張任編
一組の男女が向き合う
一見して逢瀬にも見えるそれは、逢瀬とは程遠い雰囲気であり、男女のその関係は、主従である。
「親と部下共の不始末だ、劉焉の子たる私が責任を取らねばなるまい・・・だが、態々お前まで付き合う事は無いんだぞ?」
「私の主は貴方様だけです、何処へでも、何処までも、着いて行かせて貰いますよ。」
どこか寂しそうに、しかし、微笑みを浮かべるその主従を、夕日が照らしていた。
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「劉璋様は無事、降伏為されたか・・・それに、紫苑と桔梗も降った、か・・・」
そこに居るのは男、ただ一人。
「それでいい、お前達はそれで良いんだ・・・」
そう呟き、フッと身に纏う雰囲気を変える。
ギラギラと前を睨み付ける様な目、味方を鼓舞する様な、敵を怯ませる様な獰猛な笑み。
今の男は、一人の武人、否、一匹の戦鬼だった。
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「おおぉぉおぉぉぉぉおぉぉっっっっっ!!!!!」
振るう、振るう、振るう、振るう………
男が両手の剣を振るう度に消えゆく命。
「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっ!!」
男が一歩、歩くたびに増える生傷。
比例して大きくなる吼え声と、深まる獰猛な笑み。
男は、止まらない。
「鴛鶯
「お主は・・・何と言う・・・」
「張任、様・・・」
男を見つめる三人の女性。
かつて轡を並べたその三人は、声を掛けた所で男が止まることが無いと分かり、その男の姿を、生き様を、その眼に焼き付けることしかできないのを嘆くしか、ない。
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始めは関羽との一騎打ち。
関羽程の才がない男はただその熟練した巧さで、関羽を追い詰める。
そこに張飛が加わり、しかし、二刀を操り、関羽と張飛の連携を受け流し、攻め立てる。
更に趙雲が加わり、しかし、趙雲の撹乱にも惑わされず、傷付きながらも致命傷を避け、それまで以上に苛烈に攻め立てる。
ついには馬超までもが加わり、十、二十と打ち合うも、関羽と張飛の連携、趙雲の撹乱、馬超の支援の前に、男が地に膝をついた。
「降伏なされよ、張任殿。もはや貴方に勝ち目は無い。」
「劉璋も我々に下った、態々争う意味もないだろう?」
己が得物を向け、劉備に下れと言う関羽に趙雲。
しかし、男の眼はまだ死んではいない。
「く、くく・・・」
よろよろと己の得物である剣を支えに立ちあがる。
その口元には貼り付けた様な笑み。
すぅ、と息を思いっきり吸う。
「黄忠!厳顔!貴様等はそれで良いのだ!己を恥じるなよ!」
一息つき、
「劉璋様!貴方に仕えれて、幸せでした!」
また一息、
「くく、かかか、あぁ、貴様らに一言だけ言ってやろう!」
「忠臣は!二君に!仕えずっっ!!!」
その場にいた者はいきなりの事に唖然として、その男の行動を止めれなかった。
恋姫†無双・張任編~忠義の将?いや、惚れた女も護れない哀れな男さ~
「・・・はぁ、始まりは何時も唐突なんだよ・・・何とかならない?」
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