悪の頂点の筈なのに何故かうちの喫茶店で魔法少女達が居座っている件   作:鉄血

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第十三話

「へえ。じゃああの眼鏡の子、今この店の二階に住んでいるんだ」

 

「お前知らなかったのかよ?」

 

「うん。だって興味ないし」

 

モノは喫茶店の二階のマンションに魔法少女である白音が引っ越ししてきたと聞いても、興味なさげに言いながら机の上に並んだ料理を口の中に入れる。

そして数度咀嚼し飲み込んだ後、慎一郎に顔を向けてつまらなさそうに言った。

 

「大体なんでボクにそんな事を聞くのさ?ただ、知ってる?程度に言われても、ボクやシンが興味の無い話の内容を他の奴から聞いても知らないって答えるでしょ。普通」

 

「まあ、確かにそうだけどさ・・・」

 

慎一郎のその反応にモノは眉を寄せる。

まるで慎一郎のその反応が面白くないというように。

 

「大体───シンはなんで“あんなの”を気にするのさ。ボクは魔法少女や縛られるのが嫌でこの道を選んだ。でもアイツは魔法少女になった自分がどういった結末になるのか分かっていて、魔法少女になった。“他人が決めた自分の人生をアイツは自分でその道を選んだ弱い奴”なんだから、シンが気にするような奴じゃない」

 

モノはそう慎一郎に言ってコップに入った水を口に含む。

そんなモノに対し、慎一郎は言った。

 

「・・・俺も本当はそっち側だったから分かるんだよ」

 

「・・・・・・」

 

そう言う慎一郎にモノは何も言わない。

だって最初の頃は慎一郎もそうだったから。

 

「けど、お前やラインハルトが俺を“こっち”側に引き込んでくれたんだ。だったら柊を悪党に引き込むならちゃんと面倒を見てやらないといけないだろ?」

 

「・・・本当にそれだから───」

 

モノはそう呟きながら慎一郎と初めてあった時のことを思い出す。

薄汚い裏路地で死にかけだった自分を救ってくれた日の事を。そして───生まれて初めて優しさを感じたあの時の事をモノは忘れてはいない。

 

「ラインハルトにお節介な奴って言われてるんだよ」

 

もしかしたらボク自身もあの三位と一緒なのかも知れない。初めて触れた人の優しさだから誰にも渡したくないのだと。

厨房で皿を洗う慎一郎を一度見て、モノはボソッと呟く。

 

「・・・まあ、分からないことはないんだけどさ」

 

そんなモノの呟きが聞こえてなかったのか、厨房から戻ってきた慎一郎がぶつくさと言いながら戻ってきた。

 

「ラインハルトの奴がお節介だって?俺からそれを取ったらちょーっと能力を使える一般人じゃねえか」

 

「まあ、最近はボクもそう思えるようになってきたよ。なんて言うのかな・・・ウザい?」

 

モノのその例えにグサリと聞こえそうなくらいに慎一郎の身体が揺れた。

 

「こ、これが反抗期と言うものか・・・なんか独身なのに子供を持つ親の気持ちが分か───」

 

「そんなんで分からされたら多分子供持つ親が怒って来るんじゃないかい?」

 

「冗談だっつの」

 

「分かっててやってる」

 

くだらないやり取りをしながら、モノは慎一郎に言った。

 

「ねえ・・・シン」

 

「あん?どうした?モノ」

 

モノは手にしたワインボトルの蓋を開け、グラスに注ぐと、溢れる気泡とワイン越しに写る慎一郎を見て言った。

 

「・・・今回の昼ご飯の分はツケでいい?」

 

「普段お前の飯作ってやってんのは誰だ?言ってみろ」

 

「・・・ハイ」

 

その日、モノの一日が決まった。

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