チリちゃんは草タイプに弱い   作:たんたんたらたん

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まいど


第5話

 

 

 パルデア地方には合計8つのポケモンジムが存在している。チャンピオン自らが選抜した腕利きのトレーナーによって行われるジムテストは専らトレーナー達の実力を測る指標として使われ、各ジムのジムリーダーを打倒した際に貰えるジムバッジを所持している個数はそのままトレーナー自身の実力の証拠となり、ポケモンリーグに挑戦する際にも一次試験にて重要な位置を占めているという。

 

 そんなポケモンジムの中の一つであるベイクジムに俺は出張を頼まれた。なんでもジムバトルで使っているバトルコートの劣化が進んできたのでその整備をお願いしたいとのことだ。

 

 そんなわけで俺は今、持って行く道具をあらかた整理し終えリーグの中を歩いていた。すると、前から人が歩いてくるのが見える。

 

「…なぜ幼女がここに?」

 

 目に映った人物はサンバイザーのようなものを頭につけ、胸の前に鍵のような形をしたバッグをぶらさげたこの場には似つかわしくないほど小柄の少女だった。

 

「こんにちは。お嬢ちゃんはここでなにをしてるのかな?もしかして出口わからなくなっちゃった?」

 

 おそらく迷子かその類だろうと勝手に見当をつけ、膝に手をつきながら少し屈んで少女に話しかける。

 

「こんにちは、しょくいんのおじちゃん!ポピーはたったいまアカデミーからかえってきたばかりなのです!」

 

 自分をポピーと呼称する少女が目をキラキラさせながら質問に答えてくる。ちなみに俺はまだおじちゃんと言われるような年齢ではない。

 

「帰ってきた…?よく分からないけど、とりあえずご両親は何処にいるか分かるかい?まさか一人で来たわけじゃないだろう?」

 

「ポピーはいつも ひとりできてますのよ?それに、ポピーはしてんのうで おとなだからパパとママのあんないも ひつようないのです!」

 

 その可愛らしくも平らな胸を目一杯に張りながらポピーが自慢するように俺に向かって言う。

 …なにやら自分が四天王であるというようなことを言ったような気がするけど恐らく将来の夢とかそんなとこだろう。まだ10歳にもなっていなさそうなロリッ子にまで四天王として仕事をさせているのならばポケモンリーグの人手不足は世も末である。

 

「あー…いつか四天王になりたいってことかな?君ならきっとできるよ、だからまずはロビーに戻ろっか。」

 

「ちがいます!ポピーはしてんのうだっていってるでしょ!」

 

 俺が宥めながらポピーちゃんを説得しようとすると、可愛らしく頬を膨らませながら文句を言ってくる。

 

「あ、もしかしてポピーが ちっちゃいからって ゆだんしてるんですか?ポピーのポケモンちゃん みーんなカッチカチだから なめてるとケチョンケチョンにされちゃいますわよ!」

 

 うーむ、どうにも埒が開かない。

 俺が如何にして目の前の幼女をどこかで必死に娘を探しているであろう両親の元へ連れて行くか考えていると、不意に背後から声をかけられる。

 

「おや、ソウさんお疲れ様です。…こんなところで何をしているんですか?」

 

 すかさず振り向くといつも通り枯れた男の雰囲気を纏いつつ、死んだ魚のような目をしながらアオキがこちらを見てきていた。本当大変だなこの人も。

 

「あぁ、アオキさんちょうどいいところに。この子どうやら迷子になったらしくて、自分は四天王だ!っていってなかなか話をーーー」

 

「あ!アオキおじちゃん、こんにちは!じつはポピーいま こまってるんですの!このおじちゃんがポピーのこと こどもあつかいして はなしてくれないんですの!これがよにいう セクハラってやつなんですのね!」

 

 アオキさんに状況を説明するしようとするとポピーちゃんが俺の影から身を出しながら何やら非常に誤解を招きそうなことを言ってきた。社会人における超高火力武器はちゃんと知っているようだ。

 

「ソウさん、信じられないかもしれませんが彼女もれっきとした四天王の一人で我々と共に働いています。…といっても与えられた仕事は二次試験のバトルのみですが。

それとポピーさん、こちらがチリさんのよく仰っているソウさんですよ。」

 

【悲報】俺氏、幼女の部下だった。

なんとこの幼気な少女も四天王であり目上の人間であるという。アオキさんがこんな嘘をつくとは思えないので俺としては信じるほかないが、流石に動揺を隠しきれない。

 

「まぁ!じゃあ おじちゃんがあの なんちょうヘタレくそぼけニブチンくさタイプさんですのね!」

 

 俺がポケモンリーグの労働への倫理観について首を捻っていたところ、突然ポピーちゃんから強烈な毒を吐かれた。

ヘタレとかクソボケとか聞こえたけどいきなりなんなんだ。生憎だが俺は幼女に詰られて喜ぶような趣味は持っていないぞ。

 

「ポピーさん、本人がいる前で言ってはいけませんよ。それとチリさんの言葉遣いを真似するのは乱暴なのでやめたほうがよいかと。」

 

 そして毒の発生源はチリであることが判明した。あいつ裏で俺のことボロカスに言うじゃねえか、今度キッチリ問い詰めよう。

 

というかアオキさんもなにげに否定してなくない?俺の扱いそっちでどうなってんの?

 

「あ、あはは…。と、とりあえず俺はこれから出張なのでこれで失礼しますね。」

 

「わかりました。お呼び止めしてしまってすみません。では、私とポピーさんもここらで失礼します。」

 

 妙な気まずさを感じた俺は仕事を理由に話を切り上げる。「チリちゃんをこまらせちゃいけませんよ〜」というポピーちゃん、もといポピー四天王の声を背中で受け止めながらそそくさと俺はその場を去った。普段ちょっかいをかけられてるのはどちらかというと俺なんだけどな。

 

 

 

$$$$$$

 

 

 

「こんなもんか」

 

 額の汗を拭いながら俺はバトルコートの整備を終える。このベイクジムのジムリーダーはエスパータイプをメインに使うらしく、バトルコートのは一部が不思議な形に捻れていたりコート全体が歪んでいるなどの損傷が主なものであった。

 

 ちなみにジムリーダーのリップさんは本業でメイクアップアーティストなるものをやっているらしく、彼女の化粧品などの広告は配信サイトにて日常的に流れているという。

 

「よし、後はリップさんに報告して終わりだな。さっさと終わらせて戻ろう。」

 

 リップからは事前のメールでジムの中で待っていると連絡をもらっているため、寄り道をすることもなく真っ直ぐとジムへ向かう。

 

 すると俺はその途中でジムの横にあるスペースで子供や老人、そしてポケモンまでもが一斉に奇妙なポーズをとり、彼らの前にチャーレムと黒いジャージを着てファイティングポーズを構えながらステップを踏む女性の姿を見つけた。…なんだあれ。

 

 俺が何気なくその集団を見ていると不意に黒ジャージの女性と目が合う。

 

「おやっ!そこの仲間になりたそうな目でこちらを見ている青年!そんなところで見ていないで共に汗を流そうではないか!」

 

 するとズカズカとこちらに早足で駆け寄ってきた彼女が俺の手を取って空き地へと引っ張って行く。

 

ちょ、痛い痛い!なんだこの体育会系なお姉さん!振り解きたいけど手離れないんですけど!?

 

「エクササイズのルールは簡単!私が手本を見せるから同じ動きをするように!心と体の準備はいいか!?」

 

 されるがままに引き摺られていった俺に向かって女性が笑顔で言う。準備っていうか心も体も頭も状況に追いついていないんですが。

 

「それではレッツエクササイズ!君の感情を爆発させてくれ!」

 

 俺が呆けている内に音楽が流れ始めエクササイズとやらがスタートする。なんだかここで断るのも逆に面倒になりそうだと感じ、それにまだ時間はあるので俺は大人しく位置につく。

 

「まずは めいっぱいよろこべ!3,2,1!」

 

「い、いえ〜い!」

 

 女性とチャーレムの真似をして右手足をあげて喜びを表現するポーズをとる。周りの人は笑顔でハキハキとしているがいささかこれは恥ずかしい。

 

「もっと、もっとだ青年!君の中にはまだ恥じらいが残っている!躊躇いなんて捨ててかかってこい!」

 

すると女性から励ましの言葉が飛んでくる。俺別に戦ってるわけじゃないんですけど。

 

 しかし励まされたからにはそれを無視するわけにもいかず、俺は先ほどより大仰にポーズを決める。

 

「よし!では次に行くぞ!思いっきりおどろいて!」

 

 先ほどと同様にチャーレムと女性を見本に体を大きく開いて驚きを表現する。ついでにポピーちゃんが俺より地位も名誉も格段に上の立場にいたことについてのショックもプラスしておく。

 

「いい、いいぞ青年!君の全身から驚きの波動をビンビン感じる!まるで幼気な少女が実は自分の上司だった時のような、そんな常識への驚愕と疑いを感じる!」

 

 なんかすごい具体的に通じた。俺はよく草タイプと言われるがこの人は見た目的にかくとう/エスパーだろうな。目の前にチャーレムもいるし。

 

 その後も様々なポーズをとらされ辛いながらも久々の運動に気持ちのいい汗を流した。たまにはこういうのもいいなとエクササイズをしながら考えるソウだが、翌日に全身が筋肉痛でバキバキになりアオキに「休んだほうがいい」とパルデア一おまいうな事を言われることを彼はまだ知らない。

 

 

ーーーーー

 

 

「お疲れさまだったな!以上でエクササイズは終了!ジムテストは皆合格だ、おめでとう!さぁ、受付までダッシュだ!受付をするまでがジムテストだからな!」

 

 ハンカチで汗を拭いながら俺は女性の言葉を聞く。どうやらこの一連の流れはジムテストだったようで後ろにいた子供達が喜びながらジムへ突撃して行く。

 

「青年も中々のエクササイズだったぞ!ポケモンを連れていないようだしジムに挑戦に来たわけではないんだろう?その格好を見るに、仕事が一区切りついて休憩がてらにエクササイズをしにきたのかな?」

 

 やっぱエスパーじゃんこの人。”エクササイズをしに来た”の部分は全然違うけどな。無理やり引き摺ってったのあんただろ。

 

「まぁ、そんなところです。自分はこの後少し人に会う用事があるのでここでーーーー」

 

「あらキハダ、丁度ジムテストが終わったところなのね。タイミングバッチグーよ、こちらもバトルコートの整備が終わったようで今見にいったら凄くキレイになっていたわ。」

 

 苦笑しながら俺が報告をしに戻ろうととすると、お目当てのリップさんがバトルコートの方向からやってきた。

 

「あぁ、今回の参加者は皆生き生きとしていて大変良かった!特に彼、拙いながらも全力で自分の感情を表現している姿は花丸をあげたいくらいだ!」

 

 キハダと呼ばれた女性がリップと親しげな様子で会話をしながらこちらを指差してくる。丁度いいや、自己紹介がてら今ここで報告も済ませてしまおう。

 

「あはは…どうも、ポケモンリーグから来たソウです。今からコート整備終了の報告をしに行こうかと思っていたんですけれど、ここで会えて丁度良かったです。」

 

「あら、あなたが今日来てくれた整備士さんだったのね。コートの状態、チョベリグだったわよ。中々いい腕してるわね。」

 

 なにやら若干古臭い言葉を使いながらリップが答える。キハダさんも後ろで「ほう…流石だ。」と言いながらウンウン頷いている。何に納得してるんだよ。

 

 それにしても本業がメイクアップアーティストというだけあり中々に綺麗な顔をしている。少し気になった俺はお礼のついでに本業ではどんな事をしているのか聞いてみる。

 

「私は主に化粧品のプロデュースをしているわ。例えば最近発売した口紅、キャッチコピーは『ナチュラルに美しさを』よ。」

 

 そう答えるリップさんがバッグから口紅を取り出して蓋を外しながら見せてくる。その色は派手な赤というよりもナチュラルなピンクでありまさにキャッチコピー通りのイメージを湧かせるものだった。

 

「どうかしら?これはどんな顔色にもマッチする口紅で相手に化粧をしてると悟らせないほど自然の美を出せるのよ。他にもーーーキャァッ!!」

 

 自慢げに自分の商品を説明していたリップさんが不意にこちらへ倒れ込んできた。彼女の足元をみると先ほどの子供達がジムリーダーであるリップを見つけて飛びついたようである。

 

「おっと…大丈夫ですか?」

 

 俺は倒れてきたリップさんを支えながら体制を崩さないようにバランスをとる。ちらりと子供達の方を見るとどうやらキハダさんが彼らを説教しているようだった。

 

「いたた…。あ、ごめんなさい。口紅が首についてしまったようだわ。」

 

 リップさんが申し訳なさそうに謝ってくる。どうやら支えた拍子に手に持っていた口紅が俺の首についてしまったようだ。

 

「あはは、拭けば取れますし、色も薄いから見えにくいので平気ですよ。」

 

 俺はハンカチを取り出しながらリップに問題ないと伝える。服的にも見えづらいだろうから大丈夫だろ。

 

「うふふ、ありがとう。じゃあ私はこれからジムバトルに行かなきゃいけないんだけど…最後にもう一ついいかしら?」

 

 首を拭っている俺にリップがバッグから今度は装飾のされた透明な容器を手に持ちながら言ってきた。

 

「私のブランドは最近男性にもターゲットを向けていてこれはうちで販売している男性向けの香水なんだけど、丁度社員じゃない一般男性の意見が欲しいと思ってたの。頼めるかしら?」

 

 リップさんが俺に頼んできたことはどうやら自身の商品のレビューらしく、さして断る理由もない俺はそれを快諾する。

 

 シュッ…という音と共に液体が俺の手首と頸に振りかけられる。試しに手首を擦ってみると控えめながらも存在を主張する香りが鼻腔を擽る。

うん、いい匂い。

 

「おお、中々いいですねこれ。香りもあまりキツくないので男性ウケもいいんじゃない気がします。」

 

「ふふ、ありがとう。とても参考になるわ。あなた顔は悪くないし、うちの商品モデルになってもらうってのもいいかしら。…うふふ、冗談よ。それじゃあ私はジムバトルに行かなくちゃいけないからここで失礼するわね。」

 

 リップさんがそう言ってウインクをしながら去っていく。何だか少し気に入られたようである。

 

「それじゃあソウ青年!私もこれからアカデミーで職員会議があるから失礼する!また共に汗を流す時を楽しみにしているぞ!」

 

 続いていつの間にか子供達への説教を終えていたキハダさんも帰る旨を俺に伝えると、踵を返して歩いて行く。

…あんた教師だったのかよ。どうりで説教姿がしっくりくると思ったわけだわ。確実に体育教師だろうな、あの人。

 

 

$$$$

 

 

 「お、ソウやんけ。なんや今日出張やったんかいな、アオキさんから聞いたわ。昼休憩にオフィス行ったら居らんくて焦ったで」

 

 ベイクジムから戻ってきて約一刻。機材をあらかた片付け終え自分のオフィスに戻る途中、俺はチリとバッタリ出くわした。

 

「おっす、チリ。丁度さっき戻ってきたところだよ。そういや言ってなかったな、すまんすまん。」

 

 俺が軽く謝りながら少し前に戻ってきたことを伝えると かまへんかまへんと笑いかけてくる。

 

「てかチリちゃんまだ仕事残ってるからすまんけど行くわ、また後でな…ん?」

 

 仕事に戻ると言ったチリがヒラヒラと手を振りながら俺の横を通り過ぎると不意に立ち止まる。

 

「これ…香水か?珍しいやんソウが香水つけるなんて。首につけてんのやな、中々ええ香り…

 

ーーーーーは?」

 

 ふと、俺の首元に顔を近づけたチリの動きが止まりなにやらドスの効いた声が聞こえてくる。

不審に思って振り返るとそこには眉を大きく顰め目を細くし、いかにも私怒ってますという表情のチリがいた。

え、どしたん急に怖いんですけど。なんか俺気に触る事した?

 

「…なぁ、これ口紅か?自分、なんで首にこんなんつけてんねや…?」

 

 チリが俺の首を凝視した後こちらを睨んでくる。

 

「あれ、拭いたと思ったんだけどな。…どう?取れた?」

 

「ッ!!」

 

 俺が戸惑いながらも首を拭いチリに尋ねると彼女はさらに目尻を吊り上げる。

…なにやら更なる地雷を踏み抜いてしまったらしい。

 

「ちょい、面貸せや。」

 

痛い痛い痛い!またかよ!?これ本日2度目なんだけど!?

 

 ギリ…と音が鳴りそうな程に手首を強く掴まれ、抵抗する間も無くどこかへ連れていかれる。

 

 チリにずるずると引き摺られたまま近くの倉庫に連れ込まれると、ガチャ…という音とともに鍵が閉められる。

チリが近づいてきたのでとりあえず何か言おうとすると、俺が声を出す前に胸ぐらを掴み顔を近づけてくる。

 

「なぁ、チリちゃん浮気は許さんって前言ったよな?なのにこれはどういうことねん。

…こないな美人さんが側にいるのに誰とも知らないクソアマに粉掛けるなんて、覚悟できてるんやろな…?」

 

 スッゴイ目ぇ血走ってるんですけど。こんなにキレたチリは初めて見るかもしれない。

 

「いけずやなぁ自分、チリちゃんにヤキモチ焼かしたとこでそれ食って腹膨れるわけでもないんに。…もしかしてさっきの香水も同じヤツから貰ったんか?」

 

 チリが矢継ぎ早に言葉を並べながら詰問してくる。許してくださいお願いしますお前顔いいから余計怖いんだよ。

 

「…なんとか言えや!!」

 

ドンッと脇腹付近の壁にチリの脚が打ち付けられる。俺の人生初壁ドンがこんなにも恐ろしいものだとは思わなかった。

 

「ちょっ、落ち着けって!口紅も香水も今日ベイクジム行った時にリップさんに使わせてもらった奴だよ!てか口紅に関しては事故だ!倒れてきたリップさん支えた時に手に持ってたやつが付いたんだって!」

 

 なにに怒っているのかは分からないがひとまずチリを落ち着かせるために早口で今日のことについて説明する。

…にしても美人が怒ると恐ろしい。一瞬後ろに修羅が見えたぞ。

 

「ほんまやろな…?後でリップさんに確認しとくさかい、嘘ついとったら…分かっとるな?」

 

 多少の冷静さを取り戻しつつあるチリに向かって首をブンブン縦に振る。

 

「…なら今は信じたるわ。ただ、ほんまやったとしてもチリちゃんの心を深く傷つけた償いは近いうちにしてもらうで。」

 

 チリは未だに眉を顰め不服そうな表情をしてはいるが納得してくれたようで、胸ぐらを掴んでいた手を離し倉庫から出ていった。

 

…いやぁビックリした。チリのマジギレ超怖い。さっきの会話のどこに地雷があったのかはわからないが怒らせてしまったのなら多分俺が悪い。昔からチリが俺に説教する時に正しいのはなんだかんだあいつだったしな。

 

 チリの機嫌を取るために今日の夕飯は好きな物をいくらでも奢ろう、という財布にあまり優しくない決意を固めながら俺も仕事に戻ることにした。

 

 

 

 

ちなみにこの後、リップさんから連絡が来た。なんでも全てを射殺すような鋭い目つきで俺について色々と質問、というか尋問をされたらしい。リップさんによくわからないけど俺も怒られたことを伝えると『あなた…いつか刺されるわよ?』と言われた。なんでやねん。

 

 

 

 

 




ちょっと長くなりました。
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