名探偵コナン外伝〜闇黒秘儀の機密文書〜   作:Yunice

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黒の組織との再会(上)〜凶弾〜

下校時刻

 

 

暖かい帰路へ着くため、牡丹雪が降り積もる歩道を歩いていたコナンと灰原。信号にさしかかり赤信号で止まる。ふと斜め前を見ると、とある車が路肩に停車しているのを目撃し、灰原は戦慄した。

 

 

物珍しいクラシックカーの中を覗き込むコナンに、灰原は言う。

『ジンの愛車もこの車なのよ…。』

 

「なっっ!!!????」

 

 

それはジンの愛車、ポルシェ356Aであった。

 

 

 

昨晩見た悪夢のせいで、いつにも増して嫌な予感を拭いきれない灰原。しかし、黒ポルシェがジンの愛車だと知ったコナンは灰原の制止を振り切って車のロックを開けてしまう。黒の組織の動向を調べるため、盗聴器と発信機を仕掛ける事にした。

 

しかしその間に2つの黒い影が近づいてくるのを感じる。

「おい灰原、早くこっちに」

「え、えぇ…」

混乱する灰原をよそに

すかさず車の後ろに隠れた。

 

 

 

「車の周り…雪がやけに荒れているな…」

 

「通行人が見てたんじゃないんですかい?。兄貴の車珍しいから」

 

「フン…ドイツのアマガエルも偉くなったもんだ…」

 

 

 

 

 

「(大当たり…まさかこんな所で会えるとはな…ジン!!)」

 

 

 

発信器は設置済み。

 

 

 

急いで博士に連絡し、ビートルを呼びつける。

 

 

 

博士のビートルに乗って追跡を開始したコナンは、ジンの会話の中から”ピスコ”というコードネームを持った男が杯戸ホテルで何者かを始末しようとしている情報を掴むが、直後に発信機と盗聴器をジンに見破られてしまう。自分に繋がる証拠はすべて消しさったと言い切るコナン。

 

しかし、車内に残されていた”赤みがかった茶髪”を発見したジンはそれが組織の裏切り者であるシェリーの仕業であると誤認してしまっていた。

 

ジンが灰原の動向に感づき、新たな策を張り巡らせている事などつゆ知らず、コナンと灰原は組織の殺人を阻止するために杯戸ホテルで開かれている「映画監督の追悼式」へ乗り込む。

 

「追悼式」なだけあって参加者は皆黒い服に身を包んでおり、外見だけではピスコを特定できない。そこでコナンはジンの「口封じ」という言葉を手がかりに、参加者の中からピスコのターゲットを絞ることにした。目をつけたのは収賄疑惑のある政治家。

コナンは殺人を阻止する為に工藤新一の声で県警メンバーを呼び寄せて万全の状態を整えたが、その尽力も虚しく暗闇の中で殺人事件は起きてしまう。

 

 

「……」

 

ピスコ、それは黒の組織の一員であり、政財界の大物として知られる男だ。彼は、その場で偶然灰原を発見する。

 

「…あれは、まさか……シェリー…なのか………?子供の姿だがあれは幼少の彼女に瓜二つ…間違いない……」

 

 

彼は冷静に呟くと、周囲を見回しながら足早に灰原の元へ近づいた。

 

彼はすぐに、自分の目的を果たすための行動に移る。彼女がどんな思いを抱えていようと、組織に戻るべきだという理念があったからだ。

 

灰原がコナンと話しているのを見つけたピスコは、素早く計画を実行に移す。彼女を薬で眠らせ、会場の隅にある別室へと移し、組織への帰還を計画していた。

 

 

 

 

 

 

 

3時間後

 

 

 

 

 

 

ピスコが目を覚ました灰原を見つけることはなかった。静かな足音が近づき、ジンが現れる。

 

 

ジンは冷徹な目でピスコを見下ろし、背後から銃を取り出した。

 

 

 

「なっ…何の真似だジン!?」

 

「耄碌したな、ピスコ。」

 

「よせ、私を殺すとシェリーは永久に分からなくなるぞ」

 

 

「悪いな。あの方直々の命令だ。」

 

「な…!?」

 

「組織の力を借りてここまでのし上がったんだ。もう十分いい夢を見ただろう?」

 

 

 

 

パンッ

 

 

 

 

 

一瞬だった。

 

ジンの手に持つ銃から発射される音が響く間もなく、ピスコはその体に致命的な一撃を受けて倒れた。

 

 

ジンの声は無感情で、言葉通りにピスコの命を絶った。かつて、組織内で強大な力を振るっていたピスコも、今や組織の冷徹な掟に従い、死を迎えることになった。

 

だが、ジンはすぐにその場を立ち去ったわけではなかった。ピスコが死ぬと同時に、部屋に火をつけ、燃やし尽くす準備を整えた。炎が空を焦がし、ピスコの命を焼き尽くす。その姿は、まるで無情な組織の象徴のようであった。

 

 

 

燃え盛る火の中で、ピスコの命は完全に消え去る。だが、その炎の中で消え去るのは彼の命だけではなかった。彼が残した遺志、そして彼が心の奥で大切にしていた思いもまた、燃え尽きようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

プルルルルル……

 

 

とある人物に電話をする

 

 

「これは一体どういうつもりですか、ジン」

 

「仙水悠…兄貴に噛みこうとするくらいには出世したようだなぁ?」

 

なぜか電話に出たのはウォッカだった。

 

「なぜウォッカがでるんだよ……そんなことはどうでもいい………なぜ殺した」

 

「あ??」

 

「なんでジンはピスコを殺したんだっつってんだよ?!」

 

ウォッカに怒号をあびせる。

 

 

ピスコ

 

ジンが殺したその男は仙水悠にとってかけがえのない存在だった。

 

 

仙水悠はピスコを良き師として仰いでいた。

 

組織の常識や秘密、現状の問題についてだけでなく、組織での立ち回りや駆け引きといった、生き残るためのノウハウなど、ピスコが持つ全ての知識と技術を教授してくれた。

 

そのことに仙水は常に恩義を感じていた。

 

 

 

「なんだと思ったらそのことか…やつはヘマした。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「たが彼は組織に必要な人間だったんだぞ!これがいかに重要なことか分かっているのか!」

 

「いいや?何一つ分からねえなぁ」

 

「てめぇ!!!!」

 

 

「まず1つ、やつはヘマした。これは紛れもねえ事実だ。

やつが狙撃した瞬間の写真を撮られ、それどころかそれを撮ったカメラマンも殺さずにヘマをしてないとは言わせねぇ」

 

「くっ……」

 

 

「2つ目、やつは知りすぎていた。長年あの方に仕えた人間をやすやすとサツに渡すわけにはいかねーよ。組織の秘密が世に知れ渡ったらまずいからな。」

 

「…」

 

「そして3つ目、あの方直々の命令だからだ」

 

「な……!?」

 

「いくら単独行動がお得意なお前でもあの方の命令には逆らえねーよなぁ?」

 

 

「なぜここであの方が命令を下したんだ。」

 

「そんなもん知らねーよ、あの方様の勝手だろ?」

 

「勝手な気分でピスコを……ピスコさんを殺したのか!!!!」

 

「あ…?お前もしかして、あの方に逆らうつもりか?あの方に楯突くつもりか?」

 

「い、いや…」

 

「どうなんだ!?さっさと答えろっ!」

 

「くっ……あの方に楯突くつもりは毛頭……ない………」

 

「ふん…わかったんならそれでいい。話はそれだけか?」

 

「あ、あぁ…」

 

「はぁ…いい加減にしてくれ、俺も兄貴も鼠刈りで忙しいんだよ」

 

「す、すまん」

 

「まあいい…今度飯でも行こーぜ、ピスコの最期について語りてぇところだったんだよなぁ、新入りさんよぉ?」

 

ブツッ

 

プー

プー

プー

 

 

 

 

 

 

 

 

…兄貴がいないと何もできない無能クソ愚弟め…

 

 

 

 

 

 

 

 

1ヶ月後

 

 

 

 

 

 

 

 

帝丹小学校

 

 

「そういや今日は博士忙しいから、遊びに行っちゃだめだぞー」

 

「「「えええええーーー!?」」」 

 

「そうよ?子供なんだから外で遊んでいらっしゃい。でも、また変な事件に突っ込むのだけはやめなさいよ??まさかとは思うけど、それで危険な目に遭ったこと、忘れたとは言わせないわよ?特に小嶋くんは」

 

「そ、そそ外で遊んでまいります!!」

 

「おい灰原…調教するのもいいかげんにしろよ〜?」

 

「あら、私はただ、お し お き をしたまでのことよ?」

 

「それを調教っつってんだけどな…オイオイ…」

 

 

今日も平和だ。

 

そんな事を考えていると。ふとメールの通知音が鳴った。

 

メールを交換してる人は博士と少年探偵団以外はいない。だから少し不可解に感じた。

 

 

 

件名:久しぶり。

本文:お迎えにあがりますよ、姫。

 

 

 

 

 

「っ?!?!?!?」ドックン

 

「んにゃ?どうしたー?」

 

「い、いえ……何でも…ないわ…」

 

「江戸川くんも、今日は帰ってちょうだい。」

 

「え?でも今日は博士と約束が」

 

「どうせ板倉卓とかいうプログラマーと彼らの関係を調べるんでしょ?」

「ば、バレてやがる…」

「彼らの情報なんてそんなのいくらでも教えるわよ。でも今日は帰ってちょうだい」

 

「なんでだよ」

 

「あなたには関係のないことよ」

 

「…」

 

「…」

 

「…わかったよ。んじゃ、また明日な。気をつけて帰れよー。」

 

 

そういうと、江戸川コナンは居候先である毛利探偵事務所へ走っていくのだった。

 

 

「…」

 

 

灰原は、組織の中で彼自身が抱える感情を隠していた。

 

 

差出人は何も書いてない、けど、間違いない。

 

 

 

彼だ。

 

 

 

組織の冷徹な掟に従い、自己犠牲的な行動を繰り返してきた中で、彼女が唯一心を許したのは、かつて共同研究をしていた彼、仙水悠だった。

 

 

しかし、彼女は組織に戻ることに強い抵抗を感じており、戻れば必ず殺され、江戸川コナンや周りの人たちを巻き込んでしまうに違いない。

 

 

 

シェリーが灰原となった日からの半年間、その葛藤を抱えながら過ごしていた。灰原は仙水に対して、感情を露わにすることなく冷静さを保ちながら接してきたが、心のどこかで彼を失うことを恐れていた。

 

 

葛藤で気がおかしくなりながらも歩き続け、やっとのことで、自分が世話になっている阿笠邸にたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし…

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜。洗濯物干してくれたかしら、はかs」

 

 

「あのご老人は博士というのか」

 

 

「!?!?!?」

 

 

そこにいたのは博士ではなかった。

 

 

 

「半年振りだね、シェリーちゃん。 いや、今は灰原哀ちゃん…かな?」

 

 

部屋にあるソファーで足を組みながらくつろいでいるそれは嫌と言うほど見覚えのある姿。

 

 

 

 

 

再び二人は再会を果たす。

 

 

 

 

 

 

だが、以前のように無邪気に笑い合うことはなく、張り詰めた緊張感が2人の間に漂う。しかしどこか切ない空気が流れていた。

 

 

 

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