平和な元の世界を創造した……はずなんだけど。   作:クレナイハルハ

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別次元への扉

 

天野川市の端に存在する和風の大きな屋敷、希代家と書かれたその屋敷は多くの人が表向きの仕事場として過ごしている。

そして希代組は天野川市と星雲町を勢力圏としている、ここらでは有名な反社会的組織である…らしい。希代さんから貰った携帯電話、スマホで検索したらこのような説明文らしきものと希代さんの家の住所が記されていた。

ヤがつく人達とはいえ、家の住所まで個人情報がインターネットに書かれているのはいかがなものか………。

 

「やぁ、久しぶり……という程でもないかな。ソラちゃん、いやセルリアンちゃんと呼んだ方がいいかな?」

 

「ソラで構いません。お久しぶりです、希代さん」

 

そして今、そんな希代組の大きな広間の中央には、普通ならばそんな家には訪れる事はあり得ないだろう成人していない少女が座っているのは凄く違和感を感じられるだろう。

メリアの話を聞いて希代さんへと連絡した私は、今からでも面会可能という言葉を聞いてセルリアンとなり瞬速を用いてこの希代さんの家まで走ってきていた。

目の前の座椅子に座りながら此方を向きながら

 

「本日は、希代さんにお願いしたいことがありお邪魔させて頂きました。急な来訪、申し訳ありません」

 

そういいながら頭を下げ、少ししてから頭を上げる。すると、希代彼方さんは私の事をじっと見つめると口を開いた。

 

「いいよいいよ。ところでソラちゃん、娘のノゾミを助けた君に家に来て貰った時から思ってたけど、本当に中学生なわけ?」

 

「はい、希代さんもご存知かと思いますが私立天野川学園、中学部二年生です。」

 

「にしては、礼儀作法とか色々と完璧すぎてない?中学二年生とはとても思えないんだが」

 

「………本で読んで学びました」

 

軍に所属する事になった魔法少女には、敵魔法少女やビーストと呼ばれるようになった化け物との戦闘以外にも、様々な分野での活動が求められる。

敵魔法少女に対して対抗できるのは同じ魔法少女だけ、対魔法少女用決戦兵器である魔導兵器が開発されるまではそれが常識だった。

そのため、偉い人つまりはこの国の未来を担う人物や軍の上層部といった人達の護衛任務では、警察や自衛隊の人達と共に会議に出席したり、輸送車に同乗して護衛をしなければならない。

軍の人達は軍所属の魔法少女達がその人達に対し故に失礼なことをしでかさないよう、護衛として問題なく活動出来るようマナーや礼儀作法等の講習が行われていた。

だから私達魔法少女は礼儀作法は嫌でも身に付けなければならなかった。

 

「さて。雑談はこれぐらいにして、何のようかな?」

 

「はい、訳あって別世界に向かわなければならない事態になりました」

 

「は?」

 

ずっとニコニコしていた希代さんの表情が崩れ、口を開けたままポカンとしている。取りあえず、説明の続きをして良いだろう。

 

「希代さんには私が別世界に行っている間、この世界での私の身分を証明していて欲しいのです。」

 

「別世界、ねぇ……本当にノゾミの見てるアニメみたいだ。」

 

額に手を当てて驚いた様な悩んだような、そんな戸惑った様子の希代 彼方さんに心の中で同情する。

いきなりそんなことを言われたら、私だって分からないだろうし理解が追い付くとは思えない。

魔法少女としての経験がなければ、妖怪や呪い、魔法や異世界といった類いを信じていなかっただろう。

 

「貴方の家で、希代さんの娘であるノゾミさんと遊ぶため私が泊まり込みで遊びにきている、ということにして頂きたいんです」

 

「なるほど、君にはノゾミを助けて貰った恩があるし他にも色々とお世話になった。ひとまず、君が家でノゾミと泊まり込みで遊んでいたことにして、君はその別世界に向かいたい訳なんだね?」

 

「はい」

 

「分かった、急に電話してきた訳だしかなり急ぎかい?」

 

そう聞いてきた彼方さんへと返答に、返事をすぐ返さず思考する。

地球を侵略しようと攻めてきているフォールエンスという組織の別動隊と思われる奴らがメリアの故郷である別の次元に存在するスカイレイスという国へと侵攻を開始してから既に何時間たったのか分からない。

メリアの情報から、スカイレイスに住む妖精達は大打撃を受け精霊王姫ケルビムと呼ばれる人物の城へと避難している。

フォールエンスの侵攻に対して精霊王姫ケルビムと呼ばれる彼女が私とメリアのように、その世界で妖精と契約した人物を三名を召集しフォールエンスとの戦線を維持している。

僅か三人でどれだけの敵相手に戦闘しているか分からない、ラジアータさんのように昼から夕暮れまで多くのビースト相手に拠点を守り抜くほどの力を有している人物だとしても、疲労はあるし怪我をしている可能性も考慮できる。

恐らく今は町が壊され残骸の溢れた足場が安定しない状況で、城を守りながらフォールエンスの侵攻を食い止める防衛戦を行っている。

早めに向こうの世界へ助けに向かった方がいい、こうしている間にもスカイレイスはフォールエンスからの攻撃を受けている。

 

昔の記憶、過去の記憶が脳裏に甦る。

 

私が魔法少女になり一年が過ぎた頃、私を含めたに5人の魔法少女が活動拠点から離れた場所にある町からの救援要請に向かった。

ラジアータさんやこころ先輩は別の拠点にいるため、拠点に残っていた私達が選ばれ向かうことになった。

確か私以外は青木 未来(アオキ ミク)さんと間崎 凛音(カンザキ リオン)さん、そしてよく一緒にいたような気がする和服で魔銃ヘリオス、セレネスを持った女の子と大きな鎌、バルバートスを持った女の子だった気がする。

 

あれ、()()()()()()()……なんだっけ?顔も姿も覚えているのに、武器の名前はスラスラ出てくるのにわからない。

 

まぁいいか、そんな皆と別拠点へと向かった私達が目にしたのは全てが遅かった凄惨な光景だった。

建物は崩れ、大地には何人もの魔法少女と思われる少女の死体や散らばった肉片と崩れ落ちた建物の破片が散らばっていた。

その場に残されたのは抵抗し殺されたと思われる軍人の亡骸と、傷だらけになりながらも生き残った数名の魔法少女だけ。

 

私は、私達は間に合わなかった。

 

『もっと、もっと早く来てくれたらッ』

 

生き残った魔法少女の一人はまるで人を殺せると錯覚する程の眼光で私たちを睨み付けてきた、思わず一歩後ずさる程に怒り、顔を歪めていた。

 

『もう遅いんだよ、もう■■■は、■■■は帰って、こないんだ……』

 

別の魔法少女はその顔を歪め、虚ろな瞳からいくつもの涙を流し拳を強く握り血を流していた。

 

向こうについた頃にはもう遅かった、助からなかった、守れませんでした。

 

そんな事にはもうしたくない。

 

フォールエンスの敵がどれだけ存在するのか、町の状況など色々と判明しない情報に不安が残る。

何日間、滞在し戦闘をすることになるのか。

 

「はい、可能なら明日から泊っている事に出来ますか?」

 

それがどうした?そんな不安な状況は、何度も味わってきただろ。私は魔法少女だ、人々の夢を、希望を守る守護者にならなければならない。

戦え、戦って守れ……それが魔法少女になった私に出来る唯一のことなんだから。

 

最低でも数日間の食料やテント、医療物資が必要になる。寝袋はあれば良いが、どちらといえば毛布の方がいい。寝袋だと、起きてからすぐに動くことは出来ず奇襲を受けたら反応出来ても攻撃を避けられるかは怪しい。

今日中にこれらを用意するのはかなり難しいだろうけど、瞬速を使って店を回れば少しでも物資を準備できるはずだ。

 

「明日でいいのかい?」

 

「はい、向こうで数日間は滞在しなければならないと予想していますので、これからホームセンター等を巡って保存食やテントを確保しようかと」

 

「……なら、僕がそれらの費用を負担するよ。いくら中学生のお小遣いでも、テントは高いし厳しいだろう?今ならちょうど神永もいるし、車を出して近くのショッピングセンターを見に行くことにしよう。あそこならキャンプ用品も充実してた筈だ」

 

そういうと希代彼方さんは服の内ポケットからスマートフォンを取り出し操作し始める。

 

「その、いいのですか?確かに負担して頂けるのは嬉しいですし助かりますが……」

 

「急ぎ、なんでしょ?君にはノゾミの件で二度もお世話になったからね。受けた恩は倍にして、しっかり返すのがうちのやり方だから。」

 

そう話しながら私へと視線を向ける希代彼方さんに、私は改めて深く、深く頭を下げながらお礼を口にした。

そのあと、私は希代彼方さんと神永さん。そして何故かついてきたノゾミさんの三人で大型ショッピングセンターへ向かうこととなった。

彼方さん曰く、恩人に中古を渡すのは嫌。

それに新品の売場の方が欲しい物が手に入るだろうとの事だ。

更に希代さんは何人か神永さんのような人を呼んでくれたらしく、その人達は医療物資や荷物が多く入るリュック等を買うためにそれぞれの売場に向かってくれているらしい。

彼方さんは値段は考えなくても良いと言ってくれたので、テント売場ではまず丈夫な素材を使っていること、防水で耐水性のあるものを見ることにした。

様々な種類や形、性能があったが前に軍の夜営訓練に参加したときに組み立てた経験から、緑色のパップテントと呼ばれるものを選んだ。

他にはインナーマットも選ばせてもらった、インナーマットはテントの中に敷くことで地面の凹凸をやわらげ、冷気や湿気を遮断してくれる。

また、寝袋ではなくキャンプ用のブランケット。毛布も買っていただいた。

どれも、私だけで準備する場合は用意できなかったであろう丈夫なテントと温かそうな毛布を用意して貰えた。

ちなみに他の売場へ向かった人達からはデザインや機能性について、見つかった商品をメッセージアプリで希代彼方へと送られてくるため、私はそれを確認しつつ要望をだしたり、購入の指示をお願いした。

そうして希代さん達のお陰で今日中に荷物の準備を終えることが出来た。

リュックには軍用の大容量軍事戦術バックパック、テントは緑で耐水性が高いパップテントに熱を逃がさない毛布。

医療物資は消毒液と包帯、湿布に解熱剤や鎮痛剤、ガーゼ。

食料は多めに購入して貰い、缶詰めやインスタント麺が主になる、勿論別の世界で水を飲んで体調を崩さないよう、軍用のステンレス製の水筒を何個か用意してもらった。

他には食料を調理するためのキャンプ用の鍋、クッカーとコッヘルに缶詰めを開けるための缶切り。キャンプ用の小さなガスコンロとガス缶に、片手で持てる小さな望遠鏡。

あげるときりがないし、一体いくらほど使ったのか考えるだけで恐ろしいけど、それ以上に感謝の気持ちが大きい、この人には頭が上がらないな。

そんな感じで買い物が終わり彼方さんの家に戻ってからは、購入したもの達をリュックに詰め込む作業を行い、そして説明書を読んでテントの組み立てかた等を覚えた。

そうして準備を終えた私は家に帰り、お父さんとお母さんに明日から数日の間友人の家に泊まり遊んでくる事を伝えた。

お父さんもお母さんも、私にそのような親しい友人が出来た事を喜んでくれていた。

相手が私が助けた事になっている社長さんの娘さんだと知り、そんな人と友人になっていたとにはコハルも驚いてたっけ?

でも、コハルも明日から友達のところに泊って遊ぶという事には驚いた。

コハルがウィザーズという事、そして昔に見た魔法少女アニメの展開から考えると恐らくは修行や特訓したりなのか、劇場版のようないつもとは違う敵が現れるのか。

分からないが、とにかくスカイレイスでの戦闘はなるべく早く片付けないと。

晩御飯を終え、部屋に戻った私はそう思いながら窓から星空を眺めていた。

 

『スカイレイス、大丈夫かな……』

 

不安そうな声と共に左肩にメリアが降りてくる、そんな彼女に私は一瞬、大丈夫だと答えそうになり、すぐに口を閉ざした。

確かに、今彼女にきっと大丈夫だと告げ安心させることは簡単だ。

でもそれだと、メリアにその()()()()の希望に本物の希望を見てしまう。

もし間に合わなかったら、メリアにとって辛い現実を目にする事になる。

希望が砕け、絶望してしまう。だから私は簡単に大丈夫だと、そう言えない。

 

「メリア、とにかく今は休んで明日に備えよう。明日、万全の状態でスカイレイスへと向かうためにも」

 

『うん……おやすみなさい』

 

そう言いながら私が以前に作った小さなベッドへと向かって飛行したメリアを見送り、私自身も体を休めるためベッドへ入る。

異世界での戦い、不確定要素が多いし不安は残る、でもどうかメリアの故郷を守れるように立ち回ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、家族で朝食を食べた私はお母さんやお父さんに泊まりで遊びに行くのとを再度伝えてから家を出た。

少し歩いて回りにはヒトの姿が見えないことを確認して建物の陰に隠れ、セルリアンへと変身した私は瞬速を使用しながら希代さんの家へと走る。走りながら希代さんの家にスマートフォンで今家を出て向かっていることをメッセージアプリで送ったのですぐに対応して貰えるだろう。

希代さんの家へ着けばすぐに門が開いた、門の向こうには重いと言うのが伝わってくる表情を浮かべ、荷物が入ったバックパックを持った神永さんといつものように笑っている希代さんがいた。

 

「おはようございます、母からです」

 

そう言いながらお母さんから渡された菓子折りを希代さんへと差し出す。表向きはお泊まりという理由からか、お母さんは希代さんへとこうして菓子折りを急いで用意してくれていたらしい。

 

「おはよう。ありがたく頂くよ、帰ってきたらお母さんによろしく伝えておいて欲しいかな。さて、ここで話している時間も惜しいだろうし。神永、渡してあげて」

 

「ソラさん、どうぞ。結構、いやかなり重いので気を付けて背負ってください」

 

希代さんから呼ばれた神永さんは頷くと私へ背負っていたバックパックを差し出す、持っているのも辛い程に重いのかプルプルと腕が震えている。

すぐに渡されたバックパックの持ち手に腕を通す。

背中からずっしりとした重みを感じて即座に身体強化を体に施す、先程より僅かにバックパックに対して感じていた重さが薄れた。

 

「ありがとうございます」

 

「神永、流石に非力じゃないか?中学生に力負けって」

 

「勘弁してくださいよ、ソラさんは魔法少女ですよ?人間と比較するのがまず違いますって」

 

弄るように楽しげに話す希代さんにげっそりした様子でそう話す神永さん、確かに私は魔法少女で身体強化もあるから重いものもかなり持てる。

そもそも銃器の反動をある程度制御して私を狙い撃っていた神永さんもかなりの力持ちじゃないだろうか?

 

「それじゃあ、いってきます。」

 

「うん、行ってらっしゃい。余裕があれば僕とノゾミに異世界産のお土産よろしく」

 

「え、えっと……がんばります」

 

希代さん達に背を向けた私は、私の後ろを飛んでいたメリアへと視線を向ける。

 

「メリア」

 

『ん。いくよ、ご主人様……トランスフォーメーション』

 

メリアは頷くと私の方へ手を翳し、目の前に魔方陣が展開する。

展開された光輝きながら回る魔方陣の中へと飛び込んだメリアは魔方陣を通り抜けることでその姿を妖精からメモリアルボンドへと変え私へと飛んできた。

飛んできたメモリアルボンドを掴み左手の甲へと押し付ける、するとメモリアルボンドが左手へ密着されベルトが展開されメモリアルボンドが左手へと固定される。

 

『ーメモリアルボンド、エンゲージー』

 

装着完了を示すメリアの声が聞こえた瞬間、メモリアルボンドはドクンと鼓動しメモリアルボンドにある真ん中の円へと向かう形で掘られた溝のようないくつもの線が輝く。

そして私の髪は白く変化していき、毛先は灰色に近い物と変わる。

着ていた青いロングコートが白色へ塗り替えられていき、背中にはメリアの持つ機械で出来た翼が折り畳まれた状態で現れた。

 

「へぇ、結構見た目が変わるもんだね……髪どころか服、更には背中に翼が生えるとは。流石は魔法少女」

 

「非現実的な光景過ぎますよね……前に弾丸全部捕まれたときもそうでしたけど」

 

珍しくニコニコとした顔ではなく片目を見開いている希代さんの驚きから漏れたであろう独り言、そして神永さんの諦めたような声を聞き流す。

取りあえず、今はスカイレイスへと急いだ方がよさそうだ。

 

「……よし、メリア」

 

『帰還座標を現在地に設定、転移座標をスカイレイス上空へ固定。次元の扉、ディメンションゲートオープン』

 

私の真上に左手のメモリアルボンドを掲げると、そこには先程と同じように白く点滅を繰り返すひとつの魔方陣、そしてその魔方陣を囲むように四つの小さな魔方陣が展開され発光しながら回転する。

 

『ご主人様、あの魔方陣の中に入ればスカイレイスに行ける。いきなりスカイレイスの上空に出るはずだから準備して』

 

「わかったわ」

 

メモリアルボンドから聞こえるメリアの声に答えると同時に背中に現れた機械で出来た翼に意識を集中させると、背中の折り畳まれた翼が展開され地面についていた足が宙に浮く。

地に足が着いていないのはやはり馴れないなと感じつつ、私は魔方陣へと入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セルリアンが魔方陣へと入った時間から少しして浅桜神社にはウィザーズメンバーとスカイレイスから来たウィザーズと似た存在であるスピカ・デュナミスが集まってきていた。

 

「こっちと世界は凄くすごいね!温かいお湯も料理に使う火も全部魔法や魔石を使わずに産み出せるなんて!!」

 

ウィザーズで既に集まっているのはヒヨリ、コユキ、ユリエでありマナミとコハルはまだ到着していない。

そんな二人を雑談しながら待っていたスピカはユリエからの「昨日はヒヨリさんのお宅に泊まったそうですが、トラブルなどはありませんでしたか?」という質問に「大丈夫だったよ!」と昨日より元気な様子で答えた。

そしてそこから興奮した様子で、昨日体験したことからこの世界の凄さを話し出したのである。

そんなスピカと同じ思いなのか、ベータは頷きながらも口を開いた。

 

『この世界の人族はとても技術に長けているようですね、可能ならアルファやガンマにも見せたいです』

 

「ホントホント!それにゼノンが聞いたらこの世界を冒険したいって言うに違いないよベータ!」

 

スピカの口からでた『ゼノン』という恐らくは誰かを示す名前らしき言葉にヒヨリは首をかしげる。

 

「ゼノン?」

 

「昨日言ってたスカイレイスにいるって言うスピカさんのお仲間さんですか?」

 

「そう!ゼノンはボクたちリヒトリッターにとってのリーダーみたいな感じで、冒険が大好きなんだ!だからこの世界のことを話せば、きっと行きたいって言って聞かなくなると思うよ!!あとみんなが通う学校も、ネクスが気になるだろうなぁ」

 

ゼノンと新たに聞けたネクスという人物への想像を膨らませるコユキやヒヨリ、ユリエだったが神社への石階段を登る2つの足音に気が付いた。

 

「どうやら、二人ももう少しで着くみたいですわね」

 

ユリエがそういってすぐに「お待たせー!」という声と共にコハルとミューズ、そして「おまたー」と何処か気の抜けるような声でマナミとシルフィーが集合し、ウィザーズのメンバーが揃った。

 

「みんな、忘れ物はない?」

 

『そういうヒヨリは大丈夫なのかァー?』

 

「だ、大丈夫に決まってるよドーラちゃん!!」

 

ヒヨリの言葉にニヤニヤとした様子でからかうドーラヘ少し心配もあるのか一瞬言葉に詰まるヒヨリ。

 

「マジーナステッキもありますし、準備万端ですわね!」

 

『一緒に確認しましたし、大丈夫ね~』

 

完璧といった様子で腰に両手を当てるユリエとユリエの肩に座っていつものように微笑むウィンデーネ。

 

「準備は前日にしっかりやっといたから、大丈夫だよー」

 

『ん、しっかり出来てる……たぶん!』

 

「やっぱり最後に確認しようかな、うん……」

 

シルフィーの最後の一言に不安を感じていそいそとリュックを開けて中身を確認し始めるマナミ。

 

『コユキ、今日の夜にやる絶滅世界で旅する二人の録画予約した?』

 

「え"……ろ、録画設定をしたはず。したはずですよね!?設定したと思う過去の私を信じます!信じますからね過去の私ぃ!!」

 

スカイレイスへ出掛けて恐らくは見ることが叶わないであろうアニメの録画を設定したかどうか不安になり頭を抱えるコユキとそれを見て不安そうな表情を見せるジャックフロスト。

 

『マイマイク!』

 

「よし!」

 

『着替えは?』

 

「あるよー!」

 

『未来のトップアイドルの誇り、ウィザーズとしての志は?』

 

「持った!!」

 

いつもの調子で会話するコハルとミューズ、誰もマイマイクを持っていくことに対する疑問を浮かべてはいるが、特に害は無いためスルーする。

ウィザーズメンバーは荷物の確認を終え、スピカへと視線を向ける。

 

「みんな、これからスカイレイスへ行くんだけど、ベータとボクだけの魔力だと、皆を転移させる魔法は1回が限界なんだ。だからみんなを一度向こうの世界、妖精王国スカイレイスの近くにある山に転移させるよ。その後、魔力を回復させてからスカイレイスに向かう感じになるけど、大丈夫?」

 

スピカの説明にウィザーズのメンバーが頷く、するとスピカがベータの名前を呼ぶと、ベータが目を瞑る。

 

『転移座標、ルフトベルクへ固定。次元の扉、ディメンションゲートスタンバイ』

 

ベータの詠唱により、ウィザーズメンバーとスピカ全員を囲うように白く点滅を繰り返すひとつの魔方陣、そしてその魔方陣を囲むように四つの小さな魔方陣が展開され発光しながらゆっくりと回転を始める。

 

「これが、スピカちゃんとベータちゃんの魔法」

 

「ウィザーズとは違い、魔方陣が展開されるんですのね……」

 

「次元も違えば魔法も変わるんだねー」

 

異なる次元の魔法を初めて目にしたウィザーズメンバーが感嘆していると、ベータが口を開いた。

 

『転移陣展開。転移まで3、2、1、ジャンプ!』

 

ベータのその言葉と共に、魔方陣がより光輝いた次の瞬間、地球から浅桜 陽愛《アサクラ ヒヨリ》、輿水 有理絵《コシミズ ユリエ》、早崎 麻菜美《ハヤサキ マナミ》、兎本 小雪《ウモト コユキ》、佐久魔 琥陽《サクマ コハル》の五名が消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マジカル!」 

 

「デジタル?」

 

「クロニクルー!」

 

「「「魔法少女図鑑!!」」」

 

「このコーナーは私天宮 音羽(アマミヤ オトハ)神島 結姫(カミシマ ユズキ)が本編に登場していた魔法少女について詳しく解説していくものよ!」

 

「毎回異なるゲストを呼んで、一緒に解説する」

 

「さぁさぁ!第4回魔法少女図鑑!進行、レギュラーメンバーは私こと天宮 音羽(アマミヤ オトハ)神島 結姫(カミシマ ユズキ)でお送りするわ!」

 

「今回のゲスト、この人」

 

「こんにちわ!魔法少女サンダルフォンこと、青木 未来(アオキ ミク)です!よろしくお願いします!」

 

「と、言うわけで青木 未来(アオキ ミク)さんに来て貰ったわ!」

 

「確か、爆雷機というあだ名まで付けられていたミクさん?」

 

「すっごい不名誉なあだ名!?いやぁ、まぁ私の武器というか魔法というか……魔法少女の姿的にも仕方ないんだけど……というか、ゲストで呼ばれるなら私てっきりアサヒやリオンと一緒かと思ってた」  

 

「残念だけどこのコーナーのゲスト、1人ずつなのよね」

 

「正確には一気に紹介しちゃうと、次回から紹介できる人やゲストが呼びずらくなるってカンペに書いてある……」

 

「ちょっ!?それ、たぶん読んじゃダメなやつだよユズキちゃん!?」

 

「魔法少女の紹介コーナー行くわよ!今回の魔法少女はこの人!……スタッフ早く!早く画面変えて!あとそんなカンペ見せないで夢壊れるでしょうが!」

 

「メタフィールドの時点で、夢とかない気がする……」

 

──────────────────────

 

【魔法少女名】魔法少女サンライズ

 

 

【変 身 者】間崎 凛音(カンザキ リオン)

 

 

【 武 器 】双甲拳グラシャイン

 

 

【 魔 法 】《陽炎拳ーサンライズー》

 

       《防土壁ーアースウォールー》

 

──────────────────────

 

「あ、今回紹介するのってリオンなんだね」

 

「魔法はグラシャインに炎を纏わせて攻撃力をあげる《陽炎拳ーサンライズー》、そして地面から土で出来た壁を出現させる《防土壁ーアースウォールー》ね。アースウォールはかなり重宝されたって聞いたわ」

 

「まぁね、リオンが壁作ってそこから私のガーディリアとアサヒのテラスドゥーエで射撃したりとかの戦法が使えるから」

 

「私の場合は飛びながら撃つから、あまり壁とか登って射撃って考えなかったわ。ヘリオスもセレネスもどちらかと言うとSMGだし」

 

「まぁ、私も飛べるけど安全に倒すならやっぱり壁は大事だよ」

 

「………近距離専門だから話が分からない」

 

「まぁ、ユズキちゃんは大鎌だしね。」

 

「さて、そろそろ『マジカル!気になる?クエスチョン!魔法少女アンケート10』のコーナーいくわよ!」

 

──────────────────────

 

 

Q1.好きな食べ物は?

 

A.目玉焼きハンバーグ

 

 

Q2.好きな事は?

 

A.ダンス

 

 

Q3.人生最大の失敗は?

 

A.小学校の頃、朝からプールで水着を着てきたが下着を忘れてそのまま1日過ごしたこと。

 

 

Q4.最近観た映画は?

 

A.シーャチネード

 

 

Q5.こどもの頃のあだ名は?

 

A.リオ

 

 

Q6.好きな言葉は?

 

A.諦めるってことは今までの自分を否定する事だぜ?オレは今までの自分を否定する生き方はしたくない、だからオレは諦めない。

 

 

Q7.未来が見える能力と、人の心がわかる能力、どちらか一つ選べるならどちらが欲しいですか?

 

A.未来が見える能力。あれば、もっとたくさんの人を助けられた。

 

 

Q8.「宇宙」と「深海」探検したいのはどっち?

 

A.宇宙で無重力を感じてみたい。

 

 

Q9.タイムトラベルできるなら、過去と未来どっちに行きたい?

 

A.過去。私を庇ってビーストに殺された兄さんを助けたい。

 

 

Q10.最近ちょっと恥ずかしいと思った時

 

A.スカートなのを忘れてブレイクダンスしていたのをアサヒやミクに指摘された事。

 

 

──────────────────────

 

「なんか、同じ女性として心配になる事ばっか起きてません!?」

 

「ア、アハハ……リオンって男の子っぽい所があるからアサヒと私が結構守ってる部分あるんだよね。あのときはリオンがずっと真っ赤で早退させられかけたっけ?」

 

「そんな事があったんですか……」

 

「でも、プールに行くのに水着着て行って忘れるのってあるあるじゃない?」

 

「だとしても、なんでその状態で1日過ごしたんです?保健室に行けば、下着貰えますよね?ブラは分かりませんけど、パンツならあるはずですけど」

 

「本当!?と言うか、本当だったとしても難しいかも。ウチって保健室の先生、男の人だったし」

 

「あぁ……話題変えますか。ユズキは気になった所ある?」

 

「シャーチネード……ジュースのこと?」

 

「いやレモネードじゃないよ!?」

 

「じゃあなに???」

 

「えっと、簡単に説明すると……シャチの群が台風に飛ばされて町に降ってきて人間を襲うっていう映画なの」

 

「……?…、?…………????………ぷしゅぅ」

 

「まぁ、観たことがなければこうなるわよね」

 

「ユズキちゃん大丈夫?頭から蒸気出てるけど……」

 

「懐かしいわね、確か勉強教えてたときとか良くこうなってたわ。ユズキがオーバーヒートしちゃったし、今回はここまで!今回は二人で閉めるわよ!」

 

「オーライオトハちゃん!」

 

「マジカル!」

 

「デジタル!」

 

「クロニクル!魔法少女図鑑のコーナーでしたー!……スタッフ早く!ユズキちゃんに氷と水入った袋持ってきてあげてー!」

 

「あ、みんな!私たちLight Connectorsの応援よろしくね!!メーデーメーデー!医療スタッフさん氷はやく!」

 

 

 





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