ある日のことだった。
ゆめの母親が、ゆめの部屋のドアをノックした。
「ゆめ。起きてる?」
「うぅ…」
ノックをしても返事がないので、母は部屋に入った。
ゆめは口元まで布団にくるまって眠っていた。
「ゆめ、そろそろ時間よ」
母が体を揺らすと、ゆめはゆっくりと目を開く。
「ママ、今何時?」
「七時三十分」
ゆめは布団の上で気だるそうに体を起こす。
その様子を見て母は心配そうな表情になる。
「大丈夫? 顔色悪いし…」
顔は青白く、表情も辛そうだ。
「ママ…あのね、今日…きちゃったんだ…」
母は優しく声をかけ、ゆめの背中をさすった。
「そっか、今日はそういう日か」
と、母は察した。
少し落ち着いてから、
ゆめは脱衣所で夜用のナプキンを付けながら新しい下着とパジャマに着替えた。
洗濯かごを見ると、汚れたパジャマと下着が入っていた。
ゆめは戸棚を開けて、ランジェリー用の洗剤を取り出した。
これで手洗いすれば、血の汚れも落とせるだろう。
すると、母がやって来た。
母は優しい笑みを浮かべると、ゆめの手から洗剤を取り上げた。
「お母さんが洗っておくから、ゆめは寝てなさい」
「わかった」
「気にしないで。後でカイロ持っていくから」
ゆめは小さくうなずくと、よたよたと歩き、自室へ。
ベットに横になる。
汚すと嫌なので、シーツにバスタオルを敷いて、掛け布団を口元までかぶる。
眠気が襲ってきて、すぐに眠りに落ちた。
目を覚ますと、昼前になっていた。
お腹痛し、気分も悪い。ベットの脇に母がいた。
「大丈夫? 薬と、使い捨てカイロ持ってきたよ」
母はそう言って、生理痛の薬を枕元に置き、
使い捨てカイロを差し出す。
ゆめはベットの上で上半身を起こすと、
使い捨てカイロをキャミソールの上から貼った。
「ママ、ごめんなさい」
ゆめが小さな声で言った。
すると、母は、ゆめの頭を撫でた。
「いいのよ。ゆめが悪いんじゃないんだから」
それでも、ゆめの表情は晴れない。
「急にお休みしちゃって、みのりちゃんやみんなに会えない…
それに、アイドルやっているし…」
そのとき、玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
母は小走りで玄関へむかった。
そして間もなく、母は戻ってくる。
「ゆめ。みのりちゃんがお見舞いに来てくれたけど、会う?」
ゆめは、迷うことなく、うなずいた。
「ゆめちゃん!」
すると、みのりが、ゆめの部屋にやって来る。
「みのりちゃん!」
「ゆめちゃん、大丈夫?
女の子の日…だよね?」
「うん。今日は女の子の日だから…きちゃっているの…」
「じゃあ、わたしがゆめちゃんに元気を与える!
何か、手伝うことある?」
「ありがとう…その…添い寝して欲しい」
「えっ?よーし!失敗するかもしれないけど…
やってみるね!」
と、みのりはゆめのお腹を温めながら、
ゆめの添い寝をするのだった。