らいばる・ざ・ろっく!   作:ベーシストベーシストベーシスト

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皆さま、本当にお久しぶりです。
原神楽しいですね(受験生って忙しいですね)。


けつい・を・かためろ

 ひとりが風邪を引いた。

 ここまでなら今までもあったことだが、今回風邪を引いたのは、バイトをサボるために氷風呂に長時間浸かっていたからだそうだ。そんな小細工しないで仕事しろ。

 

 その後、看病するために学校を休もうとしたが、それを後藤家全員から反対されたので大人しく学校に来た訳だ。

 

「別に一日くらい休んでも問題はないと思うのだがな」

「……いや、自分の風邪のせいで休まれても困るでしょ」

 

 今は昼休み。とりあえず双葉と一緒にお弁当を食べているところだ。場所はひとりがよくいる机が積まれている謎スペース、略してひとりスペースだ。

 ひとりがいないと、学校の中にいる私の友達は双葉しかいなくなる。最近は虹夏とリョウ様が新たに友達になったのだが、二人とも学校が違うので会えない。ので、昼食を共にするのが双葉しかいないのだ。

 ……別に悲しくはない、本当だ。……本当だからな!?

 

「そういえば、昨日の急用は無事に済んだのか?」

「……!……うん、なんとかね」

「なら良かった」

 

 STARRYに来て早々に用事ができるとは、運がなかったよな。世界でも稀に見る聖人である店長さんにも会えてないし、不思議アホ毛オシャレリボンの虹夏にも会えてない。

 ……いやまあ、ひとりと会わせなくて済んだから私としては良かったのだけれども。あの後風邪を引くのに、その前にも精神的ダメージを負っていたら今頃棺桶の中で蘇生待ちの状態にまで追い詰められてしまうだろう。

 

「にしても、今日のお前は歯切れが悪いな」

「え……。そ、そうかな?」

「ああ。なんというか……」

 

 私との受け答えにも目を逸らすし、言葉を話す前に少し考え込むし、要領を得ない答えが返ってくるし。

 

「まるで()()()()()()()()

「……っ!ごめん、用事できた!」

「急だな!?」

 

 そう言うと双葉はすぐにお弁当を片付け、階段を駆け上ってどこかに言ってしまった。あいつ速いな、流石はバスケ部だ。今は元がつくけど。

 にしても、ついに一人になってしまった。まだ次の授業まで時間はあるし、のんびりと残っているお弁当を消化しよう。

 

 

 

『お前はあいつと別れた方がいい』

 

 

「……あれはどういう意味なんだ?」

 

 一人だけになると、私の賢い脳みそは昨日の店長さんとの出来事をずっと再生してくる。

 言われた後にその意味を聞こうとしたのだが、結局はぐらかされてわからずじまいのままになってしまったのだ。

 

 この場合の『あいつ』は双葉しかいないだろう。双葉の話をした後の言葉だったし、文脈的にはおかしくない。

 だが、そうなると余計におかしい。双葉が来ていたことが分かっているのであれば、双葉が変な奴ではないとわかるはずだ。昨日もリョウにお辞儀していたし、あの時の双葉を遠目で見ていたら礼儀正しいくらいしか感想が思い浮かばないはずなのだ。

 そんな状態で『別れろ』なんて言葉が出る訳がないし、仮に双葉が失礼な奴だったとしても、その一面で判断できるほど店長さんは双葉と知り合っていない。

 

 ああもう分からん!

 こうやってうじうじ考えるのはあまり得意じゃないんだ!

 

 決めた!

 今日の放課後、STARRYに行くぞ!

 

 

◻︎

 

 

「クソが!」

 

 思わず汚い言葉が口から出てくる。

 落ち着いてくると、今出てきた言葉は二つの意味があるんだろーな、と他人事のように考える。

 一つ目は、ボクに対しての罵倒。ただ後藤に似ているって言われただけなのに頭が真っ白になって思わず走り出した考えなしの自分に対するもの。

 二つ目は、ボク以外の全員に対する恨み。昨日ずかずかと他人の交友関係に対して物申してきた山田に対してもそうだし、風邪で学校を休んでるのにまだ園田の中にずっといる後藤に対してもそうだ。しかも、今回の風邪は氷風呂に入った自業自得、愚か以外の言葉が出ない状態なのに。

 ……いや待て、氷風呂に入ったってなんだ。さっきは聞き流したけど普通はそんなことしないよね?なんでそうなるの?

 

 まあこの際それは放って……いやすごい気になるな、いつか聞こう。

 とりあえず、今日はずっとイライラしてる。

 

 理由は明確、昨日の山田だ。

 

 

『仲間の心を縛ろうとしてるのが、心を殺してるのと同じでも?』

 

 

「……っ!」

 

 今思い出しても腹が立つ。

 人様に向かってなんであんなに無遠慮に言えるんだ。もしかしてデリカシーがないのか?

 別に言われなくても分かってることを、初対面の人に説教されるとは思いもしなかった。そんなにあの時のボクは酷かったのか?

 だとしても心外だ。分かってるような口でボクの事情に口を挟んでベラベラと喋るのが。

 

 

『そんなバンド、死んだも同然だよ』

 

 

 ……でも、そうやってイラつくほどに最後の山田の悲しげな顔が脳裏によぎる。

 (多分)頭が良くて、(多分)人の感情がわからない(多分)完璧人間。そういう印象だったのに、あの一言をあの表情で言われたせいで全部がわからなくなってくる。

 

 どういう思いで、どういう感情で、あの言葉を言ったのか。

 理解しないと、多分ボクはずっと千尋を縛り続けたままな気がする。

 

 今日の放課後、STARRYに行って全部聞いてやる。




キリを良くしようとしたらいつもより短めになったので、本日は2話連続です。
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