花里みのりは、
海原ゆめの描いたイラストを、見ていた。
「うわぁ!ゆめちゃん!イラスト上手だね!」
「うん、好きなんだ、イラストを描くの」
「すごい…わたしには無い能力があるなんて…」
「みのりちゃんにもあるよ」
「えっ?」
「だって、みのりちゃんは、振り付けの完コピが出来るから、
ゆめには、マネが出来ないよ」
「そ、そんなことないよ!わたしなんか、全然…」
「でも、みのりちゃん、なれると思う、
ゆめと一緒にアイドルに」
「だね!」
「あっ、みのりちゃん」
「どうしたの?ゆめちゃん?」
「今度、ぬいぐるみのフェアがあって、
一人一点で。それも、ランダムなの…」
「ゆめちゃんが、好きな、うさぎのぬいぐるみの?
それって、デパートでやるやつだよね?
わたしで、よければ、付き合うよ!」
「本当?ありがとう!みのりちゃん!」
ゆめちゃんは嬉しそうに、口元を緩ませた。
人当たりの良い笑顔じゃなくて、
人懐っこい、ゆめちゃんの笑顔は、
わたしの癒しであり、お気に入りだった。
待ち合わせの場所と時間は、決まったものの、
その日が待ち遠しく、て、わたしは、ずっとドキドキした。
思わず興奮して眠れない夜だった。
それから、当日。
「みのりちゃん!どうしたの!?」
「ごめんね、ゆめちゃん、今日が待ち遠しくて、眠れなくて…
あっ、ぬいぐるみのフェアにいかないと!」
「そうだね!じゃあ、レッツゴー!」
「ゆめちゃんは、うさぎのぬいぐるみが好きなんだよね?」
「あの、ぬいぐるみは、一つ一つデザインが異なるから、
どれがいいか、悩んじゃうけどね…」
「ゆめちゃんの言っていた、ランダムは?」
「えへへ、レジで購入できるよ?
だから、一緒に並んでくれる?」
「うん!そのために、わたしがいるから!」
「…」
「どうしたの?ゆめちゃん?」
「ううん、何でもない、みのりちゃん、
今日はありがとう」
ゆめちゃんは、言葉を詰まらせながらも、
わたしが、ゆめちゃんの名前を呼ぶと、
いつもの笑顔を見せてくれた。
レジに向かう、ゆめちゃんを追った。
「よかったね、これ、シークレットだよね?」
「うん!みのりちゃん!ありがとう!」
うさぎのキーホルダーまで、手に入れた、
ゆめちゃんは、興奮した表情で、
喜びを浮かべている。
その顔を見た、わたしまで、嬉しくなった。
楽しい時間が過ぎるのは、あっという間だった。
わたしは、この時間が続けばいいと思っていた。
「みのりちゃん」
ゆめちゃんは、わたしの手を握って、
紙袋を渡した。
「これは…?」
「新作の、うさぎのキーホルダーだよ、
後、これは、ストラップ。
みのりちゃんに、渡したくて」
「えっ、でも…」
「ゆめも、みのりちゃんの笑顔、大好きだから!」
「うぅ…ありがとう!ゆめちゃーん!」
と、みのりはゆめを抱きしめるのだった。
「また、一緒にデートに行ってくれる?」
「うん!え、デ、デート!?」
「うん、デート」
「アイドルとデートなんて、聞いていないよー!?」
ゆめちゃんは、可愛くて、キレイで、
ちょっとだけ、小悪魔。
きっと、わたしはかなわないや。