異世界から帰還したら、変な化け物が闊歩する日本だったんですけど、これってどういうことですか!?   作:火星で1,000往復

30 / 49
組長会議の続きになります。
今回は短めです。


28話

 

 魔防隊本部に襲撃を仕掛けてきたのは、大量の通常醜鬼たちと、それを操る違法なルートで入手したと思われる未登録の桃の能力を持つ外国人たちであった。

 どこかの国の工作員か、それともテロリストか。

 4人組のテロリストの一人は爆破能力を持っており、これを醜鬼に付与し数の力で押して結界と本部を爆破する腹積りだったのだろう。

 もっとも、醜鬼の群れを早期に発見した魔防隊から4人の組長が迎撃に出撃したことで醜鬼の群れは一方的に殲滅され、テロリストたちも総組長の恋が自ら出て一人で殲滅したことにより何の被害も与えることはできなかったが。

 

 運が悪かったか、この程度の戦力と作戦で勝てると踏んで承知の上で仕掛けてきた愚か者か。

 組長会議により魔防隊の最高戦力が揃ったところに行われたこの襲撃は問題なく対処できたが、非正規のルートで流出する魔都の資源と、それに伴う未確認の桃の能力を持つ者たちの存在は、改めて魔都の管理を徹底することを意識させるものであった。

 

 何しろ今回の襲撃、狙われたのが魔防隊本部だったから良かったものの醜鬼を──それも群れの規模を操るという能力は、爆破の付与も合わせ現世でテロを敢行していたならばどれほどの被害を与えていたか分からない凶悪なものである。

 そのようなテロを起こされる前に対応するべく、恋の指示により桃の流出ルートや黒幕にいる組織について捜査するため息のあった者が回収される。

 

 魔防隊には人の記憶を読み取り書き換えることができる能力を持つ隊員もいるので、生きてさえいれば尋問などせずとも知っていることを探ることは可能である。

 もっとも、失敗した時に捕虜に落ちるような輩を処分する手立てを用意していない詰めの甘さから、大した組織ではないか単なる鉄砲玉に過ぎない可能性が高いが。

 

 テロリストの襲撃を返り討ちにしたのち、組長会議を再開するため組長たちは再び会議の場に戻る。

 そこで遮られていた議題──優希について、京香の契約を結んだ相手を奴隷にしその能力を引き出す“無窮の鎖(スレイブ)”の契約対象であること、正規の魔防隊員ではないが京香の奴隷として醜鬼との戦闘にも参加する戦闘要員でもあること、そして認識は京香の付属品として見るようにとの説明がなされた。

 

 それを聞き、男の身でありながら醜鬼と戦える存在という異端に組長たちが各々興味を持ったり嫉妬したり好意を向けたりといった視線を向け、優希に関する説明は終わり魔防隊に広く彼のことが認識されることとなった。

 

 その後は桃の大きな産地となっている、十番組が管理している魔都の一際大規模な洞窟へ各組から選抜された遠征部隊の近況の報告が発表され、魔都災害の対応策に関する議論が行われるという流れで会議は進行し、ひと段落してから夜雲より寮の管理人が変わったことが伝えられた。

 

 五番組寮の新しい管理人。

 魔都側の拠点である魔防隊の各組の寮の管理人は、高待遇の割に危険がつきまとうことから変わる事は日常茶飯事である。

 その新しい管理人に関して夜雲が素性の説明を嘘を交えその特殊な身の上を隠し大雑把に説明したことから、よくあることだと恋を始めこの新しい管理人に関して各組長たちは大して興味を持たなかった。

 優希という異端の印象が強烈すぎたことで目立たなかったことや、大雑把でも夜雲はいつもそんなものだという普段の素行からの認識が隠れ蓑となったことも大きい。

 

「失礼します! 蝦夷組長、五木副組長から五番組寮に北海道で確認された少年型の八雷神が襲撃してきたと、救援要請が!」

 

「!?」

 

 しかし、その直後。

 組長会議に参加している夜雲の元に、六番組の拠点に退避したカイコから総本部へ五番組寮に銀髪オッドアイが特殊個体を含めた醜鬼の群れを率いて襲撃を仕掛けてきたことが知らされた。

 

「組長会議は一時中断! 夜雲、美羅、風舞希は直ちに五番組寮へ急行、八雷神を迎撃!」

 

「「「了解!」」」

 

 八雷神の出現を聞いた恋は、すぐに方針通り組長による迎撃を行うべく、夜雲とともに美羅と風舞希にも出撃を命令する。

 人選はベル、天花、京香は組の隊員に復帰できていない者がおり組長が抜ける場合の戦力低下のリスクが高いこと、木乃実は組長が抜ける隣接する二番組と九番組の管轄区域での非常事態の対応を援護する必要があることから、現在動かせる2名の組長を選出した。

 

 銀髪オッドアイは八雷神を自称していないが、人型で人語を発するが人ではなく縦長の瞳孔を持つという特徴から同類の存在と見做されている。

 そして銀髪オッドアイは他の八雷神と違い、唯一現世側で大規模な魔都災害を引き起こしている。

 危険性で言えば、他の3体と比較して一段高い最優先討伐目標でもあった。

 

 それが単騎で魔防隊の寮を襲撃してきた。

 目的は不明だが、これは好機でもある。

 

 自分も含め、組長ならば神も倒せる。

 そんな自信と、しかし油断なく派遣可能な組長を複数送ることで確実に討伐できるようにする慎重かつ冷静な判断。

 恋の指揮の元、魔防隊は八雷神討伐のために出動した。




次回は五番組寮の場面に戻ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。