モンハン世界に転生したようなので旅しようと思います 作:週末ラテ少年
転生という事実を受け入れるのは難しくなかった。
だが今思えば、モンハンの世界になんてしなくとも―――いや、そうでもないか。
それはさておき、だ。あの頃は、ただモンハン世界で第二の人生(物理)を歩んでいることを喜んでいた。今思えばそんな気がする。
〆
(憑依)転生からおよそ一週間。ソルの身の上がわかってきた。
本名はソル・ゴルド。家族は両親と祖父、そして一人っ子。ファベトという町に住んでいるよう。ファベトという名前は前世で聞いたことないし、モンハンで取り上げられてなかったものだろうか。
そのファベトだが、交通の要所的な場所にあるからか宿場町のような町のようだ。村と言うほどの寂れた感じではないが、ゲーム内のバルバレのような活気があるわけではなかった。
そして今日も、1日が始まる。
◇
俺の朝は比較的早い。
日が出始めた頃に起床し軽く柔軟体操、そして外へと繰り出す。
「おはようソル君! 今日もいつものルートかい?」
「おはようございまーす。ルートは…昨日と同じですね。戻る時もこっちからです。」
朝番の人と軽く言葉を交わし、門の外へ。
何をしてるかっていうと、朝のランニングみたいなものだ。
理由は勿論、ハンターになる為の体力作り。
モンスターの知識は前世の記憶があるからいいが、身体についてはそうはいかない。何かしら得物を持つならば、体力は大事になるだろう。
幸い、転生前からソルはよくランニングをしていたらしい。お陰で同年代の中では体力はある方だし、朝のランニングも怪しまれていなかった。
長くはない石畳の道を抜けたら、小石と土が足元で目立ってくる。農地も減っていったところで左折し、道から外れた。
ここから先にあるのは草原。転生したときに目覚めた場所がそこにあり、温厚な草食のモンスターもたまに見かける。飽きることのない景色が広がる場所だ。
膝下までしかない雑草を足で軽く掻き分けながらも、改めてランニングに意識を向ける。
「やば、もう無理…」
――とは言ったが、息切れが先だった。思わず、一週間前のように仰向けになって倒れこんでしまう。
七歳ほどの体ではやはり長距離走は難しい……。前世でもこんなに走れたろうか? いや、恐らくない。モンハン世界の住人そのもののフィジカルが高い感じだ。
某キャラバンの団長は帽子の中にずっとシャガルの鱗を入れてて禿げなかったし、証拠の一つ……になるのか?
今日の記録はまずまずといったところであり、まだ成長の余地はありそうだ。ゲーム内の「走る」程度の感覚でまだダッシュではないんだし、スタミナ面は今後も継続して鍛えよう。
ランニングは有酸素運動だから全身の筋肉も鍛えられるはず。(にわか知識)
休憩がてら、しばらく眺めたら帰るとしよう。
◇
前略、家業の手伝いをしてます。
うちの家族は両親と祖父と言ったが、爺ちゃんは元ハンターで現在は雑貨屋を営んでいたのだ。
両親ももちろん継いでいるわけであって、俺の代は三代目らしい。なんとかブラザーズには帰ってもらおう。
それは置いといて。まぁウチが商売をしているわけだから、算術もそれなりにできてきている。読み書きも尚のことだ。
と言っても、モンハン世界の言語が日本語に見えていたり、聞こえていたりしているだけのこと。モンハン世界の住人に憑依転生したからなのか、俗に言う転生特典とやらのどちらかなのだろう。余談だが、こちらでの1ゼニーの価値は、日本での1円とほぼ同じだった。
「これ店の前に出しといて!」
「はーい!」
こんな風に、品出しとか、あとはたまに店番もしている感じだ。時折、帳簿とかのつけ方も俺の希望で教えてもらっている。
両親は「勉強熱心だねぇ」と口を揃えて言っていたが…転生してから中の人格が替わっていることに気付いているのだろうか?
案外、こういうのは家族が先に解りそうなのがやや怖い。
……俺がハンターになると言い出したら。もしもソルの人格が俺のような転生者と入れ替わっていることを知ったら。どんな顔をするのだろうか。
反対されないかがちょっと気がかりだ。
不定期更新って言葉便利ですよね
一ヵ月開けてても「不定期」と言えますし()
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