VRものと掲示板にハマったので書いてます
更新しなくなっても許して( •ω- )☆
基本は1話2000字くらいで
「うぅむ」
岩の洞に腐ったような鉄の匂いがむせかえる。
「……ふむ」
四肢を捥ぎ取られ、喉を潰された『それ』が蠢く。
「案外丈夫であるな、こやつ」
赤く染まった鬼の角を持つ端麗な顔立ちの男は、ことも無いように感情の無い目で異形を見下す。
ゴリ、と赤黒く染まった袴が異形の首の骨に乗せられ、
「……此度もまた、斬り合い、狂い相まみえることが叶えば良いが」
ふらり、と振れた腕が、いつの間にかその手に持っていた刀の血糊を払う。
刹那、目に見えぬ銀閃が舞う。
どぅ、と土に転がり、血の池にひたるそれは、先程まで這いつくばっていた異形の首だ。
「流石に、2年半では届かぬか」
実に、8200万と94422体。
β最狂と謳われた侍のモンスター総討伐数である。
「斬りたかったでごさるなぁ……千体斬り、ならぬ億体斬り」
しゃなり、と軽金属の装飾が擦れ合い、この惨劇の中に似合わない耳触りのいい音が耳に届く。
身体を預けるように、愛しい人を包むように掻き抱く。
するりと首を撫でる白い細指は別れを惜しむように爪が喉に食い込む。
「……暫し、流れに酔うだけよ、鬼姫」
「━━━━━━」
鬼姫、と呼ばれた女性は黙して語る。
届かぬとしても手を伸ばすのは女の性か、それとも。
ただ、己等の姿は宵闇に消えるのみ。
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時は流れて3ヶ月。
よし、真面目パートおしまい。
えー!冒頭に至るまでの話を要約すれば、社会人の俺が金の力を使ってフルダイブ型のVRゲームのβ版をやっててつい3ヶ月まえにそのβテストが終了した。
ちょっと嫉妬深いというか依存度高めな子が居たけどそれはもう新しく始めるので関係無くなる。はず。
ということで正式版を遊ぼっかというわけで仮想世界
【The・WORLD OF GATE/Faker】
通称TWOを遊んで行こうとおもう。読み方はトゥーな。
語感の良さだけを取ったらしいし略語としてはこんなもんだろ。実際に世間様にも浸透してるし。
よし、とりあえずいきなり何だと思っているだろう読者諸君(メタ視点)に軽く説明しておこうか。
俺のリアルネームは笹駆龍馬。そこそこの商社で真面目に働いていたただの凡人。
だが、ただの凡人にしてはそこそこ幸運な方らしく、運良く懸賞で当たったフルダイブVR機器で遊んでます。
「さてーキャラクターメイキングと洒落込みますか」
手早くゲームを起動し、自身の文字通り分け身となるアバターを作っていく。
このTWOというゲーム、ゲームのハード機器を作っておられる製作会社Real&making社がソフト面でも本気で取り組んだものらしく、めちゃくちゃリアルだと有名になっている。
3ヶ月に終了したβ版に参加していたプレイヤーに動画投稿者が何人かいたらしく、その動画のリアルな世界(仮想現実ゲーム)がネット上にアップロードされて爆発的人気に繋がったとか何とか。
え、普通はβテスト段階のデータのリーク行為は控えるべき?規約上はどんどん宣伝してねって書いてあったし実際問題にもならなかったし特に問題ないのでは?
さてこのTWOだが、内容はよくあるMMOものだがその完成度とリアルさは他のゲーム会社が追随どころか「いやあれは無理」と言わしめた(実際言われたってニュースでやってた)程である。
NPC、ノンプレイヤーキャラクタ、つまるところ人工知能が繰るその世界の人間がほとんど同じ知能レベルで会話ができるって考えとけばいい。セリフがループしたりとかはしないししっかりとした自立した思考を持っているとか。
「βだと白髪のざんばら髪を雑にポニテした感じでやってたし今度は地味っぽく黒で……あメッシュ入れるか!紫好きだったし房の毛先を染める感じで ──」
まぁそれは置いといて、こういうゲームは無理に身長とか弄るとリアルとの乖離で動かしにくいなんてことになることも多い。
1〜2cm盛るくらいならいいが10cmとか盛ると碌に歩けやしないなんてことも。
まぁ高身長とかロリショタになりたいってのは分かるよ?俺もゲーマー(自称)。そういうのは理解できる。だがしかし、差異と不便さを受け入れガチなロールプレイングしてる方々もいる訳で。
よくお世話にさせていただいたプレイヤー雑貨店のマキにゃん先生はぶっちゃけそういう人だった。
ちっちゃい子(身長的な意味)が大好きだけど何で私は170も……ふ、ふふふ、そうか、ならば、私がロリになるまでだ!を地で行った偉人だからなあの人。
身長コンプレックスって拗らせるとやべぇんだなって心底思った。
そして、そんなこんな話をしているうちにアバターの製作作業が終わった。ぶっちゃけるとめちゃくちゃ細かく調整できるからメイキング作業は地獄に等しい。
プリセットやランダム製作もあるからそこからちょいちょい、っと弄ればさほど時間は掛からない。俺はそうした。一から全部用意する猛者も居るとこには居る。
「よっし。いざ、久方ぶりのチュートリアル!」
そうして俺は、TWOの世界へ飛び込んだ。