セカイ級彼女の超進化論(改題するかも)   作:倭文

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間を開けすぎにも程があるという感じで出戻ってまいりました。再放送の勢いに呑まれ、もう数話書いてからと思ってたものをつい投下しました。
待っててくださった方すいません、いつにも増して独自解釈もりもりですが、それでも良ければ生ぬるく見守ってください。



序章7

「はーい、わんつーすりーふぉー、わんつーすりーふぉー!」

 

 

 スマホ越しだというのにトレーニングルーム全体に響くかけ声と共に、メトロノームのように狂いないリズムを刻むアズサ(L●NE越し)の手拍子に連動し、簡素なジャージ姿のミクは首を振り、肩を上下させ、手首をしならせるといった上半身のアイソレーション(※身体の各部位をそれぞれ訓練していく基礎練習法)に没頭していた。

 

 長年剣道を嗜んでいるだけあり、体幹もしっかりしていてまあまあリズム感もあるミクであったが、トレーニングが始まって数日足らずでとある問題が浮上した。

 下半身のステップはまあ、多少ぎこちなくても問題はない。だが、問題は腰から上の振りであった。

 

『うわ……何回見ても目が滑りそう』

『上半身だけ妙なコラージュ映像を継ぎ接ぎしてるみたいなチグハグさだな……』

 

 さっき共有された最新のダンス動画を視聴すること十秒、ハヤトとアキタでさえ途方に暮れたような声音で呟いていた。勿論ミクにもバッチリ聞こえているのでジトォッとした無言の抗議の眼差しが解き放たれるのだが、二人はちょっと額に汗しつつも撤回はしない。

 さっきリュウジからも掣肘されたところだ。曰く、剣道をやっているから仕方ないが上半身の体幹が鍛えられているから、しなやかな動き方が難しいのだろうと。

 

「……言われなくてもわかってます。だからこっちもアイソレーションで上半身を解してるんです」

 正直仕方ない、とはミク自身も思っていはいる。

 音楽に合わせ、脚だけは実に巧みにボックスやクロスステップをこなしているのに、上半身の動作だけはスムーズにいかないのだ。

 

『リュウジもちょっと詰まってったっぽいのに、ミクはミクでまた振り付けのクセ強すぎんだろ……』

『シンカリオンが踊るんだから良いっちゃ良んだげども……なんかこう、全体的にロボットダンスみだくカクついてたり、手のフリが殺気の籠もった手刀みたいに見える時があったり……』

『前にアズサに見せてもらった処理落ちした動画のようだったぞ』

 

 ●INE越しに好き勝手(見たまま)をのたまう仲間達に、ミクは久々に初対面時のささくれ立った気持ちを目尻に載せてスッと一瞥する。途端セイリュウ以外はバッと顔を逸らした。

 

『それにしたってさー。なんかやっぱり顔だけじゃなく身体全体、なーんか今いち音楽にノッてる感じしないのよね。他の皆はやっと最近弾けてくれるようになってるのに』

「・・・・・・最終的にはモデリングしたシンカリオンに踊らせるのなら、表情は関係ないのでは?」

『ダンスする上で一番重要なのはやっぱグルーヴなのよ? ほら見てみてよこれ!」

 ほら見てみてよ、とアズサがドロップさせてきたのは、既にトレースをすませた各シンカリオンの振り付け動作だった。

 何というか、同じ振り付けである筈なのにやはり各々強い個性を感じさせる動きであった。生来の几帳面さが滲んでいるのか、スマートかつ正確にステップを踏むE6、躍動感溢れるがまたいつかのシミュレーターの時のようにスッ転びそうな危うさを感じさせるE7。

 

 

 そして、基本はまだまだ運動初心者故にぎこちなさが残るけれど、不思議と画面のシンカリオン達の中の軸のような存在感があるE5。

 

 ――実際にセンターを踊る自分がこれでは、成る程アズサも不安にもなるだろう。

 

 

『大丈夫だって! 俺だってさ、ラヴィのアシストがあっても結構大変だったんだけど・・・・・・最終的にはJR東日本の各駅でかけられるJR-SHシリーズや、山手線目黒駅2番線のdance onのダンサブルなリズムに身を任せて肩を揺らしたりするウキウキ感を思い出せば結構イケたんだから!』

『そこは今回の楽曲でウキウキ感にノッてくれたらいいのに、それで余計テンポズレたりしたんだけど・・・・・・まあ、最終的にはどうにかなったしいいか』

 

 所謂カクテルパーティー効果なのか。ハヤトの言葉の中にしれっと紛れていたつい先日も聞いたその名が、やけにミクの耳朶を震わせた。

 

 あの後琴似達にも勧められてインストールを試みたものの、何故か途中で回線が途切れたりして一向に読み込み出来ず、結局そのアプリの有用性をミク自身は確かめられていない。(確かと知っているのはグッズとして売り出されたスクイーズの心地よい柔らかさくらいだ)

 

 

『そういえばミクって、今まで機嫌良い時とかに鼻歌歌ったりするようなことってないの? せめてそういう時の気持ちを思い出せれば、今のダンスももうちょっと変わるかも知れないわよ』

「そうですね……あまり覚えてはいないんですが、幼稚園で習った童謡なら、お風呂の時によく口ずさんでたりしたとお母さんから言われた覚えならあります」

『……あーうん、幼児ならそういうもんよねぇ。でももうちょっと最近の』

「後は運動会のソーラン節などは、割とうまく気持ちが乗っていた気はするのですが。その時先生から『あれだけ雄々しく囃子詞を叫んでた生徒は俺の受け持ちの中でも早々いなかった』との評価は頂きました」

『へ、へぇー……』 

 

 何だか期待していた答えと違ったようで、アズサの表情は割とあからさまに引き攣っていた。

 

『まあ、確かに……』

『ロールパイダー戦の時に見せた迫力からすると割と合ってるよなー。あ、因みにこないだ俺が教えたスパスパの3rdシングルはどうだったよ!? イナホたんとかイナホたんとかイナホたんとか聞き所多かっただろ?』

 

 正直、『あれ、どの歌唱パートがイナホさんとやらだったっけ?』という本心をちょっと隠しつつ、ミクはしれっとすました顔でツラヌキを諭す。

 

「グループとしてとても調和の取れていたハーモニーだったなとは思いますよ? 前向きになれる良い曲でした」

『……ちっ。その様子じゃ沼ってはねえんだな。他に布教したクラスの奴らと同じような反応しやがって』

 ちぇー、と言わんばかりに口元をすぼめるものの、大して本気で拗ねている訳じゃないんだろうなということ位は何となくわかってきている。

 

『おい、いい加減話が逸れてきてるぞ。別に曲云々にこだわらなくてもーー』

『……ねえ、ミクならさ』

 

 いつになく強引に、アキタの言葉を遮るようにハヤトが割って入った。

 しかし、そこで言葉を区切った後、それまでの溌剌としていた笑顔を僅かに陰らせ、目を彷徨わせたハヤトの仕草。ここ数ヶ月では見たことがないどこか落ち着かげな姿に、ミクは目を瞬かせた。

 

 

 しかし、ほんの少し下向いていた顔を勢いよく上げて、思い切ったようにハヤトは言った。

 

 

 

『どういう時に、さっき俺が言ったみたいなーーすごく楽しくて身体が動いちゃうなって気分になる?』

 

 

 

 ーー首筋から顎まで、ぬくい汗の一筋二筋が伝う感触のほうが、ハヤトの言葉よりも鮮明に感じた。

 別に驚いている訳でも何でもない筈だ。でも、何故だろう。

 

 少しだけ、ハヤトの言葉に一歩後じさりしてしまう自分がいる。

 

『……ほ、ほら! 俺の方法そのままは例外中の例外なのはわかってるよ? でもダンスに好きなものへの動線があるのとないとじゃやっぱりテンションも違うんじゃない、かなーっ……って……』

 

 尻すぼみするように声を小さくしていくハヤトのその異変に、アズサやアキタ達も一拍遅れて違和感を感じたのか。各々眉をひそめたり、声をかけようとしてやはりやめたり、といった様々なリアクションを取る中。

 

 

 

 

 ーーひたすら感情を載せないで、ただ成り行きを見守る銀髪の少年の赤い瞳が、鋭くこちらを睨めつける。

 日和った返答は許さない、とでも言いたげに。

 

 

 

 その眼差しで、却ってミクの覚悟は据わった。微妙な空気が後に引くであろうことは承知の上で、半ば意地と開き直りにも似た心地で言葉を繰り出す。

 

「……前にも話したと思いますけど」

 

 昔も今も変わらない、人気の絶えた早朝の甲板で剣道の研鑽をしていた日課。

 シンカリオンに乗る前まで、どう考えても普通に考えて許される訳ないのに優しすぎる大人の取りなしで叶っていた日々だ。

 

「家族に地元の友達や、摩周丸で竹刀を振るっていた日々。それに函館支部の皆さん。……今は、そう答えることしか出来ません」

 

 かつて、ハヤトに対して誇るように言った筈だった『好きなもの』。それが今は、喉がつっかえるように吐き出すことが苦しい。

 

「鉄道だったり、ライフル競技だったり、トンネルやお堀だったり。……瞳をきらきらさせて、息を切らして追いかけられるような、そういう『好き』というものはーー多分」

 

 きっと、困らせるだけなんだろうなとわかっている。でも、ここに来て下手に誤魔化してしまうようでは、それこそこの先友人としてやっていけない。

 

 

 

「ーーちょっと、よくわからないのかも知れません」

 

 

 

 

 

 

 ――アドバイスのつもりで始めた筈が、気まずい沈黙を残して終わってしまったLI●Eから30分後。

 

 アズサは、最早通信の切れたスマホを見下ろして暗雲を纏った幼なじみに、ハァ、とため息をついていた。セイリュウも気遣わしげではあるものの、ただジッとハヤトを見守ってソファから微動だにしない。

(因みに、今更な話だがアズサ及びスマホを持たないセイリュウは、速杉家からハヤトのスマホで同室参加していたりした)

 

「そんなに暗い顔するなら、言わなきゃ良かったじゃないの。というかアレ、ダンスのフリが進まない、なんてシチュでぶっこむには重過ぎるでしょ……」

「……そりゃ、俺だって考えたよ。でもさあ」

 

 沈みきったハヤトが、いつにない弱気を吐き出そうとした時だった。

 

「――で、ハヤト。お前は何がそんなにショックなんだ?」

 

 じっとりと途方に暮れた二人とは裏腹の、スパッと唐竹割りでもしたようなにべもない言葉。

 セイリュウは出されていたジュースをグッと飲み干してから、口元を雑に拭って淡々と続ける。

 

「何となく察するしかないが、あれはお前なりに俺達との時のような『対話』を試みたんだろう。ただ、結果としては想像と違った言葉が返ってきた。――という流れで合っているのか?」

 

 ざっくり要約し過ぎだが、おおまかな流れ自体は合っていたのでハヤトとアズサも何も言わない。割とふてぶてしい態度に思うところはあったが。

 

「俺達キトラルザスと超進化研究所の時だって、命がけの対話を何回も繰り返されてようやく敵対状態から脱しただろう。今更、仲間同士との間でぶつかったからといって、今はもう戦いも終わって殺し合ったりするような状況でもない。お前がそこまで気負い過ぎたりする理由はないと思うが」

 

 一瞬、出会ったばかりの殺伐としたキトラルザスモードを思わせる言動にアズサは内心『うわぁ……』と引いた。

 最近はめっきり、見た目相応にハヤトとあれこれ鉄道ネタで盛り上がっている同好の士といった面ばかり目立つが、絶滅に向かう種族として地上進出という重すぎる使命を背負い、身内間でのシビアな内部抗争の只中にもいた経験は伊達ではないのだろう。ヒトの数倍の齢によるある種の経験値を感じさせる、説得力のあるコメントである。

 

「……正直、ぶつかる以前の話だよ。オレはさ……最初っからミクが好きなものを語るのを、よくわからないけど我慢してるのかな、とか思ってなくて」

 

 対するハヤトのか細い声で語るその様は、まだまだ多感な小6としては年相応だが、シンカリオンチーム中心人物として異なる種族間の橋渡しを命がけで果たした貫禄は皆無であった。そんな茶化したくなる心を抑えてアズサはジッと見守る

 

「最近、戦いが終わってから――あの入院騒動の前から、何となく思ってたんだよ。ミクが自分の好きなものの話したの、北海道で会ったあの時から少しの間くらいで、後は大体が俺達の話の聞き役ばっかりだったなって」

 

 正直、アズサには少しだけわかってしまう気がした。

 ハヤトはまあ、極まりすぎている鉄オタ分を抜きにしてもクラスの友達は数多くいる。それでもたまに、気まずそうに離れていく子はその鉄道話にややついて行けなくなったか――或いは、アズサの独断に基づいた分析だが。

 

 ハヤトの『好き』への熱量と自分のそれを比較して、引け目に思ってしまった、という感じだったように思う。

 

(それに運転士連中って、この年齢でハッキリ自分の進路にまでしちゃう程『好き』を極めたような奴らばっかり集まってるもんね)

 

 ミクは確かに剣道に対して真摯に取り組んではいるし、シンカリオンで戦うようになりその腕を活かすようになって、またそれが終わってからも、一層研鑽に励んでいるとも聞く。

 しかし、タツミのように将来の進路にまで組み込む程、武道での上昇志向がある訳じゃなさそうではあった。

 かといって、あれだけ通い詰めている摩周丸についても、そこまで深い知識を蓄えているという訳でもない(断言出来るのは、語れる相手が出来たオタクは絶対喋り出したら止まらない筈、というのを経験則としてアズサは知っているからである)

 

「グルーヴとか好きな音楽、みたいな話になった時、思い切って聞いてみようかって突っ走っちゃったんだ。何で好きなことの話しようとしないんだろうって。……でないと、この先ミクにはそういうの、誤魔化されたままなんじゃないかと焦っちゃって」

「……で、結果ああなっちゃった訳ね。アキタ達もトークルームで何も言えなくなってたし、正直この先あの子と何もなかったように打ち合わせするのって厳しすぎるんだけど」

 

 とはいえアズサも、ここでダンスモーションを流用したりして日和るつもりは毛頭ない。 最後まで聞いてしまった以上、最後までとことん向き合うくらいの覚悟は決めていた。

 

「正直オレ、ミクがいつ摩周丸のウンチクとか語り出しても、いつも聞いてもらってるしついて行けるようにって色々予習してたんだよ。でも、結局一年以上過ぎてもそんな機会全然なくて。さっきのあの時まで、まだ遠慮してるのかなとかずっと勘違いしてた」

 

 でもそもそもが、ハヤトの想像している類の好きではなかった。それがある意味、ミクにとって負い目として感じさせていてしまったのだと、さっきのやり取りでやっと気づいた。

 

「オレ、ちゃんと言わなきゃいけなかったのに出来なかった。少し種類が違ってても、『好き』は『好き』でいいし、別にオレ達みたいな勢いで語ったりしなくたっていいって。……でも」

 

 そこで一層声のトーンを下げて、懺悔でもするように吐き出した。

 

「……それこそ、暑苦しい位鉄道愛叫んでるオレに言われたって説得力ないって話だよね」

 

 そりゃそうなのでございまーす。

 

 一瞬、理由(わけ)あってここにはいない車掌型ロボットが空気を読まずぶっこんでくれるのを期待したが、流石にそんな訳はないのでアズサの幻聴だけに留まった。

 

 

 

「お前もケチをつけるつもりで言った訳じゃないのなら、アイツが勝手に引け目を覚えているだけなんだろう。だったら、お前の言葉だけでそれをひっくり返すのは難しいんじゃないか」

「ちょっ……セイリュウ、そんな言い方」

「正直に言うが、俺はアイツとは集団での共闘経験があるとはいえ普段二言三言くらいしか会話はしないし、一対一での交流すらない。だから、ハヤトやアズサほどアイツのことは知らないが」

 

 先程画面の向こうの彼女にも向けていた(つよ)い瞳で、ハヤトの顔を真っ直ぐ捉えながら彼女は言う。

 

「だが、本音を言わなかった理由はもう少しぐらいあるのはわかる。引け目とやらは理解出来んが、その事でハヤトが今みたく気に病むのが嫌だったんだろう」

 

 ピクッ、と心持ち伏せられてたハヤトの睫毛が、僅かにだが反応した。

 

「それでもお前が望んだ通り本音を打ち明けた。なら少なくとも、御茶ノ水の三路線立体交差のように一度すれ違えばそこで終わりな訳じゃない。変わらず仲間でいたい、という気持ちはあっちにも確かにあるんだろう。――そこはちゃんと踏まえた上で、この先どういう言葉を返すかはハヤト、お前が考えろ」

 

 正直理解に苦しむ感覚だがな、と付け足してから、セイリュウはコップをキッチンの流し台へ運んでいく。

 

「――って言われたけど、どうする?」

 

 振り返るまでもなく、座り込む幼なじみがどんな顔をしているか、アズサはもう大体検討はついていた。

 パシッ!と恐らく両頬を手のひらで叩いたような音がしたと思ったら、ハヤトは既に立ち上がっていた。

 

「ごめん。……もう少し、一人で考えてみるよ」

 

 そう言うと、スマホを固く握りしめて自室へと戻っていくその姿を、アズサはやれやれと肩を竦めながら見送った。

 

「……セイリュウもやるじゃん。ああいうお節介焼ける位人間力上がったのって、やっぱ今期のみならず過去の名作アニメやドラマ見せてた甲斐あった?」

「何かしら良いことを言ったら地上の文化の薫陶だと言われるのは俺も心外だぞ。……このぐらいの対話でまごついているハヤトは、こう――そう。『解釈違い』なだけだ」

「いや、十分染まってんじゃん……」

 

 ツッコめる雰囲気ではなかったが、さっきの御茶ノ水云々の発言からしても。

 そこからは、仮にも他人様(速杉家)のリビングにて勝手知ったる、と言わんばかりにくつろぎ始める二人である。片や最新動画の再生回数の確認、片やハヤトから借りた鉄道車両図鑑をさっきのことなど忘れたように熱心に読み込んだり。

 

 ――ただ、一段落つきそうな気配に安心はしていても。

 

 少女の中ではもう一つ、ちょっとした疑問と不安の種が芽吹き出している。

 何度も気軽に聞いてみそうになりかけて、さっきの幼なじみの二の舞を踏むことを恐れた結果、それは結局心の内に仕舞い込まれた。

 

 

(……こればっかりは、本人達かあるいは時間が解決してくれるって思いたいけどね)

 

 図らずも、両者の距離感を当の本人が表明したことでハッキリわかった。

 

 

 

 

 ――このキトラルザスの少年は、仲間となった運転士達の中でただひとり。

 

 一度としてあの北の大地で戦っていた彼女の名を呼んだことがなかった。

 

 

 

 

 




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