輪廻
「もう・・・何回目だ?」
眠るように今居た世界と別れを告げる青年。そしてさっきまで居た世界がまるで夢だったかのようにまた青年は木の下で目を覚ます。
「まったく・・・今度は何処からだ?」
少しめんどくさそうに青年は起き上がる。まだ暗い夜中である。
「まだ夜かよ・・・めんどくせー・・・」
とても嫌そうな顔で夜空を見上げる青年。一本縛りの銀の髪、黄金の瞳、左頬の傷に、不恰好な右腕の甲冑。青年の特徴を挙げるとしたら、これぐらいだろう。
「・・・文句言ってても始まんねーし、とりあえずこっから動くか」
そう言い一人で納得した様子で青年は荷物を手に持ち森の中を歩き始める。
歩き始めたのはいいが、青年は困っていた。歩くのではなく、全力で走らなければいけなくなったのだ。
「やばいな、捕まったら面倒だ」
そうぶつぶつ呟きながら走る青年の後ろには、東洋の侍に似た衣服を着用した男三人であった。三人とも片手には火がついた松明を持っている。
「待て!今度こそ国に連れ戻すからな!ランティス!」
男の一人が元はその国に居たであろう青年を連れ戻すためにその名を呼ぶ。
「うるせー!しつこいんだよおまえらぁ!」
ランティスと呼ばれたその青年は出せる限りの大声で叫ぶ。今あの男共に捕まったら、言葉通り国に連れ戻されてしまうのだ。
「俺にはやんなきゃいけねぇ事があるんだよ!」
そう言いながら青年ランティスは振り向いて足元の倒木を勢いよく蹴る。その流木はきれいに吹き飛び、三人の内二人を巻き込んで森の奥へと消えてゆく。残った一人がそれに気を取られている隙にランティスは脱兎の如くその場を後にする。その瞬間の男の「逃げるなあぁぁあ!!」という叫び声はランティスの耳にとてもよく響いた。
「しつこすぎだろ・・・」
元々大国の騎士だったランティスはある事情で国を抜け出した。国の中では凄腕の騎士の一人だったので国の兵は混乱、国王もこのままじゃまずいと判断して彼の捜索することにした。
そして森で偶然国の兵に見つかり今に至る。
「今回は前途多難だな・・・」
ランティスはため息を吐く。目的を果たすためとはいえ今回はあまりにも障害がありすぎなんじゃないかと考え頭を抱える。
「ま、今回が初めてな訳じゃねぇけどよ」
もう慣れた、と言わんばかりにランティスは苦笑いをする。
普通に考えたら一般人とは色々違う特徴を持つランティスだが、それを遥かに超える特徴を持つ。それは人生を繰り返していることだ。自分が死ぬ、もしくは目的を果せなかった時、彼の中でその人生は終わり、そして新しい人生が始まる。
と、言っても生まれる所から始まるのではなく、正確には彼が目的を果す前の時間に飛ばされるというのが正しい言い方だ。それだと人生を繰り返すという表現もおかしく見えるが、時間以外は殆ど前に居た世界と変わってしまう。つまり、彼は人生を繰り返す度にパラレルワールドに飛ばされてしまうのだ。
彼の繰り返した人生は現在17回。友の皮を被った外道を斬ったこともあれば、一国の姫君に想いをぶつけられたこともあった。だが、その繰り返した人生の中で一度も彼は目的を果せていなかった。
「さて・・・行くか」
今度こそはと心中で誰かに誓い、もう一度彼は歩き始める。夜空の月はまるで彼を歓迎するかのように美しく輝いていた。
初投稿です。
今までは >そっとしておこう。 状態だったんですが・・・。
他の人の小説を読んで好奇心が湧き上がり気づいたら投稿してました。
野生の本能(?)には逆らえないよね☆
すみませんでした。首切って侘びますo/rz