炎の律者、七国を往く 作:怠惰の律者
さて、まず人が生きていくのに必要なのは衣食住。つまり着るもの食べるもの住むところってことだ。
現時点で満たしてるのは衣つまり服だけだ。このままじゃあ生きていくのもままならんな。てなると食と住、この2つをどう確保するかって事になるが…。
方法としては2つ。まずは野宿だ。野宿とは言え、何も準備なしに出来る訳じゃあ無い。テントや薪、料理するなら鍋だって必要だ。それに食料を確保するのに狩りをしなきゃあいけない。ただでさえ余裕が無いのに道具を用意したりとか、全部こなすのは厳しいだろう。
そこで2つ目、働いて金を稼ぐってわけだ。この世界ではどんな仕事があるかは分からないが、俺には幸い律者の力がある。傭兵やら何やら力が必要な仕事をやるなら探すのには困らないだろう。いつの時代も腕っぷしは大事だからな。
そうなったら早速街に降りていくとするか。見たところここは街の一番上にあるみたいだし。
周りの人に横目に見られながらもトコトコと階段を降りて街へと向かう。見慣れない景色で少しキョロキョロとしながらも、なんとか街の中心であろう噴水までたどり着いた。
さて、仕事を探す為にやることは、人への聞き込みや街を見て回る事だろう。まずは街中を見て回って、気になった場所を覚えておこう。空を見た感じ、まだ昼って所だ。時間もありそうだし、余裕を持って行こう。
街中を歩いていると、やはりと言うべきか、何一つ見た覚えの無い景色が広がっている。事実なのは分かっているが、未だにこのことを受け入れられていない自分がいるのは確かだ。
いずれこの景色にも慣れて、暮らしていけるようになったときは、本当の意味でこの世界に生きる人となれるだろう。
見た感じは、昔教科書とかで見た中世ぽい雰囲気だが…う〜んなんか違和感というか何というか…。
何だろうか、この世界では常識なのか分からないが、あまりにも酒場が多すぎる!この街の広さでこの数は異常だ。
これだけ小さいんだから客も少ない筈だ。でも不思議なことに、どの店も長く続いてますよって風貌だ。一体どうなってるのかは不思議だが、あまり気にしすぎても良くないかもな。
一通り見て回ったが、印象に残ったのとしては、多分騎士団かなんかなの建物と、でっかい聖堂。それに下の方にあった冒険者協会だろうか。
この名前は受付の人と誰かが話しているのを聞いたんだが、それ以外にも、いくつか役に立ちそうな情報もあった。
この世界の冒険者はいわゆる何でも屋…便利屋みたいな感じらしい。聞いたかぎりだと、モンスター?の討伐とか、護衛任務だったりとか、やってる事は傭兵と対して変わらなさそうだ。おそらくこの世界での傭兵が冒険者ってことになるんだろう。
となればこの仕事をしたいところだが…今からやったとしても、金はおそらく手に入らないだろう。地理も理解してない人間が、ここに行ってこれ倒してきてとか言われても無理に決まってるからな。
となると…どうするか、街中で酔っ払いよろしく、石畳で寝付けってのか?出来るわけがない。
俺は腐っても文明人だ。恵まれた環境で過ごした俺が、ちゃんと眠れるわけがない。
それに、ここは別世界だ。どんな環境かもわからない。もしかしたら、夜だけ極端に寒い気候ってこともないわけじゃないだろう。
あー!もう!解決策が思いつかん!一体どうすれば!
「あっ!やっと見つけた!」
!?なんだ、俺に話しかけてるのか?話しかけられるような知り合いなんて居ないはずだ。
「よかった〜怪我も無さそう。」
怪我ってことは俺が話しかけられてるってことで間違いなさそうだな。
振り返り、声の方向へと頭を向ける。
そこにいたのは、ひと目見て活発という印象を抱かせる、黒髪の美少女がいた。
「すまない、失礼だが君は?」
「あっと、そうだった。見ず知らずの他人からいきなり話しかけられても困惑するだけだよね。」
少女はこほんと一息つくと、その活発な印象に違わない元気な声で、自己紹介を行った。
「私は西風騎士団の偵察騎士、アンバー!よろしくね!」
今の所律者要素がなくてすまない…。
多分次々回にはあると思う