最近は返せていませんがすべての感想等には目を通しています
とりあえず先制点をあげることができたことで安堵感が強い。まだまだ俺たちのコンビネーションは即席の付け焼き刃だから多少強引に単独突破を仕掛けたけど、うまくハマって良かった。
ただし、凛が何か言いたげな表情で俺のことを見てるのは折角フリーになったのにパスを出さなかった不満だろうな。
「今回はごめん。次はちゃんとパスを出すから許してほしい」
「…今回だけだぞ」
その一方でチームホワイトの面子も先ほどのプレーについて意見交換をしていた。
「吉良は明らかにフィジカル面でパワーアップしてたよ。俺をハンドワークだけで抑えて、純粋なスピードと簡単なワンツーで中央突破を仕掛けて成功させるぐらいだからね」
「ごめん。ワンツーは警戒してたんだけど、吉良くんを見失った」
「後ろから見てた感じだと吉良は潔の死角から死角に移動してたね。シュートも距離はあったけど、早くて無駄がなかったからちょっとシュートブロックは難しいかも…」
(明らかに前とは違うのは俺のフェイントに全く反応しないで本命を潰しにきたところだけど、こればかりは種がわからないな…)
蜂楽は頬を両手で叩いて気合を入れなおすと同時に頭をリセットする。わかったことは吉良が俺たち同様に1stステージを突破することでパワーアップしていたということだ。
ReSTART
今度は凪の方向から攻めてくるか…ただ、凪にはドリブルのスキルがないからワンタッチで潔くんや蜂楽に上手くボールを回しながらポジションを徐々に上げていく。
凜が明らかに誘導してるな。その証拠に凜はワントラップで交わされない距離を保ちながらある程度パスの方向を誘導するようにプレスをかけている。
「氷織、潔くんはダイレクトシュートあるから警戒!」
「了解や」
俺も蜂楽を上手くマークしてるけど、こういうときでも蜂楽はその独特の感性でパスにイマジネーションを込めてくるから守りづらいな。蜂楽はワンタッチでボールを素直に回したかと思ったら俺に触れられないようにロビングパスや早くて正確なパスを混ぜ込んでくる。
敵に回すと改めてパサーとしての蜂楽も厄介だと思わせられる展開だな…それに地味に潔くんのプレースピードとダイレクトキックの正確性が向上してる。
この二つが俺たち相手にトライアングルで押し上げられている要因だな。
そしてゴール前に凪がポジショニングしたところがスイッチだった。蜂楽からのシュート性のカーブパス。
ギリギリ触れたけど、この距離だと凪には誤差範囲でしかない。それを証明するかのように蜂楽からのほぼシュートと言えるパスを完璧に殺してコントロールして見せた。
「この距離とタイミングならお前のレンジだよ、ストライカー」
そして凜に体重を預けながら、正確で半スライスがかかった柔らかいパスが潔くんに出される。これを潔くんは氷織を背負いながらダイレクトシュート。
GOAL!!!!
潔くんの同点となるゴール。完璧に崩されたわけじゃないけど上手く個性が融合したゴールだった。
「はぁ…吉良が称賛するからどの程度のものかと思ったらこんなものか…ぬるいぜ」
ReSTART
凛のドライブ回転がかかったキックオフシュートがゴールに突き刺さる。
GOAL!!!!
「へぇ?」
「アリなのアレ?」
「全然あり。でも、決まんないよ。普通は…」
ReSTART
先ほどのようにアンカーに蜂楽を置いたトライアングルで攻めてくるみたいだね。
なら俺がするべきことは…凪へのパスコースを身体で切ること。意識的には7:3ぐらいの割合でいい。その上でネオ・ヴィジョンで周囲の状況を読み切って蜂楽に簡単にパスを出させないことだ。
「なるほど…それなら僕も動くとしようかな」
氷織が俺のポジショニングから意図を察したのかそれに連動するようにポジショニングを変更する。潔くんが氷織を振り切ろうと走りだすけど…
「純粋な追いかけっこなら僕の方が上やね」
(振り切れない!?)
こうなると蜂楽は純粋に俺との一対一でパスコースを作り出さないといけない。それを理解したのか蜂楽が楽し気な笑みを浮かべてドリブルを仕掛けてくる。
エッジターンからのエラシコ、そしてキックフェイントから再びエッジターン!
やばい!これはノッてるときの蜂楽だ。一歩反応が遅れる。そこを逃さず凪へのグラウンダーのパス!
凪はこのパスに前進しながら受けることを選択し、一瞬の加速で凜を振り切る。そして、ヒールトラップからのバックヒールでのリフト!?
「俺は戦場の創造主だ」
そこからの反転ダイレクトボレーは流石に凜も反応が遅れてシュートを決められる。
GOAL!!!!
「どう?思ったよりやるでしょう?」
「…煩い。思ってたより成長が早いが、今のはインプットした。次はない。そういう吉良こそ簡単にパスを出させてるんじゃねえ」
「蜂楽はテンションによってドリブルのキレと発想が変わるからね。次はもうちょい粘るけど流石にパスを全部抑えるのは無理かな」
「二人とも再開しようか」
氷織の言葉に促されるように俺たちはポジションにつく。
ReSTART
凛のキックオフシュートを警戒して、潔くんがゴール前にポジショニングしてるけど、それは悪手だよ。実際に氷織のキックセンスと冷静な思考を中心に今度は俺たちがトライアングルを形成しながら攻め込む。
そして俺にボールが入ると同時に凜が前線に走り出したのをネオヴィジョンで捉える。凜の要求は「俺にパスを出せ」という単純なものだけど、難易度が半端なく高い。でも…なぜだろう俺の心は不思議とこの時、凜に最高のパスを出す以外の選択肢はなかった。
マークについてる蜂楽をドラッグシザースからのストップ&ゴーで振り切る。時間がない。凜がベストポジションに入るのはあと数秒だ。蜂楽がユニフォームを引っ張ってくるけど、手で振りほどきながら導かれるようにパスを出していた。
潔くんが飛び出してクリアしようとするには、進行方向に曲がるため難易度が高く、凪がクリアするにはそのパスは速く正確だった。
この時の凜の心を表現するのなら歓喜だった。自身のベストな動き出しに呼応するパスの出し手の存在とそれを可能にするキックセンス。それに応えるように凜は自身のベストプレーを自然を行っていた。
ランニングダイレクトボレーシュート。
トラップすれば挟まれて、ヘディングシュートには遠い。わずかな迷いがシュートコースを無くす。迷わずに振り抜けと言わんばかりに届けられた吉良からのパスに、自身の記憶でもTOP3に入る難易度のシュートを当然のように決めて見せた。
GOAL!!!!
「…あれは流石に止められないね。サッカーって本当に面白いや…次は俺がもっと面白くするよ」
「うん。あれが多分絵心が言ってた化学反応なのかもしれない。出し手と受け手が最高のプレイをしないと成立しないプレイ」
ReSTART
蜂楽と潔くんが近い位置でパス交換しながらリズムを作り始める。そして俺がプレスに行くとスイッチで交わされる。
「氷織、蜂楽をマーク!俺が潔くんにつく!」
プレスバックしながら、氷織に指示を出す。この流れは潔くんと蜂楽がボールを運んでフィニッシャーは凪かな?いや、先入観は捨てろ。客観的に見ろ!
潔くんのスピードはあんまり速くないからすぐに追いつくことができた。でも…やりづらい。先程から潔くんが不完全だけど俺のステップワークである死角から死角に入る動きをトレースしてる。
俺のネオビジョンで俯瞰的に周囲の状況をキャッチしてるからギリギリ完全に出し抜かれてないけど、完璧にマスターされたらやばいかもしれない。
そしてその予感は的中する。ここまで二人のパス交換が主だったのに、リズムを変える蜂楽のドリブルが氷織を翻弄。迂闊に飛び込まない氷織だけど、半身をねじ込まれたところで強引に突破される。
俺がすぐさまカバーに入るけど、その瞬間を突いて潔くんが死角に移動して完全に見失う。
「氷織、潔くんをマーク!」
「吉良の焦った表情は久しぶりだね…もっと混乱させてあげるよ」
蜂楽の選択はドリブル。ただしこれまでのテクニック重視のものから直線的でサイドに流れながらのものだった。これについていきながら周辺視で情報をアップデートしていく。
潔くんが前線に駆け上がりながら、凪がサイドに流れてくる。やばい…トライアングルを再構築された。
蜂楽からの凪へのシュート性のパス。これを凪は完璧にトラップ…しない!?ワンタッチでマークを振り切った潔くんのシュートエリアに落とすポストプレーか!
凜がギリギリ反応するけど、潔くんの選択は凪へのリターンパスだった。これには凜もマークを振り切られた氷織も反応できんかった。
凪のダイレクトシュート!
GOAL!!!!
正直、俺はうぬぼれていたのかもしれない。ネオビジョンと最速のシュートを取得してNo.1…凜にも一対一でも勝利した。同世代トップクラスのセンスの持ち主である氷織も仲間にした。
これだけの条件をそろえれば負けることがないだろうという感覚だった。でもこのままなら負けるかもしれない状況に追い込まれて俺の本能が叫ぶ。
「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」「負ける」
「このままだと負ける」
後から思い出せばここが運命の分岐路だったのかもしれない。
ボールをセンターサークルにセットしながら近づいてきた凛と氷織に言葉少なめに声をかける。二人は驚きの表情を浮かべるけど最終的に同意してくれた。
「お前に負けたまま世界一のストライカーになんかなれるかよ」
「吉良くんはそういうエゴを表に出さないと思ってたけど、やっぱりストライカーやね。ええよ、やってみい。僕らが全力でサポートするわ」
「…ありがとう」
ReSTART
凜がキックしたボールをトラップすると俺はすかさずドリブルの体勢に入る。そして凛と氷織がいつでもパスを受けられる位置に移動する。
蜂楽がプレスに来るけど、凜とのワンツーで突破すると同時に直線的にでもタッチ数をあげた細かいドリブルでゴールまで最短距離を突っ走る!
凛には凪がマークする動きを見せ、蜂楽と潔くんがコンボプレスを仕掛けてくるけど、得意の緩急とタッチ数をあげたドリブルで一対二の状況を作らせずに強引にまた抜きで潔くんを突破する。
蜂楽がこれ以上は進ませないと、一か八かのスライディングタックルを仕掛けるけど、これも軽くジャンプすることでかわす。
そして凪が遅れながらカバーに入るけど、キックフェイントで視線をずらすとダブルタッチで突破する。
後はゴールにシュートを撃つだけの状態だが、まだ距離があるため瞬間の迷いが生まれるがすぐさま打ち消す。
「この状態でシュート撃たないやつが世界一のストライカーになんかなれるかよ!!!!」
潔くんが追いついてシュートブロックの体勢に入るのと俺の最速の振りからのシュートは俺の方がわずかに早かった。
ガァ―――――ン
潔くんの足にわずかにカスっていたのかシュートはバーに嫌われたけど、関係ない。
俺はシュートを撃った直後から自身のゴールのためにゴール前に詰める動きを無意識にしていた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおお」
蜂楽が、凪がゴール前にセカンドボールを拾おうとゴール前に移動するけど、そんなの関係ないとばかりにユニフォームを掴まれながらも身を投げ出すようにダイレクトヘディングシュート!
GOAL!!!!
見たか
これが己のゴールでチームを勝たせることを至上とするストライカーの産声だ!!!!!!
絵心とアンリは静かに、でもしっかりとこの試合を最初からモニタールームで観戦していた。総合力に勝るチームレッドが勝つだろうという予測を立てていたが、予想外だったのはここまでチームレッドが苦戦することだった。
この原因は単純にチームホワイトの成長力が予想をはるかに超えて高かったことだ。
蜂楽は自身のスキルを思う存分発揮したと言えるけど、潔と凪の二人が試合中に関わらず大きく成長していた。
潔の凛と吉良の二人を出し抜きゴールを確実に形にする力と吉良の得意なステップワークで死角から死角に移動する技術の取得。
凪の凜すら圧倒して見せた新しいトラップの創造性。そして凛と吉良すらを出し抜いたファンタジー。
これらがかみ合うことでチームホワイトは、総合力でおそらくNo.1のチームレッドをここまで追い詰めることができたのだと絵心ははっきりと理解していた。
「すごい熱い試合…この調子ならどっちが勝つかわかりませんね、絵心さん」
「いや。この試合はチームレッドの勝ちだよ、アンリちゃん」
「え!?まだ終わってませんし、チームホワイトの攻撃力ならチームレッドから先に二点取ることも可能だと思いますよ?」
「うん。可能性の上では、チームホワイトにはその力があるけど…この試合の最大の分岐点は先の吉良のゴールだよ。吉良は今までチームの勝利のためならパスも出したし、献身的に守備もしてたけど、大事な部分が欠けていたんだ」
よくわからないという様子のアンリに絵心は更に自分の考えを述べていた。
「単純な話だよ、アンリちゃん。極端な話、吉良は自分のチームが勝つんだったらノーゴール、ノーアシストでも構わないと思ってたんだよ。先まではね…」
「でも、吉良くんはここまでの個人成績ではトップクラスのゴールを決めてますし、アシストでも優れた数字を示してますよ?」
「んー、それは勝つためには自分がゴールを決めたり、アシストする方が効率的だったからと言えるね。実際に思い出してごらん?吉良はチームX戦では後半からCBをやって馬狼を抑え込んだだろう?現代のCBに沿えばオーバーラップからの攻撃参加もできたはずなのにしなかった」
「そういえば…でも先のゴールは今までにない泥臭いとも言える執念のゴールという感じでしたけど、吉良くんの何が変わったのかがよくわかりませんね」
アンリに絵心はモニターに目を向けたまま言葉を返していた。
「多分…吉良は初めて恐怖したのさ。個人的にもチーム的にも追い越されて負けかねない状況にね。それがあの強引とも言える突破と執念すら感じるダイビングヘッドに繋がったんだと思う。見てごらん。吉良が4点目を決める前にチームメイトに何かを言ってるシーンだ。あいにく読唇術が使えるわけじゃないけど、吉良が何かを要求してチームメイトが首肯しているのがわかるだろう?」
「作戦とかを伝えてたわけじゃないんですか?」
「作戦通りであの強引な突破からのシュートならむしろ馬鹿の作戦だね。吉良はそういうタイプじゃないよ。おそらくだけど吉良の要求は勝ちたい。負けたくない。とかそんな感じじゃないかな?」
「なるほど…」
「ほら見てごらん…試合も終盤。これで吉良の何が変わったのかもよくわかるはずだよ」
映像の中で潔からのダイレクトパスを凪がトラップした瞬間に吉良と凜が挟み込んでボールを奪取するところが映し出される。その上でカウンターが発動。凜からのロングパスを受けた氷織が蜂楽相手に溜めを作りながら徐々にドリブルで攻めあがっていく。一番に動き出していた吉良がパスを受けられる位置に移動しながらパスを要求。それに応えるように氷織からの左足アウトサイドからのループパスが吉良に出される。吉良はそのパスを前に押し出すように弾くと一気に加速。ゴール前に切り込んでいく。潔が何とか追いつくけどストップ&ゴーで突破。そして射程距離に入ったところで迷わず右足を振りぬいていた。
吉良の視野の広さなら氷織がフリーになっていることを見逃さずパスを出してもよかったのに…吉良がアシストを明確に拒否しゴールにこだわった瞬間だった。
GOAL!!!!
5‐3でTEAM REDの勝ち!!
確か過去最長の長さ。そしてまとまりがなくて申し訳ありません
ライバルリーバトルの最後の相棒
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蟻生十兵衛
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時光青志
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黒名蘭世
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剣城斬鉄
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氷織羊
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西岡初
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二子一揮
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その他(活動報告へ)