吉良涼介のブルーロック(仮)   作:たかみね

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投稿が遅れて申し訳ありません。
多忙中で全然執筆時間が取れませんでした。

もしよかったら高評価と感想お待ちしています


チームZ VS チームV終結 吉良の新しい力

ハーフタイム中のミーティングで真っ先に話題になったのは凪のことだった。

「凪のトラップが凄いのは映像で分かっていたけど、映像以上だったな…」

「それだけじゃないよ!今までリアクション待ちだったのに最後のプレーは、自分からアクションを起こしてのものだった…」

 

久遠と今村が言うことももっともだけど、一番の問題は凪の行動が読めないことだな。でも、読めない行動を悩んでもしょうがない。

「凪がやばいけど、下手にやり方を変えて凪に人数かけると剣城が怖い。ボールの供給源を断とう」

「…つまり、オレ様が御影をボールに絡ませなければいいんだな?」

「うん。御影の近くでプレーするボランチはハイプレスで楽にさせない」

 

ボランチを嵌めてボールを奪う。その意思を統一させる。

「ふむ…じゃあラインは高く保つべきだな」

 

伊右衛門の意見に首肯する。ハイプレスをかけるときには、ラインを高く保たないとDFラインと中盤の間にスペースが生まれる。そこを凪や剣城に使われるのは、危険すぎる。それを伝えると皆も首肯する。

「攻撃に関しては両サイドを広く使っていこう。両WBに圧力をかけて、両方が下がる状態になれば、それだけでも守りやすくなる」

「そうすれば警戒するのは前線の三人だから確かに守りやすくなる…よしそれでいこう!」

 

久遠を中心に皆が同意していく。そんな中で俺はまだ癒えていない怪我のケアを開始する。コールドスプレーで冷やして、テーピングを巻きなおす。その様子を驚きの目で見られているのを感じるけど、ここは強がって見せる。

「軽度の打撲だから大丈夫だよ。後半、足が止まらないように念のためにね」

 

それだけ言うと準備を終わらせて一足早くセンターフィールドに向かって歩き出す。凪誠士郎という天才との勝負に決着をつけるために…

 


 

後半戦開始前に相手の陣形を確認すると剣城が下がり気味でほぼ御影と同じ位置だった。これは剣城が御影をサポートしながら攻めあがる体制か?

 

そう考えてるうちに後半開始のホイッスル。考えることは大事だけど、考えてる時間がない俺はおとなしく蜂楽にパスを出しながら前線に攻めあがっていくと同時にDFラインが高く設定されてることを確認する。

 

蜂楽はボールを貰うと一旦ボールを下げる。國神から雷市、雷市から伊右衛門、伊右衛門から久遠へてボールが展開されていく。そして、千切にボールが入ったところで、千切が持ち前のスピードでオーバーラップ。ここで千切の前に立ちふさがったのは剣城だった。前半、千切が剣城を抑えるためにオーバーラップを控えたために実現しなかったマッチアップ。

「どけ、バカメガネ!!スピードキングは俺だ!!!」

 

ここで千切の選択は一人スルーパス。加速力や反応勝負では、分が悪いと見た千切の得意分野であるトップスピード勝負!俺はすかさず潔にコーチングしながらポジション取りを変更していた。

「潔、蜂楽!千切のサポート!」

 

潔がワイドから内に絞る動きをしたことで、空いてスペースを千切は剣城を置いてけぼりにして、駆け上がる。千切がカットインの姿勢を見せた段階で、千切の選択肢になれるように俺はDFラインと駆け引きを始めるが…

「なぁ!?凪だって!!?」

「やっぱり一番危険なのは君だよね」

 

なんと俺のマークについたのは凪誠士郎だった。これには流石に動揺してしまい動き出しのタイミングを逃す。それぐらい衝撃的だった。慌てて状況を確認しながらファーサイドに走り出す。

千切の選択はファーサイドへのシュートだった。凪の超絶トラップでシュートブロックされる未来を幻視する。なら俺がするべきは…凪の足止めだ。無理矢理身体を凪の前に割り込ませてボディブロック。そして、この間に千切のシュートはファーポストに当たって吸い込まれていった。

 

ゴール!!!!!!

 

3-2の勝ち越しゴール。千切を中心に歓喜の輪が広がってるけど俺は素直に喜べなかった。なぜなら天才が本能の赴くままに走り出したことをもっとも身近で体感させられたのだから。

 

チームVボールでの試合再開。チームVは御影をワントップ気味に使ってきた。いや、あれは偽9番のプレーだ。なるほど、御影がより流動的に攻撃的なポジションをとることで、凪と剣城が自由に動けるスペースを作ることが目的だな。

「雷市、御影に集中!凪と剣城はゾーン気味に対応!!」

 

俺はコーチングしながら、前線が連動しながらパスコースを切るようにボランチへ戻されたボールを追いかけ始める。そこに御影のコーチング。

「凪と斬鉄にボールを集めろ!!」

 

ボランチの選手が凪に向かってロングパスを出すのは止められなかった。急いでDFラインに向かって走り出す。凪を止めるために。

 

凪は自分をマークしている伊右衛門を落下点に移動するとボディーブロックから、その長い手足を使って、伊右衛門とのポジション争いに勝利すると、その身長差を生かして近くの剣城にポストプレー。そして剣城はボールを受けると、そのままうちの右サイドをそのスピードで切り裂いていく。凪はそれに並走しサポートできる体制だった。実際にイガグリは凪と剣城のワンツーパスであっさりと交わされている。剣城がカットインの体勢に入ると、凪はゴール前に移動していく。

「シュート警戒!マーク確認!!」

 

全速力で戻りながらのコーチング。しかし、剣城はカットインからマイナス気味にグランダーのクロスを凪に送る。このパスを凪はマークを手で制しながら反転ヒールトラップすると、そこからタップリフト。そして勢いそのままボレーシュートを打ってきた。俺も全速力で足を伸ばすがわずかに届かずボールはゴールに吸い込まれていった。

 

ゴール!!!!!!

 

「サッカーって面白いんだね、玲王。あと何点取る?」

「黙れ天才。まだ同点だ。それに、ここからは俺たちの攻撃だ」

 

ゴールからボールを回収するときに聞こえてきた言葉に一言返すとそのままセンターサークルに向かう。それはまるで嵐の前に一瞬訪れる凪のような状態だった。冷静にゴールまでの手順を頭の中で計算しながらも、心はひどく燃え上がっていた。

 

チームZボールでの試合再開とともに俺は蜂楽にボールを回す。蜂楽は右サイドの今村にボールを渡すと前方にダッシュ。今村がドリブルでボールを運んでいると御影がプレス。御影の守備範囲に入る前に今村は蜂楽にパス。

 

ここから蜂楽はドリブル突破を選択。剣城がすぐさまプレスに来るけど、ここで得意の高速ジーザスからのルーレットで突破を図る。これにまだ食らいつく剣城もすごいけど、蜂楽の発想はそれを上回った。なんとルーレットの途中で軸足パス。パスの相手はオーバーラップした國神だった。

 

國神のシュートレンジに入っていないため、國神の選択はリターンパス。これで残りのDFは5人。ただ後半30分を過ぎた時間帯であること、文字通りの乱打戦で精神的にも疲労してきていることもあり、味方を探し始める。またチームVも時間的にファール覚悟のプレーが増えてきた。

 

だからここは凪を振り切って、下がる選択をする。

「蜂楽、来い!!!」

「あざーす」

 

蜂楽からボールを受けると当然のように凪がマークについてくるが、この瞬間千切が猛烈なスピードでオーバーラップ。凪相手に何とかハンドワークと細かいボールタッチでボールを取られないようにしながら、その姿を視界の端で捉える。ただ、剣城も千切のオーバーラップに気が付いたのか千切のマークに移動している。だからこそこの選択はチームVの思考を上回れる。俺は潔にパスを選択。そして前線に攻めあがる!

 

潔はパスを受けると斜めにカットインしながら、千切のオーバーラップするスペースを作るドリブルを選択。そして意外な個人技で相手のWBを交わした潔は俺へのパスを選択。しかし、ギリギリ剣城がこのパスに反応して、スライディングで足をボールに当てる。

「ボールロスト!」「クリアしろ!」

 

千切がその俊足でボールを追いかけるが、相手DFが外にクリアする方がわずかに早かった。

「クソぉぉぉぉぉ!!」

 


 

「本当に思っていた以上の戦いになりましたね、絵心さん」

「うん。熱いね」

 

ブルーロックで行われる全試合を管制塔でモニターしている絵心とアンリは、事前に両チームの中心人物たちの性格や経歴から今日の試合が単純な消化試合にならないと判断していたが、予想以上に熱い試合になったことに、片や驚きを、もう片方は喜びをもってこの試合を観戦していた。

「他の棟では、両チーム突破が決まってる場合は消化試合ばかりだったのにこうなった原因は何でしょう?」

「そうだね…両チームの中心選手の性格もあるだろうね」

 

そう言って絵心は両チームの中心人物のプロフィールと経歴をモニターに表示した。

「吉良涼介はチームの勝利を至上とし、大舞台ほど結果を出してきたストライカー。彼の一番の長所はその勝者のメンタリティなのかもしれないね。そして、凪誠士郎はサッカー歴半年ながら、その圧倒的才能でチームを全国に導いたけど、彼は飢えていたんじゃないかな?」

「吉良君はその経歴を見れば納得できますが、凪君が飢えていたというのはどういうことでしょう?」

「彼の対戦相手には、チームとして格上がいたかもしれないけど、彼個人にとっては同等以上の存在はいなかったんだよ。そんな彼が初めて自分と同等かそれ以上と思える相手と出会ったら…アンリちゃんならどう思う?」

 

急に質問を投げかけられたアンリは驚きながらも自分だったらどうするかを考えて、絵心に自分なりの回答をした。

「え!?…そうですね。心が折れるか、喜ぶかのどちらかじゃないでしょうか?」

「そうだね。おそらくその二つのどちらかだろうね。無関心という選択肢は逃げの思考だ。そして心が折れた方はどんなに才能があっても本当のストライカー(エゴイスト)になれないんだよ」

「なるほど。つまり凪君にはストライカー(エゴイスト)の資質があるってことですね」

 

絵心は一瞬も見逃すまいとモニターに視線を向けたままアンリの言葉を無言で肯定しながら、自分の考えを述べていた。

「極限状態の中でこそ人の本質は見えるもんだよ。そしてそんな状況に置かれた時こそ状況を打破するためにストライカーは進化を余儀なくされる。俺が見たかったのはまさにこの状況だ」

 

モニターに凪が背面トラップで吉良をかわそうとするが、ハンドワークと一瞬の加速力で無理矢理身体をねじ込まれてストップ&ゴーで状況を打破しようとする様子が映し出される。

「さあ、才能の原石共。見せてみろ荒削りの才能のきらめきを」

 

絵心は無意識に右手を握りしめながらモニターの映像に集中し、それに釣られるようにアンリも映像の内容を見逃すまいとモニターに目を向けるのだった。

 


 

背面トラップに対して無理矢理身体をねじ込んだ所までは良かったけど、そこからのストップ&ゴーによるドリブル突破は完全に予想外だった。おかげで体勢が崩された。この瞬間も進化し続ける天才の覚醒に思わず笑みがこぼれる。

全速力でゴール前に移動しながら脳みそと目をフル回転する。疲労から首振りが辛くて普段の半分の範囲しか首振りができないから周辺視を最大限に活用し、少しでも情報をキャッチし、リアルタイムで情報を処理しようとした瞬間だった。

「あ…」

 

いつもの俯瞰図と違い、フィールド全体の未来が見える新感覚(ネオ・センス)!それに従うように俺はコーチングしていた。

「千切、剣城とのワンツー警戒!伊右衛門、出るな!久遠、シュートコースを消せ!」

「っ!?」

 

一瞬の躊躇。だけど追いついてボールを刈るには十分な時間だ!無防備な股下から足で伊右衛門にボールを蹴りだして、すぐさま反転。攻撃にシフトする。伊右衛門からのパスを受けると、すぐさま周辺視で周りの情報をインプットして、脳みそで情報を処理しながらドリブルで駆け上がっていく。

 

千切がオーバーラップしてるけど、剣城がマークについてる。それにWBとDHが進路を塞ぐようにポジショニングしてる。

雷市は御影をマークしてたことで逆にマークを受けてる。いや、御影がこっちに向かってる。

 

…となると左サイドは警戒が濃い。ならば選択肢は中央突破だ!

 

俺はコーチングをしながら、まずはプレスに来た御影をエラシコからのルーレットというコンボ技で突破。

次にDHが詰めてくるけど、スピードの緩急とパスを匂わせるボディフェイントで突破。

この段階で遅まきながら剣城がこちらにプレスに向かって来るけど、遅いんだよ!

ハンドワークで抑えながら右足のアウトサイドで雷市にパス。

「戻せ」

 

雷市からのリターンパスを前方向に弾きながら再加速を行う。この段階で剣城がユニフォームを掴んでくるけど、手で振り払う。DFが釣りだされるけど、ボールに下回転をかけたために中間地点でボールが止まる。これをアウトサイドでボールを押し出すようにして股抜き。この段階で潔が良いポジショニングと動き出しを見せたが、これを囮にしてPAに侵入。そしてあとはボールをずらしながらのキックフェイントで相手DFを先に動かしたら最速の振りを意識したシュートするだけだった。

 

ゴール!!!!!!

 

勝ち越しとなる渾身のゴール。そしてすぐさま皆の下敷きになってた。

「一人だけ目立ちやがって!!」

「スーパースペシャルなゴールじゃん!!」

「囮にされたのはムカつくけど、勝ち越しゴールを決めたから許す!」

「ナイスゴール、吉良。大丈夫か?」

 

チームZに歓喜の輪が広がり、チームVに絶望が広がる。そんな中、凪だけが急いでボールを回収し、プレーを再開させようと御影と剣城に声をかけている。國神の手を借りながら立ち上がりつつ、皆を鼓舞する。

「残り時間5分前後、まだ凪はあきらめていない。残り時間、もう一点取るつもりで引き締めていこう!!」

「「「「「おう!!!」」」」」

 

俺は先ほどまでの新しいビジョン…ネオ・ビジョンに関する考察は後だ。とりあえずコツは掴んだからあとはそれをもっと実践したくてしょうがない。

そしてチームVボールで再開。俺はすぐさま先ほどまでのように周辺視野でリアルタイムにフィールド全体の情報を汲み取りながら、情報を脳みそフル回転で処理していく。

 

チームVは皆が落ち着くようにボールを回してる。

御影には相変わらず雷市がマークについている。

凪が下がり目のポジションで常にパスを受けられるように動き始めている。

剣城は凪と御影をサポートできる中間地点にポジショニングしている。

 

やっぱり一番マークしないといけないのは凪だな。俺はコーチングしながらポジショニングを下げる。そして、剣城にボールが渡ったことで、チームVの攻撃のスイッチが入る。

剣城のサイドに開きながらのドリブル突破。それに連動するように凪と御影がサポートに動き出す。御影はサポートに動いてるけど、雷市を振り切れていない。ならば剣城と凪のパスコースを消すように動きながら凪を潰せる距離を維持するのが最適解。

 

剣城はスペースを消されながらもカットインを選択して、シュート体勢に入る。そして、それに反応するように凪が一気にゴール前に駆け出すので、俺もゴールの匂いを消すためにネオ・ビジョンを元に凪を追いかける。

「シュート警戒!」

 

剣城は強引にもシュートを選択。だが、このシュートは得意なゾーンではなかったためにポストに嫌われる。このこぼれ球に反応したのは俺の方が早かったけど、位置的に潔が回収して大きく蹴り出した所で試合終了のホイッスル。

 

チームZ VS チームVの試合は4-3でチームZが全勝で一次選考(セレクション)を首位通過を果たしたのだった。

 

そのあと一次選考(セレクション)の結果発表があった。伍号棟の一次選考(セレクション)突破者はチームZとチームVの計22名と他チームでの最多得点者である西岡(チームW)、馬狼(チームX)、二子(チームY)の計25名を一次選考(セレクション)突破者とするというものだった!

 

その夜、だれからともなく祝勝会をしようと言い出して、気が付いたら祝勝会をやることになっていた。その準備の一環で俺と潔は食堂に飲み物を取りに来ていた。

「こんなものかな?」

「タンク4つあれば十分だと思うよ」

 

そんなやり取りをしていると食堂の前を大勢の人たちが通り過ぎていくのが目に入った。

「そうか脱落者の退寮を今日、実施するのか…」

「同情するなよ?一歩間違えてたらあちらにいたのは俺たちかもしれないんだ。俺たちにできることは奴らが誇れるぐらいの選手になってやることだけだとおもうぞ」

 

そう言いながらタンクを持って部屋に戻ろうとすると背後から声をかけられる。

「チームZ勝ち上がりおめでとうございます」

「二子か…」

 

二子は潔にゴール前パスカットされたことで目が覚めたこと。

そこからは自身のスタイルを変更したこと。

最後に「次は負けない。キミを潰すのは僕だ」と宣言して二子は部屋に戻っていった。

 

歩きながら潔と先ほどの二子や今日の試合についての話をしながら部屋に戻り、その日は短めの祝勝会を行い、早めに就寝することになった。

 

ライバルリーバトルの最後の相棒

  • 蟻生十兵衛
  • 時光青志
  • 黒名蘭世
  • 剣城斬鉄
  • 氷織羊
  • 西岡初
  • 二子一揮
  • その他(活動報告へ)
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