【勝利の女神NIKKE】Parallel story of シュエン   作:井原彗星

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嵐の前の静けさ

「これは?」

 

「今では珍しくなったね。昔は一般的に普及していた名刺というものだよ。」

 

「へぇ。」

 

「私の所属や身分を証明するためのものだ。」

 

「照明?これで?」

 

「まぁ今のようなセキュリティとは違って、簡単な自己紹介や連絡先が載っている程度のものだがね。」

「ビジネスの場ではこれを双方受け渡すんだ。」

 

「すみません、こういうの持ってなくて。」

 

「いいよいいよ!ただ珍しいものだろうから見せてあげたくてね!」

 

「ははっ、ありがとうございます。」

 

目に見える愛想笑いだ、ちょっと困らせちゃったかもしれないな。

 

「にしても、社長ずいぶんと文句言われてたねぇ君」

 

「僕あの人嫌いですね。あの人も僕のこと嫌いでしょうし。相思相嫌です。」

 

「ほぉ~」

 

珍しい、アーク内において三大企業のCEOともなればアーク副司令官クラスの権力もある。

大抵の人は肩書だけで臆するし、目の前にすれば嫌味なことを言うなんてまずできない。

 

「指揮官君もしかしてさぁ?」

 

「はい?」

 

「前にうちの社長があばら骨折ってたんだけどそれって…」

 

「…」

「僕のせいですね」

 

「あっはっはっはっ!」

「三大企業のCEOに鉄拳制裁したわけ!?」

 

「すみません…」

 

「いや俺に謝らないで!!」

心の底から笑いが止まらない。

久しぶりに横隔膜付近が痛くなりそうなくらい笑った。

 

「それはさぞ、気持ちよかっただろう?あの社長性格があんなんだからねぇ」

 

「社員の方々にご迷惑を…」

 

「迷惑なんて掛かってないから大丈夫だよ」

「そんなことよりだ」

 

「???」

 

「僕は君の話が聞きたいんだよ指揮官君。」

 

「僕のこと?」

 

「そうさ、君はほかの指揮官学校の卒業生とは明らかに何もかもが違う」

「何が違うのか具体的には分からないが、成績から何から、何もかも。」

 

「はぁ。」

 

「三大企業CEOに一発ぶち込む指揮官なんて君が初めてだからね。」

 

「僕はあの人とどうにも性格が合わなくて。」

 

「まぁシュエンと性格が合う人間もそう相違ないだろうけどね、具体的にはどんなところが極めつけなんだい?」

 

「あの立場をひけらかすかの様な横柄な態度とかも苦手ですね。」

「僕だけならまだしも仲間も馬鹿にした発言だったり…」

 

「?」

仲間…?

 

「ニケを鉄くずと呼んでいたり…」

 

「?!」

確定だな。この指揮官。

 

「ねぇ君。」

 

「はい?」

 

「気持ちはわからなくはないが、ニケを鉄くずと呼んだり、ぞんざいに扱うのはままあることだよ。」

 

「!!!」

 

「さっき君が言った仲間という言葉。凡そ指揮官学校の教育とは異なるだろうな。」

 

「…」

 

「すこしばかり、面白い人の話をしようか。きっと興味がわく話だよ。」

 

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