「よし、着いたぞ、ここが桃源郷の入口だ!」
「懐かしいっすね!最初来た時はご主人の偽物が案内してくれたっすよ!」
四不象は懐かしげに言う。
「へぇ…桃源郷の入口はこんなに危ない道になってるの?少しでも足を踏み外したら終わりだね…」
太公望も普賢真人も足元に気をつけて歩く。
「スープー、お主は飛べるから良いのぅ…」
太公望はあたふたと危なげに歩きながら言う。
「…何か後ろから気配が。気のせいかのぅ…」
太公望は後ろを振り向くが誰もいない。
「申公豹なら黒点虎に乗ってつけてくるかもね…ていうか僕らも四不象に乗ったほうが…ととっ!!」
普賢真人はよろけた。細長い道だ、無理もない。
「ずっと前に来た時もご主人は自分そっくりの案内人さんに案内されてボクには乗らなかったっす!今回もそれでいいっすよ!」
「四不象…それはよくわからん理論だぞ…」
太公望は四不象を呆れた目で見る。
「よしっ!着いた、ここだ!」
桃源郷は相変わらずだった。所々に雲が見られ、どこか山の頂上、天国を思わせるような場所だ。
「ここが…なんかきれいで安心する場所だね…空気もきれいだし、自然も豊かだし」
普賢真人はきれいな空気を思い切り吸い込んだ。
「太上老君はどこだ…?恐らくはまた怠惰スーツを着て羊の上で寝ておるな…」
「…その怠惰スーツってなんなの?望ちゃんが欲しそうだよね、それ…」
「あれっすよ、頑丈な怠け者スーツっす!」
「四不象…まんまの説明ではないか…」
とにかく三人は羊の群れを探した。
「あっ!あれだ!太上老君よ、あれが!!」
太公望が指をさして言った。羊の群れの上に怠惰スーツが見える。間違いない。
「あれが怠惰スーツってやつ?…なんか変だね、形が…」
普賢真人が大人しめにツッコむ。
太公望は羊の群れに駆け寄った。
「おーい!太上老君!ワシだ、太公望だ!…て、ダメだ寝ておるわ…」
「困ったっすね…ご主人の打神鞭でもビクともしないし…邑姜ちゃんがいれば起こせるっすけど…」
「邑姜って人がいないと起こせないの?困ったね…」
三人は羊の群れの上の太上老君の前でどうすればいいのかわからず、呆然としていた。
「フフフ…お困りのようですね?力を貸しましょうか?」
後ろから申公豹の声が聞こえた。
「うぉー!びっくりしたぁ!…て、申公豹…お主やはりつけてきておったのか…」
申公豹は右手に雷公鞭を持っている。後ろには黒点虎がいた。
「…しかし、怠惰スーツ、女媧との戦いで壊れたはずだが…」
「誰か直したんすか?」
「雲中子だったか、太乙真人だったか、忘れたのぅ…。して、申公豹よ。太上老君と話がしたいのだが…」
「…わかっていますよ。この雷公鞭でどうにかします」
雷公鞭はバチバチと小さな稲光を放っている。
「やや、ヤバいっすよ!雷公鞭でどうする気っすか!?」
四不象は慌てる。
普賢真人は案外落ち着いて見ている。
「決まっています。太上老君と話をしたいのなら、雷公鞭で怠惰スーツを壊すまでです」
雷公鞭による稲光が強くなる。
……その前に、怠惰スーツで寝ている太上老君がジタバタしだした。
「……む?太上老君、起きたのか?なぜ故…」
「きっと私の雷公鞭で怠惰スーツを壊されるのが嫌だったのでしょう…。これで雷公鞭の出番はなくなりました。太上老君、起きなさい!」
羊の群れの上でジタバタした後、ムクッと上半身を起こした。
「……起きたようだ」
弟子の雷公鞭にビビッて起きたのかのぅ?いやまさか、と勘ぐる太公望だった。単に怠惰スーツを壊されるのが嫌なだけだろう。
「…あの、邑姜ちゃんみたいに立体映像は出てこないっすか?あの怠惰スーツのまま話すんすかね?ご主人…」
「邑姜の腕輪がない今、そうするしかあるまい…いや、あの怠惰スーツ着たまんまでも普通に喋れるぞ、四不象…」
「元始天尊様が神々しいオーラを放っているとか言ってなかった?スーツの中だとよくわからないけど…」
普賢真人は言う。
「………太上老君、太公望が聞きたいことがあるそうですよ」
申公豹は言う。
「………うーん、眠たい……」
太上老君はダルそうに話しだした。
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