学校テロリストwithバイオハザード 作:ゾンビA
現在、俺は南階段を全速力で駆け降り、1階に向かう階段で止まった。
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…
元が人だったとは到底思えない濁った声が下から聞こえてきたからだ。
「報告は本当だったか…」
話によれば2-2は全員ゾンビ化していたらしい。ならば30体をたった1人で相手しないといけない。そもそもこの銃は威嚇用のものであって、実際に人に向けて撃ったことはない。そんな俺がたった1人で奴らに勝てるのか…?
いや。考えている暇はない。隊員の非常時に助けることは隊長の務め。
「行くぞ。」
そう言うと同時に階段の踊り場に出る。正解だ。やはりトイレを待つ行列のように、ぱっと見で10体以上のゾンビがいた。
「この手のゾンビは頭が弱点だってバイオハザード2でみた!潰れろ!」
H&KMP5A5の引き金を引く。
サブマシンガン特有の連射音が響く。
できる限り位置の優位を利用して頭に当てたつもりだった。しかし…
「!?こいつら…全員生きてやがる…!?」
頭に当てられたのに意に介した様子もなく、こちらを攻撃対象として認識したゾンビが階段を登ってくる。
「くそ…退却すべきか…!?」
その時、無線とトイレからの声が重なった。
「『隊長!救援を!もうトイレのドアも限界で…!!
バアン!
あ゛!やめろ!来るな!やめてくれ!いぎっ!あ゛が!あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああ!!!!!』」
ブチブチと、ゴキゴキと。おそらく食べられている音を聞きながら、走った。
自分もそうなりたくなかった。隊員を見殺しにした。異常な生命力を見せつけられた。理由ばかりが浮かび、肝心の対処法は思いつかない。
(まず2階に滞在するのはまずい。1-4は少し離れてるとはいえ、1階からの入口が繋がっている以上、袋叩きに合う可能性が高い。)
急いで3階に移動する。
その時だった。
(よし…あと少しだ…こんな階段全力ダッシュしたのはいつぶりだろう…)
本来火災に対して使用する防火シャッターが折り始めた。
(間に合え…!!)
最後の力を振り絞り、防火シャッターに滑り込む。しかし、その拍子にサブマシンガンが弾切れを起こしたときのために持っていたベレッタM92Fを防火シャッターの内側に落としてしまった。
「…はあ…はあ…とりあえずはどうにかなりそうだ。サブマシンガンで効かないんだ…通用しないハンドガン一丁で命が助かったと思えば安いもんだ…」
(逆に言えば退路が塞がれた。もし、ここでゾンビが一人でも現れようものなら間違いなく袋叩きだ。…恐らく…1年担当の奴らも…)
嫌なことから目を逸らし、一番近場にあった2-1に入る。
…!そうだ!あのとき焦っていて鍵を閉めるのを忘れていた…!生徒たちは無事か…?
「お前ら!無事か!?」
事前に確認していた名簿によれば人数は32。プラス教員で33名。数えるか…?
「テロリストのおっさん!吉原が!」
…どうやらまずいことになったらしい。
「落ち着いて。状況を説明してくれ。」
「吉原が…俺がバイオハザードを解決するって言って…!カッターナイフ持って行っちまった!しかも、防火扉まで閉まって…!」
やばい…銃で効かないのにナイフ…それもカッターごときじゃまともに勝てない…!
こんな時に俺らの客である中二病が問題を起こすとは…
「分かった。少し連絡を取る。」
『こちらレッドゾーン!校長に連絡を!』
『こちら校長班!隊長!無事でしたか!それで、連絡とは?』
『防火扉を一時的に開けるよう言ってくれ。それから、生存者は全員2-1に来るようにも。』
『そんな!後者はどうにかなるかもしれませんが…防火扉を開けるなんて許可が降りるわけ無いでしょう!何しに行く気ですか!?』
『生徒を助けに行く。』
『たった一人のために…』
その発言の直後、通信相手が変わる。
『えー…こちら校長の西田。防火シャッターの開放を許可する。ただし、放送のあとでだ。開放後、10秒後に閉め、生徒を回収後はすぐに報告すること。再び開けるのはその時だ』
『校長先生まで!まずいですよ!』
『君は教員が一人の生徒を助けることは反対かね?』
『そんな…ことは…』
何やら口論が行われてるみたいだがとにかく開けてもらえるらしい。
『お願いします。』
「今から吉原くんを助けに行く。君たちはここから出ないように待っててくれ。いいね?」
「…はい。」
俺は、防火シャッターが開くと同時に内側へ入り、先程落としたハンドガンを拾って階段を駆けるのだった。