異世界から帰還したら、変な化け物が闊歩する日本だったんですけど、これってどういうことですか!?   作:火星で1,000往復

29 / 49
組長会議の場面になります。


27話

 

 魔防隊五番組寮へ銀髪オッドアイと呼ばれている人型醜鬼と目される正体不明の敵生体が醜鬼の群れを使って襲撃を仕掛けてきた時より、少し時間を遡る。

 

 各魔防隊の組の中で最大規模の十番組。

 その十番組の魔都側における拠点であり、そして魔防隊の総本部である建物に、この日9人の各魔防隊組長たちが組長会議に出席するため集まっていた。

 

 一番組組長──冥加(みょうが)りう。

 二番組組長──上運天(かみうんてん) 美羅(みら)

 三番組組長──月夜野(つきよの) ベル。

 五番組組長──蝦夷(えぞ) 夜雲(やくも)

 六番組組長──出雲(いずも) 天花(てんか)

 七番組組長──羽前(うぜん) 京香(きょうか)

 八番組組長──ワラワラ・ピリペンコ。

 九番組組長──(あずま) 風舞希(ふぶき)

 

 そして、現魔防隊のトップである総組長でもあるこの十番組の組長──山城(やましろ) (れん)

 

 この国を醜鬼の脅威より守る守護者たち。

 その魔防隊の各組を率いる長たちの他、会議の場にはりうの弟子であり魔防隊一番組に所属する若き隊員である多々良(たたら) 木乃実(このみ)と、総組長である恋からの指示により七番組寮の管理人である和倉(わくら)優希(ゆうき)が召集されており、通常は9名の組長が集う組長会議に組長ではない隊員や正規の魔防隊員ではない管理人の姿があることに今回の会議は普段とは異なる内容になるだろうことを組長たちは察していた。

 

 山形、そして鹿児島で大規模な被害を与えた特殊な醜鬼に分類される一本角と熊童子の再確認。そしてそれを行使するこれまでとは違う知性を持ち人語を発する人型の醜鬼という新たな敵性体。

 札幌市において大規模な魔都災害をもたらした超大型醜鬼と、その醜鬼を行使する類似する正体不明の人型敵性体。

 三番組寮に攻撃を仕掛け、迎撃に出た組員たちを単騎で壊滅させた人型敵性体。

 三番組を襲撃した個体と行動を共にし、醜鬼を率いて結界を破壊して七番組寮に襲来してきた外国籍の男。

 

 これらの存在の関係性は不明だが、短い期間に立て続けに確認されている新たな脅威となるこの人型醜鬼たちの存在は認知されており、これら正体不明の敵性体と接触が最も多い七番組から組長である京香だけでなく彼女の能力により魔防隊員ではない身でありながら醜鬼との戦いに身を投じている優希が召集されたことからも、今回の会議の議題はこの新たな敵性体に関するものとなるだろうと組長たちは推測していた。

 

 各組長たちが席に着き揃ったところで、恋から会議の開催が宣言される。

 そしてまずは組長以外の人間がこの場に来た理由の一つ目。

 何故か組長のために用意された席に木乃実を座らせてその後ろに立ったりうから、一番組の人事に関する報告が上げられた。

 

「世代交代のお知らせを。アタシは組長を降りた」

 

 長らく魔防隊一番組の組長を務めてきたりうが組長の地位を降り、その席を木乃実に継承することを決めたという。

 醜鬼の正体も魔都の脅威もほとんど分からず、醜鬼の脅威に対抗が難しく多くの被害を出していた時代から最前線で戦い続けてきたベテランは、自分の年齢と台頭してきた若手たちの姿を見て、これからの魔防隊を担う世代に権限を継承するときだと判断したらしい。

 

 もっとも、ほとんどの組長が二十代と若い現在の魔防隊には経験豊富なりうの存在は必要である。

 組長を辞したとはいえ魔防隊員としてはもうしばらく働くとのことで、りう自身は一番組副組長として、そして魔防隊の若い世代のお目付役として一歩下がった場所から監督していくとのこと。

 特に木乃実はまだ高校生であり、組長職を学業と合わせて行う必要があるため、少なくとも彼女の卒業までは組長の業務も含めて現役を続けることになるだろう。

 

 この人事については正式な発表は今回の組長会議の場が初めてではあるが、情報はすでに魔防隊に回っていたので組長たちも承知している。

 りうが木乃実をいずれ総組長になる逸材と紹介したことから、次の選挙に向け総組長の地位を狙う組長たちの間で軽い牽制の応酬が飛び交う一幕はあったが、それはほどほどに切り上げて次の議題──今回の組長会議の本題でもある『八雷神(はちらいじん)』を自称する新たな敵に関するものに移った。

 

 組長たちが囲むテーブルに置かれた投影装置にて、現在接触・確認されている4体の八雷神、またはそれに類すると推測されている存在の姿が映し出される。

 

 筋骨隆々な190cm近い身長の禿頭の黒人の偉丈夫。七番組寮に襲来し結界を破壊して六番組と交戦した個体。

 山伏装束に身を包む3m近い巨体、その表皮を鱗で覆われた二足歩行のトカゲ──リザードマンという呼び方が相応しいだろう異形。六・七番組の合同部隊とぶつかり、たったの一撃で両組の副組長を含めた組員たちを病院送りにした個体。

 身長は155cmほどで、丈が身長にあってないブカブカの白い軍服に身を包み、襟で口元が隠れている顔には人間ではありえない縦長の瞳孔が光る目を持つ少女。三番組に襲撃を仕掛け、深追いしてきた隊員たちを単独で返り討ちにした個体。

 そして、130cmに満たない小柄な身体に銀髪と縦長の瞳孔を宿す紫と緑の虹彩異色が目につく子供。ミナトが銀髪オッドアイと呼ぶ個体である。

 

 銀髪オッドアイは自らを八雷神、または神と自称したことはないため同属であるかは不明だが、目の特徴と醜鬼を行使することから同類と推測されていた。

 

 このうちハゲの黒人は六番組組長の天花が討伐に成功しているが、確認された死体は数日前に行方不明となっていた外国人籍の男だった。

 テロリストと繋がっていたりということもない、スポーツ大会の観戦で来日した至って普通の観光客であり、少なくとも能力によって形成される結界を素手で殴り破壊したり、銃弾を弾いたり、正規の魔防隊員を相手に戦えるような化け物ではなかった。

 DNA鑑定の結果紛れもなく男の死体は人間のものだったが、その後トカゲの異形との接敵時にも京香たちが交戦し討伐に成功した一本角から男と同じ声が発せられたことから、その正体は憑依に類する能力を持つ存在であると推測されている。

 

 現状ではこの八雷神と交戦して明確に討伐できた事例は組長含め無い。

 現世側にも被害をもたらしていることから対策に緊急性を要する存在だが、恋は自信に満ちた顔で言い切った。

 

「組長なら、神が相手でも倒せる」と。

 

 たとえ隊員クラスでは対処困難であっても、人間よりも遥かに強力な一本角という特殊個体の醜鬼に憑依して仕掛けてきた八雷神に京香が勝利したことから、魔防隊の最高戦力である組長ならば八雷神でも討伐可能であると断言した。

 

 それに伴い、八雷神、またはそれに類すると思われる存在を確認した場合、これの対応は組長が担うことを徹底するという方針を八雷神対策の主軸とすることに決める。

 

 実際に八雷神と交戦した経験がある京香から、受け身に回る対応では手ぬるい、魔防隊側から攻勢を仕掛ける計画をするべきだという意見があったが、敵の情報が少ないことなどを理由に恋は醜鬼の襲来に対応・迎撃する方針は変えないこととした。

 

 襲撃を仕掛けてきた敵をカウンターで迎撃、討伐しその戦力を削っていく。

 八雷神の対応は組長が担い、隊員たちは基本的に八雷神が使役する醜鬼の対応を担う形で迎撃することで、八雷神への対策は決定した。

 

 その後はもう一つの議題。

 組長以外にこの会議の場に立つもう1人の人物である優希について、処遇などの説明が行われる──はずだったのだが。

 

 それを遮るように、魔防隊の最高戦力が集うこの日の本部に多数の醜鬼の群れが侵攻してきたという報告が齎された。




こちらの八雷神たちは原作とは違う完全なオリキャラ達で揃えているので、これまでの動向についての説明にもなってます。
キャラは変えてますが、原作の流れから大筋はほぼ同じ流れになるようにしているつもりです。
(三番組襲撃→合同訓練を襲撃し、天花さんによって返り討ちに→洞窟で八雷神を名乗り登場し、地団駄一発で東姉妹らを病院送りにしココと波音を拉致→鬼童丸が討伐され、京香さんが故郷の仇を取る)
違う点として追い詰められた鬼童丸を無黒が乗っ取り強化して戦ったのですが、しっかり細切れにされたので、捨て台詞は残したのですが流れはほぼ原作と同じものと思っていただければ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。