積んでたゼノブレ3に手を出したり、ティアキンが発売されたりで、1か月ぶりの投稿になっちゃいました。ゲーム楽しすぎて、全然動けなくてェ……。
ティアキン遊びつくすまではちょっと投稿頻度落ち目です。
これまでのあらすじ
転生者・灰炉茶子は程々にやりたい放題してこの世界をエンジョイしていたが、ついに年貢の納め時、喜多ちゃんからの結束バンド加入の誘いが来てしまう。
色々理由があって結束バンドには所属できない! でも推しからの誘いを無下にはできない!
これから私、どうすればいいの~!?
喜多ちゃんには勝てなかったよ……。
と、そんなことになるわけにもいかなかったので、私は私の責務を全うすることにした。
具体的に言うと、全力で頭を下げた。
ひたすらに、めちゃくちゃに、渾身の力で謝り続けた。
床に頭を血が出るまで擦り付け、瞬間的に脱衣して全裸土下座に移行(服はちゃんと畳んで横に置いておいた)、更に誠意を伝えるためにその場に五体投地。
「すみませんすみませんすみません、本当に、本っ当に! ただただひたすらごめんなさい!
結束バンド入りだけは、結束バンド入りだけはどうかご勘弁ください! 許してくださいお願いします、何でもしますから!」
「ん? 今なんでもするって言ったわよね?」
「私が言うのもなんだけどそんな綺麗に言葉狩りしてくることある?」
そんなこんなで、全裸土下座外交の結果。
「そこまで嫌がるなら無理強いはできないわね。……ちょっと、残念だけど」
「や、やっぱり私みたいな腐れ陰キャと同じグループには属したくないですよね、そうだ私が変わればいいんだ、私は今日からパリピ陽キャバンドマンうぇ~いッ!!」
やべ、推しが悲しそうにしてたり無理してたり。
彼女たちにそんな顔をさせたくて生きてきたわけじゃないっての!
「ちっ、ちがっ、そうじゃなくて! ただ、その……」
慌てて取り繕おうとしたけど、上手く言葉が出てこない。
くっ、オタクにとって推しの笑顔こそがパワー。こんな悲し気な表情や気配を見せられると、どうしてもテンションが下がってしまう。顔を濡らしたアンパンマンみたいなものだ。
私は思わず目を逸らしながら、ボソボソと理由を語った。
「……私には、結束バンドという星座は、眩しすぎるから*1」
「それは……えっと」
ちらりと視線を戻すと、喜多ちゃんは眉をひそめて、後藤は何故だか目を見開いて、私の言葉を聞いていた。
あー、駄目だこれ、伝わってない。
でも、なんて言えばいいんだよ。私は転生者で前世じゃアニメのキャラだった皆のファンだから間に割って入りたくないんですってか? 狂人の戯言だよこんなの。
推しに嘘は吐きたくないし、でも言っていいことは限られる。
なんて言えば彼女たちは気を取り直せるだろうか。
考えろ、考えるんだ灰炉茶子。
「私は……私は、結束バンドに相応しい存在にはなれない*2」
「そんなことないわ! だって私は知ってる、茶子ちゃんは……っ!」
「そ、その、私としても、灰炉さんがいてくれた方が……喜多さんは眩しすぎるし、虹夏ちゃんとリョウさんは他の学校だし……」
推し2人は嬉しいことを言ってくれるけど、なんなら嬉しすぎてちょっとパワー補充されて元気出てきたけど、いやむしろ元気百倍アンパンマンなんだけど。
だからと言って、頷くわけにもいかない。
彼女たちのおかげで少しだけ元気になれた私は、自分の欲望と必死に戦いながら、かろうじて笑顔を浮かべて、言った。
「後藤も喜多ちゃんも買い被りすぎ。私は大した存在じゃないんだよ*3。
それに、……どれだけ入りたくても、私は結束バンドに入るわけにはいかないんだ*4。
2人の気持ちは、すごく嬉しい。……でも、それはどうしてもダメなの。ごめんね」
「茶子ちゃん……」
「……灰炉、さん」
私の内面で繰り広げられる、推しの間に挟まるオタク絶対殺す天使と、ここまで誘われたんだからもういっそ入っていいだろパッションに身を任せろよ主義悪魔の戦い。
その悲惨さをなんとなく感じ取ってくれたのか、喜多ちゃんと後藤はひとまず引いてくれたみたいだ。
よし、あとは彼女たちに気を持ち直してもらうだけ……!
「その代わり、見てるね。
ファンというわけじゃないけど、結束バンドのこと、近くでずっと見てる*5。
だから、活動頑張って。誰よりも応援してるよ」
笑顔を浮かべて言った言葉に、喜多ちゃんと後藤はなんか真剣そうな表情を浮かべた。
「……わかった。私、茶子ちゃんに満足してもらえるくらい、頑張るわ!」
「わ、私もっ! あ、私も頑張ります……」
後藤声でか。
そんなこんなで、私はひとまず結束バンド入りをご勘弁していただいたのだった。
よかった、なんとか嘘を吐かず、推しを曇らせることもなく、状況を突破できたぞ!
我ながらナイス! ちょっと曖昧な言葉多めになっちゃった気もするけど、彼女たちのことだし、なんとなくフィーリングで読み取ってくれた……はず!
これでモブとして、彼女たちの活動を阻害せずに推し活することができるぜ! ひゃっほ~い!
* * *
さて、そんな一件があった、数時間後のこと。
私はいつも通り、ライブハウスSTARRYのバイトとして床にモップをかけていた。
少し話は変わるけど、私、他人の趣味に口出しするのは駄目だと思うんだよね。
何を嗜好するかは個人の自由だし、そういう自分と他者の違いを一々を否定するのは、非生産的で愚かなことだ。
私は多様性を認めろと言いながら多様性を認めないという多様性を否定するような輩ではないと自負している。
だからこそ、そういった個人の趣味に対してとやかく言うつもりはない。
……というか、言える立場でもない。普通にストーカーとか盗撮とかしてるし。
でも、それはあくまで「個人の趣味」の範疇でのこと。
他人に被害なり迷惑を出し始めたら、ちょっと話が変わって来るわけで……。
何が言いたいかといいますと。
現在私は、店長さんの趣味らしいどこぞの学校のだぼだぼ制服を着せられて、バイトに勤しんでいた。
いや、星歌さんさぁ……。
確かに私、可愛い系美ロリな自負はあるけども、高等部の子供捕まえて着せ替え人形にするのは流石にちょっとヤバいと思いますよ? 倫理的に。
まぁ私としては推しの趣味にお付き合いしているわけで、ある意味これもデート♡みたいなものだ。
全く以て不満の1つもありゃしないんだけども。
ただ、私以外にはしないようにね? 外の人に通報の1つでもされたら一発KOなのも忘れないでね? 未成年略取スレスレだからねこれ?
でもこれ、逆に言えば私と星歌さんだけの秘密ってことでもあるよね♡ 秘密の共有♡♡ 実質恋人♡♡♡ いや星歌さんの恋人は廣井だが??? 酒の勢いで関係を持ってしまった昔は可愛かった後輩廣井とのドロドロ共依存同人お待ちしています。
いやしかしこの服、生地はしっかりしてるし消臭もしてあるし、割とガチっぽいなー。
星歌さん、元バンドマンってこともあって割かし刹那的に生きてるというか、やりたいこととか趣味にリソース全ツッパするタイプだよね。
オタクとしてはこの辺共感しかないよ。
趣味に生きるの、良いよね……。良い……。
と、そんな風にチラチラこっちを見て来る星歌さんの視線に応えながら、労働と推し活の喜びを甘受していると……。
STARRYの片隅で、唐突に原作イベントの進行が始まった。
「それでは、バンドミーティングを始めます。
拍手っ!」
その言葉が発された近く、テーブルを囲んでいるのは、結束バンドの4人だ。
控えおろうといった感じで、スケブ片手に可愛らしく手をかざす虹夏ちゃん♡
今日もクールに無反応、流し目を虹夏ちゃんに送る顔面宝具山田♡
無邪気に笑顔で拍手を送る、天真爛漫前向き陽キャガール喜多ちゃん♡
喜多ちゃんに釣られて拍手を始めた、無表情で感情が読み取りにくいことに定評のある後藤♡
あとついでに、すっとテーブルの近くに寄ってスタンディングオベーションレベルの拍手喝采を贈る私。
そんな私を相変わらず困惑した目線で見つめて来る面倒見最高の星歌さん♡
本日のSTARRYはまだ時間が早いこともあり、表に出て来てるのはこの6人きり。
つまり、この空間の中で推しと推しじゃない比率を並べると、5:1。
実に83%が推し♡♡♡ 室内に推しの吐いた息が充満してる♡♡♡ 推し密度高すぎて窒息する♡♡♡
「うわっチャコちゃんびっくりしたぁ……。あーはいはい、拍手ありがとねー」
恍惚の息を吐きながら喝采を送る私に対して、虹夏ちゃんはちょっと驚いたようで一歩引きながらも、普通に話を続ける。流石の対応力、これは寛容さオカン級ですわ。
「さて、本日のお題はこちらっ! ズバリ、『より一層バンドらしくなるには?』」
虹夏ちゃんが抱えていたスケブをめくると、そこには彼女の書いたであろう本日の課題が記されていた。
おぉ、虹夏ちゃんの文字っ! でゅへへぇ、虹夏ちゃん、案外カクカクした文字書くんだねぇ……。男の人らしくて素敵♡ 抱いて♡ でもそれはそれとして内容ざっくりしすぎでワロタ。
しかし、たとえそんな軽いものでも、プレゼンの準備してきてるっていうのは、高校生にしてはかなり気合が入ってると言っていいだろう。
喜多ちゃんと後藤の2人、どう反応していいかわかんない感じで無表情で「おぉ~……」とか言って拍手してら。
まぁこの2人と比べて、虹夏ちゃんってバンドへのモチベーションがめちゃでかというか、人生全部ベットするくらいの勢いで臨んでるからなぁ。
とりま大学卒業しとくかが一般化しつつある現代日本において、現状「大学に行くのはバンドでプロデビューを諦める甘えにも等しい行為」って認識してる子だからな。覚悟ガンギマリだよホント。
そんなわけで、虹夏ちゃんはかる~くやってるように見せかけて、結束バンドメンバーの中でもダントツでバンド活動への熱意が高いのだ。
こういう細かいシーンにも、そういった演出意図があるわけよ。
まぁ、その割には議題がざっくりしすぎてる気がしないでもないけども。
2人もそっちの方に気を取られてる感がなくもないけども。
そんな虹夏ちゃんや喜多ちゃん、後藤に対して……。
「…………」
同じテーブルに座る山田は、頬杖を突いて静観する姿勢。
……に見せかけて、その焦点はここではないどこかを見るように、若干ズレている。
そう、山田にしては珍しく、動揺しているのだ。
……まぁ、それもやむなしだろう。
『バンドらしい』という言葉は、山田にとって呪いのようなものだからね。
土台、バンドというのは集団を意味する。
後に山田本人が言うように、バラバラな個性が集まって、1つの音楽になり、それがバンドの色となる。
要は、後藤のピンクと虹夏ちゃんの黄色、喜多ちゃんの赤に山田の青が集まって、結束バンドという個性を作り上げるのだ。
山田が目指しているのはそういう、各々が個性を主張し合い、混沌とした色合いを醸し出す、文字通りのイロモノバンド。
「自分らしい音楽を」「自分たちらしい曲を」。そういった、まさしくロックな方向性を求めている山田にとって、「(世間一般が想像するような)バンドらしくなる」というのは、自分たちの個性を殺し、音楽を殺してしまう行為に他ならない。
それを山田は恐れている。
今でも恐れ続けているんだ。
なんてったって、彼女は一度、それに……殺されかかったんだから。
「うーん」
彼女たちのテーブルから少し離れ、壁にモップを立てかけて、私は腕を組んで悩む。
これは端的に言うと、急造された集団特有のすれ違いだ。
虹夏ちゃんと山田は付き合いこそ長いけど、それはあくまで友達としてのもの。
実際にバンドを組んだのは割と最近であり、特にこれといって共通認識を作るための話し合いとかも行ってないっぽい。
故に、彼女たちの間には、いわゆる「音楽性の違い」というヤツが存在するのだ。
虹夏ちゃんの目的は、バンドを辞めた姉の分まで有名になり、STARRYをもっと輝く場所にすること。
山田の目的は、自分らしい曲を奏で、自分たちらしい音楽を作り出すこと。
人気か、芸術性か。
彼女たちが求めているものの間には、ぶっちゃけかなり大きな溝がある。
勿論、虹夏ちゃんは山田のバンドが破局した理由を知っているだろう。
けれど彼女は、あくまで山田とは別の人間だ。
価値観が違う。人生観が違う。見ている世界が違い過ぎる。
故に、山田の想いを理解できていないんだ。
「バンドらしい」と言う言葉が持つ、山田への心理的圧迫を。
……まぁ、要するに。
バンドを組めて舞い上がっちゃった虹夏ちゃんは、無自覚に山田の地雷を踏み抜いた、というわけだ。
「むぅ」
推しと推しのすれ違いは、悲しいものだ。
だがこれは、私が動いて即座に解決すべき問題かと言われると……多分、違う。
今回の件は、特段重い問題になるわけじゃない。
虹夏ちゃんが山田をある程度理解しているように、山田の方も虹夏ちゃんをある程度理解している。
彼女がバンドに懸ける想い。今は亡き人と、大切な家族に向ける熱。
それを知っているからこそ、バンドを組めた虹夏ちゃんが舞い上がっちゃう気持ちと、その言葉が悪意なく発されたものだってことを理解できる。できてしまう。
だから、山田は特に口を挟まず、自分の不満を抑え込んでいるんだ。
そもそも人間、人付き合いしてれば、ふとした瞬間にふとした言葉で心が抉られることはある。
見えない地雷は、本人からしてもどこに埋まっているかわかりづらいものだ。
人と話してて、急に後頭部をぶん殴られたような気分になることなんて、そう珍しくない。
今回の件もそういうヤツ、悲しいすれ違いの1つ。
山田はこのことを虹夏ちゃんに訴えるようなことはないし、多分虹夏ちゃんは山田の心をチクチクしたことに気付かない。
諍いにはならない、けれど確かに走った、小さな小さなヒビ。
これを解き解すのも、やはり
つまり、私みたいなよそ者は手出し無用と。
そういうことなんだけど……。
……うぅ、やっぱり推しがちょっと悲しそうにしてる姿は辛いッ!! 耐えられないッ!!
こういった現実的なすれ違い、リアルな距離感の描写もまた、ぼっち・ざ・ろっく! の魅力の1つ。必要不可欠なシーンではある。
だが、だがしかし!
1人のオタクとして、推しが悲しそうな顔してるのは辛すぎるんだって!!
うぐ、うぐぐぐぐ……ッ、何か山田にしてやれることはないだろうか……!?
お金あげるのは平常運行として、もうちょっとこう、彼女の心を軽くさせられるようなこと……!
考えろ、考えろ灰炉茶子。
ヒーローがその手で全てを救うまでに、少しでも彼女の苦痛が癒えるだろう方法を!!
「チャコちゃん、またなんか益体もないこと考えてない?」
「10割しか考えてませんよ」
「煩悩全開じゃん。仕事してよ」
* * *
私が妄想している間にも、結束バンドの話は続く。
まず、虹夏ちゃんがグッズとして結束バンド*6の結束バンド*7(税込み500円、サイン入り650円)を考案した。
これマジで今すぐ発売してほしい*8、あるだけ在庫は全部抑える。
勿論転売なんてしないよ? 保存用鑑賞用布教用崇拝用普段使い用ライブ用結束用と無限に使い道が考えられるし。
あ、でもあんまり作り過ぎるとサイン描くの大変だろうから気を付けてね? 腱鞘炎とかならないように簡単なサインにしとくのがおススメ。なんなら直筆じゃなくてコピーでもいいと思う。ファンはそれでもじゅーぶんに嬉しいもんです。ソースは私。
で、この結束バンドを喜多ちゃんが買いたがったりもした。
いやいやアンタ、多弦ベースローンは返済終了したとはいえ、色々あって金欠でしょうに。
つい昨日も私なんかを誘って服とか見に行ってたじゃん。しかも試着姿可愛すぎて絶賛してたら、やけにテンション高いままめちゃくちゃ買い込んじゃったし。
……あ、ひょっとして喜多ちゃん、浪費癖があるんだろうか。
これが大量消費社会、現代の闇……!! 支払いは任せろーバリバリ!!
でもこれが欲しい気持ち自体はめっちゃわかる♡ 私が買った在庫の半分は喜多ちゃん用に回しとくね♡ 500個くらいで足りる? 足りないか。追加発注1000個お願いします!
後は、喜多ちゃんが終身名誉SNS大臣に任命されたり。
なおこのアカウントは後日、喜多ちゃんが承認欲求の充足に走り過ぎた結果、実質的な美容垢になる模様。バンドと美容ってめちゃくちゃ遠い要素なイメージあるんだけど大丈夫かこれ。
まぁ、これはこれで、新しい潜在顧客の獲得って意味じゃ有用かな。多分。
実際このイソスタ運営である程度認知度が高まってる側面あるし、アリなんじゃなかろうか。
喜多ちゃんのこういうお茶目なところも素敵だしね♡ 愛してるよもう1人の承認欲求モンスター♡ 大好き♡ ちゅっ♡
そんで、ファンクラブ設立の話があったり。
なんと年会費はたったの1万円で、メンバーとの握手会と年に1度のたこ焼きパーティという特典が付いてくる。なんとリーズナブルなのだよ。コストパフォーマンス最強すぎる。絶対入るわ。
将来的には馬鹿売れバンド確定(もし売れなくても私が全力でプロモするので)なんだから、年100万くらい取っていた方がいいって。
どうするよ、タコパに1000万人くらい来たら。
そんな人数収容してタコパできる施設は日本にはないんだぞ。
流石の高スペック系転生者こと私でも、都市部にその広さのスペースを作るにはちょっと手間がかかる。実質的には首都圏の一時的支配みたいなもんだしね。あと30年くらいあればいけるか?
そんな中で、しれっと作詞担当大臣が後藤であることが言及されたりもした。
そう、実は結束バンドの曲、しばらくの間はこの後藤ひとりが作詞を担当することになる。
そしてそれこそが、このバンドの強い持ち味になるんだけど……。
そうとも知らない後藤は、完全に忘れていたこの一件に動揺したり当惑したり、褒め上手な喜多ちゃんに乗せられてちょちょいのちょいったりしていた。
すぐ調子に乗っちゃう後藤、可愛いね♡♡♡ あ、ごめん冗談抜きで可愛すぎてちょっと下半身疼いた。なんでだよ。私今世では女だし、本能も完全にそっち寄りなんですけど、もしかしてこれレズの素質あったりするんすか? まぁどっちにしろ彼女たちに手を出すことはないのでご安心ください。オタクが推しに手を出すわけがないだろ!
そんなこんなで。
私と星歌さんが見守る中、結束バンドのミーティングはぐだぐだと進んでいく。
途中からはミーティングって感じじゃなくて、喜多ちゃんが取り出したお菓子を食べながらの女子会みたいになってたけどね。話題も学校とか教師、クラスメイトのことになってたし。
虹夏ちゃんと喜多ちゃんがわやわやと盛り上がり、山田が定期的にボケる一方、後藤はあんまり喋らずにポッキーとか齧ってばっかだったけど、どことなく満足そうな気配が窺えた。
「なんか今、私、リア充っぽい!?」とか思ってんのかね。いや、まったく別のこと考えてるのかもわからんな。相変わらず後藤ひとりは難解である。
「……ふふ」
しかしこの光景の、なんとも学生らしくて可愛らしいことよ。
この穢れなき少女たち、必ず「守護」らねば。
世間の残酷さ、裏切り、闇。
そういったものは全て、私が責任を持って堰き止めようじゃないか。
ちなみに、何故か喜多ちゃんに引きずり込まれて、いつの間にか私も女子会に同席することになった。
なんで?????????????
いや推しとお話するのは本当に最高に楽しくて頭に血が上り過ぎて気絶寸前だったけど、それはそれとしてなんで??????????
* * *
その日から、おおよそ1週間。
私は私で色々動く予定もあったんだけど……。
学校では後藤と喜多ちゃんのギター練習に付き合うことになって(2人の間を繋ぐ共通の友達としての縁故採用だろう。2人が仲良くなればその内呼ばれなくなるはず)、毎度後藤のギタテクのすごさに喝采を贈ったり。
喜多ちゃんからひっきりなしに外出とかお泊りとかのお誘いが来て、「なんかこれちょっとおかしくない?」と薄々気付きながらも、目の前のニンジンに飛びつかないわけもなくエンジョイしてたり。
いつも通り、というかいつも以上に明るい、明るすぎて太陽そのものみたいに目を焼く虹夏ちゃんや、逆に気持ちいつも以上に落ち着いてる山田と一緒にアルバイトに精を出したり。
いつも通りにSTARRYでバイトをこなしながら、星歌さんから昔の虹夏ちゃんの様子とか星歌さんの考え方を聞いたり。
相変わらず絡んでくる、根気だけは認められるクソロリコン馬鹿を無視したり。
SNSでギターヒーロー様に粘着するクソ害悪激きしょ最悪ゴミカスオタクアンチが湧いて出たので、IP抜いて特定して炎上させて個人情報掲示板にバラ撒いて刑事訴訟チラつかせて赤い絵の具の付いたポケットナイフを匿名で送り付けて学校に無限にメール送って退学処分を誘発したり。
能力以外は全部カスのうんこ探偵にぽいずん♡の身元と弱みを探らせたり。
SICK HACKのライブを見に行くついでに、SIDEROSのライブも見てみたり。
両親が「たまにはお喋りしたいなー」オーラを出していたので、夕食後に数時間くらい一家団欒したり。
結構リソースを割いてたファンドが盛大に爆発四散してしまったので、ちょっと慌てて手を広げて損失を取り戻すハメになったりなど……。
色々あった。
本当に色々あった。
結束バンドに深く関わることじゃないから細かくは語らないけど、私からするとかなり忙しめな1週間であった。
いくら高スペック系転生者の私と言えど、1日の時間は皆と変わらず24時間しかないし、肉体の培養増殖、並列操作にはまだ手を出してない。
いくら両手両足で別の作業に取り組んでいようが、どうしたって時間的キャパシティの限界というものは存在する。
結果として、その1週間の間、私は殆ど自由が利かない身となってしまった。
「くっ……!」
睡眠時間を1日30分まで削り、日課の結束バンド誕生の瞬間の映像鑑賞を1日2時間まで削ったというのに、この多忙っぷりである。
クソ、山田のメンタルケアに時間使いたかったんだけどな……。
暗い過去を持つキャラが「私はそんな明るい場所には行けない……」って言うヤツ、嫌いだけど好き。