悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第十ニ話

「こんにちは。慎一郎さん」

 

「おう、柊か」

 

喫茶店《イオニアン》の裏口扉が開かれ、制服姿の柊白音が顔を出す。確か今日はバイト日ではなかった筈だがどうしたのだろうか?

 

「どうした?柊。今日はバイトの日じゃ無いだろ」

 

そう言う慎一郎に、柊は厨房に足を運びながら言った。

 

「分かってます。ただ慎一郎さんに渡せるタイミングが朝一しかなかったので・・・」

 

白音はそう言いながら、手にしていたバスケットを慎一郎に手渡す。

バスケットを受け取った慎一郎は蓋を開けると、中には丸いキッチンペーパーで包まれたハンバーガーが幾つか並んでいた。

 

「柊・・・これは・・・」

 

中身を見た慎一郎は目を丸くして白音の顔を見る。

そんな慎一郎に白音はにっこり笑い、言った。

 

「ほら、慎一郎さんいつもお昼適当に済ましちゃうじゃないですか。だからお昼を作ったんです」

 

そう言う白音に、慎一郎は頭をかく。

どうやらその辺りを白音に見られていたらしい。

慎一郎はニコニコと笑みを浮かべたままの白音にもう一度視線を向けながら言った。

 

「あー、すまんな白音。俺なんかの為に朝から昼飯作らせちまって・・・」

 

「いいえ。ボクが好きで作ったものなので気にしないで下さい。───それはそうと慎一郎さん」

 

白音は笑みを浮かべていた表情から一変し、白音の顔から表情が消え失せる。

 

「“昨日の夜、モノさんと何処に行っていたんですか?“」

 

その言葉と同時に見えた彼女の青い瞳には光がなかった。

 

「昨日の夜───ボクはずっと見ていたんですよ。昨日の夜の二十時四十二分から今日の一時二十四分の間──モノさんと一体何をしていたんですか」

 

そう言いながら慎一郎に顔を近づけ、問い詰める白音。

そんな白音に慎一郎は恐怖に顔を引き攣らせながら、表情が死んだ白音に言った。

 

「・・・ラインハルトに呼ばれたんだよ。それでモノが迎えに来たって訳だ。なんならラインハルトに聞いてくれよ。俺の携帯の履歴を見ればわかるだろ?」

 

そう言いながら慎一郎は白音に携帯の履歴を見せる。

 

「・・・・・・」

 

白音は慎一郎の電話履歴をジッとしばらく見つめながら、顔を電話画面から離す。

そして一度ため息をつくと、白音は光が戻った瞳で慎一郎を見て言った。

 

「・・・本当みたいですね。ごめんなさい慎一郎さん。貴方を少しだけ疑ってました。モノさんとは“そういう関係”何じゃないかと思っていましたので」

 

「モノとはそんな関係じゃねえ。アイツは俺の“相棒”だっての。そんな事するかよ」

 

相棒と言う言葉に、白音は嫌な顔を作る。

どうにもモノと白音は相性が極端に悪い。

いや、それも当然と言えば当然のことだ。

いかんせん好き勝手するモノと生真面目な白音。

言ってしまえば不良と優等生で噛み合わないのは当然である。

 

「・・・なんであんな奴が・・・」

 

ギリッと唇を噛みしめる白音に慎一郎は言った。

 

「アイツとは組織を作った時からの付き合いだからな。柊も信頼しているんだぜ?なんだったら、モノの奴よりはお前に任せられるくらいだ」

 

「・・・本当ですか?」

 

「おう」

 

「・・・本当の本当ですか?」

 

「だからそうだって言ってるだろ?」

 

慎一郎の言葉に白音は少しの間黙った後、顔を慎一郎から離す。

 

「───ボクは慎一郎さんを“信じてます“からね。なのでその言葉も信じます。だけど夜更かしも程々にしてください。身体に悪いですから」

 

白音はそう言って鞄をしっかり手に持つと、慎一郎視線をもう一度向けて言った。

 

「じゃあボクは学校があるのでこれで失礼しますね。慎一郎さんもボク以外でふしだらな事をしないように」

 

「誰がするかよ。もういい歳した大人だっての」

 

「でも最近はその大人が若い人に手を出してる話をニュースであがってますよ?」

 

「そんなクズ野郎と一緒にしないでくれ」

 

サラッと毒を吐くようになった白音に慎一郎は苦笑いを作る。

そして通学路に向かおうとする白音に慎一郎は言った。

 

「柊!」

 

「なんですか?」

 

「”いってらっしゃい”」

 

慎一郎のその言葉に白音は一瞬目を丸くしながらも、すぐに笑みを浮かべて───

 

「“行ってきます”。慎一郎さん」

 

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