Another days -case of Emma-   作:瑠和

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にじよん最高過ぎて無限回見てる。なにが最高って無理にストーリー性を作らないでいいから本当に日常って感じがいいんですよね。どうでもいいけど水星の魔女の……12話ぇ…。


第二話 それぞれの邂逅、知り行く事情

瑠和がキレた日から二週間が経った。あの日から瑠和はほぼ学校には行かなかった。三学期も終わり、二学期中間までの出席率や成績で瑠和はなんとか2年生に上がった。

 

しかし、初日から瑠和は学校へは来なかった。この間のことがきっかけで仲良くなった果林を起こすついでに瑠和の部屋を毎朝訪れてはいるが返事はない。

 

「瑠和君………大丈夫かな……」

 

瑠和のことを心配しながら歩いていると、少し先の道を見覚えのあるピンクの髪色をした生徒が通っていったのが見えた。

 

「瑠和君!?」

 

瑠和が学校に来たのかと思い、すぐに後を追いかける。廊下を曲がったところで名前を呼んだ。

 

「瑠和君!」

 

しかし、そこにいたのはピンクの髪ではあるが瑠和よりもずっと小柄で黄金の瞳をした少女だった。

 

「……ぁ…………ごめんね?なんでもないよ」

 

エマは勘違いだったとわかると少女に謝り、すぐに立ち去ろうとした。

 

「お兄ちゃん、知ってるの?」

 

「え?」

 

しかし、少女が思いがけない発言をしたことでエマは立ち止まり、振り返った。

 

「さっき、瑠和って………それって天王寺瑠和のこと?」

 

「そう………だけど。あなたは?」

 

「私、天王寺璃奈。情報処理学科1年で、天王寺瑠和の妹」

 

「妹さんなの!?」

 

エマは瞳を輝かせて璃奈の手を取った。璃奈はそれに少しびっくりしつつ小さく頷く。

 

「うん……」

 

「あの!私、瑠和君の……えと、友達のエマ・ヴェルデ!瑠和君がいま不登校になっちゃってるの…なにか知らない?」

 

藁にもすがる思いで璃奈に訪ねる。

 

「お兄ちゃん、学校に来てないの?」

 

璃奈の質問にエマは頷いた。

 

 

 

◆◆

 

 

 

エマは璃奈を連れて屋上に来た。そこで璃奈にこれまでのことを話した。瑠和と知り合った経緯と数週間前の激昂。瑠和という人物についてもっと知りたいと思ったのだ。

 

「そうだったんだ………。ごめんなさい。お兄ちゃんが迷惑かけて」

 

話を聞いた璃奈はエマの前に立って頭を下げる。

 

「そんなことないよ!最初に案内してもらってすっごく助かったし。心配してるのも私のおせっかいだから」

 

「………でも、ごめんなさい。私もお兄ちゃんのこと、あんまりわからない」

 

「そうなの……?」

 

少し希望が薄れ、エマの表情が暗くなったのが璃奈は何となくわかった。しかし、瑠和のことをよく知らないのも事実である。少し間を置き、璃奈は過去の話を始めた。

 

「………昔から、私の家のお父さんとお母さんは仕事が忙しくて家にいなかった。さびしかったけど、それは仕方ないって思ってた。寂しくても耐えられたのはお兄ちゃんがいてくれたから。いつも私のこと気にかけてくれて、優しくて、家事もお母さんの代わりに頑張ってた」

 

「瑠和君、やっぱり優しい子なんだね」

 

エマが聴くと璃奈は少しだけ嬉しそうに頷き、話を続ける。

 

「お父さんもお母さんもいない生活でなんとか頑張ってたんだけど、お父さんの会社の都合で、引っ越しをしなきゃならなくなった。お兄ちゃんはそれに強く反対して………結局お兄ちゃんは地元の親戚の家に引き取られて中学卒業まで離れ離れだった」

 

「そうだったんだ………」

 

「この学校にお兄ちゃんが入学することが決まって、親戚からもいい加減実家に帰るように言われたんだけど、やっぱり急にはうまくいかなくて………お兄ちゃんは寮暮らしになった」

 

実家が近いのに寮暮らしをしている理由はそういうことかとエマは納得した。しかし、菜々の話によれば不登校気味になったのは二学期の途中かららしい。そこがわからない。

 

「瑠和君が不登校になっちゃった理由は知ってる?」

 

「……………半年くらい前、私、推薦でこの学校の入学が決まって、それをお兄ちゃんに報告した………それが、多分」

 

「そっか……」

 

ようやく謎が解けた。なぜ学校に来ていた瑠和が急に来なくなったのか。家族から離れていたい瑠和にとって、同じ学校に妹が来ることは想定外だったのだろう。家族に向き合うことはできず、突き放すこともできない状況になり、瑠和は不登校という手段を取ってしまったのだ。

 

望んだことではないだろうが、そうなってしまったのだ。

 

「お兄ちゃん………」

 

璃奈は少し俯きながら小さくつぶやいた。その姿を見てエマは少し考えた。いまの自分に何ができるのか、どう動くのがみんなのためになるのかを。

 

「璃奈ちゃんは、瑠和君のこと好き?」

 

「……うん。一緒に暮らしてた時は、よく友達と遊びに行っちゃってたけど、帰ってきたら家事を頑張ってくれてたし、たくさんお土産とかくれたし、疲れてるのにあそんでくれた。だから、私はお兄ちゃんは好き」

 

「これから、どうしたい?」

 

「…………お兄ちゃんと、また一緒に暮らしたい。このままずっと離れ離れなんて…寂しい……から」

 

璃奈の願いを聞いたエマは璃奈の頭の上に手をのせた。

 

「わかった。私が何とかする」

 

「本当に?」

 

「うん、何ができるかまだ分からないけど、希望はあるって信じてる。それに、家族は一緒にいるものだもん」

 

「………私も、できることがあったら言ってほしい!」

 

 

 

―中庭―

 

 

 

一方そのころ、珍しく登校していた瑠和は中庭で横になっていた。学校に来た理由は特にない。気が向いたというだけだ。

 

「みゃあ」

 

そんな瑠和の基に一匹の白猫が近づく。

 

「あ?」

 

「みゃん」

 

「………」

 

瑠和はポケットを漁ってこれから食べようとしていたハンバーガーを取り出し、バンズを少しをちぎって子猫に差し出す。

 

「みゃ」

 

子猫は瑠和の差し出したパンくずを食べた。その光景に一瞬笑みがこぼれる。

 

「およ?今日はその人のとこかい?」

 

声がした。その方を見てみるとそこには金髪の少女が立っている。少女は子猫に近寄ると、持っていたビニールから猫缶を取り出す。

 

「………飼い猫か?」

 

「え?ううん、昨日知り合ったばっかり。最近この辺に住み着いちゃったみたいなんだよねぇ」

 

そう言って少女は猫缶を開けて子猫に差し出した。猫はそれも食べ始める。その様子を見ていた瑠和は少女に聞いてみる。

 

「……………飼うのか?」

 

「あー、できれば飼ってあげたいけど、ウチ飲食店だから……まだ聞いてないけどなんて言うかって感じ。あ、ねぇねぇ!君の家は!?もう猫飼ってたりしない!?」

 

「いいや。俺は寮暮らしだからな」

 

「そっかぁならだめだねぇ」

 

「つーかその猫の問題にさらっと俺を入れんな。たった今知り合ったばっかだろうよ」

 

「え?初めましてじゃないでしょ?」

 

「………あ?」

 

瑠和はざっと記憶を漁ってみるが、この少女と知り合った記憶はない。

 

「覚えてない?ほら、去年の学園祭で一緒に受付やったじゃん」

 

「…………………あ、あぁ~はいはい。いたな確か」

 

少し思い出すのに時間がかかったが確かに瑠和はこの少女と一度会っている。去年の学園祭で瑠和と共に入り口の受付をやった少女だった。

 

「いや、今知り合ったのと大差ねぇだろ」

 

「え?そう?」

 

「ともかく、俺のところは無理だ。他当たれ」

 

「ん~困ったねぇ。他に頼れる人もいないしなぁ。あ、じゃあさ、たまにでいいからこの子にご飯とかあげてもらってもいいかな?アタシもいつも来れるわけでもないし、この子の行き先が決まるまででいいから!」

 

「………まぁ、構わんが」

 

瑠和自身もそんなに学校に来ているわけではないが頼まれて悪い気はしなかったし、授業をサボりたくなったらいい時間潰しになりそうだと思ったのだ。

 

「この子の行き先頑張って探してみるね!あ、アタシ情報処理学科二年の宮下愛!改めてよろしくね!」

 

「………普通科二年の天王寺瑠和」

 

 

 

―放課後―

 

 

 

とりあえず一日学校にいた瑠和は放課後になると同時に帰宅しようと席を立つがその前に誰かが立つ。

 

「やほ、学校来たんだ」

 

「高咲………」

 

目の前に現れたのは去年から同じクラスメイトの高咲侑であった。侑は鞄からノートを一冊取り出して瑠和に差し出す。

 

「これ、来てない間のノート取っておいたんだけど、いる?」

 

「そりゃどうも。でもいらねぇよ」

 

瑠和は侑の好意を断り、そのままそっぽを向いて帰ろうとした。

 

「あ、待って!」

 

「近いうちに学校もやめるかもしれねぇ。誰に頼まれたか知らないが俺にかまうな」

 

そう言って瑠和は教室から出て行ってしまった。取り残された侑はがっくりと肩を落とす。そんな侑に彼女の幼馴染の上原歩夢が心配そうに近づいた。

 

「侑ちゃん、大丈夫?」

 

「うん……帰ろうか、歩夢」

 

侑は去年瑠和がまだ学校に来ていた頃、瑠和と他のクラスメイトがグループワークをしたときに激しい衝突をしたのだ。その時、話を整理して仲介人となったのが侑だった。お互いの意見を尊重し、いい具合に落としどころを見つけたのだ。

 

それ以降、瑠和は学校にあまり来なくなった。侑は瑠和の不登校が自分のせいだったのかもしれないと責任を感じていたのだ。

 

 

 

―食堂―

 

 

 

放課後の食堂ではエマが一人頭を抱えていた。スクールアイドルを始めようと意気揚々と生徒会に申請書を取りに行ったのはいいものの同好会の申請には最低五人は必要とのことだった。学校に来たばかりのエマにそこまでの人脈はなく、どうしたものかと頭を抱えていたのだ。

 

「うーん………」

 

「何うなってるの?」

 

「果林ちゃん」

 

悩んでいたところに果林がやって来る。エマは果林に事情を話した。

 

「そう、まぁ部員は必要よね」

 

「果林ちゃんは………興味ない?」

 

遠慮気味に果林に尋ねてみるが果林は申し訳なさそうに笑う。

 

「ごめんなさい。私そういう騒がしいのは苦手なの」

 

「そっかぁ……」

 

予想できていた答えとはいえ、やはり少し肩を落とす。申し訳ないと思いはするがいくら仲が良いとしてもスクールアイドルをやる気にはなれなかった。どうしたものかと思っていると、ふと思い出す。

 

「あ、でも……」

 

 

 

―翌日―

 

 

 

「うん、いいよ~」

 

「本当に!?よかったぁ」

 

果林は同じライフデザイン学科にスクールアイドルに興味があるというような話をしていた同級生のことを知っていた。名前を近江彼方。今年妹がスクールアイドルをはじめて彼女もその影響を受けて興味を抱いたという。

 

「ありがとう果林ちゃん」

 

「いいえ、毎日起こしてもらっているお礼よ。他に何か手伝えることがあったら言って?」

 

「うん♪」

 

エマたちに別れを告げ、果林は帰路につこうとしたが、正門付近で猫に餌をあげている人物が見えて足を止めた。

 

「うまいか」

 

「みゃ」

 

「何してるの、こんなところで」

 

近づいてみると瑠和であることが分かったので果林は少し気になって話しかける。

 

「あんたは………朝香果林とかって言いましたっけ?」

 

「自己紹介したかしら?」

 

「学校じゃ有名ですし、雑誌で一度見たことがあります」

 

「そ、お見知りおき下さり光栄よ。あなたは………天王寺だったわね」

 

「天王寺瑠和です」

 

「そう。その子は?」

 

「この辺に住み着いてるんだそうです。知り合いから適当に面倒見ていてほしいって言われまして」

 

「そう………今日は、その子の面倒見るために来たの?」

 

「ええ」

 

果林は軽い会話を済ませると、瑠和の隣に座る。瑠和はちらりと果林を確認するが特になにも言わなかった。

 

「私が遅刻しそうなときなんかによく見かけてたけど……ひょっとしてあなた、不登校?」

 

「……だったらなんです?」

 

「いいえ?なんでかな~って思って」

 

「アナタには関係ないです」

 

「あら残念」

 

また少し沈黙が生まれた。果林はエマのために何かしらできないかと考えて瑠和に話しかけたのだが、そもそも関係は浅いのでそこまで深く入り込めるわけでもなかった。

 

話題も尽きてしまいどうしようかと考えていると、さっきの話題の中にふと気になることがあったのを思い出す。

 

「私を雑誌で見たって言ったけど、なんで私の出てる雑誌を見たの?」

 

果林が出てるのは女性向けのファッション誌だ。彼女がいるわけでもない瑠和がなぜそんな雑誌を見たのか気になったのだ。

 

「それは………その……妹の」

 

「妹さんの?」

 

「…………何でもないです。もう行きます」

 

事情を話しかけたが口を滑ららせただけのようだ。ちょうどはんぺんが餌を食べ終えたこともあり、瑠和はその場から去って行ってしまった。

 

「………フラれちゃったわね」

 

一人残された果林はそう言って肩をすかした。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

 

 

「生徒会長から部員を募集していると聞いてきました!」

 

「申請書もらいに行ったら先に同じ部の申請を希望してるって聞いたので!」

 

彼方とエマの二人が集まり、部員を集めるためにビラでも配ろうと思っていたのだがそんなことしなくても自然と人は集まってきた。新しくエマのところに来たのは二年生の優木せつ菜と中須かすみだった。

 

「あと一人で同好会の申請ができるねぇ」

 

「なんだかワクワクしてきちゃった!」

 

あと少して同好会が設立できると思うと、エマは胸が踊った。あと少しであの輝きに手が届く。いつか幼き日の自分が感じた胸の温もりを、瑠和に届けられると。

 

「ちなみに皆さんはラブライブを見たことありますか?」

 

「はいはい!かすみん知ってます!スクールアイドルの目指すべき頂点ですよね!いままでのやつ何回か見たことありますよ!」

 

「はい。言ってみればスクールアイドルの甲子園です」

 

そのまませつ菜が好きな歴代ラブライブのステージの話でもしようとしたとき、エマが口を開いた。

 

「へ~そんなのあるんだぁ」

 

「…ご存知なかったんですか?」

 

エマの発言に三人は少なからず驚いていたようだ。

 

「?。うん」

 

「じゃあ、なんでエマ先輩はスクールアイドルに?」

 

「私はみんなの心をポカポカにしたいなって思って…」

 

エマは少し不安そうな顔をする。ひょっとして動機としてはまずかったのだろうかと不安に思ったのだ。

 

「まぁ、理由はみんなそれぞれだよね~。どんな理由でも、スクールアイドルをやりたいって想いは一緒なわけだし」

 

エマの不安を察した彼方が助け船を出した。

 

「あ、でもそんなのがあるなら是非やってみたいな!せっかく日本に来たんだもん」

 

「ですね。ではラブライブ優勝目指してまずはメンバー集め!頑張りましょう!」

 

「「「おー!」」」

 

四人の想いが一つになったとき、そこに一人の女子生徒が訪ねてきた。

 

「あの…」

 

「あ、ごめんなさい。うるさかったですか?」

 

「あ、いえ、そうでなくて………今、スクールアイドルのお話してましたよね?」

 

「はい………もしかして」

 

「はい、実は前々から興味を持っていまして。もしよろしければ私もスクールアイドル、やらせていただいてもよろしいですか?」

 

待ちに待った五人目の入部。名前を桜坂しずくという。これを持って虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は正式に稼働した。

 

ラブライブを目指して楽曲を作り、練習を続ける毎日が続いた。

 

そんなある日。瑠和の部屋のチャイムが鳴る。

 

「はい?」

 

「あ、瑠和君!久しぶり。元気にしてた?」

 

出てみると玄関先にいたのはエマだった。瑠和は「またか」という顔をするが一応質問には答える。

 

「まぁ、それなりに」

 

「学校には……」

 

「たまに行ってます。用事も多少はあるんで」

 

「よかった!それでね、今日はこれ渡しに来たの!」

 

エマは鞄から一枚の紙を取り出して瑠和に渡した。受け取ってみるとそれは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会お披露目ライブの広告チラシだった。

 

「これは………スクールアイドルって……」

 

「私ね、スクールアイドルをやりたくてスイスから来たの。昔、日本のアイドルの動画を見て心がポカポカになったから。私もみんなの心をポカポカにしたくて」

 

「……」

 

「だから見に来てほしいんだ。瑠和君の心を少しでも温めてあげたくて………おせっかいだってわかってるでも、放っておけなくて」

 

「………」

 

瑠和はチラシを見たまま黙っている。

 

「瑠和君?」

 

「気が向いたら行きますよ」

 

瑠和はそう言って扉を閉めてしまった。しかし、前向きな返答をもらってエマは少しだけホッとした。

 

 

 

続く

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