Another days -case of Emma- 作:瑠和
話に意味はない。
ちなみに一番くじは一発目にしずくのB賞出た。逃げられないなぁ。彼女からはしずく編書かないと…。
S賞二個当たったんやがどうすればいい?一つは彼方さんだけどもう一つは?
瑠和とエマが付き合って、まぁまぁ時間が経った。まもなく夏休みという時期に、虹ヶ咲スクールアイドル同好会では、なにか目標を持ったことをやりたいと考えていた。そんな中で他校から持ち込まれたダイバーフェスでのライブの話。
しかし、ライブの中でスクールアイドルができるライブの時間は限られており、ソロでやっている虹ヶ咲では歌えるのは一人となっていた。
話し合いの場を設けてみたが、結局決まらずにその日は解散になった。
瑠和はいつも通りエマと一緒に帰る。帰ってからしばらく経って、二人は汗まみれになりながら半裸で抱き合って寝ていた。以前侑が遭遇した状況と一緒だ。
「エマさん………俺はエマさんが歌うところみたい」
「うんうん、ありがとう。瑠和君は優しいね。でもこればっかりは、どうしようもないかなぁ」
「でも……俺は」
そんなことを話していると、メッセージアプリに連絡が来た。
「これって……」
「ライブに出るメンバーをこの投票で決めるって………」
果林とせつ菜たちが知らない場所で出会い、そんな話になったらしい。条件は自分以外に投票すること。同好会メンバーにとっては決めあぐねていた状況だったので光明が差し込むようなことだったが、瑠和にとっては違う。
これから全員にエマを選ばせるための行動に出ようと思っていたからだ。しかし、ここでストップをかけるわけにもいかない。エマを出したいという気持ちを皆に伝えたところで瑠和がエマの彼氏だからという反論で論破されてしまう。
「………」
瑠和は止めたい気持ちをぐっと抑え、とりあえずエマに投票する。
少しして結果が出る。結果は、果林がステージに立つことになった。
「…………っ!」
瑠奈はスマホを床に叩きつけた。結果に納得がいかなかったのだ。
「なんでだよ!あのステージに立つべきなのはエマさんしかいないだろ!!エマさんが!エマさんしか!」
癇癪を起す瑠和をエマは後ろから優しく抱きしめた。
「大丈夫だよ。ステージに立つチャンスはいくらでもあるんだから」
エマは瑠和を抱きしめる。抱きしめたエマの顔は狂喜に満ちていた。ステージに立てなかったことなどどうでもいい。ただ、エマのために瑠和が激昂してくれた。それだけでエマは満足だった。
「大丈夫。またすぐに私の歌、私の愛、私の身体、全部、全部、全部味わわせてあげるから」
そういってエマは瑠和にキスをする。瑠和もエマの愛情に答えるようにエマを抱きしめた。唾液が絡まる音が部屋に響く瑠和の手には普段絶対に感じることのないエマの背中や、お腹の肌の感触が両手に広がる。
「ずっと一緒だからね」
―夏休み―
それからしばらく経ち、夏休みになった。次のライブに向けて同好会は合宿に行くことになった。合宿といっても学校の宿泊室を使うだけだが。
無論マネージャーである瑠和も一緒に合宿に参加することになった。練習メニューなどは主に侑が考え、練習場の調整や道具の整備などを瑠和が行うことになっている。
とりあえず初日は練習はなしで翌日からの練習に気合を入れるために全員で料理を始めた。
「るなりんは何作ってるの?」
調理中の瑠和に愛が話しかけた。
「え………ああ」
「見たことない材料だね」
「俺も、初めて作る………から」
「へー………」
愛は眉をひそめながら自身が作業していた位置に戻る。そんな愛を見た璃奈が話しかける。
「愛さん、どうしたの?」
「ああ、うん………なんか…るなりんが、りなりーみたいになっちゃった気がして」
「…?」
なんとなく感じたことをそのまま口に出すが、いまいち確証というか具体的なことを言えなかったのですぐに何でもないといった。
「あ、ううんなんでもないよ。それより、りなりー楽しそうだね」
「うん。私のライブの後から、お兄ちゃんとは仲良くなれたけど、お兄ちゃんが戻ってくることなかったから。今日は一緒に………久しぶりに、一緒にいられるから」
「………そっか、じゃあ張り切って料理しないとね!るなりんにおいしいごはん作ってあげよう!」
「……うん」
刹那、料理室に皿の割れる音が響いた。全員がその音の方向を見る。皿を落としたのは、エマだった。最初は全員驚いていたが、すぐにエマのところに集まった。
「エマさん、大丈夫?」
「うん、手が滑っちゃった」
「もう、ぼーっとしてるんだから」
すぐ隣にいた果林と侑が落ちた皿の破片を回収する。そんな中で果林はふとエマの横顔を見た。エマの首に、なにか、痣のようなものが見える。
「……?」
それから夕食を済ませ、とりあえずその日は寝るだけとなった。女子組は虹ヶ咲学園の宿泊施設を利用したが、唯一の男子である瑠和は部室で寝ることにした。
消灯から少しして璃奈は目を開き、ほかのメンバーを起こさないように寝室を抜け出す。
向かう先は兄が寝ている同好会部室だ。高校生になったとはいえ、兄と同じ屋根の下に寝るのは小学生以来である。思い出の中と同じ、優しい兄にほんの少しだけ甘えたくなったのだ。
もう少しで部室に到達するというところで璃奈の肩に重いなにかが乗るのを感じた。
「!!?」
心臓が飛び出るほど驚き、身体が硬直した。璃奈の性格も相まって声も出なかった。背後と自身の方に乗っている手と思しきものから感じるのは、威圧と怒りのようななにか。それに恐怖を感じながらも璃奈は少しずつ視線を背後に移す。
「ねぇ、こんなところでなにしてるの?璃奈ちゃん」
いつの間にか背後に立っていたのは、エマだった。背後にいた存在を確認した璃奈の耳にようやく自身の心臓の音が聞こえてきた。
「エ……マさん」
「何してるの?」
エマの表情に笑顔がない。
普段ニコニコしているエマからは想像もつかないような低く、抑揚のない声で尋ねてきた。そこから感じるのは威圧だ。
「璃奈ちゃん?」
「お、お兄ちゃんに会いに行きたくて」
「それだけ?」
小さくうなずく。
「…………そっかぁ。もしかしたら璃奈ちゃんがなにか悪いことしてるんじゃないかって心配になっちゃったよ」
ようやくいつものエマにもどった。
「私も一緒に行ってもいい?」
「う、うん」
本当は二人きりがよかったのだが、エマはあくまで瑠和の彼女だ。断るのも難しい。二人は部室を尋ねる。扉を開くと、瑠和はデスクライトの小さな明かりで練習メニューを見直していた。
「今日くらいの暑さならもう少し何か増やしても……」
「瑠和君、お疲れ様」
「エマさん!………と璃奈」
「………」
璃奈は少し兄の顔を見つめるとすぐに近くまで寄ってきた。
「お兄ちゃん………」
「璃奈……」
言葉は交わしていないが、璃奈の望んでいることはなんとなくわかった。瑠和は璃奈をそっと抱きしめる。
「…………」
「……璃奈。ごめんな。さみしい思いさせて」
「いい。これから、一緒にいられれば」
瑠和は作業を中断し、棚をあさる。同好会の部室にはいつもお菓子が常備されている。そのお菓子をいくつか取り出し、エマがお茶を淹れた。
深夜のお茶会が始まる。
なにか大事な話があるわけではない。ただちょっとした兄弟の時間を過ごしたかっただけなのだ。
「………同好会は、楽しいか?」
「うん」
「アイドル………始めたの……俺のためなんだよな」
「うん…………。また一緒に暮らしたくて」
「どうしてだ?俺なんかと」
「俺なんかなんて、言わないでほしい。私にとっては、大事な、かけがえのないお兄ちゃんだから」
「あは、璃奈ちゃんお兄ちゃん大好きなんだねぇ」
「………うん……………ずっと………お兄ちゃんに…………おれ……い…………したく………て」
他愛ない話の中で時間が流れていく。エマの言葉に璃奈は答えながら徐々に船をこぎ始める。そして、答え終わったかどうかというタイミングで椅子にもたれかかって眠ってしまった。
「………寝ちゃったみたいだね。ここに寝かせてあげていい?」
エマは眠った璃奈を抱きかかえて尋ねる。
「はい。兄妹ですし」
瑠和が部室で寝るのは男女問題からだが兄妹であれば問題はない。瑠和は自分が使う予定だった布団を璃奈に明け渡し、自分はソファで寝ようと考えた。
「…じゃあ、俺もそろそろ」
枕をソファに投げ、寝ようとしたとき背後に迫ったエマに押し倒された。
「え、エマさん!?」
「……………始めようか」
そういってエマは寝間着を脱ぎ始める。エマの肩があらわになったタイミングで瑠和が止める。
「ま、待ってください!俺も嫌じゃないですけど、璃奈が起きて…」
「大丈夫。しばらくは起きないから」
「え………」
さっき話していた時、璃奈が眠ってしまうタイミングに妙に違和感を感じたが、その正体が明らかになる。エマが一服盛ったのだ。
「な、なんで……」
「せっかくいつも通り瑠和君を甘えさせてあげようって思ったのに、璃奈ちゃんこっちに来ちゃうんだもん。それに、兄妹だからないと思うけど、璃奈ちゃん瑠和君のこと好きだから………瑠和君は誰のものかってはっきりさせておきたくて。夢越しに見せつけようって思ったの」
「………」
唇を噛む。エマの言動がもはや愛情を超えた異常だということは頭ではわかっている。だが、身体がまったくもって拒否できない。
それほどまでに瑠和自身がエマに依存しているのだ。彼女の言葉に反対できない。
「………エマさん」
瑠和はエマの手の中に包まれる。
そして、二人は快楽の中におぼれていく。瑠和は目の前にいる璃奈のことを忘れるように、そしてエマは乱れながらも横目で璃奈のことを見ながら勝ち誇った目をした。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
夜も更けてきたころ、エマは部室から出ていった。部室内では疲れ切った瑠和が璃奈と眠っている。
エマも鬼ではないし、兄妹の時間も瑠和を理想の姿に保つのに必要なものだからだ。エマは宿泊棟に戻ると、部屋の中の自分以外の荷物を漁る。
着替え等の荷物の中に一つだけ、合宿にあまり関係のないような袋を見つける。エマはそれを引っ張り出すとじっと眺める
「……………へぇ」
―翌朝―
「ええ!?エマさん今日の練習参加できないの!?」
「ごめんね~。ちょっと予定が入っちゃって………でも、午前中だけだから!」
翌朝、いきなりエマは急用が入ったとのことで午前中の練習は一緒にできないとのことだった。
「そっか。まぁ、用事があるならしょうがないね」
「うん、なるべく早く合流するから」
エマはいったん学校の外へ行った。そして、一人で様々な店をめぐる。目的のものはなかなか見つからないが、数店舗巡った先に発見した。
「………あった」
午後になり、エマは練習に合流した。朝にエマを見たとき、瑠和はなんとなく表情に違和感を感じていたが戻ってくるころには妙な違和感は消えていた。
少し安心していると璃奈に腕を引っ張られる。
「お兄ちゃん、ダッシュ」
「え」
いつの間にやら練習という名のドロケイが始まっていた。牢屋は部室。警察はエマ、彼方、愛、せつ菜だ。璃奈に引っ張られるがまま瑠和は走る。
こんな風に、妹と走るような時間が来るなんて思ってもいなかった。夏の蒸し暑い空気も心地よく感じた。そんな風に思いながら走っていると曲がり角にエマが見えた。
「あ、エマさん」
「瑠和君、おいで」
エマはそう言って両手を広げる。さっきまでまっすぐ走っていた瑠和は瞬時に走る角度を90度変え、エマの胸の中に飛び込んでいった。
「捕まえた」
「…………はっ!」
エマの胸に飛び込んだのは完全に無意識だったようだ。もはやパブロフの犬状態である。
「お兄ちゃん……」
瑠和は牢屋である部室に連行された。まだ部室の中には誰も捕まっていないようだった。
「………ねぇ、まだ誰も来てないし、昨日の続きでもする?」
「え………あ」
「はい、侑ちゃんいっちょ上がり~」
エマが迫ろうとした瞬間に彼方が侑を捕まえて連行してきた。ほんの一瞬だがエマは明らか不服そうな表情をした。
「まぁそううまくいかなよね。でも、今日のお楽しみは、この後が本番だから………ね?」
エマはそういうと鼻歌を歌いながら出ていった。
「……?」
最終的に全員つかまり、汗だくになった身体を身体を流そうとプールへ行くこととなった。
そこで瑠和が目にしたのはかなりきわどいビキニを着たエマだった。
「エマさん…………」
「なんというか……大胆ですね」
「そう?スイスじゃ普通だよ?」
大嘘である。エマは自分の水着を持ってきてはいたが、昨日の夜のうちに全員の水着をチェックし、持参した水着では目を引けないと思い、わざわざ今朝新調したのだ。
それも全て、瑠和の視線を奪うために他ならない。
しかし、それ以上にすごいのはエマの首元だ。首元には赤い痣のようなものがいくつか残されている。いわゆるキスマークというやつだ。全員その存在に気づきながらもあえて黙っている。
「エマさん!首元赤くなっていますよ!虫刺されですか?」
「ほんとじゃん、愛さんムヒもってるよ?使う?」
「え?うん、大丈夫だよせつ菜ちゃん、愛ちゃん」
純朴すぎて気づいていないせつ菜と愛がいたが、エマは気にせず流した。
「瑠和君、一緒に入ろう?」
「は、はい……」
エマは瑠和の手を取り、プールに入っていく。その様子を呆然と眺めていた一同も少ししてからプールへ入っていった。
エマの水着に圧倒されていたが、皆なんだかんだ楽しみにしていたのかすぐにはしゃぎ始める。そんな中でエマと瑠和はバタフライ型のフロートの中で一緒に寝そべっていた。
「ん………ぷはぁ……」
エマは瑠和の上に乗っかってキスをする。周りで遊んでいる他者など完全に寄せ付けない二人だけの空間がそこにはできていた。
「エ、エマさ………このまま……」
瑠和は抑えがきかなくなり、エマの水着に手をかける。エマはそれを制止して耳元でささやく。
「だ~め、今日の夜、またここにきて?」
「………」
瑠和はお預けをされて子犬のような切ない表情を見せる。その顔を見てエマはゾクゾクと背中に何かを感じた。
そんな時、エマの顔面に水鉄砲がかけられる。
「ひゃっ!」
エマはフロートから落ちる。
「エマさbrrrrrrrrr!」
瑠和も顔面に水鉄砲を食らい、そのまま落ちる。
「ぶはっ!」
水面に上がると、水鉄砲を持ってニヤニヤしている愛とせつ菜がいた。いい感じの空気をぶち壊され、瑠和は完全にご立腹だ。
「宮下ぁぁぁ!」
「あはは!にげろー!」
瑠和は愛たちを追いかけ始める。エマは少しびっくりした顔をしていたが、すぐに笑顔になった。
淫靡な空気は砕かれ、高校生らしい時間が流れ始めた。本来はこういう空気が一番正しいはずだ。そう思いながら侑は遠目で瑠和たちを眺める。
―深夜―
深夜になり、瑠和は再びプールを訪れる。プールサイドには珍しく髪を解いたエマが座っている。
「待ってたよ。瑠和君」
「エマさん………」
エマは怪しく笑い、ビキニの上を少し持ち上げる。瑠和はごくりと喉を鳴らし、エマに近づく。再び欲望に飲まれた時間が始まる。プールの更衣室で侑はその音を聞いていた。
「………」
侑はこの合宿中、あの日見た二人と普段の二人、どちらが本当の二人なのかを観察していた。そしてなんとなくわかった。
(きっと、どっちとも本物なんだ…………どっちとも本気で楽しんで、どっちともあの二人に本当に必要なものなんだ…………)
しばらく継続的に鳴っていた音が止んだ。
だが少しすればまた響き始めるだろう。そう思い、侑は立ち上がってプールを後にした。一つ隔たれた世界の二人の先に幸福があることを願いながら。
幾程の時が流れたのだろう。
間もなく夜明けかもしれない時間に二人はフロートの上で恋人つなぎをしながら果てていた。
「…………この先も、一緒にいてくれますか?」
「…………………」
瑠和の質問に、エマは瑠和の顔を見る。瑠和の首筋にもたくさんのキスマークがある。まるで自分の所有物のような印を満足げに撫でながらつなぐその手の力をより強くした。
「離さないよ」