卍解できるけど全く気づいてくれない   作:珈琲店員

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書けた……色々書いてたらおまけが少し長くなったがまぁいいか。

高評価、感想、誤字脱字報告よろしくお願いします!


仕事をサボる上司を逃したことはない

メノスを倒してから数週間後、俺は四番隊で治療を受け無事仕事に復帰した…………したのだが……………

 

「居たか!?」

 

「こっちにも居ません!」

 

「何処に行ったんだ!!」

 

何やら隊舎が騒がしい。まぁ、恐らく原因はあの人だろう。

 

「何かあったんですか?砕蜂三席」

 

「む?貴様は確か…」

 

「立花時雨です」

 

「そう、時雨だ!…そうだ、夜一様を見なかったか!?」

 

やっぱりか。この騒動は月に一回行われる二番隊名物「夜一捕獲作戦」だ。夜一さんは基本仕事をしない人命に関わるものはともかく、書類関係の仕事は提出期限ギリギリまでしない。その度に何度も大前田副隊長が叱られている。そのことを夜一さんに抗議したが帰ってきたら答えが、そんなに儂に仕事をさせたければ二番隊総動員でこの儂を捕まえてみよ、だそうだ。

 

「またですか、大前田副隊長は?」

 

「今『掴趾追雀』で瀞霊廷内を探してはいるが、一向に見つからんらしい。流石は夜一様だ……」

 

いや感心してる場合か。それにしても瀞霊廷内を探しても見つからないって事はもしかして流魂街にいるのか?

 

■□■□■□■□■□■□■

 

「いやーいい天気じゃのー」

 

夜一は空をぼんやりと眺めながらみたらし団子を口へと運ぶ。流魂街へと逃げてきたものの一向に追っ手が来ないため彼女は暇を持て余していた。

 

「それにしても、案外暇じゃのう」

 

「そう思うんなら仕事してください」

 

茶屋で休憩している夜一さんを見つけた時雨は夜一に声をかける。

 

「おっと、見つかってしまったか」

 

しょうがないの。と言って夜一さんは残ったお茶を口の中に流し込み、懐から財布を出そうとする。

 

「……ん?」

 

「どうしました?」

 

「財布……忘れた………すまん!ここは代わりに払ってくれんか?」

 

は?一体何処までいい加減なんだこの人は……

 

「しょうがないですね。店主さんいくらですか?」

 

「750環です」

 

俺は自分の財布を出して支払いを済まし外に出る。しかしそこにはいるべき人がいなかった。

 

「あれ?夜一隊長?」

 

「ん?さっきの嬢ちゃんならアンタが支払いしてる間にほら、あそこ」

 

店主が指をさすとそこには既に遠くいる夜一さんの姿が見えた。

 

「わーはっはっ!対象から目を離すなど愚か!そう簡単に瞬神夜一は捕まらーーー」

 

「卍解、時極羅刹終末時計」

 

逃しはしない。俺は卍解を使い時間を止め夜一さんに瞬歩で近づき肩を掴む。

 

「ーーーんぞ!!」

 

「はい捕まえた」

 

「……え?」

 

何が起きたのか理解できないだろう。というかお金返してください。

 

「お主……いつの間に……!?」

 

「さぁ?いつでしょう?」

 

まだ続けますか?と煽りを入れてみる。しかし俺のこの煽りが夜一さんの対抗心に火をつけた。

 

「面白い…の!!」

 

パァン!と時雨の目の前で破裂音が響く。猫騙しだ、思わず目をつぶってしまった時雨。夜一さんにとってその一瞬さえあればよかった。

 

「今じゃ!」

 

「あ!」

 

再び夜一さんは逃げる。俺は時極を卍解ではなく始解させる。

 

「刻め『時極』!」

 

いくら時極が時間を止める斬魄刀といえどデメリットは存在する。それは卍解を使用した後五秒のインターバルが必要なことである。その間は始解で夜一を追いかけるしかない。

 

「待ってください!」

 

「嫌じゃ♪」

 

■□■□■□■□■□■□■

 

その後、俺は夜一さんを追いかけ続けとうとう夜一を崖まで追い詰めた。

 

「お主、しつこいのぉ」

 

「ゼェ…ハァ…いい加減捕まってくだい……」

 

ここにくるまでに、捕まえては投げられ、捕まえては殴られ、そうしてくうちにだんだんと俺は躍起になってきている。

 

「ここで捕まえます!」

 

「できるかのう?」

 

崖下は滝壺になっており普通の人ならまず飛び込もうとはしないだろう。つまり夜一さんが移動するのは前だけのはず。しかし念には念を入れる。

 

「卍解っ!」

 

時間を止め確実に捕まえる。俺はそのまま瞬歩で夜一さんに向かって突っ込みタックルを任した後しがみつく。しかし俺は躍起になりすぎて大切なことを忘れていた。

 

「あ」

 

「ん!?」

 

時間停止中に俺が物体に与えたエネルギーは時間が動き出すと同時に動き出す。つまり、時間停止中に夜一さんにタックルしたという事は?

 

「「ああああぁぁぁ!?」」

 

夜一さんは崖に向かって放り出され、しがみついている俺も崖から落ちる。

 

「何やっとるんじゃお主ぃ!?」

 

「すみませぇん!!」

 

どうしたものか、このままでは水面に叩きつけられる。

 

「っ!瞬閧!!」

 

水面に叩きつけられるより早く夜一さんは自身の背と両肩に高密度に圧縮した鬼道を纏いそれを炸裂させ俺たちの落下する勢いを殺す。

 

ーザッパァン!ー

 

「「ぶはぁ!!」」

 

滝壺に落ちた二人は水から上がりそれぞれ濡れた服を絞ったり、服を乾かすため火をつける。

 

「お主、考えなしか!」

 

確かに今のは自分が悪かった。夜一さんが瞬閧で勢いを殺さなければ少なくとも俺は怪我をしていただろう。

 

「すいません…」

 

「全く…」

 

夜一さんは呆れつつ濡れた隊長羽織と死覇装を脱ぎ始める。

 

「え!?ちょっと!?」

 

「ん?なんじゃお主気になるのか?」

 

忘れていた、この人はこういう性格だった。確か漫画でも全裸だったし肌を見せることにそこまで抵抗はないのだろう。

 

「見ても減るものでもなし、存分に見ても良いのじゃぞ?ほれ、ほれ」

 

「い、いえ!大丈夫です!!」

 

欲を言えば少し見てみた……あ、いや、やっぱいい!後で砕蜂に知られた時が怖い!

 

「わかった、わかった。少し向こうを見ておれ」

 

「わかりました…」

 

この人の一部の発言は俺の心臓に悪い。あれ?これワンチャン付き合えるんじゃね?と思ったこともあるが、まず無理だろう。俺知ってんだからな原作!あんな関係見せつけられて告白なんかできるか!

 

「……のう、お主覚えておるか?」

 

背後から突然夜一さんに話しかけられる。

 

「何をですか?」

 

「儂がお主に初めて会った時のことじゃ」

 

俺と夜一さんが初めて会ったのは俺が霊術院にいた時だ。一人で瞬歩の自主練をしていた時に突然声をかけられた。

 

「初めてお主を見た時から、お主には才があると確信しておった。その結果が、先の任務ではメノスを倒し、今はこの儂を捕まえるまでとはのお………」

 

「過大評価しすぎですよ。俺なんて……」

 

「過大評価はしておらん。誇るがいいぞこの『瞬神』四楓院夜一を捕まえた男………えーと、『縛神』立花時雨なんてどうじゃ?」

 

やめてなんか恥ずかしい。

 

「所で、お主が消えたと思ったら既に儂を捕まえていた、アレはなんじゃ?」

 

「アレは俺の卍解です」

 

言っても信じてくれないだろうが、正直に答える。

 

「……お主、冗談は下手じゃの。まぁよい少しずつ鍛えれば良い」

 

嘘じゃないです本当なんです。入隊したばかりのやつが卍解使えるとかおかしいかもしれないけど本当なんです。

 

「あと、捕まえた気になって気を抜くのもな」

 

「え?」

 

振り向くとそこには夜一さんの姿はもうなかった。

 

「あ!?」

 

■□■□■□■□■□■□■

 

時雨から逃げ仰た夜一はとある修練場へと隠れていた。

 

「ここなら彼奴も追ってはこれんじゃろ」

 

「あれ?夜一サンじゃないっスか。どうしたんですか?」

 

死覇装の上に背中に十二の刺繍がある隊長羽織を着た男が夜一に話がかける。彼は護廷十三隊、十二番隊隊長、浦原喜助。夜一とは旧知の仲である。

 

「いや、じつはーー」

 

■□■□■□■□■□■□■

 

「それは災難だったすね」

 

「全くじゃ」

 

「ま、それはそうとどうです?一杯」

 

「おぉ!」

 

浦原が懐から酒とつまみを取り出す。実は彼もサボリでここに来ていたのだ。

 

「どうぞ」

 

「すまんの」

 

夜一の持つおちょこに酒を注ぐ。ここは二人だけの秘密基地。邪魔するものは誰もいない。

 

「それでは」

 

「卍解」

 

 

二人の晩酌が始まると思った?乾杯させねーよ?その前に俺が卍解するから。

 

「さてと」

 

時を止められるのは五秒だけ、その間に夜一隊長を拘束する方法はこれだ。

 

「縛道の六十三『鎖条鎖縛』」

 

鎖が夜一の体を縛り付け自由を奪う。しかしこれだけでは足りない。

 

「縛道の六十一『六杖光牢』」

 

さらに六つの帯条の光が鎖の隙間を縫って夜一隊長を拘束する。

 

「まだまだ!縛道の一『塞』縛道の四『這縄』」

 

これでもかというくらいに夜一隊長を縛り付ける。散々ぶっ叩かれた挙句人の純情まで弄びやがって。絶対仕事させてやるからな!

 

「そして時は動き出す」

 

「ーーっ!?なんじゃぁ!?」

 

「アレェ!?」

 

乾杯する寸前で夜一は縛り付けられる。突然起きた出来事に二人は驚愕した。

 

「ようやく見つけましたよ、夜一隊長…!」

 

「げぇ!?お主まだ諦めておらんかったのか!!」

 

「これは……いったい……?」

 

「『縛神』でしたっけ?ありがたく頂戴しますよその称号」

 

夜一は拘束されてもなお、もがきなんとか拘束から抜け出そうとする。だが無慈悲にも時雨は夜一を引きずり連れて行く。

 

「さぁ夜一隊長、隊舎に戻りますよ」

 

「ま、待て!?喜助ぇ!助けてくれ!!」

 

「はいはいっと」

 

夜一を連れて行こうとする時雨の前に浦原が立ち塞がる。

 

「すいません、夜一サンを放してもらえますか?」

 

「……十二番隊隊長の浦原喜助さんでしたっけ?」

 

「えぇ、新参者のアタシのことを覚えてくれて光栄っス。貴方の今やった事は非常に興味深いですが、それは置いといて、どうでしょう?夜一さんのこと放してもらえますか?」

 

「すいません、この人まだやり残した仕事が沢山あるので」

 

「そうっすか」

 

じゃあ仕方ないっすね。そういうと浦原は腰にかけた斬魄刀の鯉口を切る。力尽くでも取り返しにくる気だろう。相手は飄々とした見た目だかこれでも護廷十三隊の隊長だ、戦えば恐らく俺は勝てない。だがこの状況をどうにかする方法はある。

 

「……っ!」

 

「起きろ『紅ひ「ハゲコラァァッ!!」めぇぇ!?」

 

浦原が始解を唱えるがそれを邪魔する者が現れる。一触即発の状況に偶然見つけた浦原喜助を探していた十二番隊の副隊長、猿柿ひよ里のドロップキックによるエントリーだ。

 

「喜助ェ!お前今まで何処ほっつき歩いとったんやワレェッ!!」

 

「ひ、ひよ里さん!?なんでここに!?」

 

「そこの、他所の隊長引きずっとる奴にここに()るって教えてもろたんや!早よ研究所行くで!お前がおらんせいで涅のハゲがヤバイ実験始めとるんや!」

 

ひよ里は浦原の襟を掴み何度も揺らす。このままやと研究所爆発するかもしれへん。とも言っている。一体どんな実験してんだ。それと今ひよ里の口から涅という名前は恐らく涅マユリのことだろう。

 

「教えてくれてありがとな……えっと……」

 

「立花時雨です」

 

「そや時雨や、また後で礼したるわ。ほら、行くで!喜助!」

 

「ちょっと!?歩きます!自分で歩きますから!!」

 

「信じられるかボケェッ!!」

 

ひよ里は浦原の足首を掴み時雨と同様に引きずって連れて行く。大の大人が一回り小さい女性に引きずられる様子をみるとなんともシュールである。

 

「夜一サン助けてぇ!?」

 

「無理に決まっとるじゃろ!!」

 

「俺たちも行きますよ、隊長」

 

時雨とひよ里に引きずられる隊長二人。今は夜、辺りも暗くなり誰にもこの情けない姿を見られることがないのが唯一の救いだろう。

 

「なぁ、喜助、儂ら何か悪いことでもしたかな?」

 

「………仕事してないからっスかね?」

 

「「わかってんなら仕事しろ(せぇや)!!」」

 

その後夜一は大前田副隊長の縛道の八十一『断空』で前後左右上下を囲まれ仕事を終えるまで、浦原は涅が爆破した研究所が元に戻るまでみっちり監視された。




   おまけ

《護廷十三隊業務日記》

『立花時雨の斬魄刀について』

時雨「俺の斬魄刀の名前は『時極(じごく)』解号は『(きざ)め』」

夜一「能力は時間の加速と減速、時極に触れたものの時間を操ることができる。始解すると刀からアンティークな時計時針のような形に変わるのじゃ」

時雨「卍解は『時極羅刹終末時計(じごくらせつしゅうまつどけい)』五秒だけ時間を止められます。卍解時は俺の背後に時針のない文字盤が現れます。時間が止まっている間は攻撃をしたり、鬼道を使ったり完全詠唱の時間稼ぎが出来ます。五秒経つと自動的に卍解は解除されます」

夜一「……所で始解による時間の操作は物にも有効なのか?」

時雨「有効ですよ」

夜一「何倍速まで加速できるんじゃ?」

時雨「百倍までですかね?でも長い間時極を当てなきゃいけませんけど」

夜一「ちょうどよい!これを百倍速にしてくれんかのぉ!」

時雨「なんですかそれ?」

夜一「梅酒じゃ!百倍速ということは、三ヶ月程漬け込めば三十年物の完成じゃ!」

時雨「そんなことに俺の斬魄刀使わないでください!」
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