を尊敬したでしょ!?」
「ああ、【湿度】。……ふう、そういう事ですか」
さらに真っ赤な顔になったノイを見て、全てを悟った彼は眼鏡を外し小さい彼女の身体をお姫様抱っこで持ち上げた。
「こ、こら! 私は年上なんだぞ! お姉さんなんだぞ!」
「はいはい。もっと素直にアピールして下さいね、『ノイ』?」
「ふぁい♡」
耳元でそう優しく囁かれ真っ赤になって硬直したノイを、水元はそのまま風呂場へと連れて行った。
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それからしばらくして、深夜。
玄関の鍵が開き、一体の人間大の女性型ロボットが入って来た。
彼女の名前は【エイダ】。
彼女は、その姿が彼女が愛してやまない某アポカリプスゲームに登場するロボットのアサルトロンを模した姿をしている有栖川ノイの専用シキガミである。いつもなら彼女の護衛をしているところだが、今日はレベル上げの為に山梨の異界に潜っていたのだ。
寝室から漏れ聞こえるノイの嬌声を聞き流しながら、彼女は居間の片付けを始めた。
「相変わらず、マスターと彼は仲がいいですね。……おや?」
ふと見ると、テーブルの上にこの間友人のミナミィと協力して作っていたメガネがそのまま置いてあった。
この眼鏡はエイダが聞いた所によると、【これを掛けて見た相手のこちらへの湿度=発情度≒好感度とかが判る】という触れ込みの怪しい作品だったはずである。それも、持って回った彼へのアピール目的の為に作ったとかいうエイダも呆れる才能の無駄遣いであった。
もともと彼は前と今の世の全部を合わせても彼女の初恋の相手という事で、彼に関係した事ならその才能を暴走させる彼女は全くもって使え甲斐のあるマスターだと思っているエイダは、手早く居間を片付けると部屋の隅にある自分専用の待機ベッドへと横になった。
ちなみにしばらく後に、これの派生として【相手の性経験人数が判るメガネ】を作り出し、ショタオジが本当に童貞なのかを確かめようとして1週間ほどトイレに籠もる事になった彼女の姿が山梨支部で見られた。
これが後に、霊装としての機能のある女性用装飾品や下着の制作部門で頭角を現すようになる彼女の私生活の様子であった。
後書きと設定解説
・主人公
名前:有栖川ノイ
性別:女性
識別:転生者(ガイア連合)・2✗歳
職業:ガイア連合技術班アイテム開発技術者
ステータス:レベル11・マジック型(魔・運)
耐性:破魔無効
スキル:ディアラマ(味方単体・HP大回復)
パトラ(味方単体・不利な状態異常を全て回復)
心霊手術(霊的な要素も含む外科的処置が可能になる技術)
アイテム作成(専門とする霊装道具の作製技術)
コンピューター操作(プログラム作成含む技術)
房中術(ミナミィネキの指導技術)
装備:耐爆白衣(自作の霊装防具)
特製下着(魅了無効。自作の霊装防具)
特製ピアス(呪殺無効。自作の霊装防具)
アイテムいろいろ
詳細:
ガイア連合山梨支部の技術班の一人で服飾品や装飾品が専門の技術者
日本とドイツ人のハーフで金髪の美少女の容姿をした合法ロリ
前世も今世も研究職をしていたが、山梨でミナミィと友人になり弾けた
彼女から仕事を貰う内に、そういうアイテムの開発は趣味になった
技術者としてはショタオジにも名前を憶えられるレベルで優秀
容姿は18禁PCゲーム「BAL◯R SKY」のノイ先生に似ている
・関係者
名前:水元輝(みなもとひかる)
性別:男性
識別:異能者・25歳
職業:ガイア連合技術部研究者
ステータス:レベル5
耐性:破魔無効
スキル:心霊手術(霊的な要素も含む外科的処置が可能になる技術)
コンピューター操作(プログラム作成含む技術)
図書館(書物による的確な情報収集技術)
装備:耐爆白衣(ノイ謹製の霊装防具)
NCRレンジャーアーマー(彼用の改造デモニカ)
ノイ謹製の相性及び状態異常無効化装備いろいろ
詳細:
有栖川ノイの大学の後輩で同じ研究室の仲間だった男性
普段から彼女に振り回され、大学から引き抜かれてここに来た
現在は、有栖川ノイの研究助手と身の回りの世話もしている
ロリコン趣味のため、彼女は好みの女性であり同棲中
容姿は「絶◯可憐チ◯ドレン」の皆本光一にそっくり
名前:エイダ
性別:女性
識別:シキガミ
職業:有栖川ノイのシキガミ
ステータス:レベル9・アタック型
耐性:物理耐性・破魔耐性・呪殺耐性
スキル:バウンスクロー(敵単体・1~3回の小威力の物理攻撃)
チャージレーザー(アギダイン)
(敵単体・大威力の火炎属性攻撃)
警戒(奇襲を受けにくくなる)
アナライズ(レベル、名前、相性が判明する)
かばう(主人が致死ダメージを受ける時、その攻撃をかばう)
シキガミ契約のため主人以外からの精神状態異常無効
スキル(汎):会話・食事・家事
装備:
女性ロボット型の有栖川ノイの専用シキガミ
頭部にレーザー砲と両腕が格闘用クローになっている
真面目な性格で主に身の回りの護衛と出張異界潜りをしている
容姿はFallout4のコンパニオンでアサルトロン姿のエイダ
会話のネタに使った作品の筆者さま、すみませんでした。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。