夏、ぼっちな私は奇妙なものに出会った   作:伊笹身

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ひとり「それで用事って?」
ナメクジ軍曹「『つい最近新たなビッグボスが出現したからな、時間がある時にバスターズハウスに顔を出しに来い!体が鈍っているだろうからまた俺のブートキャンプで鍛え直してやる!』だそうであります!」
ひとり「その…バンド活動が落ち着いてからでお願い…」
カイム「…怪我のないよう気をつけるでござる」


今回は短めです


番外編 うんがい鏡にとっての…

 

 

「…今日は学校終わったらバイトだぁ…」

 

「大丈夫でござるよ。何があっても拙者がしっかりサポートするでござる」

 

「うん…それじゃあ行ってきます…」

 

「行ってくるでござる」

 

「ぺろーん。行ってらっしゃいませ」

 

 

 

私は妖怪、うんがい鏡。

 

今日も、ひとりさんの部屋にいます。

 

 

 

 

最近、ひとりさんが出かけた後、部屋の整理をしています。

 

特に部屋から直接出かけたときに、ご家族の方に怪しまれないためでもありますが、実際は多分、少しでもひとりさんの役に立ちたい、という気持ちです。

 

 

懐かしい物が出てきました。

 

これは、私の入っていた箱です。

 

 

 

 

私は、もともとただの鏡でした。この身に人の姿を写し、使われてきました。

 

 

最初のご主人様が亡くなられて以降、様々ない方に使われました。

しかし、そのうちに鏡としての輝きは弱まりだしました。

しばらく経ち、私は箱に収められました。

 

 

もう鏡としては使えない

 

 

前のご主人様は、そう言っていました。

 

 

箱に入ってから、ながい、ながい時が過ぎました

 

 

 

そうして、ある時、私は妖怪になりました。

 

 

 

ですが、妖怪になっても、私は動かず、ずっと眠っていました。このまま二度と日の目を見なくともいい。どうせ、鏡として使えなくなった私は、出たところで、誰にも取ってもらえないだろう。

そう、思っていました。

 

また年月が経ち、私の入った箱は、いつかひとりさんの家へと辿り着きました。

 

誰にも存在を気づかれることなく、私は押し入れの奥底で眠り続けていました。

 

あの日までは

 

 

「なんだろ…これ…鏡かな?」

 

 

あの日、私は箱から取り出されました。

取り出したのは、ひとりさんでした。しばらく眺めた後、なんと、ひとりさんは私に話を始めたのです。

 

 

「…あのね、私…友達がいなくて…昔からそうだったんだよね…人に話しかける勇気とか無くて。“あの中に入ってもいいのかな”なんて考えているうちに気づいたらひとりぼっちになっちゃって…」

 

 

ずっと話していました。昔からひとりぼっちであること、友達がいないこと、ひとりさんの悩み事を、私はしっかり聞きました。

 

「…だかさら、いつか友達が欲しい。こんな陰キャだけど…やっぱり気ままに話したり、遊んだりできる友達がたくさん欲しいよ…」

 

 

ひとりさんの目には、うっすら涙が浮かんでいました。それでも、泣くのを堪えて、話していました。

 

 

「…って鏡に言っても意味ないよね…はは」

 

ひとりさんは笑いました。ですが、とても悲しそうな目をしていました。

自分に話しかけてくれたこの方のお役に立ちたい。この方に友達を作ってあげたいりその一心で強く念じていました。

 

 

その時

 

 

私の体が、光りだしたのです。その中に、ひとりさんが吸い込まれていきました。

体はもう小さな鏡から、大きな今の姿へ変わってしまいました。

 

 

後悔しました。私は、なんてことをしてしまったのか、と。

あの時のひとりさんにしてしまったことを、片時も忘れたことはありません。

 

 

ですが、ひとりさんは戻ってきました。

 

どうやらその時、妖怪ガシャの近くに飛ばしてしまったようで、結果的にひとりさんは妖怪ウォッチを手に入れ、カイムさんと出会い。

そして、現地のうんがい鏡を通じ、こちらに戻ってくることができました。

 

でも、もしもあの時、それ以外の場所に飛ばしてしまっていたら。そう思うと、ひとりさんになんとお詫びしようか。どんなに怒らせて、どんなに迷惑をかけてしまったのか。どんな処罰も受けるつもりでした。

 

しかし、私が見えるようになったひとりさんは。

 

 

 

 

「…今まではこっちから一方的にしゃべっていたけどさ、今は…こうして話せるんだよね…もしかして話したこと覚えてる?」

 

 

 

 

 

「…せっかく私と話せるようになったからさ…その…私と…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「友だちになってくれないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、騒がしくも、楽しい日常が始まりました。

 

新たにできた妖怪の友だちの皆様

ひとりさんがギターを始めた日

その練習を見守る日々

 

改めて向か妖怪ガシャのある町、さくらニュータウンへ向かった時

新たに妖怪ウォッチを持つ方との会合

巻き込まれた大事件、そして一時の別れ、再会

 

本当に様々なことがありましたが、どれもこれも、今は素晴らしい思い出です。

 

 

 

 

私は妖怪、うんがい鏡。今日も友だち、ひとりさんの部屋にいます。

 

 





人物しょーかい

うんがい鏡
ひとりに結構重い感情を向けている妖怪。ひとりが戻ってきたのち、他のうんがい鏡たちと交流し移動能力について学んだらしい。普段は留守番しているが、まれにひとりについていったり、うんがい鏡たちの集会に参加している。

ひとり&カイム
人生初バイト。一部友だち妖怪の手を借り何とか遂行したらしい。変な行動はしなかったはず。多分。


ちなみに、妖怪たちとかかわることによって、ひとりの中にギタ男をはじめとしたイマジナリーフレンドは発生していない。しかし、うんがい鏡に話しかけていた時だいぶ精神状態がパッドだったので、あのままうんがい鏡が動いていなかったらそのうちイマジナリーフレンドが生まれたかもしれない。

さくらニュータウンはレベルファイブ本社のある福岡がモデルという話があり、そうならかなりの距離を移動したぼっちちゃんです
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