(全体的に見た時にどっちかっていえば)一般人(に近い人)に転生した   作:かねれお

5 / 7
クワントマニアおもろかった
泥棒なフレンズ出なかったのはちと残念

では




 

今日は少し肌寒いが、びっくりしてしまう程の晴れわたる空だ

あぁなんて忌々しい

俺の気持ちはどんよりと暗く深くじめじめとしているのに

 

今日はばぁちゃんの

 

 

 

 

葬式だ

 

 

 

 

あの日から3日が経った

あの家はもはや人の住めるような状態ではなくなっていたため少し都市部の方のホテルに泊まった

 

常に誰かしらが俺の傍にいてくれていた

 

子供のお守りかそれとも護衛かはたまたその両方か

 

気遣ってかときどき話しかけてくれていたが

俺は正しく応対していただろうか

 

用意してくれた子供用の喪服に着替え車に乗り込むと既に眼帯が・・・ニックが座っていた

 

聞こうと思っていたことは幾つかあったはずだったが、質問する気にはならなかった

 

ニックの横で座りながら車に揺られてしばらくすると墓地についた

ばぁちゃんが眠る棺桶と一緒に

 

墓地には多くの人が集まっていた

棺桶が静かに地面に掘られた穴に置かれ

1人ずつ孤児院育ちの人から強面の一般人には見えない人まで誰もが泣きながらあるいは悲しみを持って彼女の棺桶に花を添えていく

 

皆が俺を見ている

どうやら俺の番がきたらしい

 

顔にできてしまった細かな傷は化粧によって隠されているため、今にも起きて話し出してもおかしくないようにも見える

 

だが彼女はもう眠ってしまった

 

永遠に覚めることのない眠りの中へと

 

 

俺がこの世界で意識を持ってから

期間としては2年もしないくらいだろうか

この家でばぁちゃんと2人で過ごしてきた

 

俺にとってはこの世界での唯一の繋がりだったから

彼女に依存していたのだろうか

 

 

いや

 

違う

 

違うだろ

 

 

手伝いをすれば優しく撫でながら褒めてくれて

 

イタズラを仕掛ければ笑顔で倍返しされて

 

公園で一緒にサンドイッチを食べて

 

そんな毎日が好きだった

 

俺はただばぁちゃんが大好きだったんだ

 

 

棺桶が閉じられ数人の大人達によって砂がかけられていく

 

やめろよ、ばぁちゃんを埋めないでくれよ

と思う気持ちと共に俺の前世の部分は「そんなことをしても意味が無い」ことを冷酷に、残酷に伝えてくる

 

棺桶が完全に見えなくなり葬儀が終わると共に少しづつ墓地から人が離れていった

 

終わってからどれほど時間が経ったのか俺には分からないが、今ここにいるのは俺とニックだけ

 

ばぁちゃんの名前が刻まれた墓石を見ながら思う

 

俺は今までずっと逃げようとしていた

これから自分に降りかかる多くの可能性から

ばぁちゃんは最期に俺に幸せになれと言ったけど

逃げ続けることは幸せなのだろうか

別に逃げてもばぁちゃんは怒らないと思うけど

でも

 

もしも俺が「ホークアイ《ヒーロー》」であるなら

 

俺は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《sideニック

葬式自体はとっくに終わっているもののクリントがその場を動く様子は一切なかった

 

 

大切な家族を失ったんだ

無理も無い

 

今回の襲撃はあのバァさんをターゲットにしたものだった

あのバァさん自体は老いて戦うことは出来ないものの、かつての英雄として各軍や組織に対しての影響力は未だに大きなものがあった

老人にしては殺す価値は必然と高いものとなる

このようなことにならないために外部との連絡を最小にしたのがむしろ仇になってしまった形だ

 

目の前にいたのに情けない

 

ただただ己に腹が立つ

 

 

だがひとまずはこの子のことだ

流石に日も落ちて気温も下がってきている

あまり長居をさせるような場所でもない

 

どう話しかけるものかと考えていたところ

 

 

「おっさん」

 

「・・・なんだ」

 

「俺はこのあとどうなる」

 

「ブルックリンのリーズ夫妻が・・・

まぁお前の孤児院の先輩だな

彼らがお前を引き取りたいと言っている

一緒に暮らさないかと」

 

「そっか

 

 

悪いけど断っておいてほしい」

 

「・・・なぜだ

いい所だぞブルックリンは、例えば「俺は強くなりたい」

 

「俺はあんたの組織に入る」

 

「・・・・・・子供のお遊びじゃないんだ

前にバァさんは正義の味方なんぞと言っていたが

現実はそうでは無い

綺麗事だけではやっていけない

そんな世界だ

仮に強くなったとてその力で何をする

バァさんの命を奪ったやつへの復讐か

少なくともバァサンはそんなことは絶対に望まない

バァさんはきっと普通の生活をお前に望むだろうよ」

 

 

まったくなんで子供相手に長々とこんなことを

 

 

「とにかくお前は子供らしく「ばぁちゃんは言ったんだよ」

 

「最後に俺に幸せになってくれって

俺はその思いに応えたい」

「これから先で

誰かを救う力があるのに

誰かの幸せを守る力があるのに

それを俺がしなかったらきっと後悔する

それは俺にとって幸せではない」

 

「ならお前は

周りのヤツら全員を救おうとでも言うつもりか

それはただの傲慢だ

仮に特別な力を持っていたとしてもそのようなことは出来ないんだよ」

 

「そんなことは俺だって分かってる

だけど、俺は「それでも」と叫び続けるさ

何度も、何度でも

 

俺は死ぬ時に後悔したくないんだよ

救えた命、守った未来を見て

幸せだったと言って死にたいんだ」

 

だから俺は強くなりたいんだと言う彼に対して、俺は何も言うことが出来なかった

説得力の欠けらも無い話のはずなのに

子供の戯言として流すことも、彼を笑うことも出来なかった

 

 

思えば自然と俺の口は言葉を紡いでいた

 

「・・・・・・お前の言うことはあくまで綺麗事だ

そもそもお前が強くなるのかも分からないし

力を得てもお前の幸せに繋がるとは少なくとも俺は思わない」

 

「だから証明して見せろ

 

そして死ぬときに幸せだったと

俺にそう言ってから死んでいけ」

 

「・・・・・・子供に死ねなんてサイテーだな

そもそも俺はアンタよりも長生きするから

特に言う機会は無いかもなオッサン」

 

そう言って小さな戦士は車の方へ歩き出す

・・・生意気なガキめ

リーズ夫妻にも連絡をしなくては

 

だがまぁいい、俺はあいつの行く末を見守っていくことにしよう

だから安心して眠れよマリーさん

 

 

 

すっかり日が落ちた夜空には無数の星が優しく少年を照らしていた

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。