道行天尊は申公豹の威圧感におされたまま黙り、四不像はひたすら太公望に助けを求めていた。
「…四不像、あなたも黙りなさい。あなたもあなたなのですよ。道行天尊のわがままに付き合わなければ、私と黒点虎はあなた達に当たらずに済んだのです」
(ど、道行天尊のわがまま…四不像がてっきり遊んでやっていたのかと…)
太公望はそれを聞いて呆れた。
「そ、そんなこと言っても…赤ちゃん仙人さんが背に乗せてって頼み込むから、つい…」
四不像はひるむ。
「そんなわがまま、断れば良いでしょう?こんな二重人格の訳分からない仙人の頼みなど…」
「誰が訳分からん仙人じゃボケー!」
道行天尊の二重人格が発動してしまった。
「…いいから黙りなさいと言っているのですよ。雷公鞭使いますよ?いいのですか?」
申公豹はピリピリしている…。
(呆れた奴よ…申公豹の性格を知らぬのか…)
道行天尊はめちゃくちゃビビッて二重人格が引っ込んだ。
「な、なんか、僕たちすごい場面見てるね…」
普賢真人は結構冷静に見ていた。やはり引いているが。
黒点虎は言う。
「ねぇ、申公豹…」
「なんですか?黒点虎」
「なんか、上から何か来るよ…」
黒い影が二つ、空から落ちてきて、申公豹達と同じ川に落ちた。
王天君と哪吒だった。
「っててて…お前しっかりしろよ…」
王天君は哪吒に言う。
(何なのだ、この川は…。仙人が落ちてくる川なのか…)
太公望は思った。
「また誰か降ってきたね。あれは望ちゃんと分離した王天君と…誰かな?あれは」
「あやつは哪吒だ、宝貝人間よ」
「哪吒?…あぁ、木吒の兄弟の…。初めて見た。あんな子なんだ…」
哪吒も王天君もやはりずぶ濡れだ。
「…おい、お前。俺に指図するな。おかげでこんなざまだ」
哪吒が王天君に言っている。
「…うるせぇな、お前飛べるんだからよぉ、いいだろが、別に」
(会話でおおよそ予想がつくのう。王天君が哪吒が飛べるからといって乗せろと言ったのであろう…)
「望ちゃんによればさ、王天君は妖怪なのに、人のように心を読み、利用する。妖怪らしからぬ、と言っていたね」
「まぁ、それは過去の話よ」
過去の話と言ってもやはり元は太公望と同一人物、人のように心を読み利用する性格は変わっていない。
「大体何でお前は空を飛びたいとか訳のわからないことを抜かすんだ。…お前もいたのか、道行」
哪吒は道行を睨む。
「ひ、酷いでちゅ…みんなして…」
(こういう時に赤ん坊のようになるのは、見た目が赤ん坊だからなのだろうか…)
太公望は冷めた目で見ていた。普賢真人もだ。普賢真人は冷めた目というより、ひたすらついていけず、引いていた。
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