また、活動記録にて、二次選考のライバルリーバトルにて、吉良と組ませるパートナーと対戦相手のアイデアを募集してますので、よかったらご協力いただけると幸いです。
チームY戦の前半の結果を踏まえて俺たちチームZは後半戦へ向けての話し合いを進めていた。
「つまり相手チームの影の支配者は背番号7…二子なんだな?」
「間違いないよ。後半最後の攻撃は完全にデザインされたものだった。そして相手の影の切り札は背番号8…田中だ」
「なるほどな。確かに後半最後の田中のドリブル突破は蜂楽クラスだった」
「それで後半はどうする?また前半みたいにチームYはボールを回しながら攻めてくるだろうし…」
久遠が後半戦に向けてどうするか疑問を呈してくる。確かに後半戦もチームYは時間をつぶしながら何らかの手札を切ってくるのは間違いない。なにせチームYは崖っぷちなのだから。その上で、こちらがとるべき手段は…
「ポジション変更とマークを変えよう。その上で後半開始からDFラインを高く保って、ハイプレスをかける」
「相手はカウンター狙いだけど、それだけで平気か?」
多分、まだチームY…二子は手札を隠していると思うけど、二子の身体能力とかは高くない。気を付けるべきは彼の視野の広さとパスセンス。それらを総合しても注意するべきは田中、大川、石狩の三人だと告げる。
「わかった。守備はそれでいこう!攻撃はどうする?」
「それだけど、後半は…でいこうと思う」
俺の考えに蜂楽が面白そうと同意し、後半戦のキーマンは色々あったが、最終的に承諾してくれた。
「この試合勝つためにみんな協力してほしい!俺も死ぬ気で走り回る!」
「「「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」」」
後半開始、チームYは予想通りボールを回しながら時間をつぶしてきた。それに対して俺たちも予定通りハイプレスをかけていく。
「僕のマンマークはキミですか、潔くん?」
「そうだ。俺がお前を抑える」
二子と潔が会話しているのを尻目に俺たちは勇気をもって最終ラインを高く保ちながら、後半早々から俺のコーチングでパスコースを限定しながらボールを誘導していく。
そして後半15分。その時はやってきた。前半から集中力を求められる守備に奔走してきたチームYがパスコースを限定された結果、サイドに展開した田中を使わざるえなくなったのだ。
これに田中は迷いを見せてしまった。すなわち攻めるか予定通りにパスを回すかである。この一瞬の逡巡をうちの雷市は見逃さなかった。二子もあわててコーチングしようとするけど、これを狙った俺たちと後手に回った二子なら迷わず行動する方が早い!
「おら!よこせ!!!」
「ちぃ!…って背番号4もかよ」
千切と雷市が田中を挟み込んでボールを奪う。そしてポジションを下げた蜂楽にパス。チームYはカウンターを警戒するけど、うちの選択はボールポゼッション。蜂楽が國神にボールを回すと、國神は即座にボールを下げる。
「なるほど…ハイプレスで疲れた身体を休めるつもりですね」
「さあ?どうだろうね」
二子がこちらの狙いを看破してくるけど、潔がはぐらかす。そんな中で最前線でボールを追いかけまわして消耗しきった俺は身体を休めながらも脳みそはフル回転させていた。
そして後半25分すぎ。十分に休めた俺は合図を出す。
「待ちわびたぞ!」
雷市がうちの右サイドを蜂楽との連携で攻めあがる。そして俺と今村もポジションを変更していく。
「今村、雷市の縦パス受けれる位置に開いて!イガグリもオーバーラップして!!」
そして、敵味方ともに徐々に右サイドに人が集まりだす。そしてチームYが右サイドに守備をスライドして左サイドの警戒が緩くなったその瞬間、千切は猛然と左サイドを駆け上がっていった。
千切にとってその一言は衝撃だった。
「後半戦のキーマンは千切だ」
「なぁ!?本気か?こいつは自分の武器も言えないやつだぞ!!」
「千切の武器なら俺が知ってるよ。羅古捨実業の俊足FW。その武器は世代トップクラスのスピードだ」
吉良が俺の武器である俊足を知ってることに驚く。
「…なんで知ってる?」
「一年前のIH、羅古実は二回戦で消えたけど、三回戦の相手は俺たちの可能性があったんだよ。当然スカウティングしてる」
「…じゃあ、俺の怪我も知ってるよな?」
「怪我の度合いまで知らないけど、ここにいるってことは走れるんだろう?」
そう確認してくる吉良に、もう一度、怪我するのが怖い。あんなに気持ちよかったサッカーと夢を失うのが怖いのだと千切は、正直に告白した。
「…怪我が怖いのはみんな同じだ。知ってるか?将来が有望視されてる選手が消える原因の8割は怪我だ。俺だって怪我をした瞬間に仮入団の話は流れる可能性が高い」
「仮入団だと!?」
「怪我やブルーロックの結果次第ではなくなる話だから…ここでは気にする話じゃない」
「怪我はわかるけど、なんでブルーロックが関係するんだよ?」
「脱落者は代表権を失うって絵心は言ってただろう?つまり国際試合に出ることができなくなる。そうなったら、スカウトがどう思うか…子供でも分かる話だろう?」
17歳で仮入団が決定しているという吉良は、それはどうでもいいと告げながら、本音をこぼした。
「俺のエゴはいつだってチームの勝利だ。俺はチームの勝利のためならパスだってするし、誰かにチームの命運を託すことだってできる。俺はチームYが把握してない千切の武器に賭けたい」
そう言って吉良は頭を下げた。
「俺の俊足に…」
「千切が無理だっていうのなら、無理強いはしない。その時は別の手段で勝つ方法を全力で考えてプレーする」
そして、答えを出せない俺を見つめながら、吉良は後半戦の攻撃について説明した。
「カテナチオを破るためには、相手の予想を上回る必要がある。だからこっちは右サイドに比重を置いて相手の意識から左サイドの警戒を緩めさせる」
「その上での左サイドアタックか。だが千切が無理だったらどうする?」
「…國神がオーバーラップしてほしい。國神がミドルじゃなくて、センタリングしたら相手の虚はつけるはずだ。そのセンタリングに、右サイドに寄った俺たちが斜めに走りこんで合わせに行く」
それは一気に成功率が下がる作戦だった。それは吉良にもわかってるのだろう。
「可能性を少しでも上げるために、國神がボールを持ったら、潔もオーバーラップしてほしい」
「二子をフリーにしていいの?」
「うん。確実にシュートで終わる必要があるけど、その方が得点の可能性は高い」
負けることを恐れて後手に回れば確実に二子の切り札が危険な状態で炸裂する可能性が高いと吉良は統括した。
「そのためには、リスクを負う。まさに綱渡りの作戦だな。…だが、俺に吉良以上の作戦を立てられん。俺も死に物狂いで守備することを約束しよう」
伊右衛門が同意すると、なんだかんだと言いながら吉良の作戦に皆が同意していく。慎重論の久遠ですら最終的には、二子の切り札を警戒し、同意した。
正直言おう…このとき、千切は自分を置いてけぼりで自分の俊足に賭ける皆に呆然すると同時に胸が昂っていた。こいつらはバカだ。とりわけ吉良は最高の…サッカーバカだった。そう考えると気が付いたら俺は笑っていた。そのうえで
「やる。俺が俺の俊足でゴールを奪ってやる」
「…いいのか?」
「お前が発案した作戦だろう、吉良?」
「そうだけど…」
怪我のリスクはサッカー選手である以上、当然のことだ。勝つために最善手を選ぶことをできても、非情になれない男、それが吉良だった。そんな吉良に言う。
「きっとこの時、この瞬間に信じてやらなきゃいけないのは、昂ってる右脚の滾りなんだ。もし…」
壊れるのなら壊れろ。だが、もし…右脚が無事だったら。
もし…ゴールを決められたのなら。
俺は…もう夢を諦めない!もう一度、世界一のストライカーを目指す!
そう決めた千切の目の前に吉良たちが作り上げた広大のスペースが広がっていた。それを認識した瞬間、千切は走り出していた。
これに真っ先に反応したのは潔と吉良だった。
千切が左サイドを駆け出した瞬間、潔はゴールの匂いを感じ取り、吉良はゴールへのビジョンを思い浮かべた。DFとDFの間でボールを受けた吉良がドリブル突破を匂わせる。そしてそれに二子が反応。
「シュート警戒!マーク確認して!!」
前半戦と同じ轍は踏まないとコーチングしながら、動き出した潔をマンマークする。だからこそ…吉良の狭いスペースを抜ける低く速いサイドチェンジパスは完全に二子の予想外だった。
「なぁ!?でも、そんなパスを受けられる人間は左サイドに…!?」
広大なスペースをトップスピードでダイアゴナルランした千切の目の前にパスが届く。スピードを緩める必要のない軌道で、「行け!」と言わんばかりのバウンドした瞬間に減速するバックススピンパス。慌ててGKが飛び出すが…先にボールを触れたのは千切だった。勢いそのままトゥーキックでボールを蹴りこんだ。
得点した千切を中心にチームZの歓喜の輪が広がる
それに対して、この失点には、流石に二子も驚愕し、チームYに動揺が広がる。
「二子! あんな武器はデータになかったぞ!!」
「...あれはスペースがあるから生きる武器です。フォーメーションを変えましょう。その上でスペースを消します。大丈夫です。まだ僕たちには切れる手札がある」
はったりだったが、二子は完全に頭を切り替える。この試合は最悪、引き分けでいい。そう思い直した二子は守備の指示を出しながら、攻撃について思考する。ワンタイムキルカウンターは出来れば同点の状態で使いたい。ならば田中、石狩、大川の3人の個を僕が使い同点ゴールを演出して見せる。二子の脳みそは同点ゴールを作り出すためにフル回転していた。
そしてチームYボールでゲームで再開されるが、チームYにとっては苦しい展開になった。チームZは追加点を取りに行く意思を見せてハイプレスをかけてきたのだ。
勿論、二子にとってはスペースができたほうが、田中と大川の二人の武器が生きる展開になる。だが、ハイプレスをかけながらも戦術上のキーマンである田中と二子にマンマークを付けらてこられると、一気に苦しい表情になる。チームZは田中に雷市、二子に潔をマンマークにつけた。何度かチームYはトップ下からサイドに開いて、チャンスメイクしようとする田中にパスを出すが、雷市が前を向かせない密着DF。こうなるとボールを失わないために、田中はバックパスするしかなくなる。
そして二子にとってもそれは同様だった。潔が振り切れないのだ。二子は正確に自分の長所と短所を理解しているが、この時ほど絶望したことはなかった。僕はチームZの中で下位だと判断した背番号11にすら身体能力が劣っているというのか!激情に支配されそうな心をコーチングの声を出すことで、打ち消しながら二子は懸命にチャンスメイクのために走り回った。
潔は後半開始前に吉良からアドバイスを受けていた。簡単なDFの手ほどきと二子の特徴である。それは以下の三つだった。
①:二子は潔と同種の空間把握能力と潔にはないパスセンスを持っていること。
②:二子と潔の身体能力差はほぼないこと。
③:二子を抑えるポイントは潔特有の感覚であるゴールの匂いを消すこと。
このアドバイスに従い、二子をマークする潔は驚くほど二子を抑えることに成功していた。
(ゴールの匂いがわずかにでもするところに二子はポジショニングしたり、パスをしようとする…)
潔にとって、ゴールの匂いは誰にも理解できないような感覚的なものだった。しかし、二子はそれを言語化できる。だが、言ってしまえば違いはそれだけだった。むしろ感覚的な分、動き出しが早い潔の方が有利だった。
(…ほら、二子が下がりながらボールを受けようとしてるけど、ゴールの匂いは…田中だ!)
二子と田中のラインを消すように身体を配置すると、ゴールの匂いは薄れていく。そして二子にボールが入ったところをプレス!こうすると二子は、またダイレクトでバックパスして組み立て直す。バックパスした相手には、吉良くんを中心に前線がプレスするため、二子がオフザボールの動きでもらいなおそうとするけど、相手はそのままダイレクトで二子にパスという選択肢が奪われていく。
膠着したまま後半44分の表示がされたタイミングで二子が話しかけてくる。
「正直、この展開は予想外でした。これは…僕たちの今切れる最後の切り札。スイッチは前線でプレイしていた大川くんと石狩くんが自陣に戻り、ボールを受けたときに発動する」
いつの間にかDFラインと駆け引きしながらロングパスを待っていた石狩と大川が自陣まで下がり、ボールを受けた…その瞬間だった。
「両サイドの選手と前線の三人が参加する攻撃。ワンタイムキルサイドアタックです」
異変を察知した吉良くんのコーチングと二子が前線に全力で走り出すのはほぼ同時だった。
(やばい!!!)
全力でゴール前に戻るが、それより先に石狩、大川を中心にダイレクトで前線にボールを運んでくる。そして、ゴール前に田中が全速でダイアゴナルランしてくると、伊右衛門と久遠の意識が一瞬そちらにズレる!
「田中は俺がつぶす!!!集中しろ!!!!」
雷市がコーチングするが、その一瞬の隙をついてフリーの状態で、二子にボールが渡る。そして二子のドリブル突破!
(いや、違う!!)
伊右衛門がディフェンスに入るのと、二子の速い横パスは同時だった。これに石狩が反応してリターンパス。そして二子が我牙丸と一対一の状況を作り出す。
(違う!!!)
そして二子がキックフェイントから全員の意表をつくバックヒールパスを出すのと、大川が大回りで二子の後ろから現れるのは同時だった。
(ここだ!!!)
スライディングで大川にボールが渡る前に強引にボールを確保する。そして前線に蹴りだそうとした、その瞬間、吉良くんと目が合った。そして、ずいぶん前に吉良くんが言っていたゴールへのビジョンというものを俺も確かに幻視した。
そして俺が蹴りだしたボールを受けたのは、左サイドに開いていた國神だった。ボールを受けた國神にチームYはファウル覚悟の挟み込み。これに倒されずに國神はペナルティエリアの若干外側でボールを要求する吉良くんにパス。吉良くんはそのボールに対して左足のアウトサイドでボールをコントロール。そしてスピードを落とさずにエラシコで相手DFの位置をずらす。そして右の足裏でボールを相手DFと相手DFの間に配置。これに相手DFが一瞬どちらが足を出すのか悩み、硬直した瞬間。若干大きくスペースにボールを押し出す。そして相手DFが反応するより早く吉良くんは右足を一閃していた。
そして試合終了のホイッスル。
チームZ VS チームYの試合は3-1で終了したのだった。
だがこの時、俺は試合終了に安堵すると同時に、複数の感情が自分の中を取り巻いているのを感じていた。吉良くんが話してくれたゴールへのビジョンが見えたことで、あこがれだった吉良くんに一歩近づいたという達成感。チームYを終わらせたと言う快感。そして…俺は自分のゴールで勝ちたいというエゴだった。
ライバルリーバトルの最後の相棒
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蟻生十兵衛
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時光青志
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黒名蘭世
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剣城斬鉄
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氷織羊
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西岡初
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二子一揮
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その他(活動報告へ)