前回のあらすじという名前の白米を俺は今頂いている。絶妙な塩加減とこのご飯の甘味と旨味が絶妙のコンビネーションだ。俺は今最高のご飯を前にして場外ホームランを打った気分だ。
「何も食べてませんよね」
「ですねあれは多分宝食堂を目の前にした妄想だと思います」
カラフでの決戦から一夜が明けた。ホテルで一日を過ごしたキョウスケ達はカラフからチャンプルタウンに足を運んでいた。
チャンプルタウンに訪れた理由はジムリーダーであり、四天王であるアオキにエリアゼロに入る許可を貰いに行くこと。
だがキョウスケがそう簡単にメインの話題に持って行くはずもなく現在彼は宝食堂にてよだれを垂らしながら仁王立ち中。
そこにアオキもペパーたちに連れられて合流したのだが何をしているのか分からない彼に「これは面倒なタイプだ」と言わんばかりにため息を吐いていた。
「お前は四天王の中で最弱の若林!」
「誰ですか若林って。アオキです。四天王はみんな同じレベルです」
「ちょっとキョウスケ!あんまり言い過ぎると許可取り出来なくなっちゃうよ!」
「かまいませんよ。このぐらいのレベルなら無茶振りしてくる上司よりマシです」
「オモダカさん…」
謎の変顔をしながら指を差すキョウスケに対して表情一つ変えることなく呟くアオキ。
アオイにも注意を喰らったキョウスケだったがその間髪入れないうちにアオキが普通の声のトーンでオモダカよりマシと呟き、ネモが思わず同情したようなそんな表情を見せる。
一瞬ボケが通用しないことに驚いたキョウスケだったがアオキの姿をみて急に驚き怯え始める。
「お、おい急にどうしたキョウスケ」
「こ、こいつ!感情が無い!どこの心を読み取っても残業と飯のオーラしか出てこねえ!」
「感情は流石にあるだろ。てか飯のオーラっていい匂いがするとかそんな感じなのか…」
「さっきラーメン食べました」
「前に行った店の匂いが付いていただけ…え?さっき行っていたんですか!?」
表情が全く変わらないことから冗談なのか本気なのか読めないアオキ。
だが援軍とばかりに呼び出したヨクバリスもキョウスケと同じく怯え始め、ネモがさらっと言おうとしたらもはや仕事していないことに気づき思わず声を張り上げる。
ラーメンを食べていたのは本当だったのかを確かめるかのようにペパーはアオキの近くが匂いを嗅いだのだが…
「ラーメンというかコーヒーみたいな匂いしかしないんだが…」
「ああ…この服三徹で3日間洗ってないんですよ」
「もしかして昼さぼっている分夜に徹夜で作業しているんじゃ…」
「で。エリアゼロの扉を開けてほしい件でしたね?」
「話逸らした!?」
疑惑がそもそも日中さぼっているからの理由に行きついたのだがその当事者のアオキはその話をスルー。
アオイが驚く中で強引に話をエリアゼロの関連に持って行く。
サラッとスルーされたことに驚くしかないアオイだったのだがこれ以上この件に触れて、アオキの逆鱗に触っても嫌という事で一旦この場はスルーすることに。
怯え切っていたキョウスケだったが、急に真面目みたいな顔をして…
「ああ。エリアゼロに大秘宝であるワンピールがある」
「何かパクッてる!オマージュじゃない範囲になってるって!」
「良く分かりませんが…エリアゼロに用事があるのは分かりました。どうせ同じ四天王からの宛でしょう。扉ぐらい勝手に開けてください」
「何で用事があることが今ので分かるんだ…ちょっとアオキさん!どこか行くのは良いですけど仕事してくださいね!?」
「去る足が速くなった!あの人まださぼる気だ!」
アオキがさぼるために去る足を速めていく中で扉ぐらい勝手に開けろという事で許可を一応貰ったキョウスケ達はチャンプルタウンを離れ、そのままエリアゼロに通ずる扉前に向かおうとしたその時だった。
「扉には鍵がかかってますよ。勝手には開けられないです」
「何!?あの残業マン!許可だけ出しやがって!」
「キラさん。どうしてここに?」
「吉良吉影…」
「そのキラじゃない。お前は黙ってろ」
キョウスケ達の前に姿を見せたのはキラだった。
覚悟を決めたかのようなそんな表情で姿を見せたキラはふざけるキョウスケにカギを投げて渡す。
その顔から何故彼女がここにいるのかみたいな感情は消え失せ、キラはキョウスケを見ながら呟いて行く。
「私は討てるなら妹の仇を取りたい。仇がもしこの事件に関わっていてもしキョウスケさん達の前に立ちふさがるなら…ご同行させてくれないでしょうか」
「貴様…ボールはどうした。ハンドボールがいるだろ」
「ポケモンなら今連れています」
「何で今ので話が通じているんだ…」
「しーっ!ペパー黙って!雰囲気が台無しになっちゃうよ!」
「その会話で全部台無しだよ」
真面目な目つきでふざけるキョウスケに対してキラはモンスターボールを目の前に出す。
ペパーたちは明らかに話が通じていないんじゃないかとばかりに疑念を抱いたが、ひそひそ声でネモがツッコミを入れたがハルトが呆れながら呟く。
見せたモンスターボールには当然ポケモンが入っており、中から出てきたのはウォーグル。鋭い目つきでキョウスケを見つめる。
「妹のポケモンです。当時はワシボンでした。野生のポケモンをそのまま保護したのですが、妹にとんでもなく懐いていて…実家から連れ出してきたばかりです」
「ぴゃー!」
「ウォーグルってとんでもなく強いポケモンじゃなかったっけ!」
「妹と話は付けてきたのか」
「この子自体が妹の形見です。私なりのけじめというのをつけてきたつもりです」
ワシボンからウォーグルはとんでもなくレベルを上げる必要があり、一般トレーナーにはとても使いこなすには難易度がいるポケモン。
ワシボンからの付き合いとはいえこのウォーグルには暴れる仕草も見当たらない。良く見ると眼鏡を付けていたキラに眼鏡が見当たらない。
「メガネはコンタクトに変えました。現実逃避するみたいな感じだったので」
「もしかしてウォーグルのために…」
「そうなりますね」
「ぴゃー!」
「キョウスケはごみと言っています」
「んだとこのくそリスが!」
しばらく黙っていたヨクバリスがウォーグルの意見をキョウスケの暴言に変えてキョウスケは顎を突き出し、血相を変えた表情でヨクバリスに突っかかろうとするが当然そんな時間は無いわけで、出てきたガブリアスとウネルミナモに口で咥えられ動けなくなる。
キョウスケが息を整えるとガブリアスに下ろしてもらい…
「覚悟はできているんだな」
「この子を連れてくると決意した時から」
「…分かった。とんでもなく危険な場所だから自分の身は自分で守れよ」
「キョウスケ…」
「真面目な風で言ってみんなが見てないところでどや顔しているのがバレバレだぞ」
「言わなかったらいい話だろうがこの柚子胡椒がァ!」
キラはキョウスケ達についてくることとなり、さりげなくキョウスケ達を中心として扉に向かって歩き始めたのだがアオイたちに表情を見せなかったのだが、後ろにいたペパーに真顔でツッコミを入れられキョウスケは再び顎を突き出したかのような表情で声を張り上げた。
それを見てネモ達に思わず笑みがこぼれる。
キョウスケがネモ達にツッコミを入れていく中で扉前に一人の人物がいたのが目に入った。
目に入った時は遠目で分からなかったがペパーが懐かしい気配を感じ、思わず近寄るとそこにいたのはペパーの母であるオーリムだった。ペパーは思わず驚いた声を上げる。
「母ちゃん!?」
「久しぶりだなペパー。そして…お前たちがペパーの友人たちか」
「お前はまさかマサカズ!」
「誰と勘違いしているか分からないが、オーリムだ。ここのエリアゼロには旦那の研究所があってな。何か関わっているんじゃないかって疑った自分を収めるために来た」
「オーリムさん…」
「エリアゼロに行くんだろ?道中まで同席させてくれ。私達じゃないと解けない設計がある」
さりげなく呟いたオーリムに対してペパーは父と母しか知らない設計があるという事に驚いた様子。
途中まで同行するという事なので、キラから渡されたエリアゼロに通ずる扉の鍵をオーリムにキョウスケは渡す。
オーリムはそのカギを受け取り、扉の鍵を開けると鈍重な音を響かせながらエリアゼロに通ずる扉を開けた。
「こっちだ。展望台みたいな場所があってな。そこからエリアゼロに通じている」
「母ちゃん…俺そんな設計があるの知らなかったぞ!」
「いつかお前にも見せてやろうと考えていた。フトゥーはそうではなかったみたいだがな。エリアゼロで安全な場所が出来たのなら、いつかエリアゼロに案内してやろうって」
「エリアマネージャーだと…!?」
「うん…キョウスケ一回黙って」
ササっと前に進んでいくオーリムについて行くキョウスケ達。いかにも山の中を切り開いたかのような場所には前の方でとんでもなく霧ががっており、その前方に展望台のような場所がある。
未開の地にある人工的な建物にネモ達は思わず息を吞んだが、オーリムはこちらに一切振り向くことなく展望台の扉を開ける。いかにも使い古された感がある場所で少しだけ埃臭い。
「ここにこう言う建物を作ったのは何の狙いで…」
「実は研究所とは言ったが借り物の建物でな、いつ誰がこの建物を作ったか分からないんだ。ただ私たちの時代にあった設計より時代が進んでいたのは確かだ」
「ドラえもんみたいな猫型ロボットが作っていたとでも言うのか…」
「バトルドームもでぇた!」
「アイツも未来だからなってこの世界にドラえもんが存在したら嫌だろ」
いつ作られたのか分からない建物とオーリムが言い張り、驚きを隠せないのはキョウスケ達。
最初に聞いたキラがオーリムの言葉に唖然とする中で少し薄暗い建物にいきなり電気が付き、砂嵐の音が響き渡った後に声みたいなものが聞こえてきた。
「ハロー子供たち。いや3人大人が混じっているみたいだがな」
「その声はフトゥーではないな…誰だ!」
「ここに来たという事はとっくにご存じのはず」
「まさか…オージャの亡霊…!」
「嘘!?こんなに喋れるの!?」
「初めましてだなガラル地方の者。お前の噂は先ほど対した者から聞いている。私はシャリタツ。オージャの湖にて人間に殺された哀れなポケモンよ」
聞こえてきたのは明らか人間の声ではなくポケモンの声。どこぞのオウム返しみたいに片言で話す感じではなく発音もスムーズのポケモン。名をシャリタツ。それを聞いたキラが拳を握りしめる。
「お前か…キラの家族を殺したって奴は」
「正確にはヘイラッシャだがな。私はそれを指示しただけとなる」
「妹はアナタの指示で死んだのよ!」
「だが私はお前たち人間に殺された。どちらも身勝手であろう?」
「っ!」
「おいポケモンもどき。アルセウスにもお祈りしておくんだな。亡霊ならそこから除霊してやるからよ」
キョウスケがそう言い切った瞬間に声は聞こえなくなった。何かしら都合が悪かったのだろう。
キラの怒りの発言をサラっと言い払ったシャリタツ。その場にいたメンバーは声の圧に言葉すら発することが出来なかった。
今のでシャリタツやオージャの湖の亡霊がいるというのは理解できた。キラは一時期に力を使い果たしたのか、その場に膝を付く。
「キラさん!」
「大丈夫です…ちょっと緊張しただけ…」
「言葉だけでもピリピリしたぞなんだアイツ…」
「それはペパー。この部屋にエアコンがかかっているからだな」
「そら寒いなじゃないだろ。台無しだよこの空気が」
サラッと言葉を発したキョウスケの発言にツッコミを入れたハルト。
シャリタツが放った雰囲気は瞬く間に少し気が抜けていたキョウスケ達に喝を入れたかのように重苦しいものにした。
一時期感じてしまった雰囲気だったがキョウスケが発した発言はそんなシャリタツの言葉に何にも感じていないようなそんな風にも見えた。
言葉を出さなかったがオーリムも口を閉ざしながらも歯を食いしばっている。
そんな中で言葉をひねり出すかのように…
「こっちだ。ここからエリアゼロに通ずる道が出来ている筈。覚悟は…」
「今更聞くか?」
「ふっ…そうだったな」
オーリムについて行く形でキョウスケ達はエリアゼロに飛び立つ形となる。そんな覚悟と決意が入れ混じるキョウスケ達の中でそんな彼らが知らない中で、チャンプルタウンに足を運んだ人物が一人。
その人物は後でキョウスケ達と合流する形になるのだが、当然そのことを今のキョウスケ達全員は知る由もない…
みてくださりありがとうございます。
エリアゼロに入りますが、ちょくちょくふざけは入れていきたいです。よろしくお願いします。