【勝利の女神NIKKE】Parallel story of シュエン 作:井原彗星
「いい加減にして頂戴っ!!!」
真っ昼間から甲高い怒号が社内に響き渡る。
「何回言わせたら気が済むの??」
「本っ当に使えない鉄くずね、いいのよ?私がその気になれば廃棄処分にしてやっても」
「それともアウターリムに行きたい?犯罪をでっちあげて収容施設行きでもいいわ」
「どちらに行きたいか決めて頂戴な。」
ところどころ破損が見られるニケがうつむいたまま言葉に詰まっている。
「わかったらさっさと任務に行きな。」
「かしこまりました」
「ふんっ」
シュエンは鼻息を荒くして足早に去ろうとする。
「あ、あのっ」
量産型ニケが呼び止める
「何よ。」
「い、いえ…」
「破損したパーツの取り換えでもしたい訳?」
「は、はい…」
「正気…?特に活躍もしない無能な鉄くずのお前に?いったいどれだけ手間を煩わさせる気?」
「もうしわけございません…」
「わかったらさっさと行って頂戴」
シュエンの鋭い眼差しを背中に受けながら量産型ニケはその場を後にする。
_____ミシリス別室___
「今日もシュエンは気合入ってたねぇ」
「冗談もほどほどにしてください。あの声を聴くとノイローゼ気味になりそうです。」
心底うんざりした様子でリアンは言う。
「だいいち今日は彼が来る日なので余計に腹が立っているのでしょう…いい迷惑です。」
「そうだねぇ、噂の指揮官君、是非ともお目にかかりたい。」
「君はもう何度かお会いしているんだろう?」
「ええ、外見は特に変哲のない新米指揮官でした。」
「でも割かし特別なんだろう?」
「特別というか、生存確率0%の任務をこなしたり」
「うんうん」
「メティスに気に入られていたり」
「うんうん」
「ヘレティック奪還に成功したり」
「もはや奇跡みたいな指揮官だね。」
「そうかもしれませんね。」
「僕も早く会いたいなぁ」
「あなたもあなたで仕事が忙しいですからね。」
「君ほどじゃあないだろうけどね、でもタイミングがなかなか合わなくてね。今日はせっかく会えるチャンスだからご挨拶してくるよ。」
「もうそろそろ彼が到着する予定のはずですが…」
「おい。」
「はい、」
いつの間にかリアンの背後にシュエンが立っていた。
「あいつ、まだ来ないの?」
「もうそろそろ到着の予定のはずですが」
「ほんっと仕事ができない奴はこれだから困るのよねぇ、鉄くずといいあの指揮官といい」
「無茶な依頼してるのは社長の方では」
「何?」
「いいえ、何でもありません」
・・・・・・〔シュエン社長、シュエン社長、来客でございます〕・・・・・・
「ほら社長、噂をすればですよ」
「ふんっ」
コツコツコツッ…
「台風の目が過ぎて一安心?」
「これからさらに大きい台風がきそうですけどね…こっちに飛び火しなければいいですが」
「じゃあちょっと、僕も噂の指揮官君を一目拝んでくるよ」
「お気をつけて」
そう言うとせわしない足取りでリアンと僕はその場を後にした。