ろっく?いや、ギターすら持ったことないけど?   作:クウト

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変な時間に起きてしまった。


新生活には何かと起こるよね

さて、今日から高校生活が開始だ。

いきなり時間が飛びすぎたと思うし、ここ数日の話でもしよう。

ここ数日間は毎日姉さんと一緒に過ごしているだけだった。どうやら有給を使ってくれているらしく生活に必要な物を買いに行ったり、姉さんがご飯を作ってくれたりと意外にも忙しい日々であった。

ていうか姉さんがついでに買っていた化粧品の値段の高さには目が飛び出るかと思ったよね……。そんなリアクションをしたせいか、女は色々と大変と言いながら頬を触ってくる姉さん。これが若さかと嘆きながら、何故か俺の肌を触る回数が増えたのは勘弁してほしい。

……それと話は変わるけど姉さんよ。

おかえりと出迎えただけで涙目になるのはやめてほしい。一体何があったのだと慌ててしまった。

って、また話が逸れそうになった。

あとは音楽の仕事をしている姉さんだからこそのおすすめの音楽だったりも教えてもらった。少しマイナーだったりもするが、これがまた中々良いのだ。

それと何かあれば来てくれればいいという事で、職場も教えてもらったりと……。

この街の案内もあるのだがやけに姉がベッタリとしてくるのはなんなのだろうか?

こんなことを考えていると、これから一年間過ごすことになるクラスにたどり着く。

俺の名前は天見だし一番前の端だろうなぁ……なんて思いながら席が割り振られている表を見る。

 

『名前順も面白くないので適当に席替えしました』

 

……面白くなりそうな一年を感じる。

俺の席は一番後ろらしい。なんだろう凄く得した気分だ。ついウキウキとした気分で自分の席へと向かい荷物を置き、ざっと教室内を見回す。

うーん。やはり小さいながらもグループができているな。

俺のように遠くからこの学校に入った人は少ないのだろう。……隣から物凄い陰鬱とした空気を感じるが……あの、もしかしなくても貴女も俺と同じく遠方からの孤立組かな?親近感を抱き、ついつい声をかけてしまう。

 

「あの、これからよろし「ひぃうっ!!」くぅ〜……あぁー……」

 

え?あれ?お、怯えられてる?

こう言ってはなんだが、俺は外見のおかげもあり、あまり警戒心を持たれる事は少ない方ではあるのだが……。

 

「え、あ、そそそそのの!」

 

あ、察し。

俺は小さいメモ帳を取り出して自分の名前と文章を書く。

 

『天見音寧です。あまみおとね、と読みます。貴女の名前を教えてください』

 

パニックになってしまっている女子にメモ帳とペンを渡す。……やけにメモ帳と俺の顔を交互に見てくるな。……いや!何度見するの!?

とりあえず俺はジェスチャーで書いてくれればいいよと合図。

話しかけちゃうとまたパニックになるかもしれな……いや、空気中に名前書かないでメモ帳に書いてよ……。

メモメモ!とジェスチャー。

分かってくれたのか恐る恐るだがメモに記入を始めた。……いや、苦労するね!?

 

『後藤ひとりです。すみません』

 

謝られても!!なんも悪くないし!!

ただの自己紹介にこんなに苦労するとは……。

って……ん?やけに教室が静かな気がする。

 

「え?なにこれ?」

 

「ぴぎゅ」

 

「うわ!ちょっ!!」

 

クラスメイト達の視線が俺たちに集中していた。

俺と同じく視線に気がついた後藤さんは、どこから出したかもわからない奇声を発しながら俺の後ろに隠れてしまった。

そんな光景を見た全員が俺に視線を向け、何故か両手を合わせる。

 

【任せた】

 

このクラスは皆、テレパシーでも使えるのか?

もちろんそんな事はない。だが全員の気持ちが一致したなと感じた瞬間だった。

こうして俺は、ホームルームも始まっていない新学期早々から後藤ひとり係に任命されたのだった。

いやなんでさ……。

 

 

 

自己紹介もまだなのに一致団結を見せたクラスの可能性を感じつつ入学式を終える。式の後はホームルームで必要事項だけ聞き、それで終わりらしい。

それにしても入学式は大変だったな。

まさか後藤さんが人間ではない可能性があると判明するなんて……人って溶けるのかな?

人類の可能性について考えている時、俺のスマホに通知が入っていることに気がついた。

 

『遅れてごめんね。やっと着きました。校門前に居るから写真撮ろっか』

 

母さんからのメッセージだ。

入学式には間に合わなかったが、来てくれたらしい。とりあえず移動しようかな。

 

「じゃあ後藤さん。また明日」

 

「え、あっ、はい」

 

「はは。まだ緊張とれない?」

 

「す、すみません!!」

 

入学式の最中、担任の臨機応変な対応のおかげ?もありずっと一緒にいた後藤さん。人と関わる事が苦手そうな彼女には少し……いや、大きな負担だったろうなぁ。

 

「これ、どうぞ」

 

「え?……飴玉?」

 

「昔大阪にいた頃があってね。近所のおばちゃんが良くくれたんだけど、いつの間にか俺も真似するようになっちゃってね。飴は何個か持ち歩いてるんだよ」

 

「は、はぁ」

 

「だからあげる。甘い物は程よくリラックスさせてくれると個人的には思ってるし。じゃあ家族が待ってるからまたね」

 

うん。

我ながらナイスなコミュニケーションじゃないだろうか?後藤さんは結構ヤバイほどに人付き合いをしてなさそうだし、俺に対して最初から迷惑かけすぎたんじゃないだろうか?って思う前に退散するとしよう。

これから長い付き合いになりそうなのは確定事項だろうしね。これからもよろしくお願いします。

 

「あ、おと君こっちこっち!」

 

校門前に着くと、母さんが大きな声で迎えてくれた。元気な人だからすぐに何処にいるかわかるな。

 

「母さん。遠いのに来てくれたんだ。ありがとう」

 

「息子の入学式なんだから来るよ〜。お父さんは仕事で来てないけど」

 

「また転勤だって?」

 

「そうみたい。大変そうだし、私も一度向こうに行こうかなって」

 

おぉ。それは喜ぶと思う。

昔は俺が一緒にいたからご飯も作っていたが、今はコンビニやインスタント頼りだろうし誰かみたいに泣いて喜ぶんじゃないかな?……血が繋がっていないのに随分と似ている親子だな……。

何故こうなるんだろうか?社会が悪いのか?

やはり社会。こいつが悪だったのか。

なんてくだらない考えは置いておこう。高校生の俺にはまだ……おそらく関係がない。

 

「いいんじゃない?喜ぶと思うよ。俺の保護者?は姉さんがしてくれると思うし、久しぶりに夫婦で過ごすのも楽しいと思うよ?」

 

「うーん。ならお言葉に甘えてしばらくはお父さんのところに行こうかなぁ。って!そうじゃない!写真!」

 

「そうだった。帰るところだったね」

 

お互い自然と足が動き、家に戻る所だった。

俺と母さんは小さい子と犬を連れた家族に頼み、入学式の看板の前で写真を撮って帰るから帰る事にした。

姉さんは来るか迷ったらしいが、結局は諦めたらしい。母さんも起こしてはみたらしいが、睡魔には勝てなかったそうだ。……帰ったら部屋から黒いオーラ出てそうだな。

 

 

 

〜後藤ひとりサイド〜

 

今日は入学式だった。

誰も過去の私を知らない場所に行きたくて、片道二時間かかる高校を選んだ私。今日から高校デビューと意気込んでみたものの、そんないきなり変われるのならぼっちなんてやってないわけで……。

だが、神様は見放さなかったのだろうか?

隣の席に座った男……子?随分と綺麗な顔をしていたけど、ズボン履いてたし、多分男子だと思うけど。声も少し低かったし。

 

『天見音寧です。あまみおとね、と読みます。貴女の名前を教えてください』

 

メモに自己紹介を書いてくれた人なんて初めてだった。

私のリアクションで色々と察してくれたのだろう。

こんな事初めてだから色々とパニックになったが自分の名前は書けた。手が震えてたけど……。

汚い字だと思われなかっただろうか?……た、たぶん大丈夫だよね?優しそうな人だし……うん、大丈夫。……だい、じょうぶ。

 

「うぐぅ……!」

 

「ひ、ひとり!?どうした頭を抱えて!!」

 

「ど、どうしたの!?また何かあったの?」

 

「お姉ちゃんまた面白いことしてる〜!」

 

「ワン!」

 

あ、大丈夫落ち着いた。

もう家に戻っているのに、つい今日の事を思い出してしまう。そんな時だった。

 

『友達なんて自己紹介したらできたも同然ですよ』

 

お父さんが見ていたテレビからそんな声が……。

……いや、待てよ?

自己紹介?その理論でいくなら私、もう友達ができたのでは?つまり天見くん?は私の友達?

 

『親友?そんなの勝手になってますよ!』

 

つまり天見くん?は親友?

 

「ひ、ひとり!?急に笑い出してどうした!?」

 

「高校で何かあったのかしら?色々とキャパオーバーだったんじゃ……!!」

 

「お姉ちゃんって本当に面白いよね!」

 

「ワンワン!」

 

後藤ひとり、入学早々に親友が出来ました!

高校生活って、実はイージーなのでは!?

 

〜後藤ひとりサイドアウト〜

 

 

 

「うひぃ!」

 

ゾワゾワってした!?

な、なに!?なんか変な波動的な何かを受信したような!?え!?人間って高校生になったら進化するの!?溶けた後藤さんみたいに!!

 

「どうしました!?熱!?具合悪い!?」

 

「だ、大丈夫だよ姉さん。つい変な電波を受信した感じがしただけだから」

 

「……全然大丈夫じゃありません!病院!病院に行かないと音寧君が死ぬ!!」

 

「死なんわ!!」

 

パニックになる姉さん。

……今日一日、大変だったな。

今日早く寝よ。




PAさんが添えるだけみたいになってしまった。
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