この地域にしては珍しい晴れ渡る空の元1人の少女がモンスターボールを太陽に重ねるようにして掲げる。一瞬は覆い隠せていてもまた一瞬でその太陽からの光が自分の目に差し込んでくる。光による痛さで一瞬で目を瞑った少女は両目を軽く抑えながらニヤリと笑みを浮かべる。
「眩しいなあ。雨ばっかり降るこの地域でさえ太陽を出させてしまうんだ」
少女は掲げていたモンスターボールを軽くグッと握りしめる。今から対峙する人物はきっと自分が本気で来ようとしている事なんて容易で把握している筈。眼前にある天気研究所の扉がゆっくりと開いていく。
そこから現れたのはキョウスケ、ヒガナそしてリナの3人。少女は改めて笑みを浮かべると力強くキョウスケを見つめ…
「待っていましたよキョウスケさん。随分長くに感じてしまう程に」
「てめぇこんなところにまで…ストーカーかよ」
「追いかけますよ。何故なら貴方が私にとって超える対象だから」
キョウスケ達を見据えていたのはヒマワキシティにて待機していたハルカ。元々言葉は力強い彼女ではあったがこの日は雰囲気丸ごと違うようなそんな気配が漂っていた。その雰囲気の違いは言葉を発しようとしていたリナをヒガナが止めたぐらいだ。
今ハルカにはキョウスケしか見えていない。そう確信出来るぐらいにはその目は違っていた。
ハルカはとあるケースをキョウスケに向かって放り投げる。それをキョウスケが受け取り、ケースを開けるとそこには8つ全て揃ったバッジが光り輝いていた。
「8つ全て…!!いつのまに!?」
「私!!ホウエンチャンピオンになりに行きます!きっと自由を愛する貴方は違う目標がある筈。キョウスケさん!ポケモントレーナーハルカとしての決別の勝負付き合ってくれますよね!」
「…リナ、ヒガナ。後ろ下がってろ。見てる側は危険な勝負になる」
「キョウスケ…分かった」
これまで彼女を見ていた中での1番じゃないかと感じるぐらいの気迫と声量。本気だ。ただそれを感じ取ったキョウスケはヒガナとリナを天気研究所の方に下がらせるとキョウスケはモンスターボールを構える。
ハルカは静かに笑みを浮かべた後に誰にも聞こえないそんな声量で、ありがとうございますと呟き表情をグッと険しく引き締め直す。
「手加減はなしでお願いします!キョウスケさん!」
「こないだの負け紛いの件もある…あの頃とは別人だろうが。こっちも全力で行かせてもらうぜ!」
力強く言葉を発した両者。雨が一年中降ると言われている119番道路にて照らされた太陽が両者を照らし、そしてその光を浴びつつキョウスケはボールからカクレオンを繰り出しそしてハルカが繰り出したのはプクリンだった。
ボールからポケモンが現れた瞬間に見ていたリナが少しの緊張で過呼吸気味になる中、ヒガナはそんな彼女を支えながらこの1戦を見逃すまいと視線を送る。
「初陣だカクレオン…!全力で行くぜであいかしら!」
「プクリン、ねがいごと!!」
キョウスケの指示からカクレオンが地面を思い切り蹴り出すと、そのまま一瞬にしてプクリンに迫っていく中でカクレオンの爪が思い切りプクリンの身体を切り裂き、プクリンは足場少し抉ったが何とか踏ん張り込みその後に空を見上げながら声を発した。
「ねがいごと?」
「ねがいごとは1分後に傷を回復させる技…!」
「リフレクター!!」
「やらせるか!カクレオン、いやなおと!」
ハルカが指示した事に対してキョウスケはカクレオンに指示を出す。カクレオンは思い切り舌を出しながら、耳を塞いでしまいそうなそんな音を発してプクリンの技出しを中断。だがこの両技が終わったタイミングでプクリンの傷がねがいごとにより回復。
跡形もなく消え去ったのを見てキョウスケはカクレオンを一旦ボールに戻す。
そこで繰り出したのはエアームドだった。
「カクレオンにはもっといい役者がいると思ってな」
「じゃあ私はこのままで…いい役者を演じて見せましょう!」
「行くぜ…はがねのつばさ!!」
「リフレクター!!」
「技を出されても…!?」
エアームドが足元を強く蹴り出しプクリンに向かっていく最中、プクリンはリフレクターを展開。プクリンにエアームドの翼は命中しそのまま軽めに吹き飛ばされたのだが、ダメージが軽減されているからか余裕のある様子。
「耐久戦か…だったら…ダブルウィング!!」
「ひかりのかべ!」
「嘘だろあのプクリン…完全なるサポート型ってか!?」
プクリンの周りにリフレクターとは違うもう一つの壁が作り込まれる中で、エアームドはプクリンに接近すると両翼を光らせてプクリンを叩きつけていく。叩かれて少しふらつく素振りもあったように見えたプクリンだったがただ食らっただけの軽傷のようにも感じる。
「く…なんて奴…!戻れエアームド!」
「らしくないですねキョウスケさん。戦法、疑っている状態ですか?」
「バトルってのは計算内だとつまんねえだろうがよ…久々にゾクゾクしやがる…!」
エアームドを引っ込めて繰り出したのは1体目に繰り出していたカクレオンだった。このプクリンここまでリフレクター、ひかりのかべ、ねがいごとと3つしか使ってきてない。必ず攻める技もある筈。普段頭を回していないキョウスケなだけにゾクゾクとした気持ちが止まらなかった。
「プクリン、ねがいごと!」
「カクレオン、かわらわり!あの壁割ってこい!!」
プクリンが軽く天を見上げながら声を発したその時。カクレオンがプクリンに向かって急接近に成功すると、カクレオンが手刀でリフレクターとひかりのかべを一刀両断し、プクリンに向かってのダメージ軽減が無くなる中でキョウスケが賭けに出る。
「一気に行くぞカクレオン!!ギガインパクトッ!!」
「もうタイプ変更はさせない!マジカルシャイン!」
「マジカルシャイン!?」
3枚の手札を散々見せつけていた中でのラストピース。カクレオンの特性は変幻自在のため、そのタイプはかくとうタイプ。ダメージを思い切り付かれるという意味だ。だがそうくるだろうとキョウスケは覚悟の上でのカクレオンに対しての指示。
プクリンから広範囲に放たれた衝撃波がカクレオンにも命中する中でカクレオンは身体にオーラを纏わせ、そのまま突進。バリアを全て破壊されたプクリンの腹部に直撃するとそのタイミングでプクリンのねがいごとによる傷回復が行われてしまい、プクリンは吹き飛ばされたがねがいごとの影響で追い詰める事は出来ず。
そしてカクレオンはそれなりのダメージが蓄積されている。
「不利だな…打開できる手立てがないようにも感じる…」
「今の耐え切るかよ…クソが…」
「こんなもんじゃない…もっともっと受け止めてもらいますよキョウスケさん…!」
ダメージがそれなりに蓄積されているカクレオンに対して、ねがいごとの効果もあり瀕死級のダメージをどうにかダメージの少々の蓄積によって耐え切って見せたプクリン。徹底的に耐久で割り切ってきたプクリンに対してさすがに荷が重いようにも感じるが…
「カクレオン、いやなおと!」
「2度も同じ手は…!!プクリン!マジカルシャイン!」
カクレオンが発し始めた嫌な音に対してプクリンは衝撃波を放とうとした最中に耳に入ってしまい、歯を食いしばりながらも衝撃波を打ち込んでいく。音を発しながらで回避行動を取れる筈がなく、マジカルシャインを直撃。カクレオンはその場から軽くながら吹き飛ばされた。
「プクリン!ねがいごと!」
「ここだカクレオン!ギガインパクト!!」
「嘘!?さっき技直撃食らったばっかりだよね!?」
プクリンのマジカルシャインをまともに食らった後にキョウスケはカクレオンに対して指示を出す。プクリンが軽く天を見上げたそのタイミングだった。カクレオンはオーラを身にまとい足元を強く蹴り出しそのままプクリンの元に接近する。
「プクリン、リフレクター!!」
「押し切れッ!!」
カクレオンの一撃が再度プクリンに命中し吹き飛ばしたと同時にカクレオンは力尽きたかのようにその場に倒れ込む。そして吹き飛ばされたプクリンもまた地面に叩きつけられた瞬間に戦闘不能。ダブルノックアウトによる引き分け。だがこれでもまた1体目。カクレオンを労ったキョウスケは2体目としてエアームドを繰り出す。そしてハルカはラフレシアを繰り出した。
「ラフレシア!?」
「相性的には圧倒的に不利のようにも感じるけど…」
「わざわざ不利な奴を出してくるぐらいだ。絶対何かある…エアームド警戒しながら行くぞ!」
(やっぱり油断しなかったか。でも私にはこの体面を乗り切る策があるんです)
ヒガナとリナは驚きを隠せなかった。何故ならラフレシアのくさ・どくタイプはどちらもエアームドには無効だからだ。だがハルカが見せていた笑みを見てキョウスケは改めて気を引き締めた。必ず何かあると。静かに深呼吸をしたキョウスケはエアームドに指示を出す。
「エアームド、ダブルウィング!」
「にほんばれ!」
その場から地面を蹴り出しそのまま一気にラフレシアの方に滑空していったエアームドに対してラフレシアは天に手を掲げると日差しが更に強くなり一瞬にして汗ばんでくるほどに。接近したエアームドはラフレシアに翼を2回当てラフレシアの態勢を崩させに掛かると、ラフレシアが立ち直した瞬間にハルカが指示を出す。
「今だ!ウェザーボール!」
「こいつが狙いか!ダブルウィング!消させに行く!」
ラフレシアが息を思い切り吸い込むと口から気弾のようなものを出しエアームドに向かって放って行く。何を狙っていたか分かったキョウスケはもう一度同じ指示で消させに掛かったが、エアームドの羽根がボールに触れた瞬間に爆発。
予想していた事態ではあったが流石のキョウスケも歯を食いしばる。爆煙が舞いながらもキョウスケの近くに着陸したエアームド。キョウスケの方を見て大丈夫そうに頷く。
「どういう事…あの爆発…!」
「ウェザーボールはフィールドの天気によってタイプが変わる技…!雪はこおり…雨は水そして砂嵐の時はいわ。そして晴れの時は炎」
「この体面は最初からそれに気づいて…!」
「そうだろうね…こういう場面もアイツの頭で既に想像していた…!」
「流石に仕留め切れませんでしたか。でもプレッシャーにはなったはずですよ」
プクリンのダメージを大幅に受けることを想像した「ねがいごと」そして2匹目ラフレシアの徹底的にひこうタイプとはがねタイプを対策しているとしか考えられない「ウェザーボール」これにはさすがのキョウスケも息を吞むしかなかった。
幸いだったのがまだエアームドが無事なこと。だったら早々に決着を付けるしかない。
「小細工している暇はねえ…!エアームドダブルウィング!」
「もう1回行くよラフレシア!ウェザーボール!」
エアームドが足元を蹴り出して空を飛ぶとそのままもう1回気弾を吐き出しているラフレシアに向かって突撃。滑空しながらエアームドはウェザーボールを間一髪のタイミングでかわすとそのままラフレシアに翼を当ててラフレシアを吹き飛ばす。だがラフレシアが手を若干自分の方に寄せるとウェザーボールはエアームドの方に戻ってきた。
これにはさすがのキョウスケも驚かせられそしてラフレシアの目の前で再びウェザーボールは爆発。
爆煙がキョウスケとハルカの視界すら阻む中でその煙が晴れると…
「今の爆発…恐らく…!」
「ああ…ラフレシアも直撃を喰らったはず…」
ヒガナとリナの推察通りそこに倒れ込んでいたのは先程まで争っていたエアームドとラフレシアの姿。2体目もダブルノックアウト。この結果を目の当たりにしたキョウスケは息を吞みそしてハルカは笑みを浮かべる。両者ボールにポケモンを戻して3体目。
繰り出したポケモンはキョウスケがラティアスそしてハルカがボーマンダという600族のドラゴンと準伝説ポケモンである2体のぶつかり合いとなった。そしてこれがラティアスにとっては初陣となる。
「とんでもない場面での初陣で済まねえなラティアス…!頼む!」
「キュワ!」
「ここで畳みかけるよボーマンダ!」
「グウ!」
見ているヒガナやリナが息を吞む中で繰り広げられるハルカ対キョウスケのバトル。息詰まる攻防の中で両者は既に3体目。既に119番道路という舞台で繰り広げるそんなバトルではなくリーグでも繰り広げられてもおかしくないぐらいのレベル。
お互いのポケモンを両者見据えながらただ一心にこのバトルを勝つことだけを考えていた…
見てくださりありがとうございます。夏バテ中ですがこれからも頑張ります。