とんでもない馬鹿が世界を巡るそうですよ?   作:命 翼

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お疲れ様です命です。いやあね前書きでちょっとだけ言いますけど…いつもより酷いです。それだけご了承のほどよろしくお願いします。


さあ、ケリつけようか。俺はパーを出す。

「ザンス様そろそろポータウンに着きます」

 

「生憎の雨だな…いやこの辺の地域は雨が多いんだったか」

 

「毎日に等しいでしょう。さ、今部下の者を回しております故」

 

 17番道路南地域に位置する巨大な壁がそびえ立った場所。自家用ジェット機に乗り込みその入り口付近に降り立ったのはザンスとその傍らには彼を慕う無数の配下の者たち。

 

 降下口がセットされザンスは部下に傘を差されながらその場所に降り立つ。この後ポータウンにてスカル団元リーダーグズマとの面談が予定されており、ザンスがその入り口に迫ったその時だった。

 

 息を切らしながらパシャパシャという水音を立てて一人の女性がザンスの名前を高々と叫ぶ。

 

「ザンス様ッ!」

 

「元隊長…!」

 

「追ってきましたか。やれやれ…とんだ厄介な子犬ですね」

 

「ザンス様…ここに不届き者が迫っています!私にそれを始末するチャンスを!どうか!」

 

 そこにやってきたのはリナだった。ザンスに首を切られても尚彼を崇拝し追ってくる姿。部下の者たちは驚きを見せそしてザンス自身は呆れたような反応を見せている。ザンスは大きくため息をリナを見て吐いた。

 

 敢えて誰も手を出さないようにした彼は傘だけを受け取り、ボロボロの彼女に迫っていく。

 

「私はね…お前にそもそも失敗しないことを期待していた。血も涙もないお前に大いに期待を寄せていた」

 

「行けます!大丈夫です!」

 

「リナよ。お前はキョウスケなる人物との待遇で変わってしまった。一つの事にこだわりを見せ始めた。感情が無かったお前がだ」

 

「ザンス様…!」

 

「私の行く先の人生のページにお前は存在しない。消えろゴミクズ」

 

 ザンスの冷たい視線とその言葉は彼女にとっては決定打だった。折角ボロボロになりながらもここまで来た彼女を沈めるには十分すぎる一言。ザンスはその場に膝を付く彼女を無視してそのまま立ち去っていく。

 

 もはや涙は出ても声すら出なかった。その場の地面をただ握りしめるしかない。手だけが薄汚れそして彼女の目から滝のように涙が零れる。どこかで自分は分かっていたのではないのかと自身を攻め立てる。

 

 その場に雨に打たれながらうずくまったリナのボールから出てきたのはカビゴン。彼女の雨戸代わりとなりその隣には彼女のポケモンであるブラッキーが出てくる。彼女はポケモンを見れていないがポケモン達は彼女を見て幸せそうにしている。

 

 そんな中で傘を差しながら歩いてくる数人。リナはゆっくりその方角を見ながら立ち上がる。そこには連絡が入っていた女性とそしてその傍らには…

 

「間に合わなかったみたいだね」

 

「リナ…!」

 

「…笑えよ。私は自分の夢に負けたんだ…生きてる意味なんてもう…」

 

「笑ってどうなるってんだ」

 

「……」

 

 イレイナそしてキョウスケ達一行。ここでリナとキョウスケ達が対面を果たす。キョウスケはリナのもとに一歩歩み寄ると彼女のポケモン達がキョウスケを激しく睨みつける。

 

 リナから多少なりとも理由は聞いているという事。キョウスケはポケモン達を見た後に横目で待っていたレイカ達の方を見て…

 

「わり。先に行っててくれねえか」

 

「でも…」

 

「俺が立ち会う。行ってくれ皆。キョウスケとコイツとの結末を見届ける」

 

「引け目を感じるのも分かるが…行こう。二人共」

 

 イレイナに引き連れられる形でリャフレとレイカがその場から去っていく。キョウスケは傘をニシノに託す。ニシノはびっくりしながらもそれを受け取る。リナは土を思い切り握りしめた。

 

 彼女の手に土がつく。彼女の手には既に血の乾いた跡みたいなのが引っ付いていた。ポケモン達が戻りリナが虚ろな目と乾いた笑みでキョウスケに語り掛ける。

 

「ザンスは私の全てだった…ザンスが私にとって神であり世の中だった…お前が…お前が奪ったんだ!」

 

「ザンスは最初から…お前のその何にも興味を示さない行為を利用していただけだ」

 

「嘘だ!!何の証拠がある!何の確証がある!」

 

「分かるさ。ああいうどす黒い奴は結局自分の手ごまになる奴しか信用しねえ。それか手ごまにする奴を信用させて思うように行かせるかのどちらかだよ」

 

「ふざけるな…ふざけるなッ!」

 

「分かり切っていた答えだったって自分でも気づいている筈だろ」

 

 リナはもう正気じゃない。だがキョウスケの発した言葉の数々はリナの脳にスッと入ってくる。それは幼き日の悪いごとのフラッシュバックのように。かつての後悔のように。

 

 ニシノはその状況をただ見ているしかなくグッと拳を握りしめている。冷静な目つきで見つめてくるキョウスケに対してリナは拳に血を滲ませながら彼に殺意のこもった目を向ける。

 

 ザンスはもう自分の中にはいない。対象の不届き者にも逃げられた。だったら彼女に残っているのはたった一つだった。ボールを出し…

 

「終わらせてやる…何も残らないなら…せめてお前を殺して私の人生を終わらせるッ!」

 

「ミロカロスッ!」

 

 彼女が出してきたのはホロのポケモンではなくクロバット。真っ先に向かって行ったクロバットはキョウスケを直接攻撃しようとしたがミロカロスが尻尾で防ぐ。そこでキョウスケが一言だけ呟く。

 

「来な。この茶番にケリを付けてやる」

 

「クロバット!クロスポイズン!」

 

「ハイドロポンプ!」

 

 一旦距離を取ったクロバットがミロカロスに向かって滑空していく中でミロカロスは口から水流を打ち込んでいくが、地面すれすれでクロバットが回避していくとそのままミロカロスから低い場所から爪を思い切りミロカロスにぶつける。ミロカロスが少しふらつく中でリナは更に手を緩めない。

 

「おんがえし!」

 

「れいとうビーム!」

 

 クロバットが空中からミロカロスに向かって垂直に落下していく中でミロカロスは空中に向かってれいとうビームを打ち込んでいく。オーラに身に纏っていたクロバットはしばらくその氷に耐えていたがクロバットが止まった瞬間に冷気に飲み込まれそのまま爆発した。

 

 クロバットはそのまま落下していくとそのまま戦闘不能に。リナが歯を食いしばる。だがいつもと違うのはニシノも分かっていた。

 

「貴様ァ!」

 

「足掻いて見せろよ…口だけの女がッ!」

 

 彼女のボールから次に出てきたのはライチュウ。ニシノはこの地点で違和感を持った。カビゴンそしてブラッキーと全て懐き進化のみ進化するポケモン。だが本人はそんなことにも目もくれていない。キョウスケの挑発にリナが殺意をさらにきつくする中で…

 

「ライチュウ、10まんボルト!」

 

「ミロカロス、じこさいせい!」

 

 ミロカロスの肌が光り出す中でライチュウの電撃がそのままミロカロスに命中。マヒ状態になりそのまま倒れ込み戦闘不能となった。リナが笑う中でキョウスケが次に繰り出したのは同じ電気タイプであるピカチュウ。

 

「ピカ!」

 

「ライ…!」

 

「しっかりとした構成で挑みやがってポケモントレーナー!」

 

「黙れぇ!ライチュウ、サイコキネシス!」

 

「ピカチュウ、まもるだ!」

 

 ライチュウが放ってきた念力をピカチュウはまもるのバリアを張ることで防ぐとそのままキョウスケは声を張り上げ…

 

「ピカチュウ、スピードスター!」

 

「10まんボルト!」

 

 ピカチュウが星形の弾幕を作り出すとそのままライチュウに向かって蹴っていく。ライチュウはその星を撃ち落していくかのように電撃を発していく。電撃により星が落ちていく中でピカチュウはライチュウの懐に潜り込み…

 

「かみなりパンチ!」

 

「おんがえし!」

 

 ピカチュウの拳とライチュウの拳がぶつかり合って火花を散らしたその時だった。その両者の間が爆発し両者がリナとキョウスケの前に落下。そのまま戦闘不能となった。リナが歯を食いしばる中でキョウスケはピカチュウをボールに戻す。ニシノが思わず息を吞む中でリナは…

 

「何でまだいる…何で私のポケモンより前にいる!何でだ!」

 

「お前の中に既に答えはある筈だ…リナ!」

 

「うるさい…うるさいッ!」

 

「お前がその現実から背けるなら!俺はお前を引き戻してやる!ダチから託されたんだ…絶対ここで見逃さねえ!」

 

「キョウスケ…!」

 

 もうリナと対することはキョウスケのただの気まぐれやリナからの一方的な殺意からではなんかではない。リナの健康を祈りそして敵であるキョウスケに頭を下げたニシノの思いまで入っている。キョウスケの言葉に黙り込み耳を塞ぎこむリナを見てキョウスケが声を張り上げる。

 

「リナ!」

 

「勝手に自分の名前を呼ぶなぁ!」

 

「ちゃんとこっち見れたじゃねえか」

 

「っ!?」

 

「ありったけぶつけてこい!俺もお前の思い全部ぶつけてやる!来い!」

 

 リナはキョウスケの楽しんでそうな目つきに一瞬心が惹かれそうになったがグッと拳を握りしめて深呼吸をすると3つ目のボールからポケモンを取り出す。出てきたポケモンはハピナスだった。

 

 やはりここまで全員懐き進化を経験しているポケモンばかり。キョウスケは必死ながらも何故か笑みがこぼれた。

 

「何がおかしい…何が!」

 

「おかしいんじゃねえ嬉しいんだ」

 

「キョウスケ?」

 

「ポケモンに愛されるほどの存在だったってのがな」

 

「ふざけるなッ!」

 

「ふざけてねぇさ!今その証拠を見せてやらあ!」

 

 ハピナスが睨みながら戦闘態勢に入る中でドスドスとこちらに向かってくる中でキョウスケが繰り出したのはガルーラだった。キョウスケの前に姿を見せたガルーラに対してキョウスケが指示を送る。

 

「ガルーラ!のしかかり!」

 

「ハピナス!タマゴばくだん!」

 

 足元を強く蹴り出しそのまま雨粒を切り裂きながら空中に舞い上がるとそのまま落ちていく。ハピナスは卵を手に持つと全力でガルーラに投げ込んでいくがガルーラが華麗に左右にかわしていき、そしてそのままハピナスに体当たりを食らわし、ハピナスを吹き飛ばした。

 

「ハピナス!」

 

「ガルーラきしかいせい!」

 

「おんがえし!」

 

 着陸しながらハピナスが吹き飛んだのかを確認するとキョウスケがガルーラに指示を飛ばす。ガルーラは体を前に倒してから地面を抉りながら走り出し、あっという間にハピナスを視界に収める。拳を握りしめてハピナスに殴り掛かってきたがハピナスも小さい拳をガルーラの拳とぶつけ激しい火花を散らす。

 

 そして巻き上がった大爆発。ニシノすら吹き飛んでしまいそうだったが、それでも向き合ったガルーラとハピナスはお互い向き合ったまま両者逆の方に倒れ込んだ。

 

「お前は既に答えを得ている筈だリナ!目を覚ませ!お前の見ている悪夢は悪夢じゃない!幻だ!」

 

 

「黙れ…黙れ黙れ!お前なんかに私の…私の何が分かるんだ!お前から始まったんだ!お前から!」

 

 

 心はヤケの状態から少しずつこちらの意見を耳に出来る程に意識が戻ってきている。それだけに説得しようとしているキョウスケの言葉にも熱が増していく。ニシノはその状況をただ拳を握りしめながら見つめることしかできない。

 

 不安そうながらもただ目の前にいるキョウスケを信じて彼に視線を送る。リナは思い切り首を横に振りあくまでこんな感じになったのはキョウスケのせいだと言い張る。

 

 グッと睨みつけリナは4体目ルカリオを出しそしてキョウスケはテッカグヤを場に出した。雨が少しばかり止んできたそのころ。リナを突っ切ってポータウンに突入したイレイナたちはというと…

 

「何なんだこいつらの強さ…!おい!他のメンバーを呼んで来い!」

 

「大きな組織なんだね。数だけはいるようだ」

 

「ねえ…キョウスケ達大丈夫かな…」

 

「心配ないよ。きっと彼はリナという人を救う事が出来る。今はそれを信じよう」

 

「イレイナさん…」

 

 ザンスの手下を大量に蹴散らしながら進んでいく中でそのことに気づいていないのは奥で面談しているザンスとグズマ。だがあまりにも相性が悪いからか話がうまくまとまっていないようだ。

 

 ポータウンではザンスの元に向かうためのイレイナたちの攻防が続く中で、その外ではリナがキョウスケと必死のバトルを展開している。それぞれ場所が違っても置いて来たメンバーを心配する面では一緒。

 

 そして…

 

「そうですか…こちらに交渉の余地はないと。そうおっしゃられるんですね」

 

「テメエの下らねえ作戦のためにスカル団を利用するわけには行かねえからな」

 

「残念です。ではここは大人しく引き上げることにしましょう。丁度邪魔者も入ってきたみたいですし」

 

 中で行われていたスカル団とザンスの間の話。とある作戦に関しての話というのは決裂。ザンスはため息を吐きながらポータウンから去る構えを取る。

 

 スカル団全員が彼に睨みを効かせる中で去り際に静かにニヤリと笑ったザンス。この行動が後にアローラ全体に危機をもたらすとは誰も知らない…

 




前書きがあってもここまで見てくれた方ありがとうございます。
また次回も頑張るのでよろしくお願いします。
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