Cyberpunk:RunOver   作:ヴラドミア

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Far away / 届かない

久しぶりだね、デイブ。こっちは何とかやってるけど、そっちはどうかな。

いなくなってから大体1年くらい経つけど、まぁそんなんじゃ状況は変わらないね。相変わらずアラサカが支配してるし、最近はミリテクとのにらみ合いも苛烈になったみたいだよ。

 

俺はね、憎くて憎くて仕方ないのに、それでも社会の輪から外れる勇気もなくて、未だアラサカに勤めてるんだ。ごめんね、デイブを助けられないかって社内を荒らし回ってるけど、なかなか。

 

そういえば、まだ一般公開もあんまりされてないけど、アラサカは人格保存プログラムだなんてことをしててね。今度会うときは、デイブのこと保存するなんてありなのかなぁって思っちゃったりして。

 

もちろん、高額だよ。世の中の権力者とか、金に溺れてそうな人がやるプログラムみたいだったし。人格をデータ化して保存、チップとかに入れるとそれが再現されて……簡単に言えば乗っ取れるみたい。スゴいよね。

 

俺はその開発に携わっているわけじゃないけど、会社のツテとかコネってやつでさ。もし、それが実現できてたら、今頃は……とか。

 

外見まで模倣できるわけじゃないけど、そんなのはインプラントとかでどうにでもなるし、俺はデイブがいないこの一年間、ほんとに苦しかった。

 

後悔とか未練とか、なんかそういうのがさ、いつだって背後から俺のことを指差して笑ってんの。何度やったって、俺には救えない。運命をねじ曲げることはできないってさ。

 

まだ、わかんないじゃん。デイブと迎える2077年、俺は楽しみだよ。

特段なにかがあるわけじゃないけどさ、変わらない日常に新年だから何かするって訳でもないし。それでも、一緒にいられるって思えるのって、大事じゃん。

 

俺が何をどうしたらいいか、まだ全然わかんないよ。糸口なんて見えないし、俺が針に糸を通したら、アラサカとミリテクが戦争を始めるかもしれない。そうなったら俺は忙殺されるし、デイビッドは知り合いや部下を引き連れて代理戦争をしてるかも。そのときはアラサカ側に付いてよ、俺は敵対したくないからね。

 

一緒に月に行く、なんてのもいいね。アラサカは月への移住計画とかやってるみたいだよ。アラサカよりも高いとこ、どうかな?なんてさ。

 

 

あーあ、これ、全部聞こえてんのかな。バカなこと言うなとか、なんだそれって笑ってくれてたりする?

 

でも俺たちさ、お互いに約束守れてないんだよね。お互い成功して、飲みに行こうって話。

何をもって成功というかわかんないけど、こんな感じで穏やかに喋りながら好きな酒とか飲んでさ、一晩明かすのとか。大人っぽくて良くない?

あ、でもデイブって炭酸ダメだったっけ。ニコーラ割りとか頼まないようにしないとね。

 

さて、俺はそろそろ往くよ。また次が待ってるし。

俺がいつか、必ず、どうにかする。この1年、会えなかったのは本当に苦しかったけど、すぐ会いに行くから。

 

おやすみ、また明日ね。

 

 

 

宵闇に小さな光の粒が散りばめられている。月のない夜、光のない空に見えるそれは、どうしようもなく煌めいて見えた。

手を伸ばしても、どれだけ高いところに行っても、それを握ることも掬うこともできない。やがて伸ばした腕も上がらなくなって、目蓋が閉じていく。

 

愛する人の墓標、ただの石の壁に背を預ける。少年は羽化することもできず、寄り添うように眠りに就いた。

 

朝が来ることを願って。

 




長らく次話を書けずにいました。というか、今でもそうです。
楽しみにしていてくださっている方はこんな遅々として進まない筆を許してください……


イーサンの行動に大きな変化があるのは次章のさらに次になります。

何が起きるのかはもう予測も出来てしまうでしょうが、こんな展開じゃないかとか、もしこの小説に飽きていなかったら書いて貰えたらと思います。

新しい視点になるかもしれないし、感想コメントが来るだけでとても嬉しいので笑

更新頻度上げられるよう頑張ります。今後ともRunOverをよろしくお願いします。
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