「はぁ……また仕事か」
とある高層ビルの屋上……そこに黒色のボサボサ髪の青年が懐中時計のようなものをイジりながら街灯りで照らされた街を眺めながらそう呟いた。
「やれやれ、閻魔様も人使いが荒いな」
自身の上司に対して文句を呟くと先程までいじっていた懐中時計をポケットにしまい、黒色のフードを深く被ると立ち上がった。
「さて……さっさとしないとあの人がうるさいし行くとするか」
上司の説教を受けたくない青年は今まで居た高層ビルから飛び降りるとそのまま闇の中に消えていった。
「ようやく手に入る……あのヒロインを俺のものにすれば俺のハーレムは完成する!」
女性が帰る姿を遠くから眺める男性はゲスな笑みを浮かべながらそう叫ぶ。彼は前世で死に神によってこの世界に転生した存在なのだが、自分がこの世界の主人公だと錯覚し主人公のヒロインや様々な女性を強姦し自分のものにしていた。そして、今もヒロインを自分のものにしようと後をつけているのである。
「この世界で俺に敵う奴なんていない!俺のパラダイスだァ!!」
「酷い考えをしているな〜」
「ッ!」
行動に移そうとした瞬間、背後から声が聞こえバッと振り向くとそこにはフードを深く被り顔を隠した青年が立っていた。
青年が放つ不思議な雰囲気に男性は冷や汗をかきながら青年が誰なのか聞いた。
「な、なんだよお前!一体俺になんの用だよ!」
「村上 太一……」
「ッ!」
青年が呟いた名前に男性は更に冷や汗をかいた。その名前は前世での自身の名前でありこれを知っている存在は自分以外いないはず……なのに何故、フードを被っている青年は知っているのか分からず困惑する。
「転生してから色々しているようだな〜脅迫に殺害、誘拐、強姦、催眠……最低野郎だなお前」
「ッ!だからお前は誰なんだよ!俺の前世の名前を知っていたり!俺と同じ転生者なのか!」
「ちげぇよ……俺は閻魔様にアンタの魂を回収するように頼まれた使いだよ」
男性の言葉に対しフードの青年はフードを取りながらそういう。フードが取られると今まで隠れていた顔が顕になり、鋭い目つきが男性を睨みつけていた。
「閻魔の使いだと……!?」
「そっ……世界をめちゃくちゃにして犯罪行為ばかりする君に閻魔様は怒って俺に魂の回収を頼んだんだよ」
「なっ!?」
青年の言葉に驚く男性を他所に青年はポケットから懐中時計のようなアイテムを取り出すと懐中時計のボタンを押し、起動させた。
バールクス!
懐中時計からそのような音声が鳴り響くと青年の腰に白色の機械時計のようなベルトが出現し、巻き付いた。青年はそれに対し気にすることなく起動させた懐中時計をベルトの右側に装填した。
すると青年の後ろ側に巨大な時計が出現し、青年は手を内側に向け、一度空へ手を伸ばし、また下に持ってくる。
「変身!」
RIDER TIME!
仮面ライダー!バールクス!
全身に金色の歯車のような意匠があり、深緑の胸部アーマーには革バンドを模したパーツが2つ巻かれ、複眼に赤い文字のカタカナでライダーと刻まれた戦士、時の管理者『仮面ライダーバールクス』に青年は変身したのだ。
「なっ!?仮面ライダーだと!?」
青年が仮面ライダーに変身したことに男性は驚きを隠せずにいた。確かに自分には特典という力がある……しかし、仮面ライダーを倒すことが出来るかというと絶対に不可能だ。それを十分に理解している男性は震えが止まらなかった。
「さっさと終わらせるか……そうしないと閻魔様に叱られるからな」
「ま、待ってくれ!催眠して俺のハーレムに入れていたヒロイン達は解放する!それにもう人殺しはしないから!ここは見逃してくれ!」
ジリジリとゆっくり近づいてくるバールクスに土下座をし、命乞いをする。しかし、バールクスは足を止めることなく男性に近づき、見下ろした。
「そうやって命乞いをしてきた人達を見逃したか?お前に無理やり犯された人達の声を聞き入れてきたか?」
「そ、それは……だけどこれからは心を入れ替えて!」
「もう遅いんだよ。閻魔様がお前の魂を回収しろって言ったことでお前に拒否権はもうないんだよ」
男性の命乞いに対し聞く耳を持たないバールクスはドライバーに手をかけた。死という恐怖に押しつぶされた男性は震える足で起き上がるとそのまま一目散にバールクスから逃げ始めた。
「嫌だ!俺はまだハーレムも完成させてないのに!こんなところで死にたくないんだぁぁぁぁ!」
「結局それかよ……」
男性の叫びにバールクスは呆れながらベルトにセットされている懐中時計のスイッチを再び押した。
フィニッシュタイム!!
そしてドライバーの上にあるボタンを押しロックを解除し、ドライバーを一回転させる。
バールクス!タイムブレーク!
紅いエネルギーを足先に集中させ、上空に跳ぶと逃げている男性に向け跳び回し蹴りを叩き込んだ。
「ハァァァァァ!!」
「あああああああああっ!!!」
逃げていた男性はバールクスの飛び回し蹴りをまともに受けて爆発四散した。爆発する中、バールクスはカードケースからブランク状態の一枚のカードを取り出し、爆発した場所に向かって投げた。
投げられたカードは男性の魂と特典を回収し、バールクスの元に戻って行った。
「はぁ……」
特典と男性の魂を回収した青年はバールクスの変身を解除すると、スマホを取り出して自身の上司である閻魔に連絡する。
「……あ、閻魔様?頼まれた特典と魂を回収したぞ」
『早いですね。流石は死神と呼ばれる存在ですね』
「お世辞どうも。どうせ浄玻璃の鏡とかで覗いていたでしょ?」
『えぇ、貴方が小町のようにサボらないか監視していましたよ。サボっていた場合は問答無用で説教をしていましたね』
「説教は勘弁して欲しいですね〜それじゃあ世界の修正お願いします」
『わかりました。では、こちらに戻ってきてくだい』
「へぇーい……」
通話を終了した青年はスマホをしまうと、先程のバールクスとは違う懐中時計を取り出すとスイッチを押し、起動させた。
ネガ電王!
懐中時計の音声と共に、低い音楽がどこからともなく鳴り響き暗闇に染まった空から紫色の電車『ネガデンライナー』が線路を引き、収納しながら地面に向かい速度を落としながら青年の前に停車した。
「ん〜!次は休みが欲しいな」
そうぼやきながら青年……『黒影 侑也』はネガデンライナーに乗り込み閻魔『四季映姫・ヤマザナドゥ』がいる地獄に向かって動き出した。
これは地獄の閻魔の使いである『黒影 侑也』が闇の戦士たち『ダークライダー』の力を使い、閻魔に頼まれた転生者の魂を回収したり、原作に介入したりと様々な面倒事に巻き込まれる物語である。