魔法少女あさひ/つきのマギカ   作:あららい@

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第四節

第四節

《結加里あさひ》

 

 

 ───目覚めると真っ先に目についたのは真っ白な清潔感のある天井だった。

(あれ?ここどこだっけ?私、なんでここにいるんだろう?)

 白のシーツ、ベッド……ここは……もしかして……。

「起きたかい?眠り姫?」

「わひゃあ!?」

 唐突にぬるりと視界に顔が飛び出す。不意を打たれて私は驚いてしまう。

「はい、慌てたかわいい姿ごちそうさま」

「ってもうー。瞳子さんかー茶化さないでよー」

 イヤリングをかすかに揺らして目の前でいたずらっぽく微笑む黒髪ショートヘアの女性は草楽瞳子(そらとうこ)という女性。朝垣市の総合病院に医師として勤務していている。

 年齢は二十五。だが若くして院内でもトップの医療技術を持ち、瞳子さんに執刀してもらいたい人が後を絶たないらしい。

 色々あって瞳子さんの家に今、私は居候させていただいている。

(けど、いつ見てももっと若く見えるんだよなー。若さの秘訣があるのかな?)

「あさひちゃんは夕べのこと覚えてるかな?魔女と戦った時のこと」

「私、えーと……どうしたんだっけ?」

 深く考える。すると、徐々に思い出してきた……気がする。

「魔女……ああー。そっか、また戦ったんだよねー」

 私は他人事のようにそう言ってしまう。

「そう、それで森咲ついりさんを守った。何かからの攻撃を庇うという形で、ね」

「庇った……!待って!ついりちゃんは!?無事!?」

「問題ないよ。森咲さんの迅速な連絡であさひちゃんを病院に搬送できたんだ」

「そっかーじゃあついりちゃんには今度お礼しないとだね」

「そうだね。……それよりあさひちゃん。ちょっとソウルジェムを出してみて」

「???わかった」

 そう言われて私は指輪となっているソウルジェムを宝石に変化させる。

 私のソウルジェムは元々真紅に輝いていた。が、今はまるで赤い中見が水にすり替わってしまったかのように無色透明に透き通っている。

「うわぁ!なんだこりゃ!!透明!?」

「ソウルジェムの透明化。MBの研究チームはそう呼んでるよ。私たちにも前例がなくてね。どうしたものかと困っているんだよ」

「研究チーム?」

「ん?言っていなかったっけ?私はMBに所属しているんだよ」

「へえー、えーと確か……MBって、そう!ついりちゃんとかがいる魔法少女たちの組織!?」

「そうそう、それのこと。この街にはあさひちゃん以外にも森咲さんをはじめとした魔法少女がいる。そしてその素質を持つ少女たちもね。その少女たちを保護、育成、研究。観点は様々だけど手元に置いておきたい集団がいる。それがMB。Magia Brigade(マギアブリゲイド)それの頭文字を取ってMB」

「ふーん。それで瞳子さんもMBの一員ってこと?」

 私の答えに瞳子さんはうなずいた。

「そう。と言っても私はここの病院スタッフだから研究について詳しい情報は何も持ってないんだ。ごめん。私にできることは魔法少女に医療を提供すること、それだけなんだ」

 瞳子さんは自嘲気味にそう言ってるけどそれはすごいことだ。素直にそう感じた。

「それで……ソウルジェムが透明だとどうなるか……って前列がないんだった、それじゃわからないよね。……試しに変身してみればわかるのかも」

 私はソウルジェムを輝かせて変身のための魔力を使う。

 ───が。

(何も起こらない……?)

 体に上手く力が入らないような感覚。入れても入れても力が抜けていく。穴の空いたバケツにひたすら水を汲もうとしているというような感じ。

「どうやら変身できないのかな?」

 瞳子さんは聞いてきた。

「うーん。なんか無理。どうも上手くエンジンがかけられないや。ほら、ナイフ?一本と糸を出すのもやっとだよー。変身なんて夢のまた夢かも」

 なんて、私は右腕から果物ナイフサイズの小さな刃物を。左の人差し指の先から糸をとび立たせる。

 ───なんて話してたら日の光が窓から差し込んで来た。チラリと壁に壁にかけられていた時計に目をやると今は七時。

「……さてと、そろそろ家に戻って学校に行く準備しなきゃ」

 私がベッドから飛び起きながらそう言うと、瞳子さんは驚いた様子で

「いやちょっと待って!学校行く気なの?」

「いやだって今日は水曜日だよ?学校あるもん」

「そう言うと思ったよ。私としてはドクターストップをかけたいのだけども」

「???どうして?」

 私にはよくわからない。私が大丈夫と思ってるから大丈夫だと思うんだけどなー。

「今のあさひちゃんは何が起きるかわからない。だって前代未聞のソウルジェムの透明化だよ?今すぐに検査したい。できるなら魔法少女の活動も控えて欲しい」

 うーん。ダメなのかー。私はちょっと口を尖らせる。

「…………」

「…………」

「…………ホントにダメ?」

 瞳子さんはちょっと息をついた。

「ダメ……と言いたいんだけどあさひちゃん言って聞くような子じゃないの知っちゃってるんだよねぇ……今日もするんでしょ?人助け」

「……うん。魔法少女とかそういうの関係なく私を必要としてくれる人が沢山いるはずだから。私はその人たちのためにも頑張らないと!」

「……そっか。そんなあさひちゃんの意思を尊重します。でも!くれぐれも注意すること!特に魔女との戦いは絶対にしないこと!今のあさひちゃんは黄色信号なんだから!……あとは……」

 ええい話が長い。だから私はもう病室を飛び出す。あばよ瞳子()っつぁーん!

 

(心配してくれるのはありがたいけど私は大丈夫なのだ。根拠はないんだけどね!)

 

 

 

 

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