【勝利の女神NIKKE】Parallel story of シュエン 作:井原彗星
「大丈夫よウェヌス…私が、きっと私が…」
「ねぇウェヌス!今日もお勉強しなきゃなのかしら?」
「そうですよお嬢様。」
母親が子供をあやすような確かな柔らかな声音のニケは言う。
「いやよっ、勉強なんて楽しくないじゃない!私はあなたと遊びたいのよっ。」
「ちゃんとお勉強を終わらせたら、一緒に遊びましょうね。」
「結局いつも遊ぶ暇なんてないじゃない!」
「シュエン」
「!?」
幼き少女に向けられるにはあまりにも冷たく鋭い低い声が響く。
「聞こえていたぞシュエン。」
「お父様…」
「お前が勉強をしたくないなら、しなければいい、しかしそうなれば会社はもちろん、うちの子としても恥をかく羽目になる。」
「…」
「分かったな。」
「はい…」
「ウェヌス、後は頼んだぞ。」
「かしこまりました、ご主人様。」
自分の娘であるはずなのに何の興味もないかのように彼は去って行った。
「ふんっ跡取りとかいい迷惑かしらっ。」
「お嬢様、教養は大切でございます。」
「分かってるわよ…」
ー----数時間後ー----
「私の手にかかればこんなもんなのかしらっ」
数時間もくもくと苦手な勉強をし続け疲労もたまったのちの渾身の一言である。
「お疲れ様ですお嬢様。」
「お嬢様…?」
とても長い時間、周囲の音も気にすることなく集中し続けたのだ、
体力も集中力も擦切らしていても不思議はない。
「スースー」
安らかに眠る少女の寝顔は日頃の反抗的な面持ちとは裏腹に
何の変哲も裏表もない歳相応の少女の寝顔である。
ニケはただ静かに少女を起こさないように抱きかかえ挙げて
静かに別途へ運ぶことにした。
「ンン…ウェヌs…」
(私はただの雇われニケ、戦場に赴くことではなく教育や育児に回されたいわば不良品のニケ。不完全なニケ。)
(私にはほんらいあるはずの機能もいくつか欠けている欠陥品。)
(そんな私が居場所を与えられているうえに、こんなことを考えるのは間違いなのかもしれない。)
(そもそも、私には感情という機能が不活性でもある。だからきっと…)
「おやすみなさい、シュエンお嬢様。」
(故障や破壊がなければ半永久的に生きながらえるニケ)
(でも私はそうじゃない。だからこの瞬間を、この寝顔を忘れないようにしなければ。)
ー----翌朝ー----
「ウェヌス!!なんで起こしてくれなかったのよっ!!」
「おはようございます、お嬢様。」
「おはようございますってあなたねぇっ!」
「申し訳ございませんお嬢様、お疲れのご様子だったので。」
「一緒に遊ぼうって言ったじゃないっ!せっかく勉強頑張ったっていうのに!」
「今日もまた勉強しなきゃいけないじゃないのよっ」
「お時間があればいつでも遊んで差し上げますので。」
「わかったわよ…」