平和な元の世界を創造した……はずなんだけど。 作:クレナイハルハ
青い空が広がりセミの鳴き声が響く。
スカイレイスの一件から、少しの時間が流れ夏休みも終わりが見えてきた。
普通の女の子なら焦りながら宿題を進める頃なのかもしれない。
私は夏休みの前半で全てを終わらせたので後は学校へ行く前の日に鞄に宿題をいれるぐらいだろうか。
コハル達は相変わらずみんなで集まっていたり、怪物と戦ったりとしていて忙しい。まぁ、怪物と戦ったりするのは私も同じだ。
「夏休み、あっという間だったな」
水のはいったマグカップへと浸り、涼んでいるメリアを見つつ私は窓から見える何気ない青空を眺める。
夏休み、メリアの故郷を守るために別の次元へと向かいフォールエンスから無事メリアの故郷を守り切ることが出来た。
ケルビム様から貰ったプロテクトオーブはこっちに戻ってからすぐに希代彼方さんとノゾミさんに渡しお泊まりで遊ぶ、という表向きの理由も無事両親にバレることは無く終わることが出来た。
ふと玄関で物音がしたので部屋を出て階段を下りていくと、そこには夏休みの課題らしき漢字ドリルや計算ドリルに読書感想文と様々な宿題の入った鞄を持って靴を履く妹の姿があった。
「コハル、何処に行くの?」
「あ、お姉ちゃん!今日からヒヨリちゃんの所で宿題をやるの!友達みんなでやるから、きっと早く終わるよー!」
「そっか、頑張ってね」
「そういうお姉ちゃんこそ、宿題は進んでるのー?」
悪戯っぽい笑みでそう此方を見てくるコハルには申し訳ないけど、私の課題はもう終わってるのだ。
「私はもう終わらせてあるから」
「えぇー!?ずるい!先に終わってるなんて!」
「最初の方で纏めて進めたからね。コハルもコツコツやったり、先にやっておけば良かったのに」
「うっ!それは………フォールエンスの怪物が出て倒しに行かなきゃいけなくて忙しいとは言えないし……」
コハル、ウィザーズの話をするならもう少し小声で言うか心の中でいった方がいいよ。
私だから聞こえない振りをしてるけど、普通なら聞こえてるから。
そっか、考えてみればウィザーズの子達もフォールエンスの怪物のせいで宿題が進められてないのか。
それなら私が町を散策して敵が現れたら即座に迎撃できるようにすれば、ウィザーズの子達も宿題に集中できるかな。
そんなことを考えていると、ポケットに入れていたスマホが振動したのを感じ取り出して画面を確認しようとしていた時だった。
「あら、もう行くのねコハル。気を付けていってらっしゃい」
「うん!それじゃあ行ってくるねーお母さんにお姉ちゃん!」
そう言いながら勢い良く玄関のドアを開けて書けていくコハルを母と共に見送る。
取りあえずフォールエンスの対策のためにも、今から出掛けた方がいい。
でも、その前にスマホの振動の理由を確認しないと……。
今後の活動について思考し、部屋に戻ろうとした私は此方を見たお母さんの口からでた言葉に思わず体が固まった。
「さて!ソラもそろそろ準備しないとよね、
「え?」
友達と、お祭りに?
私はそんな約束した覚えもないし、お祭りの話をするような友人もいない。
「えって何よ、希代さんが内の子が一緒に夏祭りにいく約束をしたので、約束の日にお宅のソラちゃんを預かり隣町の夏祭りに連れていきますって聞いてるわよ?」
私がノゾミさんと夏祭りにいく約束を?そんな訳がない。スカイレイスから戻ってきた私は、向こうでの時間と此方での時間の流れが同じだと判明して安堵し彼方さんとノゾミさんに此方での私の存在の証明をしてくれていたことの感謝とプロテクトオーブを渡し、私は家に帰ってきた。
とてもじゃないが、そんな話をする時間も無かった。
もしかしてと思い、急いでスマホを取り出して画面を確認すれば、そこには希代彼方さんからの新規メッセージが表示されていた。
メッセージアプリを開いて内容を確認する。
『隣町の
せめて、せめて当日じゃなくて前日にメッセージを送っておいて欲しかったです彼方さん。
「浴衣、しっかり着付けしてあげるから、楽しんでらっしゃい♪」
ニコニコとしたご機嫌なお母さんに腕を引かれ、私は浴衣を身につける。
星之扉町か……確か彼女の通っていた学園がある町だったよね。
ふと前の彼女の姿が脳裏に過った、魔法少女としては珍しい両腕の腕輪から伸びる鎖を自由自在に操り戦っていた。
魔法少女名はチェイレット、彼女は軍に所属し軍の情報を敵魔法少女へと伝える裏切り者だった。
彼女が敵魔法少女だった理由は、人を殺してもう戻れないと覚悟を決めたかららしい。
彼女は学園で苛めを受けていた、そんな時に魔法少女に変身できる力を得た彼女は、陰口を話し苛めてきた少女への怒りと憎しみを押さえきれず鎖で締め殺してしまった。
彼女が軍を裏切り私の首を鎖で締め付けながら、そう話してくれた内容は今でも鮮明に思い出せてしまう。
助けて欲しそうに涙を浮かべながらも、口だけは悪役らしく笑おうとする彼女を救えず目の前で失ったとき、どれ程の後悔だっただろうか。
自分が情けなくて、もっと力があったらと心の底から感じた。
この世界で彼女は、魔法少女の力を得ていない。
だから、当然だが彼女を苛めていた奴らを殺す事もない。
罪を犯すことがないのだ、でもその場合、彼女は苛められ続けているのじゃないだろうか。、
いや、作り直したこの世界で彼女が苛められていると言う確証がない。
今度、調べに星之扉町に向かう時間を作ろう。
まだ夏休みも数日残っているし、明日にでも行けばいい。
もし、貴方を救うことができるのなら私は自分がどうなったとしても構わないだろう。
そう思いながら私は母に着付けて貰い浴衣へと着替える。
母が用意してくれた浴衣は、水色と白だった。
こんな可愛い着物、自分よりコハルや────の方が似合ってる。
あれ、誰と比べようとしたの?私。
コハルの次に思い浮かべた存在を思い出そうと記憶を探るけど、思い出せない。
まぁ、いいか。
和服姿の彼方さんとノゾミさんと共に神永さんが運転する車で隣町、星之扉町にやってきた頃はお昼を過ぎていた。
ちなみにお昼ごはんは、彼方さんが全員に道中にあった『BURGER Z』で各々好きなバーガーを買って食べた。
私は安いセットを買おうとしたが、彼方さんが遠慮せずにとウルトラZバーガーセットを食べることとなった。
普段はあまり食べないけど、私は食べようと思えばかなり食べられる。
魔法少女の頃と同じようにとまでは言わないけど、ランニングや腕立て伏せに腹筋は続けているからだろうか。
そんな現実逃避とも言える改装を終え、私は目の前の風景を見る。
遠くまで並ぶ屋台と沢山の人混み、魔法少女シリーズのキャラのコスプレしている人や浴衣を着ている人など各々の楽しみかたをしている人達が多く見えた。
「これは、思ったより人が多いなぁ」
「で、でも屋台が沢山あるよ!色々と食べたいし遊びたい!」
「お嬢に兄貴、お願いですからはぐれないように動きましょうね」
「固まって動いた方が安全ですし、迷子も防げますので神永さんに賛成です。どうしますか、彼方さん」
手を繋ぐ彼方さんとノゾミさんの横で目の前の人混みを見て私は彼方さんに問いかける。
「そうだね、神永とソラの案の通りにみんなで行こうか」
そう話し並んで歩き出す彼方さんとノゾミさんに続き、私は神永さんと二人の後ろを追いつつ周囲に危険がないか確認しつつ移動する。
ノゾミさんの目についた屋台を回りながら、両側に屋台の並ぶ通りを歩く。
普段なら、まずは並んでる屋台を見つつ他と比べて安かったり美味しそうだったりお得だったりするところを選ぶけど、彼方さん達は違うみたいだ。
ったりするところを選ぶけど、彼方さん達は違うみたいだ。
まぁ、祭りの楽しみ方は人それぞれだし私が口を出すことでもないか。
「みてみてお父さん!チーズハットグにケバブ、トルネードポテトだってよ!」
「本当だ、最近の祭りの屋台は凄いな。色々なものがある」
「昔はたこ焼き屋唐揚げ、クレープが基本的だったんですけど……これがジェネレーションギャップってヤツですかね。やっぱり歳を取ったと感じますよ」
様々な屋台を指差すノゾミさんに笑顔で答える彼方さんの後ろで、どこか遠くを眺める神永さん。
そんなみんなを見ていると、少しだけ心が温かくなるのを感じる。
ノゾミさんは、私が活動する時からオペレーターとして魔法少女や軍の人達を支えてくれた。
きっと、オペレーターとして活動するなかで色々な物を見たはずだ。
魔法少女がビーストに殺されかけたり、腕を千切られたり、息を引き取る瞬間を耳で聞き目で見てきたのだ。
それなら、私の選択で……魔法少女事件の起きなかったこの平穏な世界を創造をした選択は間違いじゃ無かったんだなってそう思えた。
私も少しだけ、警戒を解いて祭りを楽しんでも良いのかな。
そんなことを思った時だった、視界の先。
この出店から隠れ見えにくい暗く怪しげな雰囲気の場所に入っていく一人の少女。
表情は強張り、まるで何かに怯え目は暗く見覚えがある。
間違いなく、私の後輩だった少女。
霧渚 鎖守《キリナギ クサリ》の姿が見えた。
彼女が先ほど見せていた表情から、私は否や予感を感じて私は彼女の後を追うことを決めた。
「すいません、彼方さん。少しだけ離れます」
「どうしたんだい?少しならまぁ、構わないけど」
「直ぐ戻ります、遅いようならメッセージや電話で連絡してください」
そういいながら私は彼女が向かった場所へと早足で向かう、先程から感じる嫌な予感に心臓が早く鼓動する。
なんで、こんなに嫌な予感がするのか何となくは脳が理解していた。
彼女が向かっていったと思われる道、続く足跡を追いかけてやがて人の声が聞こえてきた。
聞こえたのは、不快感を感じる複数の女子の下卑た笑い声。
「アッハハハ!マジうける!」
「ほらほら笑いなよ、映えないでしょ?」
「せっかくウチらがあんたを
嫌な予感に、脳内の嫌な予感が歩く足のスピードを上げさせ焦りが大きくなる。
やがて広場に出た私は、目の前に広がっている惨劇を見て脳が思考を止めた。
「アッハハハハハ……は?なにあんた、見ない顔だけど」
「盛り上がってんの分かんない?早く消えてくんない?」
地面へと座り込んだクサリは頭に屋台で買ったものと思われるお好み焼きが頭にのせられ、顔にはソースやマヨネーズがベチャリと付いている。
浴衣はかき氷をかけられたのか、いくつもの色で濡らされていた。
微動だにせず、口だけが笑っている。
にぃ、と引きつるように持ち上がった唇は、まるで自分は平気だと言い聞かせる仮面のよう。
その目は、まるで色の抜けたガラス玉。
生気を失った瞳は、誰のことも映していなかった。
お好み焼きや焼きそばのパック、かき氷のカップが転がる足元、紙くずにまみれた周囲、そして湿った浴衣に染みた甘い匂い。
「アッハ!この通り、ウチらは友達と楽しく遊んでんの、引っ込んでくんない?」
「どこの学校か知らないけどさぁ、空気読めないの?アンタ、ねぇアンタも思うよね」
そうクサリへと手にもっていたクレープを包んでいた紙クズを投げ捨てる。カサっと、頭にぶつけられた彼女は、その笑顔を浮かべたまま、口を開いた。
「お祭り、たのしいね」
「アハハ!話し聞いてないの?あ、バカだから聞いてもわっかんないかー!」
「ギャハハ、次は何する?さっき串焼きあったよね?あれでもおごってあげよ、熱々で火傷しても不思議じゃないもんねー?」
そんな彼女を見て下卑た笑いを浮かべ、クサリにスマホを向けている女子三人の姿を見た私の中で、何かがプツンと切れた音がした。
目の前に現れた自分達の知らない、恐らくは別の町から来た余所者の少女。
何故この場所へとたどり着いたのか分からず、少女はいつものように彼女、クサリで遊ぶ。
「お祭り、たのしいね」
「アハハ!話し聞いてないの?あ、バカだから聞いてもわっかんないかー!」
「ギャハハ、次は何する?さっき串焼きあったよね?あれでもおごってあげよ、熱々で火傷しても不思議じゃないもんねー?」
的はずれな発言をするクサリを見て、その姿を笑いながら写真を撮る。そんな三人の姿を見ていた余所者の少女がほんの少し、俯いたその瞬間だった。
――バサバサバサッ!
近くの林から、何十羽ものカラスが一斉に飛び立つ。鋭い鳴き声が空を裂き、黒い影が空へと舞い上がる。
その直後だった。
ミンミンと鳴き続けていた蝉の声が、まるで電源スイッチを切ったようにピタリと止んだ。
その場から音が消えた。
ただ、風の気配すらも沈黙したその空間に、場違いなほどの静寂が満ちる。
笑っていた三人の少女が、不意に寒気を感じて、ぴたりと口を閉じた。
誰も言葉を発せず、誰も動けない。
空気が変わった。
“何か”が、そこに立っていた。
余所者の姿が一瞬にして浴衣から黒いドレスの上から青いロングコートを羽織った、夏の祭りの場とは全く場違いな姿へ変化しする。
先程までに立っていた余所者の姿が、一瞬で消える。
「あがっ!?」
それと同時に近くにいた三人のウチの一人から苦しそうな声が聞こえ、見れば先程の余所者が片腕で金髪の女子の首を掴み宙へと持ち上げていた。
首を捕まれている彼女は手足がじたばたと動かし余所者の拘束から逃れようとする。
いくら暴れても、余所者の体は動くことはなく喉を押し潰される少女の口からはただ苦悶の呻きが漏れる。
「楽しい?食べ物を無駄にして」
苦しそうに喘ぐ彼女を、余所者は冷めた目で見つめながら先程より腕を上へと上げる。
首を捕まれている彼女は苦しそうに首を掴む私の手を退けようと両手で叩くが、力が入っていないためビタンという音もパシンという音もしなかった。
「お前!アヤカから離れろ!」
そういいながら片手で首を捕まれている少女の名前を呼びながら、チヅルは余所者へと近付き頬へと目掛けて手を振るうがその手は空を叩いた。
それと同時にドサっと、首を捕まれていたアヤカは地面へと落ち激しく咳き込み、荒い呼吸を繰り返す。
そしてその事に驚いたチヅルは急いでアヤカを助け起こそうとするが、次の瞬間。
「……ッがはッ!!」
チヅルの腹部に、鈍い音が響き内臓が圧縮されるような痛みが走る。呼吸する間もなく、チヅルの胃の奥から熱い液体が込み上げてくる。
腹部の痛みから涙が流れ、涎を濡らしながらチヅルは四つん這いに倒れ込む。
「……ぅ、げほっ、ごぼ……っ」
チヅルは口元から胃液と混ざった嘔吐物を地面へと吐き出した。一度の嘔吐だけで終わらず繰り返し、口から吐瀉物を吐き出し続ける。
地面へと倒れ込んだ際に落ちたスマホを拾い上げた余所者は、片腕でスマホを握りしめる。
すると、パキッ……パキパキ……と、鈍く何かが割れるような音が鳴る。
スマホの画面には無数のヒビが走りっていく。
「や、やべでっ!」
次の瞬間、チヅルの静止の言葉も意味なくバキィッと甲高い音とともにスマホが折れた。スマホだったものの破片が地面に散らばる。
「楽しい?無抵抗の奴を苛めて」
地面に倒れ込み吐瀉物を吐き出し続けるチヅルと、呼吸をしているが体を震わせ余所者を畏怖の目で見つめるアヤカ。
そんな二人を見て体を震わせていた最後の一人、イスズはゆっくりと此方を見つめて歩き近付いてくる余所者に一歩後ずさってしまう。
そんな彼女を追い詰めるように近寄る余所者の右手には青い短剣が握られており、それを見たチヅルとアヤカ、そしてイスズは体を震わせる。
そんな中でイスズはハッとすると、ニヤリと口許を歪めて口を開いた。
「殺すの!?私を殺したらアンタは犯罪者だ!!一生刑務所から出てこられ」
「へぇ、面白いことを言うんだね」
その言葉と共に振るわれた短剣が、イスズの喉元に触れる瞬間に止まりイスズは体を硬直させる。
「悪いけど私はね、もう何人も殺してきた。今更、躊躇うとでも?」
まるで呼吸困難を起こした人のように浅い呼吸を繰り返すイスズは、自分の首が短剣に斬られていない事に安堵すると同時に首元に当てられた短剣の冷たさ、そして目の前の余所者の顔の能面のような無表情となにも写さない真っ黒な瞳にイスズの中の全てが決壊した。
涙を流しながら、ふとももを伝う生ぬるい感触。足から地面へと流れていく。
余所者はそんなイスズの前で口を開く。
「貴方達のようなゴミがいるから、せっかく平和な世界を作ったのに彼女が笑えない。どう?一方的に蹂躙されるのは、どう羞恥心を越える恐怖は」
羞恥心よりも首から血が流れていないことに安堵して、濡れた地面へと座り込むイスズを見た余所者は持っていた短剣を逆手に持ち変えゆっくりと振り上げる。
「ば、化け物」
イスズの言葉に、短剣を振り下ろそうとしていた余所者の手が止まった。
聞こえてきた化け物という単語に、私はリュミエールを持った手を止めていた。
目の前には、クサリを苛めていた三人のウチ一人が座り込んで座り込んだ場所を中心に水溜まりを作っている。
他の二人は私を見て怯え、一人は苦しそうに嗚咽を漏らし浅い呼吸を繰り返し、もう一人は涙を浮かべながら後退りする。
私は、何をしていた?
先程までになにも聞こえていなかった私の耳に、恐らくは屋台を回る人々の喧騒や足音、カラスや蝉の鳴き声が響く。
目の前の参上に私は、自分が何をしていたのか理解した。
理解して、自分が起こしたことに遅れながら後悔した。
無抵抗の奴を苛めたのは、目の前の三人をこうした私も同じじゃないか。
化け物、か……アハハ、なんで忘れてたんだろう。
そうだ、魔法少女は……私は化け物なんだ。
だから、越えては行けない線を簡単に越えそうになってしまう。
クサリはきっとそうなのだろう。
クサリもきっと苦しかった。
毎日の苛めが苦しくて、嫌で仕方なくていつも苛めてくる奴が嫌いで、憎くて仕方がなくて。
そんなときに、得てしまったんだ。
魔法少女の力を、力を得たから、耐えられなかった。一時の感情に全てを任せ、苛めてきた人を殺めた。
きっと彼女は後悔した、死んで欲しいと願い恨んだいたが故に彼女は止まることなく越えてはならない線を越えてしまったことを、自分が、人を殺してしまったことを後悔した。
持っていたリュミエールを握る手を下に向けて下げる。
私の様子に三人は姿や状況を考えることなくその場から走り出す。
そんな彼女らの背中を眺めながら、私は自分がしてしまったのであろう行動を思い出す。
一人の首を絞め、一人の腹を殴って吐かせスマホを破壊し、威圧して失禁させた。
私は、正しくない。
私の行動は、責められるべき事だろう。
魔法少女の力は、こんなことに使うものじゃない
こんな魔法少女の力の使い方はアイツら、敵の魔法少女達と同じだ。
こんなの、あの人の言う魔法少女じゃない。
リュミエールを消してクサリへと歩みより、彼女の頭に乗った物を落とそうと手を伸ばした時だった。クサリは浴衣が汚れることもきにせず尻餅をついたまま後ろへ下がった。
怯えた彼女の瞳の中に自分が映っていた。
あぁ、そうだ。
覚えている、慣れている、もう慣れた筈だ。
目の前のクサリが浮かべる表情、そうだこんな感じだったじゃないか。
魔法少女の圧倒的な力を目にし、助けられた時の人達のほとんどが浮かべていた怯えののこもった瞳。
「怖いよね……大丈夫。すぐに、離れるから」
今の彼女の瞳に映る私は、きっとさっきの少女達と何も変わらないのだろう。
圧倒的な力を持ち、他社を強いたげる存在。
慣れている、そのつもりだけど。
どうしてだろう、頬を何かが伝う感触がする。
どうしようもなく心が苦しい。
やっぱり私が選択したこの未来は間違いだったのかもしれない。
私が魔法少女事件を起こさない未来を願ったから、クサリはこうなった。
私が魔法少女すべての幸福な未来を選んでいたなら、きっと彼女はこうなることがなかった。
結局は私は、
自分の望む未来しか考えずにこの世界を作り直したのだから。
彼女の前から立ち去ろうと身体を動かしたいのに、身体が動かない。
動きたくない、なにもしたくない。
「なんで、なんでアンタが、そんな悲しそうな顔してるのさ」
彼女の言葉に、顔を上げれば私の目の前には先程までの怯えた様子から一変して怒りの表情を浮かべたクサリが私をまっすぐ睨んでいた。
「私なんか助けて、ヒーロー気取りならっ」
その言葉と共に彼女の両手が私の羽織っているコートを掴んで引き寄せる。
クサリの涙を浮かべながらも、怒った様子の顔が目の前に迫り思わず目を背ける。
それでも、クサリは私を睨みつけながら口を開いた。
「こっちを見ろよ、ヒーロー気取りなら笑ってよっ!誇ってよ、なんで、なんで助けてくれたアンタが、そんなに悲しそうに顔をしてんのよ」
そういいながら頭を私の胸元に押し付けてうつむく。
「ごめんね……」
「アンタは私を、助けてくれたのに……どうして……」
そうして肩を震わせるクサリをそのまま、私は見ていた。
私には彼女を励ます言葉を掛ける権利も、彼女を抱き締める権利もない。
魔法少女事件のなかった平穏な世界、私の願いが原因で彼女のような多くの魔法少女の人生を変えてしまった、不幸にしたかもしれないのだから。
汚れや浴衣が濡れたのもあり、クサリが帰っていくのを見送った私は、聞こえてきた。
いや聞き覚えのある咀嚼音が聞こえてくる足元を見る。
そこには先程までのクサリの頭に乗せられていた、地面に落ちたお好み焼きを頬張るメリアの姿があった。
「………何やってるのメリア」
『ハギュハギュもぎゅもぎゅう……ん?せっかくのお祭りのごはん。勿体ない……』
「新しいの買って上げるから、今口にいれた奴全部ぺっしてぺっ」
お好み焼きを手放したメリアを肩に乗せて、私は来た道を戻り屋台の並ぶ場所へと戻る。
「取りあえず、食べたいのはある?」
『さっきのやつ、食べてみたい』
「お好み焼きね、せっかくだしコハルやお母さんのお土産にいくつか買っていこうか。食べたいのがあったら言ってね、メリア」
『ありがとう、ご主人さま』
沢山の人混みのなか、なんとか彼方さん達と合流した私たちは祭の屋台を周りを様々な物を買ったり、何故か彼方さんや神永さんと射的で勝負したり、偶然祭に来ていたこころ先輩やオカシ先輩、アヤノ先輩達と会ったりとしながらもお祭りを楽しんだ。
久しぶりに、ふつうの女の子みたいな時間を過ごせたような気がした。
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「マジカル!」
「デジタル?」
「クロニクル!」
「「魔法少女図鑑!!」」
「第8回魔法少女図鑑!進行は私、
「
「この後近くでやってるのお祭りの屋台に連れていって上げるから元気出してユズキ。さて、今回のゲストはこの人!!」
「おいっすー、魔法少女チェイレットこと
「裏切り者?って言われてたけどなんでここに……」
「ちょっとユズキ、ここではそういうのは無しなのよ?すいませんえっと、
「クサリでいいよ?裏切ったのは事実だし、それに私は君たちと会う前にはもう死んじゃったんだしさー。私の紹介はこんなもんでいいでしょ、それより早く紹介する魔法少女の発表いきましょ」
「し、進行の促し方が上手い……えっと今回紹介する魔法少女はこの人です!」
「魔法少女紹介コーナーへゴーゴー」
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【魔法少女名】魔法少女ネクスター
【変 身 者】宮本 朝陽《ミヤモト アサヒ》
【 武 器 】テラスドゥーエ
【 魔 法 】《フリージングバレット》
《スナッチ》
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「前にゲストとして来て頂いた
「お、アサちゃんですか。確か前回からミッちゃんやリオちゃんが来てたし流れとしては自然ですなぁ」
「仲良し?」
「結構仲良さそうに聞こえますけど、友達だったんですか?」
「いえいえ。知り合いですよ、たまに食事とかするとき話してたくらい。たまに相談のってあげたりもしたっけ?」
「そんな関係なんですね……えぇと、魔法の紹介に移るわ!魔力で生成された弾丸をガンブレードであるテラスドゥーエで発射し、命中した対象を凍らせるフリージングバレット。相手の持つ物を1つを盗むことが出来るスナッチですね」
「ちなみにこのスナッチ、ビーストが人間を咥えているのも持っている判定に入るから、スナッチを使えば捕まってる人を盗めるのよ。だから救出のためにもよく使ってたらしいよ?」
「そうだったんですね……」
「結構便利な魔法、ペットボトル凍らされたのフリージングバレットだったんだね」
「そういえば前回の魔法少女図鑑でペットボトル凍らされてたわね……。さて、そろそろ番組進めていくわ!続いては恒例のコーナー!『マジカル!気になる?クエスチョン!魔法少女アンケート10』のコーナー!」
「このコーナーでは気になるあの魔法少女の趣味や好きな食べ物についての様々な10個の質問に回答して貰った表を見ていくコーナー。早速アサヒ先輩の回答をオープン」
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Q1.好きな食べ物は?
A.たこ焼き
Q2.好きな事は?
A.歌うこと
Q3.最近良く聞く曲は?
A.INAZUMA
Q4.最近観た映画は?
A.呪怨霊(ただしWi-Fi回線)
Q5.変身アイテムを変えられるなら何が良い?
A.イヤリング
Q6.もし休日が1日だけ完全に自由なら何する?
A.猫カフェで癒される
Q7.魔法少女カフェを開くなら、貴方はどんなメニューを作る?
A.タコだけでなく様々な食べ物をいれた十個のたこ焼き、ネクスたこ焼きランダム10!
Q8.朝ごはんはパン派?ごはん派?
A.フルーツとシリアルを混ぜたヨーグルト
Q9.戦いのあと、何が一番欲しい?
A.睡眠時間
Q10.最近ちょっと恥ずかしいと思った時
A.テラスドゥーエを西部劇のガンマンのように指で回したら落としてしまったこと。
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「これ、絶対に深夜の任務後に回答したでしょ?」
「なんでよりにもよって深夜の任務後に取材してるのよスタッフ……」
「この解答は納得、深夜の任務後は寝たい」
「あーっ!またどちらでもない返事が入ってるじゃない!……でも深夜の任務なら仕方ないわよね」
「まぁ、深夜任務なんて女の子。それも10代ならやらないのが普通ですし?脳死でここまでちゃんと答えられてるアサちゃんが凄いですなぁ」
「うーん、猫カフェかぁ…行ってみたいわねユズキ」
「オトハが行くなら私もいく」
「いやぁ、仲が良いねぇ二人とも。お姉さん是非とも馴れ初めとか聞きたいわぁ」
「私達は二人でビーストから逃げてるところをソラさんに助けてもらったのがきっかけで軍に所属したんです」
「よく、めんどう見てもらってた」
「そっかぁ、ソラにも私意外に後輩がね……いい後輩に恵まれたねソラ。私みたいな裏切り者じゃなくて、この二人をたくさん可愛がってあげて……私は貴方を裏切ったんだから本来ならここにいること事態が……」
「急に湿度が高い!?」
「これ以上熱くなるのは勘弁、もう締めよう。そして外にいこ?」
「そ、そうね。クサリ先輩、番組閉めて祭いきますよー」
「あ、アハハごめんね急に。よし迷惑をかけたお詫びにお祭りの屋台2、3個はお姉さんがおごったげるよ」
「いいんですか!?よし、じゃあ早く祭りいくためにも番組閉めるわよ!マジカル!」
「デジタル!」
「クロニクル~♪」
「魔法少女図鑑のコーナーでしたー!それじゃ、早く祭りいきましょ先輩!」
「先輩、いこいこ」
「ちょちょ、そんなに押さなくても自分で歩けるって。ふふ、少しは先輩らしいことやってあげますか!」
ご愛読ありがとうございます
感想、お気に入り登録、高評価
お待ちしています
タイトル、変えようか迷っています。どれが良いですか?
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魔法少女のメモリアル~ここに現在タイトル
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現在タイトル~魔法少女のメモリアル~
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魔法少女のメモリアル
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今のまま