一人の時に虹色の花、山へ登る事に喜び多し。   作:白ノ宮

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筆が乗れば2500以上行くし、行かなければ1200程度。
プロット書かないんじゃ、こんなもんです。

え?プロット書かないのかって?
いつか書ければ良いかなぁって感じです。


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後藤さんが出て行った先は階段の陰。

ほこりっぽくは無いが、なんとなくジメッとしている。そんな空間だった。

 

いつもしているかのように携帯を弄りながら弁当を箸でつつく。一緒に食べる人がいないからこそできる行為だ。

 

足音と気配を消して後藤さんの隣に座る。

30cmと離れていないが一向に気付かれない。

こんなことまで出来るとは思っていなかったが周りのいう天才というのはあながち間違いでは無いらしい。

朝、コンビニで買った弁当を開いた。どうしても音がなってしまい、そこで私は気配を露わにした。隣で静かに驚いている後藤さんは人と話している時とは別の慌て方で面白い。

 

割り箸をパキッと割ってイカ天ぷらを口に運ぶ。

冷めている料理もうまい。

白ご飯も口に運び、一定数咀嚼したら飲み込み、一息つく。

さっきから後藤さんは私の方を見て固まっている。いつ動き出すのか。

じーっと見つめ合うこと10秒程。

 

顔が赤くなりながら青くなるという器用なことをする後藤さん。

 

「こんにちは、後藤さん」

 

にっこり微笑んでを浮かべて挨拶をしてみる。挨拶は大事だって色んな人が言っていた。

 

「こ...こっ、こんにちは」

 

しどろもどろになりながら挨拶を返してくれた。

それだけでも悪い人では無いという事はわかった。

 

「それにしても急にごめんね。後藤さんのことが気になってついストーキングしちゃったんだ」

 

意図して怖い言い方をしてみる。

すると後藤さんは期待通りの反応をしてくれた。青みが深くなり、その瞳からは困惑と恐怖、緊張が伝わってくる。実にからかい甲斐がある。とはいえやり過ぎるといじめとなんら変わりないので撤回も忘れずにしておくが。

 

「ごめんごめん。言い方が悪くて変に怖がらせちゃったね。...私がいうのもおかしいんだけどさ、後藤さんっていつも一人でいるじゃん?でもお昼の時は決まって何処か行くから良いスポットでもあるのかなって興味が湧いてきちゃって、気配消してついてきたって訳」

 

「そ、そうなんですか。...それで、あの...」

 

「あぁ、うん。私は時坂百華、基本交流しないから名前わからないでしょ?」

 

「あっ...ごめんなさい...」

 

「いいよ、気にしないで。交流しない人間の名前を覚えて置けるのは一部の人間だけだからさ」

 

「そ、それで時坂さんは...どういった御用向きで?」

 

「ん?特に無いかな」

 

「そ、そうなんですか...?」

 

「うん、多分だけど後藤さんって交流を難しく考えがちなんじゃ無いかな?

 

相手が内心どんなことを考えているかはわからないんだからさ、『どうせ自分なんて』とか、『相手が嫌がってたらどうしよう』とか、そういうのはどうでもいいんだよ。

 

人によってはそれを自分勝手とかいうけどさ、でも人間って自分勝手な生き物だからさ。そんな些細なことを気にしないほうがいいって。興味があるから話しかける、一緒に居たいから一緒にいる。

 

案外そんなもので自然と成り立つものだよ、人間関係ってものはね」

 

そう長々と話して自分の携帯の写真フォルダを開いて中学時代の写真を8枚後藤さんに見せる。

 

10人近くで撮った集合写真で、どの写真も違う人間が写っている。これだけで80人以上の人間と交流があることがうかがえる。時坂は全部の写真でど真ん中に位置していて太陽のような煌めく笑顔を浮かべてピースしている。まるで陽キャである。

 

 

────────

後藤はその写真を見て時坂に何があったのか、興味が湧いた。

 

普段であればあまり気にならない他人の人間関係だが、絵に描いた以上の陽キャである時坂がなぜ高校では誰ともつるむ事なく、一人でいるのか。

 

その理由を考えるも陽キャの思考なんて理解できるはずもなく、つい聞いてみてしまった。

 

「あの...時坂さんってなんで高校では一人なんですか?」

 

口から出てしまった直後に後悔する。もしかするとこの言葉は時坂にとってタブーなのかもしれないと思って。

 

実際そんな事はない。

大体、タブーな話題は決して自分からするものではないからだ。

 

その為、時坂もなんでもないかのように話し始めた。

 

「気になるよね。私だってそんな人間がいたら同じ疑問を口にするよ。だからそんな怖がらないで。...そうだね、端的にいうと疲れたんだ」

 

「疲れた...ですか?」

 

自分から進んで交流をする人が友達と居て疲れる?自分とは生きる世界が違うような陽キャと言える時坂の言った言葉の意味がよく分からなかった。

 

「うん、疲れた。確かにたくさんの人間と交流するのは自分に見えてこなかった価値観とかを知れて楽しいよ。でも悪い感情とかもいっぱい知ったからなのか、もういいかなって思ったんだ。一見クラスで仲が良さそうに話している人達両方と会話してみるとね、ありえないぐらい陰口が出てくるの。直接いってもいいんじゃないかってくらい仲がいい相手でもそんなことがあるんだなって、初めはそう思ったよ?でもそんな事がまるでパンデミックのようにどんどん湧いてくるの。そりゃ、学年で半分の人と交流してればそうなるよね」

 

話を聞いている内に後藤はこう思った。『その陰口を話している相手はたくさんの人と交流をしているからバラされてしまうんじゃないかという危機感はなかったのか』と、他の人間が聞いても同じことを考えるだろう。

 

ただ、そんなことを考える必要がないほど時坂百華という人間は周りから信用・信頼されている人間だった。目立った欠点は見当たらず、それでいて人が良くて容姿も良い。時坂自身もそんな人間を演じていた為、こうやって疲れてしまい現在一人なのだ。

 

しかし時坂は自分の話を置いて話題を切り替えた。

自分の話から後藤の話へと。

 

「まぁ、色々話したけどさ。どうかな、後藤さん?」

 

「どう...とは?」

 

「いつも一言で終わるような会話が二、三言続いたよ?今回は私が主体で喋っちゃったけどこういうのも悪くは無いんじゃないかな?」

 

「そ...そうですね...!」

 

後藤は言われてから気付いた。入学してから会話が続いた相手ができたということに。後藤から見れば相手が主体で喋っていようが、会話が続いたこと自体が重要なのだ。

 

時坂はその返答に何かを掴んだのかある提案をする。

 

「ならさ、コミュニケーションの練習て言う事でこれから私と交流してみない?元々友達が沢山いた私と交流すれば後藤さんの人間恐怖症もすぐ治っちゃうと思うんだ」

 

「え....」

 

後藤が迷ったような表情を見せるが、時坂は悪いと思いながらも畳み掛ける。

 

「ほら、さっきちょっと成果が目に見えて出たじゃない?慣れないうちは疲れるだろうけど、このまま友人ができなくて灰色の高校生活を過ごすより訓練して少しの人とでも交流できるようになって楽しい学校生活を過ごしたいよね?ね?」

 

後藤は『確かに』と時坂の提示したメリットに納得する。そして自分の楽しい学校生活のために決心した。

 

「で、では、お願いしてもいいでしょうか?時坂さんっ...」

 

勢いをつけて言い切った後藤に時坂は写真とは違うが暖かい笑顔で快諾した。

 

「勿論、これからよろしくね。後藤さん」

 

高校生活は未だ、始まったばかりである。




主人公の行動が矛盾してますね、まぁそんなこともありますよ。気にしたら負けです。
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