ドイツっ娘魔法少女とアマアマ奴隷生活♥   作:黄田田

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榎本武Ⅴ

神無月の吹きすさぶ寒風の中、太陽だけは暖秋のごとき熱を地に届ける。その暖かな日光と共鳴するように一人の男がグラウンドで汗を流していた

 

白磁の肌に滴る汗の粒が光を反射して、ただのスポーツに興じる少年を遠目からはいっそ架空のものと思えるほどの現実離れした美しさを演出していた

 

「武っ!うてっ」

「はい!」

 

パン!とボールがキーパーの横を抜ける小気味のいい音

 

ゴール前でボールを受け、狭いエリアで横にいる仲間にフリックすると即座に方向転換し預けた仲間からボールをもらいシュート

 

自分でボールを収め、自分で決める。相手の守備が少々手薄なこともあったが後半の段階でここまで丁寧な展開と豪快な決定打を放てる高校生はそうそういないだろう

 

冬見聖啓学院サッカー部と他校のクラブとで行われた親善試合は武の活躍により2-0で勝利した。冬の国立にも出たことがある学院のサッカー部の観客と、武個人の“ファン”たちで一斉に盛り上がる場内。ほとんど練習試合のようなものなのにここまで盛り上がれるのは偏に武の話題性の強さが原因だろう

 

一年生(4年生)で不動のワントップとしてのレギュラーを獲得したあげく、毎試合得点を挙げる。いつぞやの大会ではハットトリックも決めた。守備にも参加し、無尽蔵の体力も見せる

 

サッカー部が人気になるのは当然であった。武は執行者とわかる以前から運動センスは高くもともと所属していた部でも控えとはいえある程度の成績は残せてはいたが執行者に覚醒してからは状況が一変。上がった身体能力を持て余すことなく披露している

 

さすがに人外とわかるほどのパワーは節制しているが武とて今世は人間。自己顕示欲はあった。褒められると嬉しいし、成績がいいのはなおさらいい。監督と周囲の期待にも応えるべく今までの寂寥を晴らすかのように存分に力を振るい、結果を残した

 

だが、彼は理解していなかったのである、上下関係の恐ろしさを。いくらいじめの少ない進学校とはいえ省かれた人間がどんな怨恨を持つのかを。あまつさえ“先輩”ならばどんな行動にでるかを

 

(畜生畜生畜生畜生畜生畜生畜生生畜生畜生畜生畜生畜生)

 

「なぁ、俺言ったよな!」

 

沈黙しきった室内にメスを入れるかのような激しい音。頬に突き刺さるような痛みが走り、武はたまらずその場に座り込む、その頭にバケツの水がかけられた

 

「次の試合では活躍するなって!」

「…」

「あの糞監督が俺をまともに評価せずお前ばかり贔屓目で見るからお前が戦犯かますしかおれにポストが戻ってこないじゃねぇか!」

 

今度は蹲った腹を直接蹴られる。スパイクの先端は鋭くて内臓をやられてしまうかのような衝撃が武に走った

 

「ぐっ…!」

「だいいちお前はおかしいんだよ。調子あげたと思ったら急にバカみたいな成績残すようになりやがって、俺のポジション奪いやがって!薬か!?薬やってんのか!卑怯な手使ってんだろ!どーせよぉ」

 

武にストライカーの座を奪われたと主張する彼だが武が控えのころから両者の実力には隔たりがあった。ただ年齢の差で彼が優先されていただけ。そのことを口にしようとした武だがさらにキレさせても得がないのでやめた

 

虐めは卑怯な手そのものだが集団で行った場合効果は高い。武にパスを出さないことから始まった嫌がらせは暴力に至るまで成長し、もはや手がつけられなくなっている

 

武はつい今日アシストを出してくれたキャプテンであるウィンガーの先輩を探してしまったがこの場にいないことはすでに分かっている。失意のまま殴られ続けた

 

目立たないように顔だけは避けられながら徹底的にリンチされる。頑丈なため痛みは大してないがユニフォームを足蹴にされるのは屈辱的だった

 

(耐えればいい…耐えれば…)

 

その気になれば殺せると思えば今の今まで耐えられた。体を鍛えればたとえ力に用のないデスクワークの社会人でも精神に余裕を持てるのと同じだ。今回もそれで乗り切ろうと武はそう決意した。抑圧者たちが濡れた武を妙に湿った目で見てくるまでは

 

その中で一番“偉く”、体格のいいGKの上級生が「たとえ憎い相手でもその体と顔に興奮を覚えたら貪ってしまうのがフェチズムというものだ」といった趣旨のことを言い武の細腕を縛り上げ身の着をはぎ取るとその白い肌をあっという間に曝してしまった

 

それまで虐め自体に興が乗っていなさそうだった上級生も見る目を変えて武を凝視する。この気持ち悪い視線と行為は今に始まったことではなかった

 

武も前回窮地を脱したように大声を上げて対処しようとするが件のGK男に無理やり猿轡をさせられる

 

「んーーーーーんっ!!」(これはマジでまずい!!!!)

「これで口は使えないが…。どうせこいつ噛んでくるだろ」

 

犯される。犯される犯される犯される

 

必死で暴れ狂いたくなる体を抑える。きっと殺してしまうから、無抵抗で無抵抗で無抵抗でやり過ごす…やり過ごす…?

 

犯されるのに?男に、入れられるのに?武はあらゆる思考を放棄して全力で抵抗することを決めた。手始めにこのノッポの甲虫の首をあらぬ方向に捻じ曲げて、物言わぬ仏を作ってやろう。そっちの方が仏、だけにこんな下衆の極みよりも尊い存在になれる

 

(あぁ…あの時と同じだ…)

 

武が上級生を殺害しようとした直前、大きく部室の扉が開かれた

 

「はいそこまでーーー!!!」

 

そこに立って行ったのは黒髪の異郷少女。嘲笑を受かべながらこの状況を心底楽しそうに制止する。武を取り囲んでいた連中の面が大きく歪んだ

 

「暴力は許せたけどそれ以上はダメね。こいつの若気は有事の際までとってるんだからお前たちみたいな塵芥にはとてもじゃないけどあげられないわ。さっさと臭いから消えて頂戴」

「なんだとこの糞女!」

 

武を一番憎んでいたがゆえに弄びたかったFWの彼が勇猛果敢に周りの制止を振り切ってまたも暴力で黙らせようとする。だが眼だけで抑えられた

 

「言わなかった?“失せろ”って」

 

ヒッと漏れる間抜けな声、部員に一人に至ったては慄いてもう消えてしまっている。仲良く抑圧者たちは獅子に迫られたガゼルのごとく無様な様相でぐったりと逃げ帰っていった

 

「このことを話したら解ってるな!?」と捨て台詞を放ちながら。部屋には少女と少女のような少年だけが残された

 

「あーあ無惨にやられちゃって眼なんてもうレイプ目じゃない。でもその虚ろな目は真に犯されぬいてなるものよ。メンタル弱いわねぇ、助けてあげたことに感謝しなさい」

「…どうせこの状況もお前が作り出したんだろ」

「えぇそうよ」

 

さも当然かのように言い放つ。この悪辣さをよく日常で隠し通せるものだ、ある意味感心する武だった

 

「もし、あたしが止めていなかったらどうなっていたと思う?」

 

オリヴィアは蹲る武の顔を持ち上げると額と額が直接触れるかもしれない顔を近づけ、その侮蔑の嘲笑をみせる

 

「お前は徹底的に犯されていたのよ。その虐げられなれているような小生意気でつまらない表情も若気の穴を責められる痛みで悶絶するしかなくなるくらいに。頭は真っ白で何かを考えても絶望するばかりで快感に変わるころには馬鹿みたいに口を開けて、河馬みたいにあうあう口を開けてあの臭い連中のさらに醜穢な汚濁をありがたがって頂戴するようになっていたのよ」

「…そんなことにはならないし、そうなる前に殺す」

「いいえ、できないわ」

 

できないだと?この女はあのデカブツの首を今にもねじ切ろうとした様子を見ていなかったのか?節穴なのか?と震えるような怒気が武の胸中にふつふつとあふれてきた

 

執行者の膂力の是非をしらないわけでもあるまい。それすら知らないで真に非力でレイプされようと抵抗もできないほど脆弱なものだと思われている方が心底癪に障った。敵わないとわかってはいても殺意の奔流が止められない。今ここでなら反撃できる、そう思って武を身を起こそうとした途端

 

「私が止めるもの」

「は?…あっ!!」

 

重力が何倍にも増したかのように武の肉体は指一つ動かせなくなった。脂汗を流しながら部室の床に仰向けでひれ伏してしまう

 

「何をしたてめぇ…!」

「あんたの肉体はほとんど私の霊力によって構成されてるのよ。供給を遮断して戻してしまえばこの通りだわ」

 

執行者はその存在を維持するのにSAVを必要としない代わりに天使から霊力を補給してもらわないと存分に力を発揮できない。人間としての日常生活ぐらいであれば支障はないが戦闘は無理だろう、そして霊力が完全になくなれば立ち上がることさえできない

 

「今、あたしを殺そうとしたでしょう?」

「早く戻せくそっ!!」

 

また、その霊力を武という器の中で形作っているのは天使自身であるため意のままに操ることもできるというわけだ

 

「やっぱりダメねぇ、“人殺し”は。今世でも堕落して、その魂が許されるのはいつになることかしら」

「!!…なんでそのことを」

「罰が必要ね。主に逆らうダメな犬はとっても重い罰が」

「答えろ!なんでそれを知っている!」

「平伏しろ」

 

武の腕が足が、何かに操作されているかのように勝手に動く。倒れこんだ姿勢のまま、手は頭に、脚はしまいこむように正座をして額は地に着いた。そう、オリヴィアに向かって土下座をする形になったのである

 

「この糞女が」

「お前は正直好みだからそこまで激しく躾けるつもりはなかったけど…」

 

ドスと鈍い音がして武の柔い肌に凶器が突き刺さった、アイスピックだ。言葉にならない悲鳴、それを何度も何度も背中に、背骨に突き刺して抜いていく

 

「わかる?ここがあたりなの」

 

ゴリゴリと異物がドリルのように蹂躙する音がして

 

「脊髄、ここにピシッと刃物を通すだけでお前は二度と立てなくなるのよ」

 

今は通すどころではないけど、と女は嗤って付け加えた。武は声も上げられないまま、気絶すら許されず人として歩めなくなる拷問を受け続けた

 

疼痛の海から浮かんだ後武は「こんなことをして良心が痛まないのか」と聞いたがオリヴィアいわく良心とは型にはまったものではなくその時の風俗ないし風土気候で変わるものであって、過度な躾けをなんとも思わない国もあれば虐待だと指摘する国もあり、この順応しやすい器官をうまく扱うには中庸を選び取ることで、自然から賜った志向と政府の法に同時に適合する思想を自分の中に作り出すことだと語った

 

暴力による支配は自然の摂理。罪人を罰するのは司法の正義だと

 

要するに武は最初からまともな人間扱いはされていなかったのである。どこまでいっても執行者は所有物なのだ

 

この天使を騙る女こそ真の悪なのではないかと武は思ったがどの世界でも天という存在は悪辣な面があった。オリヴィアは莞爾(かんじ)と微笑みながらアイスピックを今度は眼球に突き刺した

 

 

 

 

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