「サメハダー!きりさく!」
「ヨクバリス防御の構え!」
尾びれを巧みに使い地面を蹴りだしたサメハダーがそのままヨクバリスに向かって行く。サメハダーが向かってきた眼前のタイミングでヨクバリスは両腕を前方に出しサメハダーの攻撃を腕で受け止める。
全く持ってその場から微動だにせずに受けきるとキョウスケはヨクバリスに指示を出した。
「今だ!カウンター!」
キョウスケがそう叫んだ瞬間にハルカはやはりと言わんばかりに笑みを浮かべた。ヨクバリスの拳が向かってくるタイミングでハルカはサメハダーに向かって叫んだ。
「クイックターン!」
「!」
ヨクバリスの拳を間一髪でかわしたサメハダーは攻撃という力の込め方ではなく体でヨクバリスに触れる。その瞬間にサメハダーはハルカの近くに一瞬にして戻りキョウスケは呆気に取られた。リナはあまりのサメハダーの戻るスピードに驚きを隠せずにいた中ヒガナが静かに話し始める。
「クイックターンは必ず先手が取れるタイプの技ではないけど、高速で自分の目の前にまで戻ってくる技。触れなければヨクバリスのカウンターも発動することが無い」
「ハルカはこれを予想して…!」
リナの言葉にヒガナは静かに目を瞑りながらどうだろうねという言葉で返した。だが間違いなくキンセツシティにて喰らったヨクバリスのカウンター対策で入れ込んだ技であるのは間違いない面。発動されてもかわせるほどのスピードを保てばダメージを受けることは一切ない。
今までカウンター対策を練られたことはあったがキョウスケ自身もその場面に出くわしたのは久々。
静かに苦笑いを浮かべ軽く息を吐く。
「ひっさびさに見たなそれ…!だったら!ヨクバリスじしん!」
「対策だけを練っていたと思わないでくださいよ!サメハダー!じしん!」
ヨクバリスが体全体を使って地面を叩き衝撃波を引き起こせばサメハダーも地面に顔面を叩きつけて衝撃波を巻き起こす。地面を這うような感じで放たれた衝撃波は相打ちを起こし爆煙を巻き上げると視界がほぼ見えないような状態に。
必ず動いてくると悟ったキョウスケは敢えて指示は出さずに周りを静かに見渡す。微かに巻き上げられた左側の煙。
キョウスケはヨクバリスに向かって声を張り上げる。
「ヨクバリス!左側に向かってギガインパクト!」
地面を思い切り蹴り上げてオーラを纏いながら左の方へ。向かって行った方角から姿を見せたのがサメハダー。予想は的中した。防御の構えすら取っていないサメハダーに対してヨクバリスのギガインパクトが直撃しそのまま突き飛ばしたかに思われた。
サメハダーは耐え抜き少しよろめきながらもヨクバリスの方を見据える。これで致命傷にならない。キョウスケは何かを悟る。
ハルカの不敵な笑みに変わりはない。
「流石に寝首を掻く隙はありませんか。先手打っておいて良かったです」
「なんてこった…ギガインパクトまで対策が練られているとはな」
「どういうこと?」
「サメハダーの耐久では恐らく今の一撃は耐えられない。でも倒れてない。だったら今の技を受けきった要因は一つしかない」
ボロボロになる代償は負ったがその場に膝を付くヨクバリスは無防備の状態。ギガインパクトは強力な一撃の技の一つではあるが体の力をかなり使い果たすためその後の反動が非常に大きい技。普通に考えたら相手のポケモンが耐えきるのは不可能に近い。
だがサメハダーの覚える技の一つでその一撃を耐えきる技がある。それがこらえるだ。
こらえるを使われたのはキョウスケ自身初めて。流石に焦りの色を隠せなかった。
「言ったはずですよ。対策を練っただけではないと。体力さえ残っていれば幾らでもチャンスはある!じしん!」
サメハダーが再度地面を叩きつけ衝撃波を起こす。無防備であるヨクバリスにこれをかわし切る手段はない。衝撃波がヨクバリスにぶつかりそして爆煙を巻き上げた。煙が巻き上がる中でハルカは指示を出す。
「サメハダー!クイックターン!」
サメハダーは煙の中ツッコんでいき今度は力を込めてヨクバリスにぶつかりに行く。サメハダーが煙を巻き上げたその時にヨクバリスが取っていたのは地面を叩きつけるような仕草。
サメハダーがヨクバリスに突進をかます目の前のタイミングでヨクバリスは地面を叩きつけ衝撃波を巻き上げる。突進してきたサメハダーにこれを防ぐ術はない。
逆に返り討ちのようにハルカの近くにまで吹き飛ばされて戦闘不能に。
「サメハダー!」
「俺のヨクバリス足腰には自信があってな。お前からのじしんを喰らったタイミングでヨクバリスに指示を出しておいた。あんな良いタイミングになるかどうかは分からなかったがな」
「耐えきったって事…!?」
地震を喰らったタイミングでヨクバリスはその場から一切吹き飛ばされずにゆっくりながらも立ち上がり反撃の構えに入っていた。ハルカは耐えきったという事実に驚かせられていたが驚いたのはキョウスケも同じこと。明らかに前キンセツシティと当たった時と別人。
ガリュウ戦以外でしっかりとヨクバリスが追い詰められたというバトルは少なかった。
ハルカは悔しがっていたがキョウスケ自身その成長具合にかなり焦りを積もらせていた。ハルカはサメハダーを戻す。だがヨクバリスも次のポケモンと戦える体力は残っていない。キョウスケもヨクバリスをボールに戻す。
「らしくない」
「ヒガナ?」
「キョウスケ自身にキンセツシティの時みたいな余裕が感じられない。いや…余裕にさせてもらっていないが正解かもしれないわね」
「行くよチルタリス!」
「レックウザ!」
キョウスケが繰り出したのは最後の一体であるレックウザそしてハルカはチルタリス。前回はここにオオスバメがいたがメンバーを若干変更している。ヒガナから見てもキョウスケが明らかに焦っているのが分かった。表情自体は変えていないが冷や汗がさっきから止まっていない。
「どんな訓練受けてきたんだお前…明らかに別人じゃねえか」
「ここに来るまで少ししかありませんでしたが技の構成とか出すタイミングを私なりに洗い出した結果です」
「なるほどな。俺は調子に乗っていたかもしれないな…」
キョウスケはハルカの言葉に対して言い切ると両頬をパンと叩き気合を入れ直した。大きく息を吐き…
「邪念は消した。ここから甘えた俺を見ると思うなよ」
「いい目をしてくれた。そんな姿をさせたかったから頑張った甲斐があります!」
キョウスケはレックウザと目を合わし目を瞑った。するとレックウザの体が光り出し肌が黒色に変化しメガシンカした状態となった。ハルカも笑みを浮かべるとリボンを触れチルタリスがそれを見て声を上げる。そして光った後にメガシンカの姿となった。
「ただの道路でやるバトルかよ本当に…!」
「レックウザりゅうのはどう!」
「ぎんいろのかぜ!」
メガシンカ同士のぶつかり合いに思わずヒガナが苦笑いを浮かべる中でレックウザがチルタリスに向かって波動を撃ち込むがすり抜けていきそしてチルタリスが巻き上げた風がレックウザに向かって行く。
「レックウザ!さらに上へ!」
「チルタリスりゅうのはどう!」
レックウザが猛スピードで今いる地点からさらに上に上がっていくとチルタリスが波動をレックウザに向かって放って行く。だがレックウザに技が命中せずにレックウザは上の方からチルタリスを見据える。
「きあいだま!」
「はじき返すよチルタリス!じゃれつく!」
レックウザから放たれた玉をチルタリスは翼を使ってはじき返しレックウザははじき返された球をかわし一瞬にしてチルタリスの真下へ。
「ガリョウテンセイ!」
「コットンガード!」
チルタリスのいる場所の真下から突き上げるかのようにレックウザが突進していく。チルタリスは翼を前にして防ぎにかかったが間に合わずに思い切り頭上に吹き飛ばされると翼を羽ばたかせて踏ん張り切る。
「ぎんいろのかぜ!」
「もう一回行くぞレックウザ!ガリョウテンセイ!」
翼を羽ばたかせて再度風を吹き込んでいく中でレックウザはその風の中を突っ切りチルタリスの目の前へ。
「じゃれつく!」
「押し切れ!」
チルタリスは体にオーラを身に纏いそのままレックウザに突進しレックウザもチルタリスにぶつかり合う。激しい火花が散る中で爆風を噴き上げながら煙が見守っていたヒガナ達の方にも達する。
ヒガナが煙を防ぐために前にやっていた腕を下ろすと依然と火花を散らし合いながらぶつかっていくレックウザとチルタリスの姿。
だが両者ともにゆっくりと落下していくとそのまま地面に落ちそのまま戦闘不能となった。
「ふ、吹き飛ばされると思った…!」
「何の騒ぎかと思ったらバトルしていたのかよお前ら!ミサイルみたいな音がどんどんするから狙われてると思ったぜ」
「あ、いたんだアナタ」
「あんな中帰れる方が凄いっての」
リナが思わず一息吐きそしてそんなヒガナとリナの元に先ほど大木の方で会っていたギリーが慌てた様子で二人に近づいて来た。ヒガナの思わぬ一言に一瞬ショックを受けた素振りを見せたギリーだったが思わず首を振り説明した。
キョウスケ、ハルカ共にチルタリスとレックウザをボールに戻しお互いを見合わせる。
「また私の負けですね。次は負けませんから!」
「どんだけ強くなる気だよお前…流石の俺でも焦ったぜ」
「もちろんチャンピオンになるまで!」
苦笑いを浮かべるキョウスケと満面の笑みのハルカ。両方がバトルの健闘をたたえ合うかのように握手を交わす。そんな二人の元にヒガナとリナそしてやってきていたギリーが近づいて行く。
「どんなバトルしているんだ二人共!この場が吹き飛ばされると思ったぜ!」
「あれアンタもいたんだ」
「どんだけすぐに帰ったと思われているんだよ!」
キョウスケからも似たような反応にギリーが若干怒り心頭でキョウスケにツッコミ返す中でその傍らでハルカが笑みを浮かべる。
「道路でメガシンカバトルって張り切り過ぎだお前ら」
「いやあ…負けたくなくてな。てかコットンガードを通されていたら負けていたし」
「ええ!?そうだったんですか!?」
「いやいや…あれで気づいていない訳ないだろ」
ヒガナからの一言に苦笑いを浮かべながら言うキョウスケに対してハルカが驚いた様子でキョウスケを見つめる。本気で悔しがるハルカに対してキョウスケは若干引いたような目で彼女を見つめる。ヒガナはそれに溜息を吐く。
「とりあえずもう夕方だしどこか泊まれる場所見つけようよ。これじゃ私達野宿だよ」
「え!?そんなにやってたのか俺達!?」
「それなら話が早い!そこの秘密基地で泊っていくといい!」
「ちなみにシャワーは…」
「ある訳ないだろ秘密基地舐めんな」
日差しが隠れようとしている時間帯になっていたのを見てキョウスケが驚いた反応を見せる中でギリーが自信満々に大木の方を指さす。
ハルカが苦笑いを浮かべながら恐る恐る質問したがキョウスケが真顔で呟きハルカが下を向いたのを見てヒガナがキョウスケの頭にチョップを入れる。
「いた!な、何をするんだぁ!許さん!」
「そんなバッサリ言うな。年頃の娘だぞ」
「俺だって年頃ですぅー!」
「それじゃ俺はそろそろ帰るぜ!」
「あんたいたんだ」
ギリーが秘密基地を託して去ろうとしたその時だった。またしてもキョウスケから一言言われ思わず帽子を投げ出して今さっき話していただろとツッコミ返す。
思い切りため息を吐いた後にその場から若干引きつった笑みと帽子を付け直して去っていく。取り残されたキョウスケ達だが…
「私自転車あるんですけどどこに仕舞ったらいいですかね?」
「ああ…そういえばそうだった。多分秘密基地に止められるだろ…」
そう聞いたハルカだったがキョウスケが返答している間にバッグに詰め込んでいたがキョウスケは空を見た後に…
「空が青いなぁ…」
「それで済むかぁ」
無かったことにしようとしているキョウスケにヒガナが小さく一言呟く。リナもハルカの方を見ようとしたがキョウスケに視界を防がれる。驚きなのはハルカが今までこの事を不思議がらずに平然とやっていたという事。
ハルカは不思議そうにキョウスケ達を見たが視界を防がれているリナ以外の二人は何にもないと言わんばかりに首を横に振る。
「そ、そうだ!お前なんか飯持っていないか?」
「缶詰」
「即答すんなよ…」
この後秘密基地で泊まっている最中で見知らぬおばあちゃんに強引に秘密基地から引っ張り出されその自宅に強引に泊まらさせられることとなるのだがそれはあまり触れなくていい話…
いやあ…上手く書きたい…書きたいですな。
こう見えても努力はしてます。
という事で見てくださりありがとうございます。
またよろしくお願いします。