騎士ガンダム様、只今異世界へお出掛け中 作:不死身の機動歩兵隊
‐エツアト商会・隔離収容区画‐
エツアト商会長
「商品の様子はどうだ?」
秘書
「ハッ、順調です。来月には出荷できるかと。」
エツアト商会長
「そうか・・・獣人族は扱いが楽でいい。その後の補充状況は?」
秘書
「抜かりなく。この所、思う様な商売が出来ませんでしたが、ようやくですね。」
エツアト商会長
「あぁ、これでダカレス様もお喜びになるう。」
ローデン王国王都オーラヴの第3街区内にある大規模奴隷商、エツアト商会。その敷地にある隔離収容区画でエツアト商会長と秘書が瀬々笑う中、牢屋の中には腹部が膨れた複数の女性獣人達がいた。
‐同時刻 王都オーラヴ‐
獣耳くノ一
「ボクの事をくノ一・・・と。やはり聞き間違いではなかったのですね。エルフ族の救出お見事でした。貴方と少しお話がしたいのですが、構わないでしょうか?」
アリアン
「ナイト、この娘は?」
騎士ガンダム
「ディエントでの救出作戦時に言えなかったが、彼女から売買契約書と情報提供を受けたんだ。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「それで、君は何者だ?」
チヨメ
「申し遅れました。ボクの名はチヨメ。
そして騎士ガンダム達は獣耳くノ一、チヨメの提案を受けて王都オーラヴにある宿屋の1つへと場所を移す。
‐宿屋‐
ポンタ
「きゅん♡」
宿屋に到着後、1つの部屋に入るとポンタはベットに飛んで寝転ぶ。騎士ガンダム達はチヨメを交えて備え付けのテーブルに座る。
騎士ガンダム
「では改めて名乗ろう、私は騎士ガンダム。こっちはポンタだ。」
ポンタ
「きゅん♡」
アリアン
「アリアン・グレニス・メープル、カナダ大森林メープルの戦士よ。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「騎士ガンダムF90Ⅱだ。ナイトとの血縁は無い。」
チヨメ
「ナイト殿、アリアン殿、ポンタ殿にF90Ⅱ殿ですね。早速ですがナイト殿に1つお聞きしたく。」
騎士ガンダム
「何だろうか?」
チヨメ
「何故ボクを忍者と呼んだのですか?」
騎士ガンダム
「あー、私の故郷で大昔チヨメ殿と同じ格好をした密偵が忍者と呼んでいたんだ。」
チヨメ
「忍者とは我らの一族のみに伝わる隠された名。となるというナイト殿は初代様と同じ御国の生まれなのですね。」
騎士ガンダムが何とか捻り出した回答にチヨメは納得すると同時に気になる事を言う。
騎士ガンダム
「その初代様は健在か?」
チヨメ
「いえ、600年程前ですので・・・」
騎士ガンダム
「そうか(その初代も私の同様に異世界へ飛ばされた日本人、或は地球人で間違いないかもしれないな)・・・」
アリアン
「ところでチヨメ・・・ちゃん。ナイトにどんな話を?」
アリアンの言葉にチヨメは顔を引き締める。この時、騎士ガンダム達は彼女の目的を察していた。
チヨメ
「
騎士ガンダム
「成程、だが私は現在エルフ族のアリアンと協力をしている。この場で君達に協力するのは仁義に悖なってしまう。」
この言葉にチヨメは落ち込む。彼女の足元にいたポンタは脛をこする。
騎士ガンダム
「(いくら熟練の忍者でもまだ年端もいかない少女だ。出来れば笑顔にしたい・・・今の私の力で救える命を助けたいッ!)どうだろうか?アリアン、騎士F90Ⅱ。彼女の持つ情報が真実かは分からないが・・・」
アリアン
「良いわよ。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「俺も構わない。」
騎士ガンダム
「2人共ッ!」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「助けを求める手を拒んでは騎士の名折れだ。そんな事をすれば親父に怒られる。」
アリアン
「見損ないでナイト。仲間を助けたい気持ちは知ってるもの。」
騎士ガンダム
「チヨメ殿ッ!喜んで協力させて頂こう。」
チヨメ
「はっ、はいッ!」
その言葉にチヨメは笑顔で返す。そしてチヨメから獣人族救出作戦の具体的な話を騎士ガンダム達を聞く。大規模奴隷商のエツアト商会を襲撃するが中央と繋がりが強く、すぐに衛兵が集結し、増援として王国軍が動く前に他4箇所の奴隷商にも襲撃するとチヨメは話す。
アリアン
「それじゃあエツアトに襲撃する人や解放した人達が逃げるのは難しいわよ?」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「エツアトは囮か。」
チヨメ
「はい、同胞を囮に使い他の者達を逃がします。全員を救う事はできません・・・100を救う為に10の犠牲を払わなければならいのなら、ボク達はそれをするだけです・・・ッ!」
チヨメをそう言い、膝に置いた手を強く握る。それを見たアリアンは騎士ガンダムにアイコンタクトを送る。
騎士ガンダム
「チヨメ殿。私は転移魔法が使える。」
チヨメ
「転移魔法ッ!?あれは見間違いではなかったのですねッ!やはりナイト殿も初代様と同じ時空忍術をお使いにッ!?」
騎士ガンダム
「忍術ではないが、一度記憶した場所なら一瞬で移動できる。」
アリアン
「ナイトの魔法を使えばリスクを大幅に減らせるはずよ。」ドヤッ
騎士ガンダムF90Ⅱ
(何故ドヤ顔をしているんだ?)
チヨメ
「時空忍術を使えるナイト殿がいてくれれば・・・作戦を大幅に変えられるッ!早速この事を他の仲間に伝えて参りますッ!」
騎士ガンダム
「分かった。だが慌てた状態で急ぐと危ないから気を付けてくれ。」
チヨメ
「ご心配ありがとうございます!そうそう、襲撃は今晩ですので準備をお願いします。」
騎士ガンダム達
「!?」
そしてチヨメは部屋を出る際、騎士ガンダム達に衝撃的な言葉を言い残して出ていく。
アリアン
「私には計画実行が今晩って聞こえたんだけど・・・」
騎士ガンダム
「私もそう聞こえた・・・」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「俺の空耳じゃない様だな・・・」
騎士ガンダム達はお互いに顔を見合わせた後、今晩に向けて準備を始める。
‐同時刻 王城・とある一室‐
ダカレス
「クソ、何故だッ!ホーンテッドウルフが、肝心な時に命令を聞かんとは!それにホーバン伯爵が何故この時期に討たれるッ?!ディエントといい、一体何が起きたと言うのだ!忌々しいッ!!」
男性
「何者かにリングが破壊されてしまった様です。」
革張りのソファから腰を浮かせ、ワインが入った杯を投げた手を力一杯握り締める第二王子のダカレス。その整った顔立ちは激しく歪め青い瞳には怒りの色を浮かべ、金色の髪を振り乱して荒い息を吐く。その問いにこの国の三将軍の1人、セトリオン・ドゥ・オルステリオ将軍が答える。
ダカレス
「ではユリアーナは無事だと?」
セトリオン
「現在捜索を行っていますが、こちらを警戒して裏道を使っているかと。ディエントとホーバンの一件以来、エルフ族や獣人族の密売に対する取締りが厳しくなっております。」
ダカレス
「くッ、益々こちらの商売がッ!襲撃犯の手掛かりはッ!」
セトリオン
「エルフ族らしき者と変わった鎧を纏った騎士が関与していたとの報告があります。ただ詳しい事はまだ・・・いずれはその者達がこのオーラヴに来るでしょう。」
報告を聞いたダカレスは血管がはち切れる程に怒りを浮かべる中、セトリオンは淡々と答える。
ダカレス
「俺にどうしろと言うのだ?」
セトリオン
「裏口に馬車を用意させます。誰も知られていない隠れ家へ暫く身を潜める事が賢明かと。」
セトリオンの助言に従い、ダカレスは馬車に乗って王城から避難する。その様子を見ていたセトリオンは懐からユリアーナが所持していた首飾りを取り出し、事が上手く進んでいる事に笑みを浮かべる。
‐数時間後 王都第3街区内‐
準備を済ませた騎士ガンダム達はチヨメとの合流地点に早く着き、軽食を食べながら待機していた。
騎士ガンダム
「流石王都、山と海の幸がこれ程あるとはな。」
アリアン
「王都には国中の物が集まって来るからね。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「物流が盛んである証拠だな。」
アリアン
「ねえ、これ食べてみて。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「見た事の無い串焼きだな。」
騎士ガンダム
「では1本貰おう。」
アリアンから差し出された串焼きを騎士ガンダムと騎士F90Ⅱは食べる。
騎士ガンダム
「サクサクした触感だけどキノコみたいで美味しい。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「悪くないな。何の食材だ?」
アリアン
「ドラゴンフライ。」
アリアンの言葉に騎士ガンダムは眼を見開き、騎士F90Ⅱは「あーあれか。次見掛けた時は捕まえて焼くか。」と言う。
騎士ガンダム
「あの時のトンボなのか?」
アリアン
「言ったでしょ、サクサクして結構いけるから今度食べてみてって。」
騎士ガンダム
「そうだな。この世界にはまだ知らない食があるんだな。」
笑顔でそう言うアリアンに騎士ガンダムはそう答えると同時に虫態勢が少し上がった。そして一同は食べ終えると丁度チヨメとその仲間であろう忍者がやって来た。
チヨメ
「お待たせしました。他の襲撃担当の準備も整った様です。」
騎士ガンダム
「こちらも準備は万全だ。それとチヨメ殿、そちらの方は?」
チヨメ
「私と同じ六忍の1人、ゴエモンです。ナイト殿とF90Ⅱ殿はゴエモンと正面をお願いします。」
騎士ガンダム
「分かった。今夜限りですが、よろしくお願いいたします。」
ゴエモン
「・・・・・・」
騎士ガンダムが右手を出して握手を求め、ゴエモンはそれに答える。互いの手が触れると同時に両者は強く握る。
ゴエモン
「お主、やるなッ!」
騎士ガンダム
「そちらこそッ!」
謎の絆的なものが芽生えた2人を見たアリアンと騎士F90Ⅱは困惑し、チヨメはゴエモンの珍しい光景を目の当たりにする。その後、移動中に騎士ガンダムはチヨメから初代様が半蔵だと聞いて内心驚くのであった。尚、チヨメ達六忍の名は偽名であり、実力上位の者達が襲名する事を知る。
‐10分後 エツアト商会近辺‐
チヨメ
「アリアン殿とボクは裏側から侵入します。ご武運をッ!」
アリアン
「陽動頼むわよ2人共ッ!」
ポンタ
「きゅん!」
騎士ガンダム
「任せてくれ。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「久しぶりの大きな戦いだ。派手に暴れてやるさッ!」
木の上に乗って裏側に行くアリアン達にそう言い、騎士ガンダム達はゴエモンと共に正門へと向かう。
‐正門‐
エツアト兵A
「ん?何だ?誰か来る!獣人ッ!?と、騎士?」
エツアト兵B
「オイ!そこで止まれテメェらッ!動くんじゃねぇぞッ!!」
商会の正門前で見張りをしていたエツアト兵A、Bは近付いて来る騎士ガンダム達にハルバートを構えて警告する。が、騎士ガンダム達はお構いなしに接近する。
エツアト兵A
「テメェら聞いえてんのか!?そこで止まれって言ってんだッ!」
騎士ガンダム
「さぁ、始めるとするかッ!」
ゴエモン
「【土遁・堅筋甲鎧】ッ!」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「行くぞッ!」
自身の術で鋼と化したゴエモンと騎士F90Ⅱのハルバート、騎士ガンダムの体当たりで突撃し、見張りごと正門を破壊してエツアト商会に殴り込む。その中で付近を警備しいた他のエツアト兵達が騒ぎに駆け付け、騎士ガンダム達の姿を見て敵襲を知らせる。
エツアト兵C
「敵襲ーーーッ!敵は獣人1匹と鎧騎士2人のたった3人だッ!掛かれッ!!」
エツアト兵Cがそう言うと同時に他のエツアト兵達は各々の持つ武器で騎士ガンダム達に迫る。しかしガンダム無双の雑魚キャラの如く呆気なく吹き飛んで倒されていく。
エツアト兵D
「テメェら、ここがエツアト商会と知っての狼藉かッ!?こんな真似してタダで済むと思うなよッ!!」
騎士ガンダム
「それは怖いな。騎士F90Ⅱ、ゴエモン殿!魔法を放つので離れてくれッ!」
その言葉に2人は頷き、それを確認した騎士ガンダムは相手の注意を多く引く為に派手な魔法を放つ。
騎士ガンダム
「【
エツアト兵達
「グアァァァーーーーーーッ!!?」
エツアト兵E
「クソ!あの蒼銀の騎士、魔法を使うぞッ!」
エツアト兵F
「もっと増援を呼べッ!!」
エツアト兵達は相手の強さと騎士ガンダムの魔法に戦慄する。そこへ騎士ガンダムはナイトソードにシールドを持った腕とマントを大きく広げて精神的追い討ちを掛ける。
騎士ガンダム
「怯えろ・・・!竦めぇッ!本来の実力を活かせぬまま、死んでゆけッ!!」
エツアト兵G
「ヒィッ!」
エツアト兵H
「ひっ、怯むなッ!」
ゴエモン
「【土遁・岩牙招拳】ッ!」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「喰らえッ!」
恐怖で後退り、身体が硬直して相手が動けない隙にゴエモンの術で地面から生えた岩の牙と騎士F90Ⅱの自作爆弾が炸裂し、半分近くのエツアト兵達を倒す。
そこへ騎士ガンダムはゴエモンの術と似通った【
騎士ガンダム達
「ウワアァァァーーーッ!?」
その結果、騎士ガンダム達は暴走した魔法攻撃で崩れた建物の瓦礫に巻き込まれて埋もれる。
‐収容区画 アリアン、チヨメside‐
騎士ガンダム達がエツアト兵達の意識を正門に向けさせている頃、アリアン達は無事に囚われた獣人族達がいる牢屋の天井裏まで辿り着いていた。その間に他の救出部隊も動く。
アリアン
「・・・何か調子に乗った騎士が瓦礫に埋もれた気がする。」
ポンタ
「きゅーん。」
チヨメ
「行きます!」
正門の騒ぎに看守に就いていたエツアト兵達も全て回されたタイミングで天井裏から降りる。突然現れたアリアン達に牢屋の獣人族達は驚く。
男性獣人A
「あ、アンタらはッ!?」
チヨメ
「ボクは刃心一族のチヨメッ!あなた方を助けに来ました!ここから解放しますので指示に従って下さいッ!」
男性獣人B
「おい、刃心一族って今言ったぞ?!」
男性獣人C
「助けが来たんだッ!」
チヨメ
「手分けして仲間を解放して下さい!戦える方は武器を調達して下さいッ!」
チヨメの言葉を聞き、囚われた獣人族達は歓喜の声を漏らす。その間にチヨメは鍵開けを行って1つの牢屋を開け、アリアンは手枷や足枷の鎖を断ち切る。自由になった獣人族達は指示に従う。
エツアト兵I
「なッ!?貴様らッ!」
エツアト兵J
「賊と獣人共を逃がすな!捕縛が無理なら殺せッ!」
すると正門に駆け付ける途中であったエツアト兵達に見付かり、武器を構えて迫ってくる。それにチヨメは印を結び術を発動する。
チヨメ
「嚙み砕け、【水遁・水狼牙】ッ!!」
すると水で形作られた1メートル弱程の狼が3匹、チヨメの周囲に現れて彼女の指示が下されると意思を持つかの様にエツアト兵達に襲い掛かる。
アリアン
「やるわね、チヨメちゃん。」
チヨメ
「後は最奥の建物に囚われた者達だけです。急ぎましょうッ!」
内外からの騒動でエツアト兵達は事態の収拾が追い付かず混乱。アリアン達と獣人族達を発見して制圧しようにも纏った数がいない為、悪戯に数を減らす。
‐5分後 騎士ガンダムside‐
騎士ガンダム
「プハッ!死ぬかと思った・・・」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「圧死はごめんだ・・・」
ゴエモン
「ヌンッ!」
何とか瓦礫の山から這出た騎士ガンダム達は周囲を見渡すとそこには多く倒れたエツアト兵達と瓦礫の山が広がっていた。
騎士ガンダム
「一先ず陽動は成功か。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「また集まって来る前にアリアン達と合流するぞ。まだ囚われた獣人族達がいる筈だ。」
チヨメ
「ゴエモン!ナイト殿、F90Ⅱ殿ッ!」
すると騎士ガンダムの元にチヨメ達がやって来る。
騎士ガンダム
「チヨメ殿、アリアンッ!」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「首尾よくいった様だな。」
チヨメ
「はい!解放した者達は仲間と合流地点に向かってます。」
騎士ガンダム
「囚われていた獣人族達はそれで全員か?」
アリアン
「ここにいた者達はね。後は奥のあの建物で最後よ。」
騎士ガンダム
「そうか、そろそろ騒ぎを聞き付けた王国軍も向かって来る。急ご―――ッ!?全員この場から離れろッ!!!」
アリアンが顔を向けた方にある商会の離れにある建物へ急ごうとした時、上空から敵意と殺意を感じた騎士ガンダムは叫び、アリアン達はそれに従ってその場から離れるとそこへ魔法ビームが直撃して爆発。巨大なクレーターが出来る。騎士ガンダムは魔法ビームが放たれた上空を見るとそこには守護獣グリフォンとユナイトしたハイパー騎士サザビーの姿があった。
ハイパー騎士サザビー
「ほう、避けたか。まあそうでなくては詰まらん。ダカレスのガキに感謝しないとな。」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「ジオン族!?何故この世界にッ!?」
騎士ガンダム
「(戦えなくはない相手が、このままでは王国軍の「ここは俺が残る。」)ッ!ゴエモン殿ッ!?」
ゴエモン
「チヨメ達と行ってくれ。あそこだけ隔離されているのは・・・嫌な予感がする。」
騎士ガンダム
「だが敵の兵士がまだいる中で奴と戦うのは「なら俺も残る。」騎士F90Ⅱッ!」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「遠距離武器は持っている。そうそう後れは取らん。」
騎士ガンダム
「・・・分かったッ!」
少し考えた騎士ガンダムはそう言い、アリアン達と隔離された建物へと向かう。その際に背後から戦闘音が聞こえてくるが騎士ガンダム達は振り返らず、2人を信じて進み続ける。
‐隔離収容区画‐
妙に厳重な警備と偶然いたエツアト商長と秘書を倒して突破した騎士ガンダム達は奥へ進もうとした時に何かを感じ取ったチヨメは奥に走っていく。それを見た騎士ガンダム達は慌てて追い掛けると饐えた臭いが鼻を突く。
湿気を帯びた空気と草の枯れた様な臭いも混ざった奥の部屋には多数の大きなお腹を抱える妊婦の女性獣人がほぼ全員裸の姿で鎖に繋がれていた。そして騎士ガンダム達を覗う怯えを含んだ視線が多数向けられた。
騎士ガンダム
「(ゴエモン殿の嫌な予感はコレか・・・)アリアン、屋内で身に纏えそうな物を探してくれ。」
アリアン
「ええ、分かったわ・・・」
この光景に言葉を失っていたアリアンに騎士ガンダムは呼び掛け、アリアンは踵を返して部屋を後にし、囚われた女性獣人達の衣服を探しに出ていった。
騎士ガンダム
「チヨメ殿、彼女達を早く此処から脱出させよう。」
チヨメ
「はい・・・ッ!」
眉間に皺を入れて瞑目していたチヨメに声を掛けて鍵開けを行っている間、囚われた女性獣人達の光景をもう一度見た騎士ガンダムは激しい怒りを覚えるとナイトソードを持つ右手に力が入る。すると全身が黒いオーラに包まれ、右眼が紅く染まる。
アリアン
「服はあまりなかったわ、悪いけどこれで我慢してもらうしかないわ。」
チヨメ
「こちらも終わりました。ナイト殿、脱出しましょう!」
騎士ガンダム
「ッ!あぁ、分かった!」
2人に声を掛けられると同時に紅く染まった右眼は元に戻り、全身を覆っていた黒いオーラが消えた騎士ガンダムはすぐに女性獣人達と一緒に転移で脱出しようとしたその時、壁を何かが突き破って騎士ガンダム達の近くに2つの影が転がり落ちる。
ゴエモン
「~~~ッ!」
騎士ガンダムF90Ⅱ
「グア・・・ッ!」
騎士ガンダム
「ゴエモン殿、騎士F90Ⅱッ!!」
ハイパー騎士サザビー
「私を相手によく奮闘したが、ここまでの様だな。」
すると大穴が開いた壁の外からハイパー騎士サザビーが姿を現す。
騎士ガンダムF90Ⅱ
「すまない、増援の王国軍は如何にかしたが・・・グッ!」
騎士ガンダム
「喋るな!傷が広がるぞッ!アリアン、チヨメ殿、2人と彼女達を連れて逃げてくれ。」
チヨメ
「ナイト殿ッ!?」
アリアン
「ダメよナイトッ!私も「それこそダメだッ!今は彼女達と負傷した2人をこの場から離脱させるのが先だ!!急いでくれッ!!!」ッ!」
チヨメ
「アリアン殿、ここはナイト殿に任せて離脱しましょうッ!」
アリアン
「分かった・・・ナイト、絶対に死なないでッ!」
騎士ガンダム
「あぁ、絶対に生きて戻るッ!」
負傷した騎士F90Ⅱにゴエモンと女性獣人達をチヨメと一緒に離脱する際にアリアンはそう言い、それに騎士ガンダムは心配させまいと強く答える。アリアンは一抹の不安が残る顔をするが意識を切り替えて自身のやるべき事を成す為に動く。
ハイパー騎士サザビー
「フン、愚かな娘だ。永遠に叶わぬ約束をするとわな。」
騎士ガンダム
「黙れ、貴様に彼女の約束を笑う権利は無い。貴様を倒し、彼女との約束を守り通すッ!!!」
騎士ガンダムがそう言うと同時にナイトソードとシールドは炎の剣、力の盾へと変わる。
ハイパー騎士サザビー
「そう言えるのは今の内だ。守護獣グリフォンとユナイトした私に貴様は勝てんッ!行くぞ!騎士ガンダムッ!!!」
騎士ガンダム
「来いッ!騎士サザビーッ!!」
両者は駆け出し、互いの剣が激しくぶつかる。騎士ガンダムはハイパー騎士サザビーを屋外へ押し切り、追撃を行おうとするが守護獣グリフォンの口から魔法ビームが放たれて阻止される。
騎士ガンダム
「くッ!」
ハイパー騎士サザビー
「動きが遅いぞッ!」
騎士ガンダム
「ガァッ!?」
背後に回ったハイパー騎士サザビーの斬撃が騎士ガンダムを襲い、吹き飛ばす。
ハイパー騎士サザビー
「ハハハッ!まだまだ行くぞッ!【グリフォンストーム】ッ!」
騎士ガンダム
「グアァァァーーーッ!」
追撃でグリフォンの翼から放たれた嵐が騎士ガンダムを呑み込みダメージを与えながら空へと巻き上げる。空中で身動きが出来ない騎士ガンダムは【
ハイパー騎士サザビー
「落ちろッ!」
騎士ガンダム
「ーーーッ!?」
ハイパー騎士サザビーの蹴りが腹部に大きく食い込み、騎士ガンダムは凄まじい勢いで地面へと落下。大きな罅割れとクレーターを作る。これには堪らず吐血し、血しぶきが舞う。騎士ガンダムはすぐさま起き上がろうとするが思う様に動けず、ハイパー騎士サザビーの刺突が迫るが、何とか動いて頭部を掠める。その場から逃れて反撃するが、ユナイトを解いた騎士サザビーとグリフォンによる連携と両面攻撃で返り討ちに合う。
騎士ガンダム
「グガッ!」
ハイパー騎士サザビー
「そろそろ終わりにするか。逃げ出した者達を捉えないとダカレスのガキがうるさいからな。憎きガンダム族を葬るのだ、ジークジオン様もさぞお喜びになるだろうッ!」
騎士ガンダム
「・・・ッ!」
ハイパー騎士サザビー
「まだ立ち上がれるか。だが無意味だッ!【
呪文を唱えると同時に放たれた漆黒の嵐は建物や瓦礫、何もかもを呑み込みながら騎士ガンダムに迫る。
‐アリアン、チヨメside‐
チヨメ
「ッ!あれはッ!?」
アリアン
「黒い、嵐・・・ッ!」
騎士ガンダムが戦っている間、無事に離脱したアリアン達は最初に助けた獣人族達がいる合流地点に到着後、負傷した騎士F90Ⅱとゴエモンの手当てを行っているとエツアト商会がある方角から巨大な漆黒の嵐が出現する。それを見たアリアンは未だ戦っている騎士ガンダムの思い浮かべる。
アリアン
(ナイト、無事に戻ってきてッ!)
チヨメ
「熱ッ!アチチチッ!」
アリアン
「チヨメちゃんッ!?」
アリアンが騎士ガンダムの無事を祈った時、突然チヨメの懐が熱くなり、チヨメはすぐに熱くなった物を取り出すとそれは御神体が入った巾着袋が強く光っていた。
アリアン
「チヨメちゃん、それって?」
チヨメ
「分かりません。ディエントの時もそうですが、ここまで光り輝く事はありませんでした。あッ!」
すると巾着袋から御神体、石板の欠片が飛び出してエツアト商会の方へ高速で飛んでいく。
‐騎士ガンダムside‐
迫る【
ハイパー騎士サザビー
「なっ、何ッ!?」
騎士ガンダム
「これは、一体ッ!?」
突然の事に唖然とする両者。その時、騎士ガンダムの懐から欠けた石板が光を纏って目の前に飛び出す。それに騎士ガンダムは驚いていると飛んできた石板の欠片が合流し、1つとなる。すると完全となった石板に文字が浮かび上がる。この世界に存在しないスダ・ドアカワールドの古代文字の呪文であるが、それを見た騎士ガンダムはその呪文を叫ぶ。
騎士ガンダム
「オーノホ・ティムサコ・タラーキーッ!!!」
呪文を唱えると同時に石板の光はより一層輝き、光となって天へと昇り、光は騎士ガンダムを包み込む。
騎士ガンダム
「うあぁぁぁぁぁ・・・ッ!」
光に包まれた騎士ガンダムに力が流れ込むと同時に
ハイパー騎士サザビー
「バカな、その姿は・・・ッ!?」
フルアーマー騎士ガンダム
「さあ行くぞ、ハイパー騎士サザビーッ!」
ハイパー騎士サザビー
「くッ、調子に乗るなッ!」
ハイパー騎士サザビーは【グリフォンストーム】を放つが、フルアーマー騎士ガンダムはそれよりも高速で懐に接近し、炎を纏った斬撃がハイパー騎士サザビーに迫る。だが寸前の瞬間に盾で防がれる。そこから剣と魔法の攻防戦が星空で行われる。紅と蒼の星が衝突し合うその光景をアリアン達は目撃する。
ハイパー騎士サザビー
「ハァ、ハァ、ハァ・・・くッ!」
フルアーマー騎士ガンダム
「タァッ!」
何度かの高速戦闘でハイパー騎士サザビーはグリフォン諸共ボロボロになりながらも剣を振るうが、フルアーマー騎士ガンダムは受け止めると同時に蹴り飛ばす。
ハイパー騎士サザビー
「おのれ~~~ッ!【
再び【
フルアーマー騎士ガンダム
「これで最後だ、ハイパー騎士サザビーッ!【
炎の剣から放たれた【
ハイパー騎士サザビー
「バカな・・・また敗れるのか、この私があぁぁぁーーーッ!?」
ハイパー騎士サザビーは断末魔を上げながら墜落して爆発。エツアト商会の施設はその爆発に巻き込まれて大きなクレーターを作り、大規模奴隷商のエツアト商会は消滅した。
‐数分後 隠れ家‐
隠れ家に身を潜めていたダカレスは寝耳に水の報告を聞く。エツアト商会及び騎士サザビーを含めた第二王子派の王国軍の消滅であった。資金調達の場所が無くなった事にダカレスは苛立つ。それにセトリオンは・・・
セトリオン
「何も心配する事はありません、ダカレス殿下。」
ドスッ!
ダカレス
「セトリオン・・・な、ぜだ・・・?」
普段と変わらない表情のセトリオンはダカレスの背後から短剣を胸元へと突き立てた。ダカレスは何が起こったのか理解出来ずにこの世を去った。
???
「苦労を掛けたな、セトリオン。」
セトリオン
「勿体なきお言葉にございます。セクト様。」
すると隠れ家に入って来たのはセトリオンの真の主である第一王子のセクトであった。
セクト
「しかし今回の手際、見事だったな。」
セトリオン
「いえ、城下に複数の獣人が潜り込んで来た事は把握しておりましたので。混乱に乗じるならば絶好の機会かと。」
セクト
「ああ、最高の機会だ。」
セトリオン
「ユリアーナ様の件も手筈通りに・・・その際に狼と謎の騎士により多くの者が殺されましたが、逃げ延びた者からユリアーナ様の遺品が届いております。」
セクト
「ご苦労、ユリアーナはダカレスの謀り事によって討たれたと公表する。」
セトリオン
「はッ!」
セクトは邪魔な王位継承者候補である2人が消えた事に悪笑みを浮かべ、セトリオンから受け取ったユリアーナの首飾りをダカレスの遺体の傍へ落とす。
セクト
「残念だったな、ダカレス。東の神聖レブラン帝国に尻尾を振っていた様だが、その甲斐も無かったな。これでローデン王国の時期王位は私の物だ。」
ダカレスの頭を踏み付け、冷たく言うセクトの心には家族、弟妹を失った悲しみは無い。
‐数時間後 翌朝・第3区画内森林‐
ハイパー騎士サザビーとの戦いを終えたフルアーマー騎士ガンダムは合流地点に到着すると受けた傷や完全となった三種の神器に宿る力の負担によって倒れてしまう。それを見たアリアンは駆け寄って抱き起すと三種の神器は強制解除される。
騎士ガンダム
「ありがとう、アリアン。もう大丈夫だ。」
アリアン
「ダメよ、まだ私の肩に掴まってて。」
そう話す間にチヨメと回復した騎士F90Ⅱとゴエモンがやって来る。
チヨメ
「ナイト殿、此度は誠にありがとうございます。お陰で死者を出さずに囚われた仲間を全員助ける事が出来ました。」
騎士ガンダム
「何、全力を尽くしただけだ。救助した者達は?」
チヨメ
「カルカト山群にあるボク達の隠れ里へ出発しました。ボク達も一度里に帰投します。」
騎士ガンダム
「そうか、また何かあったら声を掛けてくれ。」
チヨメ
「本当にありがとうございます。では、報酬の情報ですが皆さんが捜索中のエルフ族が連れていかれた場所は神聖レブラン帝国です。」
そしてチヨメの口から聞いたその情報にアリアンは目を見開き、騎士ガンダムと騎士F90Ⅱはローデン王国内だけで済む話では無くなり、事が大きくなったのを感じた。
第10話END
次回「嵐騎士と伝説の巨人」