今回はリアス達との会合です。
次の日の夕方、翔一はリアスに言われた通り駒王学園に来て、来訪者の部屋で待機していた。
すると扉が開いた。
「すいません、遅くれました」
そこへ入ってきたのは昨日瀕死の状態であったイッセーと金髪で左目の下に涙ほくろがある男子であった。
「あ! あんたは!」
「どうも、昨日ぶりですね」
「兵藤君、知り合いかい?」
「えっ? いや、知り合いっつぅほどの仲じゃねえけど…」
どう答えていいものかイッセーが悩み出したので、その間に金髪の男子が翔一に説明する。
「君が津上翔一君? 初めまして。僕は
「わざわざすいません。 お手数をかけてしまって」
「いえ、気にしないでください。では彼女のところに案内するんでついて来てください」
「分かりました」
「ほら、兵藤君も」
「わ、分かったから引っ張るなよ!」
3人は部屋をあとにし、佑斗を先頭に立ち、後ろにイッセー、翔一が歩いていたのだが、廊下や教室から女子達の声が聞こえてきた。
『 そんな…木場君とエロ兵藤が一緒に歩くなんて!』
『それも気になるけど、誰? 隣にいる人?』
『転校生? それよりもカッコいいわ!』
『木場君と同じ爽さわやか系ね!』
『木場君×兵藤のカップリングなんて許せないけど、木場君×彼なら良いかも』
佑斗と翔一を見て一部の女子達は大いに盛り上がっていた。
「何であの子達はあんなにはしゃいでいるんだ?」
「ケッ! 知るかよ!」
「ハハハ…」
翔一は疑問を浮かべ、イッセーは不機嫌な顔をし、佑斗は苦笑いをしていた。
しばらくして校舎から出て、次は裏手の方に行った。 そこは木々に囲まれた古びた木造の建物があり、そのせいもあってか何処と無く不気味な感じが出ていた。
「おい旧校舎じゃねぇか。ここに行くのか?」
「うん、ここに部長がいるんだよ」
「「部長?」」
「行ってみれば分かるよ」
「お、おい待てよ!」
「 ……」
佑斗はそう言うと、旧校舎の中へ入っていき、イッセーは急いで後を追い、翔一は少し警戒しながら後についていく。中に入ると、外とは違い廊下などが掃除がしてあるかのように埃などがほとんどなく綺麗であった。
誰かが使っている、しかし何ために?
イッセー、翔一はそんな事を思っていると、佑斗の足がある部屋の前で止まった。そこには扉があり、何かのプレートがかけられていた
「「オカルト研究部?」」
イッセー、翔一の声がシンクロした後、佑斗が声をあげる。
「部長、連れてきました」
「ええ、入ってちょうだい」
中からリアスの声が聞こえ、入室許可をもらったことを確認した後、佑斗は扉を開き中に入って行き、二人も続き入ると中の様子を見て、驚愕の表情を浮かべた。 床、壁、天井に至る所まで見たことの無い面妖な文字が記載されており、中央には巨大な魔方陣らしきものが書かれていた。 後は、デスクが何台か置かれており、ソファーも幾つかあって内一つに昨日、リアスと共にいた小柄な少女が座って羊羮を黙々と食べていた。
「やあ、小猫ちゃん。紹介するね。こちらは兵藤一誠君、隣の彼は津上翔一君」
「あ、どうも」
「よろしくお願いします」
「…どうも」
お互いに軽いあいさつを済ませた後、少女は再び羊羮を食べ始めた。その光景を見てイッセーと翔一が戸惑っていると、部屋の奥から水が流れる音がした。 よく見ればそこにはシャワーカーテンがあり、
何で部室にシャワールームが?
イッセーはそんな事を思っていたが、カーテン越しに身覚えのある女性の体のシルエットがハッキリと映し出され、それを見て衝撃を喰らう。
「部長、これを」
「ありがとう、朱乃」
カーテンの奥から別の女性の声がし、リアスにお召し物を渡していた。 イッセーはカーテンの向こうに裸のリアスがいると分かると、鼻息を荒くする。
「興奮し過ぎだ」
「いやらしい顔」
翔一はイッセーの様子を見て少し呆れ、少女がボツりと呟いた言葉がイッセーの心を貫く。
「お待たせ」
そうこうしているうちにカーテンが開き、制服に身を包んだリアスが出てきた。
「ごめんなさい。昨夜、イッセーのお家にお泊りしてシャワーを浴びてなかったから、今汗を流していたの」
イッセーはそれでもシャワールームかあることに事態に今だとまどっていたが、彼女の奥にいる女性を見てすぐになくなった。そこにいたのは昨晩、リアスと共にいたポニーテールをした黒髪の女性であった。
「あらあら。あなたが兵藤一誠君ですわね?そして津上翔一君。初めまして。私、
朱乃は駒王学園ではリアスと共に「二大お姉様」と言われるほど男女共に人気があったので、イッセーはその興奮を抑えつつ緊張しながら挨拶を返す。
「兵藤一誠です。こちらこそ初めまして!」
「津上翔一です。初めまして」
対する翔一は逆に落ち着きながら返した。
「さあ、これで全員揃ったわね。兵藤一誠君、いえイッセー、私たちオカルト研究部はあなたを歓迎するわ」
「え、あ、はい」
「でも、貴方をどうするかはこれからの貴方次第だけど」
リアスが呟やくと、全員の視線が翔一に注目する。
「はは。分かっているつもりです。そのために俺はここに来たんですから」
「フフ、ならよかったわ」
笑顔で返事を返した翔一に対して、リアスも笑みで返した。
「さて世間話もこれぐらいにして、本題に入りましょうか」
「本題?」
「そう、これからの貴方には知ってもらわなきゃいけない事があるのよ……"悪魔"としてね」
「単刀直入に言うわ。私たちは悪魔なの」
それを聞いた途端、ソファーに座っていたイッセーは驚愕するが翔一は驚くどころか、むしろどこか納得している表情をしていた。
「信じられないって顔ね。まあ、仕方ないわ。でも、昨日の黒い翼の男を見たでしょう? あれは堕天使。神に仕えし天使でありながら、邪な感情を持っていたため、冥界に堕ちてしまった者たちよ。私たち悪魔の敵でもあるわ」
イッセーはさらに頭が混乱するが、リアスはそれを無視して話を続ける。
「私たち悪魔は太古の昔から冥界、人間界で言うところの地獄の覇権を巡ってね。地獄は悪魔と堕天使の領土二分化しているの。悪魔は人間と契約をして代価を貰い、力を蓄える。堕天使は人間を操りながら悪魔を滅ぼそうとする。堕天使以外にも、神の命を受けて悪魔と堕天使を倒しに来る天使もいるわ。つまり三すくみの状態なわけ。それを大昔から繰り広げているのよ。ここまでは理解できたかしら?」
「いやいや、先輩。いくら何でも普通の男子高校生には難易度の高いお話ですよ。え? オカルト研究部ってこういうこと?」
「オカルト研究部は仮の姿。私の趣味。本当は私たち悪魔の集まりなの」
「え~。あ、あんたはどうなんだよ? 訳分かんないだろ、今の話を聞いて」
「いや、俺はだいたいわかったよ」
「何で分かんだよ!?」
平然とそう言った翔一に対してイッセーは思わず叫んだ。
「天野夕麻」
その名を聞いた瞬間、イッセーの目が見開く。
「忘れてはいないでしょう? デートまでしていたんですもの」
「……どこでその名前を聞いたのかは知りませんけど、そのことをオカルト云々で話されるのは、困るって言うか、正直不愉快なんで。すみませんけど」
イッセーは怒気を含まれた言い方でそう言い、ソファーから立ち上がり部屋を出ようとするが、リアスが一枚の写真をテーブルの上に置く。それを見ると、イッセーは言葉を失った。
「この子よね? 天野夕麻ちゃんって」
「そ、そうです。でも、どうやってこれを……」
「この子は、いえ、これは堕天使。昨夜あなたを襲った存在と同質の者よ」
「で、でも! 松田や元浜も彼女のことを覚えていなかったし」
「力を使ったのよ。その堕天使は目的を果たしたので、あなたと周囲から自分の記憶と記録を消したの」
「目的?」
「あなたを殺すため」
「はぁ!?」
それを聞いてイッセーは今日一番の声を上げる。
「あなたのその身に"物騒な物"がついているかどうかを確認するため……それが確認されたから殺されたのよ」
「で、でも何で俺が殺されなきゃならないんですか!? その物騒な物って一体……」
「……神器」
「神器…」
「セ? 何です? そのセイ何とかって?」
イッセーは聞いた事がない言葉に疑問符を浮かべ、リアスはそれを察したのか、神器について説明していく。
イッセーは聞いた事がない言葉に疑問符を浮かべ、リアスはそれを察したのか、神器について説明していく。
「簡単に言えば、様々な書物に書されている伝説の武具の総称よ」
「神器は、特定の人間の身に宿る規格外の力。歴史上に残る人物の多くがその神器の所有者だと言われているんだ」
「現在でも体に神器を宿す人々はいますのよ。世界的に活躍する方々がいらっしゃるでしょう? あの方々の多くも体に神器を宿しているのですよ」
リアスに続いて佑斗、朱乃も説明する。
「大半は人間社会でしか機能しないものばかり。ところが、中には私たち悪魔や堕天使の存在を脅かす程の力を持った神器があるの。イッセー、左手を上にかざしてちょうだい」
「えっ、何ですか、突然?」
「いいから、早く」
「こ、こうですか?」
「目を閉じて、あなたの中で一番強いと感じる何かを心の中で想像してみてちょうだい」
「い、一番強い存在……ドラグ・ソボールの空孫悟かな……」
「では、それを想像して、その人物が一番強く見える姿を思い浮かべるのよ」
イッセーはリアスに言われるがまま、空孫悟を頭の中でイメージする。
「そして、その人物の一番強く見える姿を真似るの。軽くじゃダメ。強くよ?」
周りに人がいる中、高校生になってなぜ真面目にこんな事をやらなければならないんだと、羞恥心に襲われしまうイッセー。
「ほら、早くしなさい」
リアスはそんな事はお構い無しに急かすので、イッセーは羞恥心を無理やり抑え込み、ヤケクソ気味でやる。
「ドラゴン波!」
イッセーは精一杯の声を出し、必殺技のドラゴン波の構えを全力でやった。
「(これは恥ずかしいな)」
イッセーの様子を見て、翔一は同情の眼差しを送る。 だが次の瞬間、イッセーの左腕が光だす。光は徐々に形を変えていき、やがて収まると、赤色の籠手らしきものが装着されていた。手の甲には丸い宝玉がはめ込まれていた。
「な、なんじゃこりゃああ!?」
イッセーはあまりの出来事により、驚きの叫び声をあげる。
「それが神器。あなたのものよ。一度ちゃんと発現ができれば、あとはあなたの意思でどこにいても発動可能になるわ。あなたはその神器を危険視されて、堕天使……に殺されたの」
「(自分達の脅威になるから殺しにかかるか。同じだな。闇の力がアギトを恐れてロード達に命令して抹殺していたやり方と)」
それを聞きながら翔一はかつて自分が戦った闇の力も同じことをしていたのだと思っていると、イッセーがリアスに質問した。
「じゃあ、俺が殺されたことが本当なら、生きているのはおかしくないですか?」
「これよ」
イッセーの言ってることはもっともである。すると彼女は一枚のチラシを取り出す。
「瀕死の中、あなたは私を呼んだのよ。この紙から私を召喚してね」
イッセーは死ぬ直前、大量に出る自分の血を見て、
"どうせなら美女の腕の中で死にたかった"
そう思った瞬間に紅の髪をなびかせるリアスの事が浮かんでいた。
「イッセー。あなたは私、上級悪魔であるグレモリー公爵家の娘、リアス・グレモリーの眷属として生まれ変わったの…私の下僕の悪魔としてね」
イッセーと翔以外全員からコウモリのような翼が生えていた。そしてイッセー自身にも彼女達と同じように翼が生えていた。
「改めて紹介するわね。祐斗」
「はい。僕は木場祐斗。兵藤君と同じ二年生ってことは分かるよね。僕も悪魔です。よろしく」
「…一年生…
「三年生、姫島朱乃ですわ。一応、研究部の副部長も兼任しております。今後もよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ。うふふ…」
彼らの自己紹介が終わった後、リアスは紅の髪をなびかせながら、堂々と言う。
「そして、私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね、イッセー」
一通りの説明が終わると、リアスは翔一の方を向く。
「さあ私達の事は説明したわ。今度は貴方の番よ。津上翔一君?」
「ええ、もちろん話しますよ…いろいろとね」
翔一は服を正したあと、戦う時と同じくらい真剣な表情をし語り出した。
翔一はまず最初に自分がこの世界の人間じゃないと言った。
それを聞いた一同は信じられないといった当然の反応をしていたが、彼は構わず自身の世界について説明をした。
世界と人類を作り出した神…闇の力
その配下である天使…ロード達との戦争
進化し続ける者達…アギト
最後は自分がアギトであること、それによって巻き込まれた戦いについて軽く話して終わった。
誰も言葉を発しなかった。ただただ静寂が部室を包み込むが、無理もなかった。話した内容が全員の予想斜め上をいくモノであったのだから。だがそこは部長、リアスはゆっくりと口を開いた。
「全てを作った闇の力、ロードと呼ばれる天使達との戦争、進化し続ける力、アギト…なんというか色々と情報多すぎて軽くパニックだわ」
「最初にも言いましたが、それが当然の反応です。いきなりこんな話されても普通、信じませんから」
「でも少し興味があるものがあったわ」
「何ですかそれは?」
翔一の問いかけにリアスは答える。
「アギトよ」
リアスは少し強調して言った。
「アギトですか」
「ええ。それで津上君、貴方に頼みがあるんだけど」
「はい?」
「アギトの力を少し見せてもらえない?」
「え?」
「異世界の大天使が与えた進化し続ける力というのがどんなものか見てみたいの。それにあなたが言ってることが本当という証明なると思うし。どうかしら?」
「確かに。それが一番手っ取り早いですね。分かりました。良いですよ」
翔一は承諾しアギトの力を見せることにした。
「ふー」
翔一は息吐きながら意識を集中させる。次の瞬間、
「!」
翔一の腰にベルト…オルタリングと両腕に金と黒の籠手、両肩には黒の肩当て、両足には籠手と同じように金と黒の
それを見て一同は驚きを隠せないでいた。
「どうですか?」
「それがアギトの力なのね。こうして見ると神器に似ているところもあるわね。でも力は今まで感じたことのないモノだわ……ありがとう、もういいわよ」
そう言われた翔一はすぐに元の姿に戻った。
「それで結果はどうでした?」
「そうね。あなたが嘘を言ってないということはわかったわ」
「それはよかった」
「それで話が変わるんだけど、津上君、駒王学園の生徒になってオカ研に入らない?」
「えっ? 急にどうしてそんな事を」
予想外の質問に反応に困る翔一。
「あなたの世界やあなた自身の話をもっと詳しく聞きたくなったの」
「はあ」
「もちろん貴方の世界へ帰る方法を探すのも手伝うわ。どうか…」
「あ、それなら心配いりませんよ」
「え?」
翔一の予想外の返答にリアスは思わず声を出す。
「俺はすぐに向こうの世界に帰ろうと思ってません」
「思ってませんって、お前の家族や仲間が心配するだろ?」
「その辺は大丈夫ですよ。みんな俺のことを信じてますから」
「でもよ」
「何よりせっかく別の世界にいるんだから楽しまないともったいないじゃないですか」
「それが本音かよ」
翔一の本音を聞いたイッセーは苦笑いした。
「まあそのことはあなたの好きにすればいいわ。それよりもさっきの件だけど…」
「入学の件ですか? 是非ともお願いしたいです」
翔一はリアスの提案を受けることにした。
「よかった。なら、入学などの手続きはこちらで準備が出来次第、お願いするからよろしくね」
「はい、わかりました」
「あと気になっていたんだけどあなた、住む場所とか決まってるの?」
「いえ、金もないんで野宿で過ごしています」
「でもずっとそのままのってわけにもいかないでしょ……そうだわ、イッセー、彼を貴方の家に住ませてもらえないかしら?」
「えっ?」
「俺んちですか!?」
「私達はある事情があって人間の彼を住ませる事は出来ないのよ。だから頼りになるのはあなたしかなくて」
「いや、急にそんな事を言われても……」
「そうですよ? いくら何でも…」
「ねえ、お願いイッセー?」
「わっかりました! 何とか親を説得してみます!!」
「決断早っ!?」
リアスに可愛らしく頼まれてしまってはイッセーが断れるわけがない。
「ありがとう、イッセー。私もご両親の説得するのを手伝うからよろしくね」
「はい、分かりました」
「良いんですか? 迷惑なら断っても…」
「気にすんなよ。部長の頼みってのもあるが、何より目の前で困っている奴を俺自身もほっとけねぇからな」
「あんた…」
「旅は道連れ、世は情けって言うだろ? あと俺の事はイッセーって呼んでいいぜ。周りのみんなからそう呼ばれることが多いし」
「そうか…ありがとうよ、イッセー」
「話は終わったよね。なら改めてイッセー」
「は、はい!」
「この先、あなたの生活は大きく変わるわ。これからは悪魔として頑張りなさい」
「はい」
イッセーの対話を終わると、リアスは翔一に話しかける。
「そして津上君」
「はい」
「あなたをこれから翔一って呼んでいくわ。あなたも私のことを部長と呼びなさい。いいわね?」
「はい、分かりました」
「よろしい。それじゃあ翔一」
「はい」
「これから宜しくね」
リアスは満円の笑みを浮かべながらそう言った。
それに対して翔一は
「こちらこそ宜しくお願いします。リアス部長!」
負けじと笑顔で返すのであった。
こうして、イッセー、翔一がオカルト研究部の一員になった。
それは彼らの大いなる物語の始まりの幕開けでもあった。
今後は定期的に更新したいです