おまたせシュタッ!◝( ˙ ꒳ ˙ )◜
スマホの液晶が破損しましてデータのサルベージに手間取りましたんで別に投稿面倒くさぁとなったとかそんなんじゃないです(言い訳)
それでは本編どぞ
「───帰って、きた」
始まりの街、フーシャ。
全てのプレイヤーが最初に訪れる、街の中央に構えられた噴水広場。くるりと周囲を見渡せば、某の他にも装備からして幾人かの初心者と見受けるプレイヤーがちらほらと居る。
仲が良い者同士でゲームを始めたのだろう、興奮した様子で数人が語らいでいるその姿は初めてTWOに降り立ったβとなんら変わることはなく、あの頃は擦れ切っていた某には少々眩しく見えた。
雑踏を見越して遠くへ視線を投げれば、かつてβではイベント防衛戦をこなした懐かしい記憶を思い出す。
街の外周をぐるりと囲い込む大きな壁が、相変わらずそこにそびえ立っていた。
街からして大幅な拡張が入ったようで、あの威容は当時の倍以上遠くにあるようにも関わらず、欠片も曇ることなく存在していた。
「……変わらぬな。あの時と同じ眺めでござるか」
さて……感慨に耽るのもこの程度にしておいて、現状把握の前にせっかく噴水の前にいるのであるし、βでは半ばお約束……もとい暗黙の常識となっていたアレをやろうか。
某の足取りは軽く、数メートル離れてあった噴水のそばに寄り、インベントリからとあるアイテムを取り出して弄ぶ。
「これを、そい」
どっぽん、ゴポゴポポ……
「「「えっっ?」」」
某の不可解な行動にきゃいきゃいとはしゃいでいた新規プレイヤーたちの雰囲気が一転し、困惑した声と視線を一身に浴びる。何をやっているのかコイツと声ならぬ声を感じるが無視である無視。
……まぁ自分たちと同じ初心者装備のプレイヤーが、いきなり何かを取り出して噴水に手を突っ込んだら何事かと思うのも頷けるが、これはちゃんと意味のあることゆえ。
アイテムを噴水に沈めてそのまま1分。
「あ、あの人何してんの?」
「…知らん。いきなり何か持って噴水に突っ込んだけど何してんだろう?」
「何か噴水関連で情報とかあったっけ?」
時間経過、3分。
「……新規プレイヤーっぽいやつになんか変なことしてるの居んだけど笑笑」
「あー、水の補給か?公衆の面前とか気にしなかったらアレが手っ取り早いからな。優秀」
「…え、飲めんの?あの噴水」
「むしろ川の水とか果実とかの水分より手間がかからない分優秀」
「マジか………待てお前なんでそれ知って
「 知 ら な く て い い コ ト も あ る よ ね ? 」
「あ、はい」
5分。そろそろであるか。
どういうわけか手の内……噴水の水の中で淡く熱を帯び、形を変えはじめた水中のアイテムを引き上げる。
その手には、初期アイテムのひとつだった丸い形をした銀色のコンパスだったものが、青い金属で装飾されたひし形のコンパスに変わり果てたものがあった。
明らかに初期アイテムのコンパスとランクの違うそれは、中の羅針盤に追加された青い示針が噴水を指している一風変わったコンパスだった。
これは、当たりか。
βと変わっておらぬようで安心したぞ。
「追憶の羅針盤、我が手中に収めたり!」
「「「「「「え、ええええええええ!?」」」」」」
にひひ、と笑ってアイテムの詳細を確認する。入手方法は変わっていなくとも仕様が変わっていれば徒労に終わる可能性も大いにある。
そう思って確認したが、
◆❖◇◇❖◆
『追憶の羅針盤』
記憶を刻んだ街の方向を指し示す、青い指針が追加されたコンパス。
旅の者にとっては帰る道を探す大切な手がかりになるだろう。
<効果>
方角を示す赤針
常に北を示すコンパスの赤い針
帰路を導く青針
追憶の羅針盤に刻まれた記憶、その中で最も近い街を示すコンパスの青い針
◆❖◇◇❖◆
ふむ、仕様も変わっておらんようだな。善き哉、善き哉。これで街の外にいても位置の把握が大いに楽になるはずだ。
「あっ、あの!!それどうやって、っていうか、何か特殊な方法とか──」
「私がやっても出来ま──」
「あんたもさっき始めたばっかッスよね!?なんでそんなこと知って──」
アイテムの確認をしている間に近くに寄ってきていたのか、初心者プレイヤーたちが一斉に詰め寄ってきた。
よさんかお主ら。某、聖徳太子のように一度に何人もの話を聞いても理解できぬぞ。
「あー……ひとまず、落ち着くがよい」
「あの!────」
「───だったら!」
「……うーむ」
落ち着けと言い聞かせてもなかなか口を閉じぬ者達に辟易しながらも、某は少々過去の記憶を巡らせる。……ふむ、このコンパスも存在していたβではたしか、ほとんどのプレイヤーが追憶の羅針盤を所持していたはずであるし、掲示板スレにもテンプレ装備一覧……特に探索板の方では必須アイテムとして乗っておるような情報のはずだが……妙であるな。存外知られておらぬのか?
とはいえ興奮したこの状態であれば、口を開こうにも聞かぬ者も出てくるであろうし、何よりやかましい。少々手荒であるうえ気を悪くするやも知れぬが、宛ててやるか。
「あまり、騒ぎは起こしたくないのであるがなぁ」
ひとつ、息を吸う。
ふたつ、息を吐く。
みっつ、鞘を握り、鯉口に指先を添える。
思考を切り替えろ。
目の前のそれらは先達として力を添えてやるべき後輩ではなく、大した価値もない有象無象へ。餌を寄越せと鳴き声を上げるだけの家畜と思え。そうであれば────
───斬り捨てようが、心も痛まなかろうて
「少々、鎮まらぬか。貴様ら」
「う!?」
「ヒッ!?」
「っあ…」
殺意を溶かし込んだ圧迫感が、ざらりと肌を舐めつける。手加減はしたものの腰を抜かす者もいた。大丈夫かお主、結構な勢いで尻餅をついたように見受けたが。
「ぬ?……しまった、荒々しく宛てすぎたでござるか。いかんな、どうもあの頃を基準にして手加減を間違えておるようだ」
こやつらは未だ雛であるというのに、これでは萎縮させるだけだ。だが、己の気が立っていたのもまた事実。すまぬ。
某、基本的にほぼソロで活動して来たがゆえに、ここまで迫られることに慣れておらずストレスがすごいのだ。ガツガツ系はちょっと……という具合に、申し訳ないが敬遠させてもらいたい。
何?βで強かったのならこういう風に詰め寄られることも多かったのでは、とな?
いやいや、某はフィールド探索や刀を振り回すついでに野良ボスや辺りのMOBを斬るのが日課であった。それに、そもそも一所に己の城を構えるようなことは最後に少々手をつけた程度。
あの頃に仲の良かったプレイヤーは、某の気性を案じ、そういった人間はあまり近付けんように手を回してくれていたからな。いやはやまこと、頭が上がらぬ思いである。
ブランドがどうのと言っていた者達は何の話か付いていけずに流し聞きしておったが。
それはそれとして。
「……お主ら、
インベントリに入っている初期アイテムのコンパスを、噴水に5分突っ込めばアイテムの名称と外観、効果が変化する。それだけである。
大した価値もなく、どう扱おうと某が知ったことでは無いが、こと大袈裟にとりあげて喚くのは止せ。やかましくてかなわん」
アイテム入手の方法を獲得までの流れと苦言まで一息に言い残して踵を返し、喧騒をかぎ付けたその他一般のプレイヤーや現地のNPCが集まって来ているのを尻目に足早に噴水広場を離れる。
ザワザワとしたガヤ以外、先程から誰も言葉を発さぬせいで沈黙が気まずいのだ。
進む歩みに揃えて人垣が割れていくのは何かのギャグかこれは。モーセの十戒ではないぞ。
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ところ変わって路地の裏。
「はぁ……まこと災難であったな」
あのような騒ぎを起こした某が悪いのか、噂が広まるのが早いこと早いこと。中には某のことを尾行しようとしてきた者もいるほどに。いやこれ某悪くなくないか?
今しばらくは身を隠しておきたいが、某もいくつかの優遇と過去の知識以外は初心者……この世界を心待ちにしていたプレイヤーの1人なのである。よって人目に出ぬところに居続けて探索を怠ることなど不可能。
あとは本格的な戦闘フィールドに出る前に、せめて一人前とは言わずとも、そこそこの装備はいくらか用意しておきたいものよ。そのための物色もせねばな。
「うむ、それではまず現状把握からかの」
よく考えれば羅針盤なぞ後でもよかった。
そも、いかにもゲームを始めたばかりですよ、といった格好をしているプレイヤーが、いきなり意味不明な何かを、はたから見てあきらかに変な動きをして利を得るようなモノを入手してみせれば、周囲の者は当然騒ぎ立てるだろう。
こちらの迂闊も少々あったようであるな……反省。
では、と一息ついてメニュー画面を開いて、装備詳細を表示する。
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・心得の刀
所有者のレベルが5に到達するまで耐久値∞
装備がドロップしない
耐久値:∞/25
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・初心者の布服上
耐久値∞
装備がドロップしない
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・初心者の布服下
耐久値∞
装備がドロップしない
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・旅の靴
歩く時に疲れにくくなる
【回復速度UP】
非戦闘時に自然回復の速度が上昇する
◆❖◇◇❖◆
……ふむ、つまり初心の装備であるうちは実質的にデスぺ無しの無限残機ということであるな?ステ半減はステータスの低い今ならば関係ないでござるし。
これはマップ埋めが捗りそうであるな。
地図やコンパスを含め初期アイテムもデスぺでドロップするということを除けば、であるが。
本編が亀進行で辛い。
作者が文才無さすぎてキツイ。
原神タノシイィィイーー!!
(現実逃避)