唐突だが自己紹介させてもらおう。
ボクの名前は「岸辺露伴」。名前が分かるのならボクの職業や「
なにせ、ここから先はボク達についての「予備知識」が必要だからな。
マッ、それでも構わないというなら止めはしない、そんな物好きを門前払いする程ボクも薄情じゃぁないからな。
それに、この話は君が
余り細かいことにコダワる必要は無いという訳さ。
さて、先日某誌で載せた読み切り61ページの「
登場人物が全て女性なのはボクとしても初めての試みだが、反響は概ね好評だったな。
まぁSNSのほんの片隅に「ヲタクに媚びを売り始めた」とか言う声もあったが、ボクの漫画をしっかり読んでいる「真っ当な」ファンならば、決して有り得ない事なのは分かりきった事だがね。
……少し話が逸れたな。つまる所、何故ボクが登場人物オール女性という普段描かない事をしたのか? それについて話そう。
「何故話すのか?」とか毛ホドも面白みも無くクダラナイ事は言うなよ? ボクの身に起きた事をわざわざ「ココ」で話すんだ、黙って行儀良く座って読む事だ。
では、まず前座と行こう。君は「神浜市」の事は知っているな? 「
数ヶ月前に週末の旅行で偶には国内旅行と思い立ち、最近災害とか色々と話題になった新興都市・神浜市に行ってね。
そこで「彼女達」と出会ったのさ。「彼女達」とは誰かだと? 今から話すから急かすなよ。
前座はここまでだ、長らく待たせたな。ここからが本題、「本編」だ。
今の内に目を掃除しておけよ? 後で“目にゴミが入っててよく読めませんでした”なんてジョーダンにもならないからな。
終わったならそのまま読み進めろ……
「フゥー、やっと神浜市に着いたか。国内の新幹線でも結構時間が掛かるものなんだな」
本来、ボクは都会が嫌いだ。人混みとか煩わしいったらありゃしないからな。
そんなボクが神浜市に旅行に来た理由、それは神浜市が“被災地”だからだ。先月の大きな災害に見舞われたにも関わらず、死者・行方不明者共に0人という奇跡で話題になった。
漫画の資料として災害系は余りストックが無いので、不謹慎ではあるが好機と見て取材にやってきた。
「人が多過ぎる…… 杜王町のサマーシーズンより多いんじゃないか?」
着いて早々だが帰りたい、物凄く帰りたい……
これだから都会は嫌いなんだ。ココに住んでる連中はよくもまぁこんな所に住んでられるな、一切尊敬出来ないが。
「被災地の取材はまた別の時にしてさっさと帰━━ おっとシツレイ!」
帰ろうと踵を返して少女とぶつかってしまった。中学生位だろうか?
「びっ……くりしたの……」
「急に振り向いて申し訳無い、怪我はないかな?」
「大丈夫ですなの。コチラこそごめんなさい、余所見してて……。
あっ、貴方もしかして“ピンクダークの少年”の“岸辺露伴”先生なの?!」
「ムッ、君もファンなのかね?」
「はいなの! 半年前に初めて読んで一気にファンになったの!」
半年前…… 確か神浜の芸能学校所有のメイド喫茶とのコラボでピンクダークのメニューが並んだんだったか? 教員の一人がボクの大ファンで強烈なゴリ押しでコラボにこぎつけたんだったな……
あんな人の話も聴かず無遠慮にズカズカと近寄ってくるヤツは嫌いだ、何度ボクの
「き、岸辺先生! このハンカチにサインをお願いしますなの!」
「ハンカチだね? サイン程度Special Thanks!」
「え…… あぁ?! す、すごいの…… いつの間に! いきなりのサインなのに応じて頂いて有り難う御座いますなの!」
「なぁに仕事の遅いヤツとは違うからね、ファンサービスはやってトーゼンさ。さて失礼させてもら━━」
「それでそれで! 先生はなんで神浜に来た
です? やっぱり観光なの?」
「ん? あぁいや、漫画の取材をしようかと思ったのさ。まぁもう帰るつも━━」
「だったらサインのお礼に私が観光案内をするの!」
「えっいやだからもう帰━━」
「あ、ごめんなさい自己紹介を忘れてたの! 私は御園かりんなの! さぁさぁ、バス停はコッチなの!」
コイツも人の話を聴かずにズカズカ近寄って来るタイプか!? クソッ今直ぐに話を切らなければ確実にアチコチ観光するハメになりそうだ、そうなる前に早く阻止せねば!
いや確かに取材目的での観光ではあるが、もう帰ると決めたんだぞボクは!
ハッ! なっ流れが?! バス停に向かう人混みの流れに、捉まり
「まっ待て、君の“用事”は?! 言い方から察するに君は神浜に住んでる、そんな君が神浜の駅に居るという事は当然用事がある筈だ!」
「あぁ、待ち合わせしてた先輩からついさっきドタキャンの連絡があって、これから帰る所だったから丁度良かったの! あ、バスが来たの! 先生、早速乗るの!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉやめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
こんな情けない悲鳴を上げたのは午前10時を過ぎた頃。
そして16時現在。
目が痛くなる程の極彩色のカオス、見慣れたオブジェを何の関連も無く無理矢理テキトーに繋ぎ合わせた情景、環境音やら誰かの声を無茶苦茶にかき混ぜた音声……
「……
なんて事だ! この空間、異様過ぎる! このボクが
最初神浜市に来た時は来るべきじゃぁ無かったと思ったが、今は来て良かったと思っている…… この魂の高揚はッ!
しかもッ! この空間はボクが持っているような
何としてもこの異様な空間を調べなくてはッ! ボクは今ッ!