ナーロッパの武器屋さんは今日もゴキゲン。 作:なふい
「えーと、こちらがミスリルのピックが6つとダークスチールのエストックが2つですね、まいどありー」
2m程もある大男に細身の店員が武器を手渡していく。
眠そうな顔の店員は見るからにやる気がなく、こんな接客をしていれば普通、店は繁盛しないであろう。
だが、テニスコートほどの広さのフロアには50人ほどの客がおり武器屋としては異例の繁盛ぶりである。
街の郊外に一軒家を構え、武器屋をしているこの男。名をナンブ・カネツグ。ナーロッパ大陸1の武器屋として名高く、店には客が耐えない。
ついで騎士団からの調査協力依頼も。
胸に白菊の紋章を付けた騎士が店に入ってくる。
「やあやあどうもメルビットさん、今日はなんです?たまにはうちの商品も買って行ってくださいよ」
「騎士団は官給品を使う規定になっているんだ。その官給品の生産もあんたがやってるから実質ここで買ってるのと変わらんだろうと毎回言ってるだろうが…いつもの通り調査依頼だ。」
そう言って騎士 メルビットは書類と布に包まれた刃渡り20センチ程度のダガーをカウンターに置いた。
「あいよ。今は客が少ないからちゃちゃっと済ませれるが…待ってくか?」
「それで頼む。」
兼次はざっと書類に目を通すとダガーの包みをあける。
「ふーん、どれどれ……なるほど。こいつが殺人で使われたから流通経路を…ね。うちの数打ちのスチール製ダガーだな。《武器鑑定》。買われたのは2ヶ月前位で買ったのは三十路の女だな。しっかり後ろから一突きで心臓を貫いたみたいだな。しっかり仕留めたようで何より。」
「はぁ……。仕事で鑑定依頼するたびに思うが俺にはあんたのしっかり仕留めたようで何よりっていうその感性がわからんな…」
「うちの作ったものがしっかり役目を果たしてるわけだからそりゃあ喜ばしいことじゃねぇか。あんたも妻が自分のプレゼントした洋服来てたら嬉しいだろ?そんなもんさ。」
「妻へのプレゼントと人殺しを一緒にするな」
メルビットと話をしている間に調書は書き終わった。
「はいはい。調書書いたぞ。これでいいか?」
「はぁ…。ん。大丈夫だ。邪魔したな。」
メルビットは疲れたような、呆れたような顔をして書類を封筒に入れると店から去っていった。
武器は役立っているようだし今日はステーキにでもするか。
カネツグは店舗入口の下げ札をOPENからCLOSEへと変えた。
店内の客がいなくなったあとカネツグは店舗の奥にある居住部へと入る。
収納魔法の中から牛の死体を取り出し肉切り包丁で手際よく捌いていく。
「今日は飯がうめえな。」
30分後、食卓には食べかけのステーキと白米があった。