試合が決まった俺たちチームZは、次の試合相手であるチームYのスカウティングをしていた。
「チームYの要注意人物は、熊本県大会得点王の大川と高校№1高身長の石狩だ」
「シュートテクニックに長けた大川とその身長を生かしたポストプレーに長けた石狩のコンビプレーは確かに危険だな」
映像の中でチームVの背番号9番を挟み込んだチームYの背番号8と背番号7がボールを奪取。
そして、背番号7からのロングパスを石狩が落とした所を大川が抜け出してゴール。
「次の試合でも、大川と石狩のコンビプレーは脅威になると思う」
前半戦ボロボロだったチームYが、ハーフタイムにしっかりと修正して二点を返したところは見事だった。
「すでに一敗してるチームYは後がない。俺たちの試合でも大川と石狩を中心に攻めてくると思う」
久遠やほかのみんなが大川と石狩に注目する中で、俺は別の選手たちに注目していた。
「地味にチームYの起点になった、背番号8と背番号7も上手いね…」
「ふむ…情報はないが、吉良が注目するほどなのか?」
伊右衛門が確認してくるけど、俺の回答は単純だった。
「背番号8はチームVの背番号9に一対一で負けずに食らいついてたし、チームYの得点は背番号7のパスからだね」
「地味すぎるが…言われてみるとそうだな…」
雷市が地味すぎると繰り返しながらも同意してくる。
「まあ、これ以上は試合になってみないとわからないけど、ランキング上、俺たちは最底辺のチームだから油断せずに行こう」
伍号棟最底辺のチームと言うと皆、一勝しているアドバンテージがそこまで余裕視できるものではないということを認識したのだろう。どこかチームXよりは格下が相手だから余裕だろうと思っていた油断が消えていく。そして久遠が音頭を取って、最後の練習に向けて激を飛ばす。
「確かに俺たちは最底辺のチーム。だからこそ、死ぬ気で走って、死んでも勝つぞ!!」
「「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」」
チームYとの試合まで…残り6時間
チームZ VS チームYの試合前、先にセンターフィールドに来たのはチームZだった。そのため、個々で試合前のウォーミングアップをしながら、戦術の最終確認をしていく。
「練習通り、石狩のマークは伊右衛門。大川のマークはイガグリと久遠。あとは前線からプレスをかけて、単純なロングパスは入れさせないように注意しよう」
「わかってると思うが、俺様がDFする以上、負けたら殺すからな」
地味にイガグリが同意してるけど、ランキング最下位である男の言葉は全員にスルーされた。そして雷市がチームYが来たことに気が付く。
「おい。来たぞ」
そうして登場したチームYはどこかピリピリとした雰囲気をまとっていた。一敗して後がないチームだからだろう。ブルーロックにいる人間は多少の差異があれど、その背に負けられない理由を背負っている人間が多い。だからこそ、チームYにとって、ランキング最下位のチームZに負けることは、夢の終焉を意味し、チーム得点王に望みをかける展開になりかけない。
試合開始前の円陣を組んで、チームYの雰囲気にあてられかけたチームの雰囲気を深めた連携と相互理解の自信で上書きする。
「負けられないのは俺たちも一緒だし、練習どおりのコンビネーションを生かせばチームY相手でも勝てる。だから自信をもってプレイしよう!」
「「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」」
始まった試合は開始から膠着することになった。チームYの戦術はアンチフットボール。よほど俺たちのことをスカウティングしてきたのだろう。チームYの選手は石狩と大川以外の選手全員が自陣に戻っており、ゴール前にカギををかけてきた。
カテナチオ。嘗てイタリア代表の代名詞だった戦術。
それぞれが自分のエリアを決めて、チームZの武器を発揮させない。
まず止められたのは、蜂楽のドリブル突破だった。蜂楽相手に二対一の状況を作ると、ドリブルのコースを限定し、三人目が確実にボールを奪う。そしてボールを奪うと、石狩へのロングパス。あらかじめ対策していたとはいえ、石狩に伊右衛門が競り負ける。だが、いち早くカバーリングに入った久遠がボールをカット。そして雷市がボールを受けて、攻撃を組みなおす。
俺はDFラインとMFの間でボールを受けれるように動くが…背番号8がマンマークでついてくる。
「今日はお前に仕事はさせない!!」
何とかボールを受けるけど、ほぼ密着マークの上、すぐさま背番号7がプレスバックしてくるのが、見えたので、今村に展開。だが、今村も武器のスピード&テクニックを発揮するスぺースがないため、攻めあぐねて蜂楽にパス。
「こういう展開なら君の出番だよね」
蜂楽のサイドに流れながらコースを作る意思に反応して、俺もスペースメイクを行う。
「潔、今村、サイドに開いて!雷市、蜂楽のサポート!!」
コーチングしながらDFラインと駆け引きをして、スペースを作る。そして、國神がオーバーラップしてボールを受けると左足を一閃。ミドルシュート。しかし、これを背番号3と背番号5番がシュートブロック。こぼれ球を雷市が回収し、攻撃を組みなおす。
こうなってくると点を取ることは簡単じゃない。完全に引き切ったチームを相手に点を取るためには、相手の想像を超えるような攻撃が必要になってくる。
俺は蜂楽と連携しながらボールを左右に展開して、相手を振り回しながら愚直にDFラインと駆け引きしながら前線に飛び込んでクロスボールや蜂楽のスルーパスを待つ。
そして試合が動いたのは、前半34分だった。
相手の散発的な石狩へのロングボールを伊右衛門、久遠のコンビが防いで雷市がボールを回収した時だった。背番号8のスタミナが切れたのだ。
前線で動き回りながらボールの中継役になっていた俺をマークしていた背番号8は、肉体的にも精神的にも疲れ果てていた。
「どんなスタミナしてるんだよ、吉良!!」
完全にポゼッションが俺たちの中、背番号8は頑張ったほうだと思う。でも、本来FWの走行距離は一試合で30㎞程度。そして攻撃側と守備側では主導権を握るのは攻撃側。そしてがむしゃらに走り回っているように見える俺を常にマンマークするために走り回ったのだ。この瞬間、俺にはゴールへのビジョンが見えていた。
雷市からのパスを受けた俺は蜂楽との速いパス交換で中盤を突破するとドリブル突破をしかける。これに背番号8と背番号7が反応するけど、俺は強引にも見えるドリブルで相手DFラインに突っ込んでいく。そして俺のアイコンタクトに反応した蜂楽がサポートに走り出す。
「ワンツー警戒!!二対一を作ってください!!!」
相手の背番号7がコーチングしながら、プレスバック。そして、チームYの警戒が完全に俺と蜂楽に向いた瞬間。そこに強烈なゴールの匂いを感じ取った潔 世一は走り出していた。
それを視界の端で捉えた俺はドリブル突破から一転、完全に相手の意表を突くヒールで浮かしたボールを潔が走り出したポイントに出していた。
「決めろ、ストライカー!!!」
俺のヒールパスに背番号7は悪あがきでジャンプするけど、わずかに届かず。
潔がそのスペースに走りこんだと同時に、撃てと言わんばかりにボールはゆっくり落下してくる。
ボールに導かれるように、潔は迷わずに右足を振りぬいていた。
前半40分、試合の均衡を破るゴールだった。
試合を再開したチームYにとって、この状況は考えられる最悪のケースだったが、考えられるケースの一つだった。だからこそ試合再開後、チームYは崩れなかった。
影の支配者である二子を中心にパスを回しながら、最終ラインから徐々に押し上げる余裕を見せた。これまでの違いは、石狩がゴール前に陣取る形から、DFラインと駆け引きするようになるのと同時に、大川がポジションを下げて、ボール回しに参加するようになり、二子のポジションを上げるというものだった。
こうなるとプレスをかけても、最終ラインは徐々に下がる形になる。
「最終ラインあげて!!石狩はそこまで足が速くないから伊右衛門のカバー間に合うから!!!」
コーチングしながら、プレスをかけるが、軽くいなされてる感じだった。そんな中、チームYの背番号7…二子に声をかけられる。
「吉良くん、キミはすごい選手です。でも、
「どういう意味かよくわからないけど、勝つのは俺たちだよ…」
「一対一が武器の田中くんを振り切ってのラストパスは完全に予想外でした。ああいうプレーができる選手をファンタジスタというのかもしれませんね」
「…皮肉だね。ファンタジスタはイタリアが発祥の言葉だけど、君たちのチームにカテナチオはあるようだけど、戦況を一変するような選手はいないようだ」
「それはどうでしょうね…」
そう言いながら二子は何かを確認するようにフィールド上を見渡しながら徐々にポジションを変更していく。そして、前半アディショナルタイム4分の表示がされてから何分すぎた頃だろう?
おそらく相手からボールを奪って、クリアすれば笛が鳴る。そんな時間帯だった。
今まで沈黙していた背番号8…田中が猛然とサイドライン際をオーバーラップしてきた。
今までのパス回しの本命はスタミナ切れを起こした田中の回復が目的か!!!
「千切、潔、戻って!!!相手の本命は8番だ!!!」
コーチングしながら俺も最終ラインに向かって全力で戻る。
そして田中にボールが渡されると、ドリブル突破をしかけてくる。千切と潔がプレスに行くけど、これを完全に突破!?
雷市がカバーリングに入るけど、雷市のプレスすらをかわしてクロスボールを上げてくる。
ファーサイドの石狩には伊右衛門が、ニアサイドにダイゴナルランしてくる大川にはイガグリがついてる。この状況で俺がマークするのは…背番号7だ!
石狩が落としたボールに二子が反応するのと俺がマークにつくのは同時だったが…動き直していた大川に二子がダイレクトパス!?
これに潔が反応し、マークにつくが大川はキックフェイントで完全にかわされる。俺が大川のシュートブロックに入るが、大川の冷静すぎる二子へのラストパスは止められなかった。
なんとか我牙丸が飛び出してシュートブロックに入るが、二子はこのパスをなんとスルー。そして石狩がダイレクトシュート。
チームZにとって痛すぎる同点ゴールだった。チームYには
ライバルリーバトルの最後の相棒
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蟻生十兵衛
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時光青志
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黒名蘭世
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剣城斬鉄
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氷織羊
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西岡初
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二子一揮
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