17回目の人生、ランティスは今度こそ目的を果す為に世界中を巡った。それまでに巡った彼の人生は、全て失敗で終わっていた。
彼の目的はたった一つ、一人の少女を守りたい。ただそれだけだった。
「たとえ守り続けられたとしても、これを知ったら俺はあいつに嫌われるんだろうな」
独り言を呟くランティス。その彼の影は不気味に蠢いており、それは今のランティスがもう人とは呼べない存在になっていることを意味していた。
彼が最初に人生を繰り返し始めたのは15才の夜だった。12才で剣の才能を開花させ、彼の故郷では最年少で騎士になり、大人の騎士でも当時の彼にとっては敵ではなく、騎士団の中でも騎士団長や将軍ですら勝てない程の強さを持っていた。
彼には想いを寄せていた同い年の少女がいた。二人とも互いに両親がいない孤児で、小さな孤児院で暮らしていた。その孤児院ではランティスは子供とは思えない程の無愛想な少年で一部を除いて彼に近付く者は誰もいなかった。そんな彼に最初に話し掛けてきたのがその少女である。
騎士としてその少女を守り続けて三年、世界に魔王が降り立った。その魔王は世界を支配する為に、配下の悪魔を引き連れ進撃を始めた。
人間達は何もできずに悪魔共に殺された。辛うじて生き長らえたランティスは唖然とした。何も残っていない。国も、帰る場所も、守るべき者も。
「――――ッ!!」
声にならない叫び声が響く。何もできなかった自身の無力への怒り、失望、後悔が入り混じった慟哭。それと供に流れる涙は、涸れるまで流れる続けた。
「酷い惨状ね」
涙も涸れ声も殆ど出なくなったランティスに誰かが話しかける。彼が振り向くと、そこには黒い喪服に似た服を着た黒髪の少女だった。
「誰だよお前・・・」
その少女に見覚えのないランティスはしゃがれた声でそう吐き捨てる。
「名乗る名なんてもってないわ。まぁ人にはよく『黒猫』と呼ばれるわね」
黒猫と名乗った少女の頭には、名前の通り猫耳があった。
「で、その黒猫さんが何の用だよ」
ランティスは失意により濁りきった目で黒猫を睨む。
「別に、たまたま生き残った悪運の強い男がいたから気まぐれに話しかけただけよ」
「それだけなら・・・消えろ、目障りだ」
それだけならもう話すことはないと言わんばかりに目を背けようとしたランティスに、黒猫はまだ話は終わってないと言い彼を止める。
「あなたが望むなら・・・」
「望む?今更何を望めばいいんだよ?」
もう全てを失ったランティスに、望むものなんて何もなかった。黒猫の次の言葉を聞くまでは。
「やり直させてあげるわ。あなたのその人生を」
「・・・なに?」
あまりにも常識からかけ離れたその一言にランティスは自分の耳を疑う。自分の耳が正常なら人生をやり直させてやると、目の前の少女、黒猫は言ったのだ。
「冗談はその耳だけにしとけ」
「失礼ね、好きでこんな耳してる訳じゃないのよ」
黒猫は少し不満そうな顔で言う。
「やり直させるとは言っても、正確にはあなたをこの日より前の時間軸に飛ばす・・・が正しいわね」
「今の俺をこの日より前にの日に飛ばす・・・って解釈でいいのか?」
「ええそうね。その時間軸では当時のあなたは消えるというのも、付け加えとくわ」
「少なくとも飛ばされた世界で当時の俺と鉢合わせはありえないってことか」
一つずつ確認の為に独り言を呟き続けるランティス。その目は消えた筈の希望で輝いていた。
ランティスはその人生を繰り返すことについて黒猫から色々聞き続けた。そもそも人生をやり直すなんて笑い話にもならない世迷言を、彼は信じた。それに縋ってでも、彼には守りたい人が居た。そのためならば、彼は悪魔に魂を売ることも躊躇わないだろう。
話を聞いた上で繰り返す事を決意したランティス。その目には、今度こそは守り抜こうという、強い意志があった。黒猫はそんな彼に告げる
「もういいかしら?そろそろここにも残党狩りの悪魔が来る」
「あぁ悪い、もう少し待ってくれないか?」
そう言いランティスは手に持っていた純白の大剣を地面に突き刺す。
「あら、いいの?あなたの愛剣でしょう?」
「いいんだ、どっちにしろ俺が持つ資格はもうない」
「・・・そう、ならもう飛ばすわよ?」
「・・・あぁ、そうしてくれ」
月を見上げながらゆっくりと歩き続けるランティス。彼の影は相変わらず不気味に蠢いている。
「今度こそは絶対に守ってやる、だから待ってろよ、ロイ」
はい、どうもreidです。('A`)/
二話目にしてストーリーが全然進まない・・・腹でも切ろうかしら?
まぁ冗談はさておき、あえて言っておくと次の話でランティス君の繰り返した回数がドッと増えます(ネタバレだって?聞こえんなぁ~?)そして最後に・・・
投稿遅れてすんませんした!!(誰も待ってないって?知ってるよそんなの)